Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

ジャーマンウィングス航空機事故-ブルームバーグからレオニド・バーシドスキー氏の意見

2015年03月31日 | 海外ニュース・できごと

ジャーマンウィングスが墜落したのち、ドイツとスペインの友人達に、犠牲者を慎むメールをしましたが、そのなかの一人は心理学者で、セラピストです。そして、彼の家から15キロのところに、バロセロナに研修旅行から帰国の途について事故に巻き込まれた16名の生徒と2名の教師のギムナジウムがあります。 

彼から私に届いたメールには、このジャーマンウィングスの事件について、“the murder/suicide” と書いてきていました。(“murder”は残酷な殺人、“suicide”は自殺です。) 

私は、ずっとこの事故について、「ジャーマンウィングス航空機事故」というタイトルを使っていますが、海外のメディアでは最初は“Germanwings plane crash(墜落)”というような、事故のも事件にも使えるタイトルを使っていたものがほとんどでしたが、今は、当局の発表にそって、Germanwings Murder/Suicide”、もしくは似たようなタイトルを使うものも出てきています。 

ところで、ボイスレコーダーについて、私たちはまだフランス当局の発表を聞かされているだけで、実際の音声は聞いていません。(偽物のボイスーダーを発表されたら、意味がないですが。) 

また、ボイスレコーダーから判明したと言われる、副操縦士の情報は、最初から最後まで「コックピット内で普通の息づかいをしていて、一言も言葉を漏らさなかった」ということ。

なのに、当局の発表は、「副操縦士はコックピットの扉を開けるのを拒否した」「降下ボタンを押した」「機長が暗証番号で扉をあけられないようにスイッチ設定(最初は、「扉」があかないようにバリケードを張っていた)」、そして、「思い出の場所で149名を道連れに自殺」ということにされました。 

(コックピット外の音については、最初当局が発表したのは、「扉をたたく音」「乗客の叫び声は墜落の瞬間」ということ。しかし、のちに、この発表が少しずつ変わり、それにそって、説明も変わっていきました。この変化については、先に書いた記事やリンク参照。) 

さて、このフランス当局やドイツ当局、ビルトなどのタブロイド紙の早急な結論付けに異を唱える記事もあるにはあるのですが、なかなか表にでてきません。 

しかし、昨日のブルームバーグ電子版には、大きくこのようなコラムが出ました。 

ブルームバーグ(2015年3月30日※原文は27日)
本当に副操縦士が150人殺したのか-バーシドスキー
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLVQM76VDKHS01.html 

ジャーマンウィングスの副操縦士、アンドレアス・ルビッツ氏が意図的に9525便をフランスの山間部に墜落させたとして、世界中のニュースメディアが一斉に同氏を集中攻撃している。 

「アンドレアス・ルビッツ27歳、正気を失ったパイロット」とドイツの大衆紙ビルトは一面に大見出しを掲げた。「操縦室の殺人犯」と表現したのはロンドンのデーリー・メール紙。英紙インディペンデントは「操縦室の大量殺人者」ともう一段階過激だ。このほかにもメディアには「狂人」や「失恋パイロット」、「そもそもなぜ免許を与えたのか」などの言葉が飛び交っている。 

これらはすべて、仏マルセイユのロバン検察官の発表に基づいている。副操縦士が「航空機の破壊を望んだ」と検察が結論付けた根拠は、コックピット・ボイス・レコーダー(CVR)に残された音声データだ。しかしながら、ここから導き出すストーリーは解釈次第で変わる。明らかに分かっているのは機長が操縦室を離れ、副操縦士がひとり残されたということだ。 

(※中略 リンクから全文読めます。) 

フライト・データ・レコーダーの回収を急げ  

現実にはフライト・データ・レコーダー(FDR)のテクニカルなデータを解析するまでは、信頼性の高いセオリーを打ち出すことはできない。FDRを回収し解析すれば、どのように高度が変化したかが分かるだろう。航空機墜落調査に関する報道で知られ、自らもパイロットであるバニティフェア誌の特派員、ウィリアム・ランゲビーシェ氏は現段階の調査では分からないことが多過ぎるのに、仏検察の結論はやや早計過ぎると批判する。 

ドイツの操縦士労組も同様に、機長が操縦室に戻れなかった理由でさえ現時点では明確ではないとして、FDRを早急に回収し分析することが極めて重要だと主張する。労組の立場としては認めたくないという気持ちも当然あるだろう。1999年に起きたエジプト航空990便がそうだったように、ルビッツ氏が本当に故意に墜落させた可能性もあるだろう。しかしそれがもっと高い確実性を伴って立証されるまでは、乱暴な非難の言葉は正当化されない。 

遺族に心労  

こうした状況は普通の若者としてルビッツ氏を知っていた家族だけでなく、墜落犠牲者の遺族にも心労をもたらす。怒りと悲しみはうまく調和しないものだ。またルビッツ氏がうつ病を患っていたと報じるタブロイド紙もあるが、こうした報道はうつ病の患者に汚名を着せる。 

メルケル首相は調査が完了するまで行動を自粛するよう呼びかけたその翌日に、自ら「すべての犠牲者と遺族への犯罪だ」と発言するべきではなかった。航空機墜落の調査は結論を急ぐようなものではない。これだけ分からないことが多いなか、私が知りたいのは亡くなったアンドレアス・ルビッツ氏のプライベートではない。なぜ9525便がアルプスの上空で高度を失ったかを知ることの方が、はるかに重要だ。

コラムの中で、「報道はうつ病の患者に汚名を着せる。」と書いてありますが、私もそれを心配します。

また、このコラムには書いてありませんが、この副操縦士を「同性愛者(バイセクシャル?)」として偏見的に書いていた海外のメディアもあったようです。

今回の事故の報道を見ると、世界的なジャーナリズムの衰退を感じます。(タブロイドと一般紙の境もなくなってきてますし・・・。)

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ジャーマンウィングス航空機事故ードイツパイロット協会の反論・副操縦士の家族を思う

2015年03月30日 | 海外ニュース・できごと

先の記事に、 

「ドイツのパイロット協会が、検証も十分ではない段階で副操縦士を犯人にしたてているフランスとドイツの当局を批判しています。おそらく、事故翌日に勤務に就くのを拒否したパイロットたちの何割かは、この強引な結論に怒りを感じての拒否だったのでしょう。
また、今回のような憶測や後付での事故調査は、また同じ事故を起こす可能性を残します。」 

と追記しましたが、TIMEが、ドイツのパイロット協会のMr James Phillips に電話取材をした記事はこちらです。 

TIME(2015.3.26)
German Pilots Cast Doubt on Blaming of Co-Pilot on Crash
http://time.com/3760283/germanwings-german-pilots-association/ 

この取材記事を読んでもらった欧州の男性のペンフレンド一人は、 

「ドイツのパイロット協会は自分達に甘く(例えば、年中ストライキを起こしている)、自分達に責任を押し付けられるのには耐えられないのだろう。大体、もう(副操縦士が149人を道連れに自殺したという)証拠はあがっている」 

欧州の女性の友人一人は、

「私たちは、「誰もこの事故の真実を100%知ることができない」のを知っているはずなのに、当局の発表を鵜呑みにできる方が、私には驚きだわ。
いずれにしても、私たちは、当局の“妥当でロジカルな発表”を受け入れるしかないのだけど・・・疑問はたくさんあるんだけどね。」 

-ボイスレコーダー、破かれた診断書、元ガールフレンドの証言等ははまだ「材料」の段階であって、「決定的証拠」にはなっていないと、私は思うのです。

また、当局が、副操縦士の身辺を探るだけでなく、エアバス他さまざまなトラブルの検証を同時並行的にしているならばまだ信じることもできました。が、仮にそれが実際に行われて、当局に信頼を寄せても、やはり、私の女性の友人と同じように「100%の真実は誰にもわからない」と思います。

1970年公開の映画『大空港』は、乗客の一人がダイナマイト自殺を図ったためにおきた飛行機事故の話です。(飛行機は機体に穴が開き、犠牲者もでましたが、空港に無事帰還)

Wikipedia
大空港
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E6%B8%AF_(%E6%98%A0%E7%94%BB) 

