ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

恩送り

2017年08月01日 | ノンジャンル
一般に恩返しというのは、何がしかの恩恵を与えて
くれた相手に、報いるということだ。

では、その相手が亡くなってしまったなら、
どうすればいいのか。

「恩返しができなかった」と涙する場面をたまに
見るが、それで終わってしまえば、それこそ
恩知らずではないか。

自身を産み、育ててくれた親の恩を感じ、
親孝行をする。それはそれで結構だが、内実は
その家庭という枠の中での閉鎖的な恩返しである。

自身も家庭を持ち、子供を産み、育てていく。
それは、恩返しではないかもしれないが、
受けた恩を他に送っていく、恩送りであろう。

自助グループによって断酒し、立ち直った恩が
あるなら、その自助グループに貢献するという
恩返しも大事であろうが、むしろ同じように
苦しむ者に手を差し伸べていく恩送りの方が
もっと大事に思える。

院長先生には大恩がある。
命さえも失いかけていた私を、まともに立ち直ら
せてくださった。

その返そうにも返せない大恩ある先生は、
もうこの世にはいない。

私ができることは、縁あって知るところとなった
同じ病気に苦しむ人に、自分なりに手を差し伸べ、
寄り添っていくことである。

それは、やはり、恩送りに他ならない。