Con Gas, Sin Hielo

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「フォーカス」

2015年05月04日 23時09分47秒 | 映画(2015)
観たという記憶が盗まれる。


「今度のウィル・スミスは天才詐欺師」という予告篇の言葉を聞いて、これはキムタクのドラマか?と思った。

口が悪い人に「何をやってもキムタクにしか見えない」と言われる木村拓哉。公正に言えば、彼の存在感に演じる役柄が追い付いていないのが問題なのである。

そこで今回のW.スミスだが、作品自体が軽量級ということでは、確かにこの扱いがきれいに当てはまる。

更に言えば、軽さの質に関しても、テンポが良いとか楽しくなってくるとかの類ではなく、存在感が薄く心に響いてくるものがないと表現する方がしっくり来る。

最も気になったのは、物語の核となる騙しの部分である。

天才詐欺師・ニッキーは、スポーツなどの大きなイベントに照準を合わせ、チームを編成し綿密に練り込んだ作戦を実行していく。あるきっかけで知り合った女性・ジェスを見習いとしてチームに引き込むが、彼女のお手並み拝見となった集団路上スリの連係プレイの場面は、視線が付いていかないほどするすると流れていく。

しかし、中盤のヤマ場である東洋人大富豪とのギャンブル対決、後半のモーターレース界を舞台にした駆け引きは、普段緻密を是とする天才にしては計画が大雑把に過ぎないかと思った。

急所を外して撃つって、既にプランBあるいはCの選択肢なのかもしれないが、成功確率はどのくらいなのだろう。

天才が大博打に打って出るほど事が大きかったと言いたいのは分からないではないが、こじれた原因と思しきニッキーとジェスの関係がすんなり理解できないことも終盤の盛り上がりを阻害している。

東洋人大富豪をやり込めた後にニッキーが去って行くのが唐突過ぎて、ジェス同様に観ている側が呆然となるし、再会したらしたで未練たらたらな様子を見ると、ますますニッキーの感情と行動が理解できなくなる。

そうなると唯一確実な情報である「天才詐欺師」を拠りどころに、結局ニッキーは上手くトリックを使って生き延びるのだろうという点だけが残り、どんでん返しがあっても驚かないという残念な構図になってしまうのである。

北米興行で微妙な成績、本邦ではTOHOシネマズでの公開はなしという事実も推して知るべしか。

(50点)
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