この映画の終わりの方で、自殺で死亡した犯人の妻が、空港の到着ロビーを謝って歩いている場面がありました。 

副操縦士の父親が、29日に他の事故の犠牲者の家族とともに事故現場を訪れたという、副操縦士の父親と、重なります。 

墜落当初には息子の死を知ってショックをうけ、その後、「息子が149名の命を奪った」とされ、人生は一変。 

副操縦士が故意に飛行機を墜落させた、させないにかかわらず、彼の家族に罪はないのですが、他の遺族の悲しみや憎しみ一切を、背負うことになってしまいました。

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ジャーマンウィングス航空機事故-「CERN犯人説」さえ信じたくなる当局とメディアのいい加減さ

2015年03月29日 | 海外ニュース・できごと

ジャーマンウィングス航空機事故に関し、「副操縦士が149名を道連れに飛行機を落下させた」という伏線を張ったのは、ニューヨークタイムズです。 

フランスとドイツが自分の国の会社の損害を少なくしようとするのに情報操作をしてもそれは不思議でもないのですが、この二か国とは立場が違うアメリカの大手メディア(NYT,WSJ等)がいろいろでしゃばったせいか、「アメリカがレーザーで飛行機を誤爆」というものや、「ジュネーブ近郊にあるCERN(欧州原子核研究機構)が23日から始めたLHC(巨大粒子加速器)再始動テストで発生した磁場の影響ではないか?」という説などが出てきているようです。 

(Wikipedia
欧州原子核研究機構
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E5%8E%9F%E5%AD%90%E6%A0%B8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%A9%9F%E6%A7%8B) 

CERNの実験に関しては、ロイターが「実験はショートして失敗したから、2,3日から数週間遅れる。」という、たかだか「数週間の遅れ」を知らせる発表にしては大きな記事で掲載していますが、これは「CERNは航空機事故とは無関係」をアピールするためのものだったのか。 

Reuters (Wed Mar 25, 2015 1:05am IST)  
Electric fault delays relaunch of CERN collider after two-year refit
http://in.reuters.com/article/2015/03/24/science-cern-idINKBN0MK2EY20150324 

米国がレーザーで撃墜だ、CERNの実験の影響という説を言う人がいても、普段であれば一笑に付せたものも、今回の、墜落責任を無理やり副操縦士に押し付けているようとするような動きや報道を見ていると、「「責任逃れ」以外に、何か知られては困ることがあるのではないだろうか?」と勘繰ってしまいます。 

本日はまたこのような記事がでました。 

AFP=時事(2015年3月29日)
「ドアを開けろ」 墜落ドイツ機の機長が絶叫
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150329-00000031-jij_afp-int 

ドイツ紙ビルト日曜版(Bild am Sonntag)は29日、副操縦士が故意に仏アルプス(French Alps)に墜落させたとみられているドイツの格安航空会社ジャーマンウイングス(Germanwings)9525便の機長が、副操縦士に向けて操縦室のドアを開けるよう必死に叫んでいたことが分かったと伝えた。

 操縦室のボイスレコーダーの記録によると、機長は墜落する少し前、乗客たちの悲鳴が聞こえる中、「頼むからドアを開けてくれ」と叫んだ。さらに機長がおのを使ってドアを壊そうとし、返事をしない副操縦士に向けて「ドアを開けろ」と絶叫する声が録音されていたという。

 同紙によると、操縦室を出る前に機長が副操縦士に、バルセロナ(Barcelona)の空港を離陸する前にトイレに行く時間がなかったと話す声も録音されていた。 

ビルト紙はまた「斧を使って」と書いているようですが、「斧の様なツールは飛行機に積んではいるが、それはコックピット内に置いてあるので、機長が手にするのは不可能」という話はどうなったのでしょうか? 

先にマルセイユ検察官の発表とは違った、より詳しい話が(読者の疑問にこたえるかのように)ビルト紙には加わっていますが、なぜでしょう? 

そもそも、普段はニュース記事を配信する側の大手通信社が、タブロイドのビルト紙の記事を紹介する形をとるのはおかしくないですか? 

事故の犠牲者、そのご家族やご友人はたまりません。

追記:
ドイツのパイロット協会が、検証も十分ではない段階で副操縦士を犯人にしたてているフランスとドイツの当局を批判しています。おそらく、事故翌日に勤務に就くのを拒否したパイロットたちの何割かは、この強引な結論に怒りを感じての拒否だったのでしょう。
また、今回のような憶測や後付での事故調査は、また同じ事故を起こす可能性を残します。

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ジャーマンウィングス航空機事故-「真相」より「責任回避」?

2015年03月28日 | 海外ニュース・できごと

ジャーマンウィングスの航空事故についてデイリーメールの記事から:

Daily Mail (2015.3.27)
Desperate plane captain tried to break down cockpit door with a crowbar-but passengers were oblivious to what was happening until ‘screams’ at last moment
http://www.dailymail.co.uk/news/article-3013109/Passengers-didn-t-realise-Germanwings-pilot-deliberately-flying-mountain-locking-captain-cockpit.html 

デイリーメールが、フランスのボイスレコーダー解析とマルセイユの検察官、Brice Robin氏の発表を記事にしています。

しかしまあボイスレコーダーの解析からだけで「機長がバールを使った。(※ドイツのビルト紙は「斧を使用」と報じましたが、「こうしたツールは操縦室にあるので、機長はそれを手に入れられない」と明かしました。)」、「副操縦士が扉をロックしていたから暗証番号を入れてもドアが開かなかった。(※同検察官は最初は「副操縦士がバリケードをしていた」と言っていたようです。)」、「乗客はなにもわからなかった」とか、どうしてわかるのか不思議です。

このほかにも納得ができない話が多いですが、ともかく、「死人に口なしとばかりに、副操縦士に責任をかぶせているようだ」と感じている人は、少なくないのではないかと思います。

注)デイリーメール紙もビルト紙もタブロイド紙です。

Wired(2015年3月27日)
ドイツ機墜落事故は「意図的な行為」なのか
ドイツ航空機がアルプス山中に墜落した事故。フランス捜査当局が事故の2日後に副操縦士の意図的な行為だとの見解を発表したことについては疑問も提示されている。
http://wired.jp/2015/03/27/germanwings-investigation-far-hardly-conclusive/
 

ドイツの格安航空会社ジャーマンウイングス9525便がフランスのアルプス山中に墜落した3月24日(現地時間)の事故に関して、フランスのブライス・ロビン検察官が26日に発表した内容は衝撃的なものだった。[訳註:『ニューヨーク・タイムズ』誌が明らかにしたもので、離陸後、パイロットのひとりがコクピットから出たきり閉めだされ、中に戻れなくなっていた。] 

だが、これは何を根拠にした話なのだろうか。もちろん、ロビン検察官はわれわれに明かしていない情報をもっているのだろうが、彼はどうやって「副操縦士が意図的に飛行機を墜落させようとした」という結論に辿り着けたのだろうか。 

まず、われわれにわかっているのは、機長(ネット上の各種報道によれば、名前はパトリック・ソンダーハイマー)がコクピットを出た後、再び入ることができなかったということだ。 

副操縦士のアンドレアス・ルビッツは、ドアがノックされていることに気付かなかったという。これが意図的なのかどうかは、われわれにはわからない。わかっているのは、ルビッツ副操縦士が正常な呼吸をしていたということだ。彼が呼吸をしていたのに、ドアがノックされているのを無視するという不適切な行動を取ったのは、意図的なのかもしれないし、適切な行動が取れない状態にあったのかもれない。 

飛行機が降下したことはわかっている。だが、その降下が飛行機のプログラミングによって行われたのか、副操縦士の手動操作によって行われたのかはわからない。パイロットが混乱状態になったり意識を失ったりすると、山が近づいているという危険な状況を確認、認識し、行動を取ることはできない。どちらの可能性もあるが、現時点で示されてる証拠だけでは結論は出せない。 

米国などほかの国とは異なり、フランスでは、司法当局がコクピットのヴォイスレコーダーとフライトレコーダーを管理してから、フランス航空事故調査局(BEA)に提供する。

