Con Gas, Sin Hielo

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「海難1890」

2015年12月27日 10時30分32秒 | 映画(2015)
仲良きことは美しきかな。


世界有数の親日国として知られるトルコ。その歴史を遡ると、100年以上前の海難事故に当たるという。

かつて、海難事故に遭ったトルコの人たちを懸命に救った漁民たちがいた。そして、1世紀後の中東・テヘランで、途方に暮れた邦人たちを最優先して飛行機で避難させてくれたのはトルコ人であった。

混迷を極める時代の中で、目には見えないけれど確かな人どうし、国どうしの繋がりがあることを、日本・トルコ政府全面協力のもと映画という形で表した作品である。

うがった見かたをする人からすれば、非常に政治的な胡散臭い映画と映る。冒頭にトルコ大統領がひとこと述べることで、その印象はよりいっそう強くなる。

(政治的な)配慮は映画の端々に垣間見える。物語の配分、俳優の数のバランスや、両国を、そして100年前と現代を繋ぐ小道具の配置。誉め言葉に聞こえないかもしれないが、非常に優等生な作りだと思った。

二部構成の前半は、映画の題名となっている海難事故が描かれる。これはかなり見応えがあった。嵐の場面も、座礁・爆発の後の救出も、その後の島民とトルコ人のふれ合いも、丁寧に綴られていたと思う。

しかし残念ながら、後半のテヘラン脱出劇がどうにも安っぽかった。

48時間以内にイランから出国しなければいけない中で、様々な制約が絡み自国からの救援が不可能となったわが国。そこに救いの手を差し伸べたのがトルコである。

そこには100年以上前の恩義が少なからず影響しており、当時の首相は自国民より優先して邦人を救援機に乗せたという。

これは驚くべき話である。そしておそらく事実なのだろう。

しかし、結果が美談だからといって、トルコ人全員が卒業式のように通路を空けて邦人を送り出すという演出は、ありえなさ過ぎて醒める。

映画なのだから、ドラマ的な演出を否定するつもりはない。どのような演出が良かったのかという問いにも答えられない。ただ、残念だったとしか言えない。

もう一つ残念だったのは、この作品が東映の映画だということ。東映が悪いというのではなく、宣伝上手の東宝が客層の被る「杉原千畝」をぶつけてきたことで本作の存在が霞んでしまっていることである。本当に政治力が働いた作品なら、東宝にこそ圧力をかけるべきだったであろう。

俳優陣は良かった。頼もしい佇まいの内野聖陽、東洋的な容姿で国際経験豊かな忽那汐里の存在感は光っていた。忽那汐里は将来工藤夕貴のようなポジションになれるかもしれない。

(70点)
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