Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

「どの国が一番不幸か」と問うたら・「プロパガンダ」

2023年12月22日 | 友人・知人

米国の友人が、「北朝鮮出身の元作家の記事がガーディアン紙に載っていた」と記事のリンクを送ってきてくれました。

私はこの作家の名前は聞いたことまないし、ネットで調べても、2017年の東洋経済の記事くらいしかめぼしいものがみつかりませんでした。

脱北者の元作家が送る波乱万丈すぎる人生 日本で生まれ海を渡り「党員」になった末に | 「非会社員」の知られざる稼ぎ方 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

何故ガーディアンがこの作家を取り上げたのかも分からなかったし、そもそも米国の友人が彼の記事を、北朝鮮問題に特別追っていない私に送ってきたのかその理由も不明だったので、友人には、東洋経済の記事のリンク(多分翻訳ソフトである程度はわかると思う)を送り、「なぜこの作家の記事にあなたは興味があるのですか?」と尋ねました。

彼はこの質問に、

「僕はいつも北朝鮮とそこで人々がどのように暮らしているかに興味があります。特に脱北者。彼らは十分な教育を受けておらず、資本主義的なものに慣れていない。(中略)

「ソマリアと北朝鮮のどちらに住みたいですか?」と尋ねるとする― 北朝鮮の方が生活水準ははるかに高いが思想の自由がない、ソマリアは生活水準は悪いが、思想の自由がある。」

と答えてくれました。

このやり取りで思い出したのは、私が2007年に書いた記事。

『カフェ・ヨーロッパ』と日本 - Various Topics 2 (goo.ne.jp)

1949年クロアチア(1991年までユーゴスラビアの一部)に生まれたジャーナリスト、作家のスラヴェンカ・ドラクリッチの『カフェ・ヨーロッパ』は、彼女が1992年から1996年かけて書いたものです。

第2次世界大戦中ドイツに侵攻されていたユーゴスラビアが、戦後徹底して反ドイツ教育を施し、その後ドイツへの出稼ぎ者が多くなると(ドイツに出稼ぎに行っている同胞がドイツでつらい目にあっているのをひた隠し)180度教育方針を転換された話、冷戦時も西側は周辺国の憧れで、他の東欧諸国に比べて比較的楽に西側の国に行けたユーゴスラビアが周辺国に対しある種の優越感を持っていたこと。

反面、ユーゴスラビア人が西側に行ったときに受ける差別のことなどを淡々と書いてあります。

共産主義を遅れたものとする前提で考えると、『共産主義をたたき込まれ、他国の情報が制限されているので、それを疑うことなく、自国が一番だと信じ込んでいる国民』と『共産圏でありながら、実はそのイデオロギーを信じず、西側に憧れつづけた嘗てのユーゴスラビアや近隣の東欧の人々』とどちらの方が不幸なのだろう、この本を読んだとき、私はふと考えました。

日本は民主主義の国でどちらでもない、幸せ-しかしそうとも言いきれない気がします。

まず、制限されていないとはいえ、日常に入ってくる情報が偏っていること。新聞やテレビで取り上げていることは、日本国内のことか、せいぜいアメリカや西欧の主要国のことばかり。東アジアはともかく、その他の国で起きていることはどこか違う惑星の出来事のようです。

比較的取り上げられる東アジアのことでも、今月半ばの『北朝鮮が韓国から貨物列車を走らせるということに合意した』というニュースさえ、あまり話題になりません。

そして、この本の話をしたとき、日本watcherでもあるイギリス人の知人がつぶやきました。

「いずれ為政者に対して批判的な態度を保っているのがどんな支配的イデオロギーの国でも大事でしょう。あまり大っぴらに批判すると監獄に入れる旧共産国などか、何でもいえるのに、辛らつな政府批判を言うインテリがほとんどいない日本と、どちらがいいか」

情報が偏っていること、そして批判する人があまりいないこと、そういう意味では民主主義の日本も、実は共産主義の国と変わらないのかな、そう思えたりもします。

 

2007年から2023年-2011年の福島原発事故をきっかけに、イギリスの知人(これは故ロナルド・ドーア氏でした。)が言っていた「政府批判をするインテリはほとんどいない日本」は少しづつ変わり、2020年の春以降、コロナ情報、ワクチンも声をあげるインテリ層も若干ではありますが、増えてきました。