ほかの国では、航空機の安全に関するベテランの調査官らが、事故につながる複数の要因を把握し、すべての証拠が整ってから結論を導き出すのが普通だ。 

結果としてフランスでは、飛行機事故が犯罪という観点で捉えられやすい。1988年に起こったエールフランス296便事故では、フライトレコーダーのデータに関するBEAの調査結果が疑われた(リンク先によると、イギリスの主席事故調査官が、フランス当局の事故調査結論には矛盾があるとして異を唱えた。事故原因はパイロットエラーとされたが、事故機の機長はのちに、エアバス機の欠陥、つまり、フライトコントロールシステムがパイロットよりもコンピューター優先であるために起こったと主張。同種の事故はその後も起こっている)。 

マルセイユのフランス捜査当局が、論理を大きく飛躍させ、副操縦士が「意図的に」飛行機を墜落させて150人の搭乗者全員の命を奪ったと結論付ける理由は、筆者にはこれしか見当たらない。 

筆者が見たり聞いたりした範囲では、副操縦士が故意に事故を引き起こしたのかどうかについての答えは得られていない。ジャーマンウイングス9295便で実際に何が起こったのかを知る上で、このことは実に大きな違いを生む。 

(後略) 

なお、ドイツの副操縦士の自宅と実家の捜査はフランス当局の求めに従って、フランスとドイツ検察が合同でしたそうですが(少なくとも、初期の記事で「合同調査」になっていました。)、事故現場、事故機がフランス製(ただし、エアバス社はフランスと旧西ドイツの共同出資でできた会社)、フランス人犠牲者もいたとはいえ、事故機の持ち主の国ドイツより、フランスが主導権をにぎっているのはなぜでしょうか? 

(Wiredの記事にもあるとおり、NYTの情報が早かったのも不思議です。
また、コクピットの外の機長がアルプスに向けての降下に気が付いていたのなら、乗客も気が付いていただろうし、機長がコクピットを壊そうとしていたことからも、異変は乗客にも伝わりそうですが、客室乗務員や乗客で航空機から会社、家族や友人にメールをした人がいないのでしょうか?)

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ジャーマンウイングス航空機事故-フランスの発表に対する違和感

2015年03月27日 | 海外ニュース・できごと

バロセロナ発デュッセルドルフ行きジャーマンウィングス9525便の墜落事故情報があった直後、九州の友人のまきさんから、
「ジャーマンウィングスがフランス南部で墜落したようですが、お友達は大丈夫でしょうか?」
と、私の海外の友人達(および私)を気に掛けるメールをもらいましました。 

この時私はまだインターネットのニュースの表題は読んでいたものの、記事を読んでいなかったのでドイツ発南仏行きの飛行機事故だろうと思い、
「私のドイツ人の友人たちに「フランスに行く」と言っていた人達はいないので、大丈夫だと思います。ありがとうございます。それにしても、最近は飛行機事故が本当に続きますね。」
と彼女の心遣いに感謝と、続く飛行機事故に関しての感想だけを書いて返事をしました。 

しかし、のちにニュースなどでこの9525便がバロセロナ発のデュッセルドルフ行きであり、この便に搭乗していた16名の学生と引率の教師のギムナジウムが、ドイツ人の友人の家から15キロしか離れていないことがわかりました。 

そして別の一人もデュッセルドルフ近郊に住んでいて、夫婦、もしくは子供たちが仕事やバカンスでよく欧州内を飛び回っていることを思い出し、同時に元ルフトハンザのメカニックである友人もこの事故に衝撃を受けているだろうと思い、(本人の無事確認の意味も含めて)彼らに短く事故に対する慰めのメールを送りました。 

さらに今日はWSJの記事で、この事故で墜落の犯人とされてしまっている副操縦士の出身地が「モンタバウア」という町であるのを知りました。ここは、元ルフトハンザメカニックの友人の住んでいる近郊の町です。 

ウォール・ストリート・ジャーナル(2015年3月27日)
独墜落機の副操縦士、物静かな男だった-149人を死の道連れか
http://jp.wsj.com/articles/SB12540086375885754248404580543012415052230?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesFirst
 

この副操縦士が住んでいたというこの町は、フランクフルトとケルン方面を走るICE専用、いわゆる新幹線だけが停車するだけの駅がある町で、以前友人が、「もしまたドイツにきたときには、モンタバウアを案内させて」言ってくれていたので、覚えていたのです。 

ここは、いわゆる有名観光名所ではないですが、古城やドイツらしい民家が立ち並ぶ町で、ICEを使えば、フランクフルトもケルンもすぐ行き来できます。 

また、この町にはフランクフルト空港もデュッセルドルフ空港も時間的には短い時間で移動できるので、航空関係者も多く住んでいるのではないか、と思えます。 

そんな環境で育って、飛行機が大好きだったというこの副操縦士、そして彼を知る人々の話からすると、とても149名を道連れに自殺を図るような人とは、私でも思えません。
「内向的」「鬱病」であっても、勤務の途中まで普通に会話をしていた人間が、ここまでのことを本当にしでかすのでしょうか。 

更に、 

①    事故が起きて比較的早い段階に、フランスのオランド大統領が、「生存者はほぼいない模様」と発表した。その後のフランスの、「テロやハイジャックの可能性はほとんどない」という説明もちょっと早すぎ。

②    最初は「ブラックボックスは壊れていた」と言いながら、結果的にブラックボックスの解析が早かったこと
(エアバス社はフランスの会社でも、ドイツは大株主ですし、ジャーマンウィングスはドイツのルフトハンザの子会社。解析は利害のない第三者国でしてほしい。) 

③    ブラックボックス解析の発表を待っていたかのように、この発表後、マルセイユ管制塔が当時の様子を発表したこと 

④    そもそも離陸後数十分で、機長がコックピットから出る必要があったのか 

⑤    なるべく陸地は通らないにしても、バロセロナからデュッセルドルフに飛ぶにしては、地中海を迂回しすぎではないか 

大勢の方が無くなっている事故を、素人がどうのこうのは言うのはよくないことですが、それでも、違和感を覚えてしまいます。 

被害者の方々のご冥福をお祈りします。 

追記: フランス政府に年々不信感を募らせている私が書いたこのポスト、割り引いて読んでください。
しかし、「フランスの重工業界は日本同様に政府が最も大切にするものです。」ということは、言えると思います。 
(機体があまりに粉々なので、「テロかハイジャックされた飛行機をフランスが撃墜では?」という人もいるようですが、私はこれは流石に考えすぎだと思います。)

蛇足ですが、重工業会といえば、アジアインフラ投資銀行(AIIB)ができて欧州で一番喜んでいるのは、フランスではないか、と私は思います。数年前、「世銀が原発に融資してくれない」と南アでのスピーチで文句を言っていたのはサルコジでしたが、オランドもまた同じ気持ちでしょう。「AIIBならば原発融資もしてくれるだろう」してくれるとフランスは見込んでいるのではないかと思います。 

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ドイツの安全保障、武器輸出三原則と産業界(※2012年4月1日記事のアップしなおし)

2015年03月26日 | 武器輸出・TPP・モンサント・農薬

※2012年4月1日のポストです。昨年10月末のブログ引っ越しでは問題がなかったようなのですが、昨日この記事を検索された人がいたことから、この記事が変形して本文が読めなくなっているのに気が付きました。編集画面を見てみると、本文の前に空白が約5000文字分挿入されてしまっていたので、空白を削除し、本日アップしなおしました。

 

今回の旅行で、フィレンツェからフランクフルトに帰ってくるときに、ドイツ上空から、原子炉と思える建造物が見え、そこから蒸気があがっているのを見ました(それが本当に原発であったかは不明)。
 

もちろん、現在も稼働中の原発はドイツにもあるので、蒸気が上がった原子炉が見えても不思議ではないのですが、イタリアへ行く数日前に立ち寄ったフランクフルトのデパートで、『反核のマーク』のペンダントやイヤリングが並んで売られているのを見たこともあり、もう稼動されていないような気になっていました。
 

さて、ところで原子力発電といえば、それを持つことは、潜在的核武装になるかと思いますが、ドイツは国内の原発をなくし、海外の原発事業からも撤退していく気配です。
 

ドイツでは、兵役は昨年止め、防衛費も削減。米国軍はドイツにも駐留していますが、日本ほどでもない。ドイツは国の安全保障についてどう議論されているのだろうか・・・NATOの加盟国であるとはいえ(核兵器を持っているフランスはNATOから脱退していたりしました)、と疑問が沸いてきました。
 

