「日本語で“Hi”ってなんて言うんですか? イタリア語なら“Ciao”を使いますが。」
イタリアのペンフレンドからの質問です。
「日本語で“Hi”は男性なら“やあ”という言葉がありますが、普通、私達が知り合いや友人を見かけたとき、“おはよう”、“こんにちは”、“こんばんは”を使うのが一般だと思います。
“Ciao”は人と会ったときだけでなく別れるときにも使われるけど、私達は別れる時は“さようなら”、“ではまた”、“じゃ、また”、“またね”をよく使い、後ろ二つは親しい人同士で使います。」
質問に対し簡単に答えたものの、日本語にしろ何語にしろ、「これに対応するのはこれ」というように言い切れるものばかりではないので、説明にはいつも満足できません。
そういえば、日本びいきの外国人で“Matane(またね)”を手紙、文章の最後に使う人が増えている気がします。彼らは独学で日本語を学んだのでしょうか。そしてついでに言えば、(これはもしかしたら日本語をかじった、かじらないのは関係ないのかもしれませんが、)英語の文の最後をピリオドの代わりに“・・・”で終わらせる人もいます。
「またね」はいわゆる口語で、そして普通は友人同士で使う言葉です。口語は英語にもありますし、日本語に限らず『友達言葉』は他の国の言葉にもあるのですが、これを書き言葉でも使う外国人達は、深く考えず、単純に「“Good bye”“See you.”イコール“Matane”」として使っているのでしょう。
“・・・”については私も日本語の文では余韻を残したり疑問を感じるときは使いますが、ある程度年齢のいった外国人が英語の文のなかで“・・・”を頻繁に使うのを見ると、一体どこで習ったんだろうと考えてしまいます。(不思議とこれを使う人の手紙は“Matane”で結ばれていることが多いのです。)
言葉の勘違いといえば、ロンドンのホテルのレストランで、ウエートレスさんが何か持ってきてくれるたびに、“I am sorry.”と言っていた若い日本人男性がいました。彼は“I am sorry.”を「すみません(ありがとう)」の感覚で使っていたのでしょう。
日本語の「すみません」には“I am sorry.”“Excuse me.”“Pardon.”“Thank you.”の意味があると外国人の友人に教えたことがありますが、これをこのウエートレスさんが知っていたのか、こういうことに慣れていたのか、彼女は何かを運ぶたびに発せられる男性の“I am sorry.”に優しく微笑み返していました。
実のところ、これを見ていた周りの客にはクスクス笑う人もいましたが、彼の礼儀正さが伝わってきたので、ウエートレスさん同様皆暖かい気分で聞いていたと思います。