悪魔に天職。
元々眼ヂカラがあるJ.ギレンホールが狂気をまとう。
人の不幸は蜜の味とはよく言ったもので、本作の怖いところは、他人事と思って片付けられないところにある。
もちろんこの映画の主人公ルイスのように明らかな一線を越えることはないとしても、事件や事故の報道を見ている目が興味本位になっていることがないと言えるだろうか。
このルイスという男、金網泥棒に甘んじているものの、目標を見つけたときの執着力と手段を選ばない非情さでは、他者を寄せつけないものがあった。
一部はヤラセで盛った事件もあったが、いち早く現場に駆け付けるために命さえ惜しまないスピードで車を走らせたり、邸宅で発生した殺人事件にうまく出くわしたりする辺りは、ルイスの執念が実ったとも思える。
しかしメインは、事件の経済的価値を高めるためにルイスが行う非道な行為である。
普通の相手だと思って接した人がことごとく巻き込まれていく。ルイスにとって自分以外は使い捨ての道具に過ぎないのである。
狂気に満ちた行動一辺倒ではないのだが、したたかな交渉や時折見せる笑顔でさえも恐ろしい。誰を駒にして稼ごうかという思惑が透けて見えるから。
もうアシスタントのリックなんて、はじめから犠牲になることが分かりきっているから、もう口答えなんかしなきゃいいのにと思いながら見ていた。
しかし皮肉なことに、思惑通りに他人の犠牲が積み重なる度にルイスの階級は着実に上がっていく。
世の中すべてがこうとは思いたくないけど、少なくとも他人の不幸の上に成り立っている範囲の社会は、非情になれる者だけが生き残っていくのかもしれない。
(75点)
元々眼ヂカラがあるJ.ギレンホールが狂気をまとう。
人の不幸は蜜の味とはよく言ったもので、本作の怖いところは、他人事と思って片付けられないところにある。
もちろんこの映画の主人公ルイスのように明らかな一線を越えることはないとしても、事件や事故の報道を見ている目が興味本位になっていることがないと言えるだろうか。
このルイスという男、金網泥棒に甘んじているものの、目標を見つけたときの執着力と手段を選ばない非情さでは、他者を寄せつけないものがあった。
一部はヤラセで盛った事件もあったが、いち早く現場に駆け付けるために命さえ惜しまないスピードで車を走らせたり、邸宅で発生した殺人事件にうまく出くわしたりする辺りは、ルイスの執念が実ったとも思える。
しかしメインは、事件の経済的価値を高めるためにルイスが行う非道な行為である。
普通の相手だと思って接した人がことごとく巻き込まれていく。ルイスにとって自分以外は使い捨ての道具に過ぎないのである。
狂気に満ちた行動一辺倒ではないのだが、したたかな交渉や時折見せる笑顔でさえも恐ろしい。誰を駒にして稼ごうかという思惑が透けて見えるから。
もうアシスタントのリックなんて、はじめから犠牲になることが分かりきっているから、もう口答えなんかしなきゃいいのにと思いながら見ていた。
しかし皮肉なことに、思惑通りに他人の犠牲が積み重なる度にルイスの階級は着実に上がっていく。
世の中すべてがこうとは思いたくないけど、少なくとも他人の不幸の上に成り立っている範囲の社会は、非情になれる者だけが生き残っていくのかもしれない。
(75点)
後味が悪いのに面白かった・・・という癪にさわる作品でした。
>ルイスにとって自分以外は使い捨ての道具に過ぎないのである。
ああ,そうですよね。確かに。人を自分のために道具や駒と思っているから
あのような冷酷なことをさらっとやってのけるのですね。
彼は万人にとって脅威になるという存在ではないけど
彼に利用価値があるとみなされた人間は全力で彼から逃げるべきですね・・・・
しかしこういうタイプの人間は増えてきたのかな?と感じます。
たしかに誰の心にもそういう想いはありますけど行動に移さないですよね普通は。ブレーキをかけるものが道徳心だったり人間らしい情だったりしますよねぇ。
現代社会にこの類の人間が増えてきたというのが共通認識にあるからこそ、
本作が作られて、評判を呼ぶのでしょうね。
ブレーキをかけるための道徳を教えられないままに社会に出してしまうような
社会のあり方を根底から変える必要があると間接的に言っているのかもしれません。
と偉そうなことを言いながら、
自分の子供にさえきちんとしつけができているか自信がない状況ではあるのですが。