現在、日本は沖縄海兵隊のグアム移転費も負担を増額され、F35では振り回されたり、アメリカの言いなり。原子力発電所も、「潜在的核武装として必要」というようなことを大っぴらにいう政治家もいます。
 

ドイツと日本は状況が違うとはいえ、日本政府の「○○しなきゃ、絶対に駄目」「米国に見放されたら終わり」という決めつけ態度には辟易している私は、ドイツと日本なり、ドイツ以外でも他国の安全保障について、考えてみる必要があるのではないか、と思います。
 

さて、上記の疑問を持って、ネットで調べ物をしているときにたまたま見つけた資料ですが、ご参考まで。
 

一般の人々の多くは関心を持ちませんが(または諦めて無関心を装う)、その無関心さが『武器輸出三原則』のなしくずし、国が軍需産業の都合のよい方へと導かれることを容易くしてしまうんですよね。
 

ドイツおよびスウェーデンの防衛産業政策に関する調査ミッション報告

2012 222 日、()日本経済団体連合会防衛生産委員会)

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2012/012.pdf
 

Ⅰ.はじめに
 

1.趣旨
 

経団連は「新たな防衛計画の大綱に向けた提言」(2010 7 20 日)で防衛生産・技術基盤戦略の策定や武器輸出三原則等の見直しを訴えた。
 

具体的な防衛産業政策の策定にあたっては、諸外国の事例を参考にすることが有効である。そこで、経団連防衛生産委員会として、2010 3 月の欧州ミッション(イギリス、ベルギー、フランス)、2011 1 月~2 月の米国ミッションに続き、11 月にドイツとスウェーデンに防衛産業政策に関する調査ミッションを派遣した。
 

その後、12 月に日本政府は「防衛装備品等の海外移転に関する基準」を発表した。本報告が、今後の防衛生産・技術基盤戦略の策定の参考となることを期待する。
 

(中略)
 

4.メンバー
 

団長:堀謙一防衛生産委員会基本問題ワーキンググループ主査
(三菱重工業航空宇宙事業本部営業推進室長)
 

団員:IHI、伊藤忠商事、川崎重工業、住友商事、ダイキン工業、東芝、日本航空電子工業、日本製鋼所、日本電気、日立製作所、富士通、三井物産、三菱電機の部課長クラス(14 )
 

事務局:防衛生産委員会事務局(2 )
 

オブザーバー:在ドイツ大使館防衛駐在官、在スウェーデン大使館防衛駐在官
 

5.団長総括
 

今回の「ドイツおよびスウェーデンの防衛産業政策に関する調査ミッション」で明らかになった両国政府の武器輸出管理体制や防衛関連企業の海外展開は、わが国が策定中の防衛産業政策に対しても大変示唆に富むものであった。
 

まず感じたことは欧州の安全保障環境や脅威はわが国や東アジアの緊迫した状況とはかなり異なっており、本格的な武力侵攻の可能性に備えるというより、正面装備はできるかぎり削減しつつ財政負担を減少させるとともに、国際的な連携の中での安全保障活動を重視して平和維持活動や海外派遣を国防軍の重要な役割として位置づけていることである。
 

両国の防衛予算はわが国よりも少ないが、その中で効率的な装備品取得を図っており、競争がベースとなっている。両国とも防衛産業基盤の重要性を認識しており、基盤を維持する方策として武器輸出を推進しているのが特徴である。
 

これは厳しい市場の中での企業自身の生き残り戦略としてのグローバル化とも合致した動きであり、官民が一致して防衛産業基盤の維持・強化を図っている点が印象的であった。
 

(後略、続きはリンクからどうぞ。)  

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『イワンのばか』の悪魔とセミョーンとタラスの高笑い

2015年03月24日 | 芸術・本・映画・TV・音楽

子供の頃、トルストイの『イワンのばか』を読んで、「イワンは頭はよくないけど、ばかじゃない」と思っていました。 

大人になってからも、「トルストイはなぜ、イワンのことを「ばか」と書いたのだろうか?(現題は、『イワンのばかとその二人の兄、軍人のセミョーンとたいこ腹のタラスと、口のきけない妹マラーニャと大悪魔と三匹の小悪魔の話』)と不思議に思っていました。 

悪魔たちや二人の兄、セミョーンとタラスから見ると、「贅沢になるためのお金にも、領土を拡大することにも、まったく興味がなく、ただ身体を動かして働いて、洗練されなくて、ダンスを皆でするだけで満足しているイワン」は「馬鹿」と下げずむべき存在だったでしょう。 

しかし、トルストイがこの童話を書いた時代のロシア、軍人セミョーンを称える風潮はあったとしても、イワンは「子供達の一種のお手本」だったと思うのです。

(イワンのお嫁さんになった王女様が、自ら綺麗なドレスを脱ぎ棄てて、あっさりイワンたちと同じように畑仕事をするようになるというのが、子供にとっては痛快。) 

以前、バブル時代の寵児だった堀江貴文氏逮捕のとき、イギリス人の社会学者D氏に、 

「トルストイの『イワンのばか』は、「頭を使って働くことを教えてやる」と言って高いやぐらで農民達にその方法を話ししていた悪魔がやぐらから落ちて、イワンにその正体を見破られるところで終わります。悪魔の親分は農民に理解されなかったから落ちてしまったので、その点は多くの国民に受け入れられた堀江氏は違いますが、それでも今回のこの事件は悪魔の親分の落下と重なります。 

「身体で働くこと(地道に愛情やプライドを持って働くこと)」よりも「(時に人を踏みつけ)楽して儲ける人の才覚」をもてはやす風潮が、今回のライブドアで少しは変わると良いと思います。そして今回のことが、成果主義を追求しすぎた結果であるということも頭に入れて。」 

というようなメールを送りました。 

しかし、結局はライブドア事件の頃から何も変わらず、そして日本だけでなく、世界中で「イワンはばか(悪魔やセミョーン、タラスは賢い)」という風潮が強くなってきているように思えます。 

この「風潮」とは、戦争や金儲けの話だけではなく、「体を使う」こと自体がばかげているとする風潮。バーチャル、OA化、機械化、ロボット化がますます進む。 

人間の代わりに機械が対応、家のなかでは機械の音や声に支配され、掃除までもが自動的に機械がセンサーで掃除、久しぶりに会った友人は皆スマホ画面をチラチラ見て、パソコンや機械が行ったものが「芸術」とされ、ドローンが人を殺し・・。 

人の労力は使わなくなったけど、電気はたくさん使うし、複雑な機械は壊れやすく、寿命も短いのでゴミがたくさん。
(ドローンに至っては、誤って関係ない人を殺しても、「直接の殺人者はドローン」とでも言い訳するのか、なぜか罪にとわれないようですね。) 

環境に悪いこと甚だしい。 人間も、これで本当に幸せといえるのでしょうか。

こうした、新しい機械やシステムになじめない人(機械音痴、特に高齢者)や、高価な機械を買えない人は切り捨てられ、これに抗う人は「変人」か「ばか」扱い。 

『イワンのばか』は、トルストイの未来を見越した「大人向け風刺」だったのでしょうか。
今はこれも、『イワンは本物のばか』という新バージョンに書き換えられそうな勢いです。 
(「軍隊だ、カジノだ」と叫んでいる現代版悪魔・セミョーン・タラス複合体ともいえる某国の首相はオリジナルはお嫌いでしょうし。)

『イワンのばか』のストーリーは、ウィキぺデイアに丁寧に書かれています。 

ウィキペディア
イワンのばか
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%81%B0%E3%81%8B 

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上野東京ラインのデメリット、パリの非効率な国鉄駅のメリット

2015年03月23日 | 生活・日常

この3月14日からの上野東京ラインが開通は、東海道線利用者にとって、東京から上野方面に行く人以外にはデメリットしかない、と言い切れるくらい迷惑な話です。 

1.東京駅始発がほとんどなくなったので、電車を1,2本見送って座る、ということができない
2.路線が長くなるので、遅延の影響が増える
3.ラッシュアワー時なのに15両編成から10両編成(グリーン車2両はそのまま)に変更させられ、場合によっては乗れないことも。
4.今まで東京方面は「東京行き」を乗ればよかったけど、行先がいろいろ増えたので、混乱が起きそう。 