ただ、残念なことに、「情報の偏り」は、「批判する層」が増えるにしたがって、より偏るようになっているのではないかと思うのです。

ただし、日本で「情報の偏り」なく発信されていると思えるのは、現在のイスラエルとパレスチナ戦争。

これに関しては、欧米の偏りは激しいようですし、米国ではパレスチナ擁護派は「反ユダヤ」とひとくくりにされて、職を辞したりしています。

 

米国のこの友人も、イスラエルは批判することもないし、ついでに言えば「反米的国の国民」に対する優越感はゆるぎないものだと思います。(なお、彼は自国、自国の政府批判はする人です。)

「優越感を抱く国」ほど、案外「プロパガンダ」にも無頓着なのかもしれません。

 

たまたま数日前に見つけたwikipedia。


エドワード・バーネイズ - Wikipedia

エドワード・ルイス・バーネイズ(Edward Louis Bernays、1891年11月22日-1995年3月9日)は、オーストリア系アメリカ人。「広報の父」として知られる広報活動とプロパガンダの専門家。「広報の父」とされる広報・宣伝分野のパイオニア。オーストリア系アメリカ人で、ジークムント・フロイトの甥であり、叔父であるフロイトの精神分析学とギュスターヴ・ル・ボンとウィルフレッド・トロッター(英語版)の群集心理学に注目し、大衆扇動と広報活動の基礎を築いた。

(中略)

プレスリリース手法の改良 バーネイズは、1906年のアトランティックシティ鉄道の列車事故の広報担当者としてその名を知られたアイビー・リーが発明したプレスリリースという手法を、より改良し、アメリカ社会に普及させていった。[6]

女性の喫煙キャンペーン

バーネイズの最も有名なキャンペーンの一つとして、1920年代の女性の喫煙キャンペーンが挙げられる。バーネイズのキャンペーンは、当時最大の社会的タブーの一つとされた女性の公共の場における喫煙を、喫煙業界が「克服」する手助けとなった。 当時女性は指定された場所での喫煙のみ許可されており、違反者は逮捕されていた。これに対し、バーネイズは1929年にニューヨークで行われたイースター行進においてラッキーストライクのタバコを「自由の松明」と題して女性モデルたちに持たせ、タバコを持つ女性と自由の女神のイメージを重ねて想起させる戦略を行った。実際にはニュースにあたるものではないが、バーネイズはこの行事を宣伝ではなくニュースとして取扱うことで、怪しまれずに大衆にメッセージを投下することに成功した。

また、医療団体などから「お菓子は太るが、タバコは痩せる」と広報させ、女性が自らタバコを受容していくための宣伝活動も行った。バーネイズによる巧みな宣伝によって女性は以前よりもタバコを購入するようになり、女性の喫煙も社会的に許容されるようになっていった。 第三者機関の利用 バーネイズは、大衆意見を操作する手法として、クライアントの目的を支持する「第三者機関」の利用を好んだ。バーネイズは「意識的な協力があろうとなかろうと、もし君が指導者に影響を与えることが出来るなら、彼らが支配する層の人々に対してさえ、必然的に影響を与えることが出来るだろう。」と述べている。

(中略)

フロイト理論の応用 バーネイズはまた、間接的にタバコ、石けんや書籍などの多様な商品の販売促進に叔父ジークムントの精神分析の手法を利用した。また、叔父の理論に加えて、バーネイズはイワン・パブロフも利用することとなった。広報業界史研究の第一任者の一人であるスコット・カットリップは、バーネイズを「広報業界においておそらく最も過激で魅力的な人物であり、聡明だが過剰なまでにはっきりとした、そして何よりも1919年6月に彼が起業した当時揺籃期にあった広告産業における革新的な思想家であり哲学者である。」と述べている。

反共プロパガンダ

バーネイズは、大衆に拡がる共産主義理念に対処する方法として「フロイトの理論」を使用したが、その手法は、共産主義に対する国民の恐怖感情を緩和するのではなく、むしろその恐怖を促進し、それに対する大衆感情を弄んだ。この理論は冷戦中に非常に強力な武器となった。

(後略)

参考:

プロパガンダの7つの手法・声優上坂すみれさんの提案 - Various Topics 2 (goo.ne.jp)

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