それでも、家族は家族。
スポーツ選手には引退の時が来る。体力の衰えが来れば、厳しい競技になると20代でも世代交代の波にさらされる。
その点、知能・知識で勝負する学者や弁護士といった商売は、うまくいけば70歳だろうが80歳だろうが生涯現役でいられる。
しかし、本作の主人公であるアリスは、若年性アルツハイマー病を発症したことから、キャリア絶頂期でのリタイアを余儀なくされ、家族による介護を受ける生活を送ることとなった。
知的水準が高いほど進行が速いという皮肉な病。あまりに理不尽なできごとに戸惑う一方で、アリスは残された短い時間を、自分の尊厳と家族への愛情を賭けて懸命に生きる。
アカデミー賞をはじめ、本年度の主演女優賞を総ナメにしたJ.ムーアの演技は決して極端なものではないながらも、じわじわと進行する症状に侵される様子を体現。特に、顔の表情に、時間とともに自覚が薄れ虚ろになっていく状況が明確に表れていた。
母親の変化は、家族全員の運命も変える。もちろん辛く厳しい選択を迫られることも多いが、次女との間では、必ずしも良好でなかった関係に、お互いの許しの感情が芽生える。
抗うことのできない運命に対しどう接するべきか。はっきりした正解はないのかもしれないけれど、その難問に全身全霊で向き合う家族全員に敬意を表したい。
(80点)
スポーツ選手には引退の時が来る。体力の衰えが来れば、厳しい競技になると20代でも世代交代の波にさらされる。
その点、知能・知識で勝負する学者や弁護士といった商売は、うまくいけば70歳だろうが80歳だろうが生涯現役でいられる。
しかし、本作の主人公であるアリスは、若年性アルツハイマー病を発症したことから、キャリア絶頂期でのリタイアを余儀なくされ、家族による介護を受ける生活を送ることとなった。
知的水準が高いほど進行が速いという皮肉な病。あまりに理不尽なできごとに戸惑う一方で、アリスは残された短い時間を、自分の尊厳と家族への愛情を賭けて懸命に生きる。
アカデミー賞をはじめ、本年度の主演女優賞を総ナメにしたJ.ムーアの演技は決して極端なものではないながらも、じわじわと進行する症状に侵される様子を体現。特に、顔の表情に、時間とともに自覚が薄れ虚ろになっていく状況が明確に表れていた。
母親の変化は、家族全員の運命も変える。もちろん辛く厳しい選択を迫られることも多いが、次女との間では、必ずしも良好でなかった関係に、お互いの許しの感情が芽生える。
抗うことのできない運命に対しどう接するべきか。はっきりした正解はないのかもしれないけれど、その難問に全身全霊で向き合う家族全員に敬意を表したい。
(80点)
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