それでなくとも東海道線の混雑率は高かったのに、これは、他の路線をつかえない東海道線沿線の住人にとっては、場合によっては「引っ越し」を考えなければならなくなるような、深刻な話だったりします。(藤沢より先は、地価も下がるのではないかと思ってしまいます。) 

ところが、この上野東京ライン開業について、メディアはほとんどが「便利になった」「効率がよくなった」と旗振りするだけです。 

デメリットを一番強くこうむるのは、東海道線利用者-そのなかでも、高齢者、体の不自由な方、妊婦、病人にとっては悪夢なのですが、彼らの存在はまるでないようです。 

「効率化」であっても、「多数の犠牲のもとに出来上がる効率化」を、「改善」と呼ぶべきなのでしょうか、ね・・・。

ところで、欧米の大都市では終着駅形式が多く、たとえばパリなどのように、行く方面によって駅が別れているものがあります。 

フランスツーリズム
パリ Paris の SNCF(国鉄)駅
http://france-tourisme.net/p-railstation.htm 

シャルトルからディジョンに向かう場合を例に挙げると、
「シャルトルからパリ・モンパルナス駅のSNCFに乗って、そこから地下鉄でパリ・リヨン駅に向かう。パリ・リヨン駅からSNCFに乗ってディジョンに向かう。」
というようなことになると思うのですが、面倒なことこの上ないです。 

なので、こうした四方に散らばっている駅ならば、電車の直通化のメリットは大きいでしょう。

しかしながら、この終着駅・分散方式、その不便さと引き換えに、「始発が多い、駅の混雑は分散される、駅周辺が栄える(スリ・置き引きも多いですが・・・)、駅が複雑ではないので電車を間違えづらい」等々のメリットもあるのです。 

私は東京駅に行くと、4,5回に一回は駅で迷っている外国人を見かけますが(時間があるときは声をかける)、こうした終着駅に慣れている人達にとっては、巨大な駅は迷宮でしょう。 

来月日本にやってくるイタリアのクラウディアさんは今旅行の下調べ中です。先日、彼女から、「(埼玉方面)○○駅にはどうやって行けばよいか?」という質問を受けましたが、これも上野東京ラインができて以降、説明が難しくなりました。 

彼女が持っているガイドブックでは、上野東京ラインの情報はないので、とりあえずはこのライン開通のことが書いてあるJapan Timesの記事と、彼女が乗るべき電車の時間、プラットフォームナンバー、乗車駅の数まで細かく調べて送りました。

今まで東京止まり、上野止まりの電車がほとんどであったので、あらぬ方向まで行く心配はなかったのに、今回はとんでもない場所まで行く可能性があるのですから・・・。

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ボリビア・ウユニ塩原の村人は貧しい?

2015年03月20日 | 異文化

昨日、NHKの『地球イチバン』で、ボリビアのウユニのレポートを放映していました。 

宇宙船からしっかり見ることができるほど巨大な塩原にある村に住む現地の人たちの生活は、物質面、生活レベルでいえば豊かとはいえず、毎日同じことの繰り返し、父親の代も祖父の代もその前も代々、やはり同じ生活。 

ウユニで栽培し、主食としているキヌアについて村人の1人は、「キヌアの価格が世界的に上がっているというけど、これは天気が晴れたり曇ったりするのと同じ。」と、栽培量を増やすことも考えず、今まで通り変わらずに必要な分だけを作っていくというようなことを言っていました。 

Wikipedia
キヌア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%8C%E3%82%A2

また、塩原の塩を取る作業の人は、棒で塩を割り、スコップで塩を掘り上げる方法を、機械で効率よくすることなど考えない。
「変わらないで、同じことをしていくこと」が悪いなんてちっとも思わず、「同じことを続けられること」を楽しんでいるようです。 

彼らは自分達が住む土地をたいへん慈しみ(神聖視の面も)、大地を傷つけるようなことはまず考えないのでしょう。 

彼らとは対照的に、先進国を中心に、「物質欲」に囚われて「お金」を増やそうとする人たち、「効率」を上げるために自然破壊をすることもいとわない人たちがいます。彼らはこのウユニの人たちより、高い教育を受け、文明的、物質面では豊か。 

レポーターの若い俳優は番組の最後に、(表情から見ると、憐れんでいる様子もなかったので、おそらく言葉のあやでしょうが、)「こんなところに、こんなに貧しいところがあったのだ」と言っていました。

しかし、私は「実は貧しいのはウユニの人たちではないのではないか?」と思ってしまいました。 

息子が幼稚園のころ、息子のみならず、夫や私も好んだ童話に、伊藤ひろしの「おさる」シリーズがあります。 

おさるのまいにち
http://www.ehonnavi.net/ehon/5485/%E3%81%8A%E3%81%95%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A1/

 南の小さな島に住むおさるたちは、毎日日が昇ると目を覚まし、おしっこをし、ご飯を食べ、毛づくろい、木登り、蛙投げ、水遊び、夜になると眠る、次の日もまたその次の日も。
そして1年に1、2度、ウミガメのおじいさんがやってきて、おじいさんがお話をしてくれるのを楽しみにしています。 

いくらお気に入りとはいえ、本の主人公が「おさる」なのでウユニ塩原に住む人たちをそれを重ねるのは気が引けるのですが、それでも(良い意味で)ウユニの生活からは、この童話を思い出してしまいました。 

今、世界でテロや紛争に脅かされている人達は、できるならば、ウユニの村の様な、単調でも命を脅かされることのないところにに移住したがる人は多いでしょう。
平和で物質的に豊かな日本に住む私であっても、「ウユニの村の人々」が眩しく思えます。 

追記:

ウユニ塩原は、60代の友人のケイコさんが1月に旅行してきたところでした。
普段TV欄はざっと見るだけで、観たい番組があっても、観忘れることが多い私が、この番組を番組欄から見つけ、観ることができたのは、ケイコさんのおかげです。 

昨年彼女から「ボリビアのウユニ塩原を観に行く。」と聞いたときは、「都会的でおしゃれなケイコさんが、ピンクのスーツケースを抱えボリビアに降り立つのか・・・」と、ミスマッチに思えたのですが、いやいや、あの壮大で幻想的な塩原は、ダイナミックな彼女にぴったり。
またしても、パワーを蓄えてきたことでしょう。 

しかし・・・日本からボリビアだけでも時間がかかって大変なのに、標高が4000m。
すごい。 

Wikipedia
ウユニ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%A6%E3%83%8B 

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チュニスのテロ事件・警告は無視される?

2015年03月19日 | 海外ニュース・できごと

今度はチュニジアのチュニスで、テロが起こってしまいました。 

チュニジアには出張やプライベートで数回訪れ、事件現場も家族で訪れたことがある友人は、平和的でのどかな町に起こった悲劇に衝撃を受けて、 

「治安も良く、平和な場所だったのに、残念だ。これで観光客が減ると、観光で食べているこの国にとっても大打撃だろう。ルクソール事件の時同様、それがテロリスト側の狙いなのだろうけど。」 

と言いました。
これに対し、私は、 

「そりゃテロリストが一番悪いに決まっているわ。でも、ツアーを主催した側も問題なのでは?
自分で情報を集めないで「大手旅行社が主催するツアーは安全だろう」と思って参加する人も正直にいうと、私はどうかと思う。(自分で外務省情報やニュースをよく見て判断するなら、それが「Go」であっても良いとは思う。)

大体、そのままでは人が集まらないから旅行社は値段を低価格に設定しているようにも思えるし、それで客は集まり、それを知った人がまた「これだけ人が集まるから問題ないだろう」と旅行申込み。ツアーの添乗員さんは行きたくなくても業務命令で行く羽目になるので、これは気の毒。」 

と、ちょうど数か月前に、大手旅行会社の格安地中海クルーズ付きツアー(寄港地にチュニス含む。欧州系航空会社利用でも、20万円台からだったと思います。)の広告を見ていたこともあって、旅行社の問題にも言及しました。 

友人はこの後、「チュニジアはアラブの春の成功例として考えられていただけに判断が鈍ったのだろう」と言いましたが、彼も、そして旅行社も本気で皆、「チュニジアが平和になった」「チュニジアは大丈夫」と思ったのでしょうか? 

