Con Gas, Sin Hielo

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「マイインターン」

2015年10月29日 00時27分53秒 | 映画(2015)
パーフェクト70。


映画はR.デ・ニーロ演じるベンの独白から始まる。語りが進むうちに、これがシニアインターンへの応募ビデオの撮影だということが分かる。

ネット販売で急成長したアパレル企業だけに、シニアといえども紙の履歴書ではなく動画の撮影と投稿を要求したというわけだ。

自己紹介ビデオで伝えられたベンは、まっすぐ生きてきた仕事人間。ただ、実直というよりは前向きで社交的。愛妻に先立たれてからも、日々の小さなことに好奇心を抱き続けている。

そんな彼の専属上司となったのがA.ハサウェイ演じるジュールズ。「プラダを着た悪魔」で新米ジャーナリストだった彼女が、若手とはいえバリバリ仕事をこなす社長を演じているのがおもしろい。キャリアを積んで風格もたっぷりだ。

風格といえば、数々の作品で強面も悪役も演じてきたデ・ニーロだが、本作のベンはとにかく笑顔が目立つ。それも70年の経験を内に秘めた懐の深い笑顔だ。採用後すぐはまったくすることがなかった彼が、その経験と笑顔で周りの人たちをひきつけていく様子が温かく描かれる。

そしてその人間力は、仕事一辺倒で周りから煙たがられていたジュールズにも届くこととなる。焦らず観察、熟考して少しずつアプローチするベンの手法は見習いたいところ。

ジュールズの心をつかんだベンは、インターンを超えて「最高の友人」となる。老若男女分け隔てなく付き合い、伝統を重んじながらFacebookのような新しいものにも触れる。

誤送信メール奪還劇に笑い、ジュールズ夫妻のすれ違いに切ない気持ちになる。人とふれ合って感情豊かに毎日を送ることが、若さを保つ秘訣であり、なにより人生の醍醐味なのである。

この映画でのベンは完璧過ぎておとぎ話なのだが、少しでも近付ければ老後はきっと楽しい。いまどき未来に希望の灯りを見られるという、稀有でさわやかな気持ちを味わえたひとときだった。

(90点)
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