「成功」というのが、「民主化(いわゆる西側の基準でいう理想)」といのであれば、それに反対する勢力が反乱を起こす可能性もあったわけです。そして、ISISの問題もあります。 

ちなみに、外務省も危険情報は出していたようですが、レベルは一番下の「十分注意」。 以下の記事のような情報や分析は仕入れられなかったのでしょうか?

ハフィントン・ポスト(2015年3月19日)
チュニジア襲撃、軍事専門誌が「テロリスクが急拡大」と警告していた
http://www.huffingtonpost.jp/2015/03/19/tunisia-attack_n_6899606.html?utm_hp_ref=japan

 日本人観光客3人を含む19人が犠牲となったチュニジアの首都チュニスでの博物館襲撃事件。この無差別殺傷テロは、エジプトの著名な観光地であるルクソールで1997年にイスラム原理主義過激派グループが日本人10人を含む外国人観光客ら63人を殺害した事件を彷佛(ほうふつ)させるものとなった。同じ外国人観光客を狙ったテロ。チュニジアのテロリスクや国内情勢はいったいどうなっていたのか。 

今回の襲撃犯の素性や所属組織については定かになっていないが、海外の専門家の間では、チュニジア国内では急速にテロリスクが高まっている、との見方もあった。国際軍事専門誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーは2月25日の分析記事で、チュニジア政府による各都市での武装組織の摘発と解体によって、イスラム厳格派のサラフィスト・グループが反発して先鋭化、そしてテロリスクが急速に高まっている、と指摘していた。 

記事によると、チュニジア内務省は2月24日、対テロ作戦を実施し、約100人のイスラム武装組織メンバーを拘束した、と発表した。拘束理由としては、チュニスやナブルなどの国内主要都市の政府機関や治安部隊の建物などへの攻撃を企んでいたことを挙げた。 

チュニジアの地元メディアによると、こうした武装集団は、アトラス山脈の最東端にあるジェベル・シャンビ(シャンビ山)に拠点を置くKatibat Uqba Ibn Nafaaといった組織化されたジハード組織とのつながりは無く、大多数がサラフィストの武装集団のメンバーという。 

2月初旬に発足したばかりの新政権は、世俗主義の党のニダー・トゥーネス(チュニジアの呼びかけ)が率い、非宗教的な連立政権となっている。 

25日のIHSジェーンズの記事では「新たな非宗教的な政府は今後何カ月も、サラフィストの布教活動や宗教を規制する見通しだ。そして、これは、政府と治安機関を攻撃するという強い意図と高い能力を持った、小さな集団や武装集団の急速な先鋭化と台頭を助長する力になる」と指摘、政府機関や政治家への襲撃事件のリスクの高まりを明らかにしていた。 

さらに、「アルコールを販売する文化施設やバー、西洋風レストランやホテルといった『非イスラム』とみなされる観光施設と観光の標的が、簡易爆弾や放火といった攻撃の高いリスクに見舞われる公算がある。それはとりわけ主にチュニスやスーサ、モナスティルといった都市でだ。リビアやシリア、イラクからジハード戦士が帰還することによって、より大型の簡易爆弾が政府庁舎や交通拠点に設置されるリスクが急激に高まるだろう」と述べていた。 

ところで、「チュニジア政府は事件前日にテロの予告を受けていた」と言う話も流れてきているようですが、(それが本当であれば、)これを公表してくれていれば、観光をキャンセルして助かった人もいたのではないでしょうか。

本当にやりきれない事件ばかりです。

お亡くなりになった方々のご冥福と、負傷された方々の心と体の傷が早く癒えることを祈ります。

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アジアインフラ投資銀行設立に向けて日本が選ぶ道は

2015年03月18日 | 国際・政治

1972年に設立、1991年に破綻した国際商業銀行という銀行がありました。 

ウィキペディア
国際商業信用銀行
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%95%86%E6%A5%AD%E4%BF%A1%E7%94%A8%E9%8A%80%E8%A1%8C 

(前略) 

パキスタンの銀行家だったハッサン・アベディが、アブダビの首長ザーイド・ビン=スルターン・アール=ナヒヤーンの出資を得て1972年に創立。パキスタンでは前年に銀行が国有化されており、アベディはイスラム圏ひいては発展途上国における金融上の便宜を図る銀行の設立を企図。ルクセンブルクに本社を置くと共にケイマン諸島にも拠点を置き、設立後たちまちの内に営業拠点を増やしていった。 

(中略) 

だが一方でCIAの作戦行動を側面で支える役割を負い、イラン・コントラ事件やアフガニスタンのムジャヒディンへの支援の際に資金融通面で関わっていた(BCCIを介して支援を受けていた者の中には後にアルカーイダを率いてテロ活動を指揮したオサマ・ビン・ラディンもいた)。 

更には、反共産主義路線をとっていたために、冷戦下においてアメリカやCIAの支援を受けていた独裁者のマネーロンダリングや資産隠匿、加えて彼らが手がけていた麻薬や密輸などの非合法活動にも便宜を与えており、サミュエル・ドウやサッダーム・フセイン、マヌエル・ノリエガやロッジP2のメンバーなどがBCCIを利用して私腹を肥やしていたと言われている。 

1991年にイギリスとアメリカの金融当局によって営業停止を命じられ、経営破綻。その後の調査で100億ドルにも及ぶ使途不明金が明らかとなり、発展途上国では多くの預金者が財産を失うなど被害が広がった。日本でも東京支店に預金をするなどしていた邦銀や企業が、少なからず被害を受けている。 

イスラム教では金で金を生むという概念を禁止、アルコール、賭博・武器などの事業に資金を融通することも禁じられています。

誠(2007年12月18日)
利子のない銀行-「イスラム金融」とは?
By 山口揚平氏
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0712/18/news035.html 

イスラム教徒が作ったこの国際商業信用銀行は、結果的にコーランを冒涜するものになってしまい、『闇の世界』に恩恵をもたらしてしまいました。

考えてみれば、カトリック総本山のバチカン銀行なども、昔から黒い噂がたくさんあるようですし(ナチスの協力、この銀行の悪事を暴こうとした教皇が突然亡くなる)、宗教がらみでお金があるところというのは、「闇の世界」に好かれてしまうのでしょうか、ね。 

さて、国際商業信用銀行やバチカン銀行とは全く違うのですが、銀行がらみということで、設立準備中の、アジアインフラ投資銀行。 

今、欧州から英国に続いて、フランス、ドイツ、イタリアも参加を表明したとのことです。これにはアジアを自分の庭と思っているアメリカは怒り、「アジア開銀」の実質上のオーナーともいえるうえ「国際協力銀行」もある、そうでなくても中国を敵視している日本も大慌て。 

確かに「自国の利益が先にありきで、まだまだ常識的なマナーをもっていない」という中国が主導する国際機関が出来上がることは、利害抜きにして、不安があります。(また、中国のバブル崩壊も可能性があるのでは?) 

流石にこの銀行に、テロリストやスパイ機関はすり寄ってはこないでしょうが、設立に向けて、そして設立後も、なにかきな臭いことを起こす温床に鳴ったり、中国がアジア版アメリカとなって君臨するのは勘弁願いたいです。 

立場は難しいところですが、日本もなんとかアジアインフラ投資銀行と協力関係を築いていけないものでしょうか。 

これは少し前の記事ですが、ご参考まで。 

Wedge Infinity (2015年1月6日)
中国が主導するアジアインフラ投資銀行」
ビジョンもガバナンスもなき実態
By 河合正弘氏 (GRIPS)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4566 

抜粋:

深刻な問題は、AIIBがベストプラクティス以下の基準でインフラ融資を競い、世銀やADBからインフラプロジェクトを奪っていく可能性があることだ。そのことは世銀・ADBの融資政策の基準の引き下げ圧力につながりうる。 

 環境や住民への影響を十分考慮に入れてインフラ事業を進めるためには、AIIBと世銀・ADBとの間の対話・協調を促し、非生産的な基準引き下げ競争を生まないことが必要になる。

 そうした観点から、AIIBは世銀、ADBなどと協調しつつ、加盟国のインフラプロジェクト支援を行っていくべきだ。それに加えて、AIIBは経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)と協調していくことが望ましい。開発援助委員会は世界的な視野から、新興国・途上国への経済援助の情報を共有したり、国際的なベストプラクティスに則った援助政策の共有をめざすものである。 

 中国によるAIIBの設立は時間の問題だろう。AIIBは、以上述べた4つの点(ビジョン、ガバナンス、融資政策、ドナー協調)で、責任ある国際金融機関として踏み出すことを期待したい。

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ウエブサイトを削除された欧州の友人・”正義”のハッカー?

2015年03月17日 | 友人・知人

アーティストである欧州の友人AさんのHPを久し振りの見ようとしたところ、削除されてしまっているようだったので、彼に「あなたのウエブサイトが見つからないのだけど、どうされました?」と連絡をしました。 

いつも返事が遅い彼からは翌朝に返事が届いて、「僕のウェブサイトは米国政府によって閉じられてしまった。(米国の)プロバイダーが言うには、僕はもう米国のプロバイダーを使えないようだ。HPの代金も5年間分払ったばっかりだったのに、プロバイダーに連絡をしても無視をされるだろう。」とのこと。

彼の説明では、彼にはウクライナに住んでいる友人がいて、米政府はこの友人と彼がクリミアに住んでいる、と認定してしまった(スパイ嫌疑?)ということでした。 

最初はこれを読んで驚いた私でしたが、冷静になってメールを読み直してみると、不自然な点がいくつか。 

英語のネイティブスピーカーであり、いつも私向けに教科書にあるような英語でメールをくれていたAさんにしては、英語の文法ミスや、使っている単語や書き方に不自然なところがあるのです。 

彼はまた、「パソコンをハッキングされて、ほとんどの人のメールを失ってしまった。君からメールをもらえてよかった。」とも書いてきているのですが、こうなると、このメール自体が、「ハッカーが成り済ましで書いているのではないか?」とも思えなくもないのです。 

実は私は彼に日本人のペンフレンドSさんを紹介していたのですが、彼女にこのメールの文章の一部を送って確認したとこところ、「やはり、これは別の人が書いたような気がします。Aさんにはウクライナ人の友人と共同で作品を作っているという話は聞いたことがありますが・・・」と返事をくれました。
(彼女は半年以上、Aさんから返事をもらっていないようでした。Aさんが彼女について私に触れなかったことも、おかしい。) 

Aさんのウェブサイトは彼の作品のギャラリー・販売をするもので、運営はもうずっと前からしているものです。作品はマニアックなものなのでそんなに売れるものではないと思いますが、購入者は世界中にいます。 

そう考えると、「ウェブサイトで、ウクライナ人の友人もしくはクリミア在住の購買者との金銭のやり取りをしたことで、米政府が彼のウェブサイトをブラックリストに入れ、プロバイダーに閉じさせた」ということは考えられます。 

が、彼(もしくは彼のなりすまし)から届いたメールに書かれていた、「自分と、ウクライナに住む友人がクリミアに住んでいる」というのは、事実とは違うし(Aさんのウクライナ人の友人については、クリミア在住かどうかまではわかりません。Aさん自身は地元の動物保護のボランティアもしていて地元の写真を送ってきてくれましたし、彼の国からクリミアに移住、なんてありえないと思うので、彼がクリミアに住んでいることはありえないはず。)、そもそも米国人でもないAさんが「クリミアに住んでいる」と米国に判定される過程がわかりません。 

米政府も、他の政府でも、メールおよびブログにあるキーワードが引っ掛かるとそのメールやブログを盗聴、監視するということはあるようですが、仮にAさんのメールなりがそのキーワードを使ってしまって監視されていることはあり得ても、わざわざ米政府が、Aさんに「私たちは君たちを監視しているんだぞ」というかのような行動をとることはないと思いもします。 

メールの成り済ましについては、日本人の友人から、「外国の友人の成り済ましメールを受け取った」、イタリア人の友人から「成り済ましメールに自分のメールアカウントが使われた」という被害を聞いたことがありましたが、共にメールの内容は「お元気ですか?」というような短い文面であったそうです。 

今回のAさんのメールが本人である場合で、すべてメールに書いてあることが本当である場合は、おそらく「ハッカー自身がクリミアと関係のある人物」。そして、米政府がチェックを強化しているということ。 

今回のAさんのメールもハッカーの成り済ましメールである場合、私も「クリミア関係者」と疑われて、米、ウクライナ、ロシア政府のいずれかに、にカマを掛けられている、ということでしょうか。 

まあ、いずれにしても、Aさんのウェブサイトが消されているのは確かです。
そしてもし、「5年間分お金を払いこんですぐウェブサイトを削除され、プロバイダーは問合せには一切応じない」というのが本当であれば、Aさんにとっては「詐欺」にあったようなもの。 

(本物の)Aさんのために、嫌疑が晴れ、ウェブサイトが再開されることを願っています。 

ところで、ハッカーといえば、日本も政府が「正義のハッカー」を雇用するようにしたようですが- 

ハフィントン・ポスト(2015年3月8日)
日本政府が「ハッカー」登用へ なぜ採用が可能になったのか?
http://www.huffingtonpost.jp/2015/03/08/japan-government-white-hat-hacker_n_6825720.html
 

ハッキングの正義か悪かは、誰が決めるのでしょうね?また、雇用5年間と言っても、退職後彼らが悪の(危険な)ハッカーにもなりえると思いますが・・・。 

参考: 

監視下に置かれた気分
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/772eba9a3eee36dae52f72e9292c6ac2 

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アウシュビッツの公認ガイド、中谷剛氏のインタビュー記事・「道徳」ならぬ「修身」の復活

2015年03月14日 | 教育

昨年の夏、イタリアのペンフレンド、クラウディアさんは、ご家族そろってポーランドに旅行し、アウシュビッツにも行ってきました。 

『アウシュビッツ見学の意味』
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/4bb5d191780ef9357c72ee79ac27e844 ) 

アウシュビッツには、中谷さんという、49歳日本人ガイドさんがいます。
(ベッドメーカーの営業マンだった中谷剛氏は91年に退社、学生時代に旅したポーランドにわたり、97年にポーランドの国家試験に合格。260人中唯一の日本人ガイドです。) 

彼のインタビュー記事が東京新聞にありましたので、一部省略して転載させてもらいます。 

東京新聞 (2015年2月1日朝刊)
あの人に迫る
中谷剛(アウシュビッツ公認ガイド) 

アウシュビッツの見学者が増えています。 

2014年は153万人で過去最高でした。特にホロコースト(ユダヤ人の大量虐殺)を学校で学ぶ若い世代が増えました。欧州連合(EU)が統合を強めるための教育の場として利用しているからです。 

念頭にあるのは移民問題。高齢化が進む欧州は、移民なしでは活力を維持できず、アジアや米国の経済に対抗できない。しかし現実には、フランスで風刺週刊誌が襲われるテロが起きたり、ドイツで反イスラム移民のデモが起きたりと摩擦は大きい。放置すれば社会の亀裂はますます大きくなる。人権というテーマだけでなく、経済発展の障害となる人種差別に対処する学びの場としてアウシュビッツが使われています。 

今に通じる教訓があると。 

ドイツは第一次世界大戦で敗れて巨額の賠償金を負わされ、経済は破綻しました。失業者が多く、ストレスがたまった、非常に追いこまれた社会状況でした。そこにヒトラーが現れ、民衆心理を巧みに利用して選挙で票を重ねた。うまくいかない部分はユダヤ人のせいにしながら。 

ヒトラーが連立政権で首相の座に就いたとき、国政選挙でナチ党単独の得票率は33パーセント。その程度の勢力であっても間違いが起こりうる。だからこそ、たとえ少数でも社会から疎外された人への対応が大事なのです。 

高齢化や移民受け入れも是非は日本が直面する問題でもあります。 

グローバル化で海外から人や投資が大量に入ってくると、日本人はより強く日本や民族のアイデンティティーを求めるでしょう。日本では移民というと外国人が足りないところを補い、日本人は全体が底上げされるような印象が強いですが、それだけでは済まない。競争の中で負ける日本人も出てくる。 

そういう状況で生まれる感情が「排斥」と「共生」のどちらに向かうのか。競争に負けて外国人や移民に反感を持つ人が二割、三割と増えれば、移民排斥を主張する政権ができかねない。際どい分かれ目が近いうちに日本にくる。 

なぜホロコーストがおきたのでしょうか。 

原因は十分わかっていません。アウシュビッツを運営していたナチス親衛隊が冷酷な人間の集まりだったぼかというと、そうではない。ごく普通の人間で、家に帰れば良き夫、良き父だった。収容者の中から選ばれた看守も生き残りの望みをかけて仲間に残虐な行為を働きました。 

つまり最大の教訓は、人間はそうしたシステムの中に置かれたら変わってしまうということなのです。人間を人間と思わなくなる。だからおかしなシステムができてしまう前に「超えてはいけない常識づくり」をする。それを超えた時にちゃんと反応して反対できる社会にする。それしかないのです。ドイツでイスラム排斥のデモが起きると、それと同じくらいの人数が対抗のデモに出る、というのが一つの例です。 

(中略) 

第二次世界大戦で日本は加害の当事者でした。日本がアウシュビッツから学べることは。 

「加害」という表現には反発もあるでしょう。開拓や戦争でアジアに行った日本人は現地の人を苦しめようと思っていたわけではないのですから。でもそれを自分たちで弁解しない方がよい。加害の歴史をきちんと受け止めているとのシグナルが日本から感じられないから中国や韓国が不信感を持つのだと思う。 

アウシュビッツで案内中に「日本はドイツと同盟国でした」と話すと、嫌な顔をする。「日本はドイツほどひどいことはしていない。なぜここで日本が出てくるんだ」という反応です。 

しかし、戦時を比較するのではなく、戦後の周辺国から抱かれた不信感を比べることは不適切ではない。戦後、欧州旅行の際にドイツ人であることを隠すため英語を使う人がいたほど、ドイツへの不信感は強かったのです。日本の方がドイツよりひどいことをしていないのならば、なぜドイツが周辺国と築いたような信頼関係を日本は持てていないのか、ということになる。 

近隣諸国との関係をどう改善しますか。 

国民の声を抑え込む中国の体制はいつまでも続かないでしょう。その時、日本の民主化をうまく支えてあげれば、彼らも過去の戦争にこだわるのではなく、日本は本当に自分たちのことを考えてくれた、と思うはずです。これからはアジア諸国が求めることにうまく応えられるかどうかで、日本が国際社会のリーダーになれるかどうかが決まる。 

若い人たちと話すと、戦争をめぐる近代史の知識が抜けている人が多いことに気づきます。アジアへの問題への対応で考える材料がないことになり、なんとかしてこの部分を穴埋めしないといけない。 

その上で若い人には「今から経済が弱くなって悪い時代になるわけではない。今までできなかった、もっと良いものが見つかるんだ」と伝えたい。日本人の良心は国際的に高く評価されているのですから、勇気をもって進めばますます日本は輝けます。 

唯一、最後の質問「近隣諸国との関係をどう改善しますか」に対する中谷氏の回答は、私には、「楽観的すぎる」「彼は「日本の(特に中国やアジアへの)優越性」を信じて疑っていないのだろう」と思えてしまうので、正直にいうと違和感があります。 

しかし、今世紀最大の悲劇のシンボルともいえるアウシュビッツで18年ガイドをし、多くの観光客と話し(今は、日本人だけを案内していると思います)、そしてポーランドから日本を見つめてきた彼の言葉の多くはグローバル社会の中の「井の中の蛙たち」には貴重です。

時代錯誤な常識しか持ち合わせていない曽野綾子氏の代わりに、彼を「道徳」の教本で紹介する、とした方が、教育上も、海外向けの日本のイメージ発信にも、日本にはメリットがあるでしょう。

追記:

なお、私は、『道徳』を評価科目にするのには反対です。
まあ、その前に、政府が考えているのはもはや「道徳」ではなく、戦前のような「修身」と呼ぶべきものだと思っています。

(そのうち、国語の教科書にも、「最後の授業」が復活するのではないでしょうか、ね。
ドーデ『最後の授業』の実態、これを教育に選んだ時代
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/64f8fb97665e51bad09d71898953bf25 ) 

「修身」は、戦後、GHQにより廃止され、その代わりにできたのが「道徳」です。

ナチス政権下、「ユダヤ人は劣った民族」「ドイツの純血種はホコリを」というような授業があったと思いますが、あれは特別授業だったのでしょうか・・・。(ドイツではは教会や学校での「宗教」の時間がいわゆる「道徳授業」だったのだと思いますが、まさか教会や宗教で、上のような教育はしていなかったでしょうから。)

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「アジア通貨基金構想」をつぶしたアメリカが今味わう屈辱

2015年03月13日 | 国際・政治

1997年代後半のアジア金融危機の際、アジア通貨基金構想を立てた日本-日本の台頭を恐れた米国、そして中国の反対で、それは頓挫しました。 

Wikipedia
アジア通貨基金
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%9F%BA%E9%87%91 

あの時、米国ももちろん日本も、中国がここまでになるとは思ってもいなかったでしょうね。

そして、いつも歩調を合わせていたイギリスが自分達を裏切るようなことをすることも、アメリカは予測していなかったことでしょう。

 毎日新聞 (2015年3月13日)
<英国>アジアインフラ投資銀に参加意向 中国発表
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150313-00000003-mai-bus_all 

中国財政省は12日、中国が設立を主導する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」に英国が参加の意向を表明したと発表した。主要7カ国(G7)の参加は初めて。中国の影響力拡大を懸念する日本と米国はAIIB構想に距離を置いているが、英国の参加により、カナダなどほかの西側諸国が追随する可能性がある。

 AIIBは、アジアなどへのインフラ建設資金の融資が目的で、資本金は1000億ドル(約12兆円)。大半を中国が出資する見込み。昨年10月に設立準備会合が開かれ、当初の参加国は、東南アジアや中東、中央アジアなどの21カ国だったがその後、ニュージーランドなどが加わり、27カ国に拡大していた。

 日米欧が中心となっている国際通貨基金(IMF)や世界銀行、アジア開発銀行(ADB)など既存の国際金融機関に中国は強い不満を持っている。英国の加入をてこに中国は、AIIBの国際的な信用力を高め、IMFなどに対抗できる国際金融機関にすることを目指す。

 英国は、国際金融都市・ロンドンを人民元の海外取引拠点に育てるなどの目標を掲げている。AIIB参加を通じて、中国との関係強化を狙う。AIIBの資金調達がロンドンで行われれば、金融業界に巨額の手数料が落ちるメリットもある。オズボーン財務相は12日、「主要西側諸国で最初の創設メンバー候補になったことをうれしく思う」との声明を発表した。

 一方、ADB総裁ポストを握る日本や、「既存の国際金融秩序への挑戦」と警戒する米国は参加を見送っている。国際金融界で、IMFなどと、英国も参加したAIIBとの主導権争いが激しくなりそうだ。【北京・井出晋平、ロンドン坂井隆之】

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東日本大震災4年目に思うこと

2015年03月11日 | 雑感

東日本大震災から4年目です。 

4年前の今日、人々は地震や津波の怖さだけでなく福島原発事故を目のあたりにして、自然に人間が勝てないこと、「安全」というのが人間が作り出した幻想にすぎないことを知り、これからは自分達の生活も含めて社会を見直さなくてはならない、と、多くの人が誓ったと思います。 

被災地以外の日本各国、そして世界の人達も日本に手を差し伸べてくれ、「この不幸な災害と事故で失ったものは大きかったけど、唯一の慰めは、この災害と事故がバラバラだった人々を結び付けてくれた」とも思いました。 

4年経った今、被災者以外の人々の多くは、あのときの気持ちも反省も忘れ去ってしまい、日本でも世界の国々でも、災害以前よりも排他的、疑心暗鬼になり、協調することよりも対立を好むようになってきてしまったように思えます。 

電気をより使う生活にまた舵は切られ、それをありがたがる人々。
(最近世界の芸術」を紹介するTV番組を観ましたが、コンピューターや機械を使って作られるもの、パフォーマンスも多数紹介。「芸術」さえ人の手ではなく、機械が担おうようになってきたようです。)

4年前の災害にどさくさに紛れて、誰かがパンドラの箱を開けてしまったのでしょうか。 

東日本大震災でお亡くなりになった方々に、黙祷をささげます。

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