新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 パリ編⑦ セーヌ河岸の古本屋街が今年 一時は撤去の危機に

2024-07-22 | 心ふるえる風景 パリ編

 セーヌ川の両岸に 緑色をした屋台がずらりと並んでいる

 これはブキニストと呼ばれる 古本などを売る露店街だ

 セーヌ左岸沿いの ホテルに宿泊した時 

 ちょうど真下にそのブキニストが 軒を並べていて

 朝な夕なにその様子を眺めながら 時間を過ごしていた

 

 古本だけでなくて ポスター 絵葉書 キーホルダー

 さらにはエッフェル塔の模型まであって 毎日賑わっていた

 そもそもは グーテンベルクの活版印刷術が発明され

 大量の書籍が出版されるようになると 次第に需要を上回る本が出回り

 これらを二次利用する 古本屋が誕生した

 

 パリでは17世紀初頭 セーヌ川に架かる最初の橋

 ポンヌフの橋の上に 移動式の屋台が出たのが始まりという

 それが19世紀には 川沿いに固定式の屋台が並ぶようになり

 現在に至っている

 

 今年このブキニストが 議論の対象となった事があった

 パリ五輪が 全市内に展開する開催方式となり

 政府は警備上の問題から 一部を撤去する方針を発表した

 

 しかし 猛烈な反対の声が上がった

 ブキニストは世界遺産地区にあり パリの風物詩ともなっている

 それを撤去するということは 文化の破壊につながる!

 

 こうした声に押されて 結局政府は撤去方針を取りやめた

 これによってブキニストは 五輪開催中でも

 にぎやかなパリの風情を 醸し出す場所として

 観光客の目を 楽しませることになりそうだ

 

 

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心ふるえる風景 パリ編⑥ セーヌ河岸に 大空に向かって両手を広げる女神がいた

2024-07-19 | 心ふるえる風景 パリ編

 翼を持つ馬ペガサスと共に 茜に染まる曙の空に向かって

 女神が今セーヌ河岸で 大きく両手を広げている

 

 

 ロダン美術館に向かう前に 近くのブーランジェリーで

 クロワッサンの朝食を 済ませておこうと

 まだ暗い師走の朝 ホテルを出発した

 

 セーヌ右岸をぶらぶら歩いて行くと 前方にアレクサンドル3世橋が見えてきた

 セーヌ川に架かる橋の中でも 最も美しいとして知られる橋だ

 ようやく空がほんのりと 明るくなってきた

 橋に施された彫刻を眺めながら 何気なく視線を上に向けると

 中空に女神の像が すっくと立ちあがっている

 

 冬特有のほのかな朝もやを全身に纏いながら 差し込む朝日のきらめきを

 改めてパリの街並みに発散するかのような 女神の姿は

 今日もまた花の都の平安を守ろうと 祈る守護の化身のように見えた

 

 パリ五輪開幕まで あとちょうど一週間

 久しぶりにこの写真を 眺めているうちに

 女神が右手に掲げる剣が オリンピック聖火の

 トーチのようにも 思えてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

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心ふるえる風景 パリ編⑤ 真下から見上げるエッフェル塔の柔と剛

2024-07-15 | 心ふるえる風景 パリ編

  エッフェル塔を 真下から眺める

 遠くからでは うかがい知れなかった 

 構造の美が 迫力を持って迫ってくる

 300mの高さを支える脚の部分は X状の鉄骨が幾重にも重なって

 それぞれの柱をなし 4つの柱は半円状の鉄骨が優雅に繋いでいる

 鉄柱を繋ぐリペットを 250万本使用するという

 当時の革新的な技術と材料によって 初めて実現した構造だ

 仰ぎ見るエッフェル塔の姿は また格別の思いを湧きあがらせる

 見事に弧を描く支えと 軽快に組み合わさる直線とによって

 出来上がったレース模様の上方に 塔の先端が伸びやかにに浮かび上がる

 すっくと立ちあがる全体像が あれだけの高さを誇りながら

 柔らかな曲線を伴う 優雅さを見せるのは

 部分部分にも剛と柔との絶妙な配置が なされていることの証なのかもしれない

 改めて135年前にこの塔を完成させた 設計者エッフェルの巧みな計算と

 持ち合わせた美的センスの表現とに 心打たれるばかりだった

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心ふるえる風景 パリ編④ 「景観破壊のゲテ物」から「唯一無二の象徴」へ エッフェル塔の観賞スポットは!

2024-07-12 | 心ふるえる風景 パリ編

 エッフェル塔が完成した時 歓迎の声とともに批判も起きた

 当時はまだ19世紀 パリは都市改造を終えたばかりだった

 街並みは石造り 7階建てのビルが整然と並ぶ姿に整備された

 

 対して突如立ち上がったのは 330mと桁違いに高くそびえる鉄骨の塔

 「パリの景観を破壊するゲテ物」 「鐘楼の骸骨」「巨大な黒い煙突」

 そんな反対の声は 特に文学者芸術家などの識者から上った

 

 だがやがて 塔の持つ美しさや機能性街との相性などが理解され始め

 民衆からも 親しみの眼でとらえられるようになった

 反対派の1人だった 文学者モーパッサンは

 ある時エッフェル塔の中にあるレストランで 食事をしているところを目撃された

 「あんなに反対していたのに どうして?」 と尋ねられると

 「だってパリの街で エッフェル塔を見ずに済む場所は 

 ここしかないから」 と話したという

 実はモーパッサン自身 しばしば塔に通うようになっていた

 

 こうしてエッフェル塔は あのスマートな形態や雄大な眺めとともに

 唯一無二の パリの象徴になって行った

 

 モーパッサンではないが エッフェル塔に昇れば塔そのものは見えない

 これまでの経験で 塔をよりよく見ることが出来る場所を見つけた

 1つはデパート ギャラリーラファイエットの屋上

 ここはオペラ座のすぐ裏側なので エッフェル塔だけでなく

 塔を含めた市中心部の風景を 間近に見ることが出来る

 最もお薦めのロケーションは モンパルナスタワー展望デッキだ

 高さ210mもあるうえ エッフェル塔を真正面平行に見ることが出来る

 私は日没時に そこに上ってみた

 

 後方にうっすらと姿を見せる 新開発地区ラ・デファンスのビル群を従え

 暮れ行くパリの空を背景に 無数の光の粒を集めて

 燦然と輝きを増してゆく エッフェル塔の雄姿は

 「ああ パリに来た」との実感を全身で感じる

 鮮烈な記憶として 今も心に残っている

 

 

 

 

 

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心ふるえる風景 パリ編③ 革命から100年目に完成したエッフェル塔 100年ぶり開催のパリ五輪

2024-07-09 | 心ふるえる風景 パリ編

 初めてエッフェル塔を目にしたのは パリ到着日の夜だった

 セーヌ川越しに オレンジの光をまとった

 夜空に浮かび上がる構築物は 芸術的とも呼べるほどの輝きを放っていた

 

 エッフェル塔が完成したのは 1889年

 当時世界一を誇る 自立式塔として 

 その年開催された パリ万博の象徴ともなった

 また1889年という年は ある意味メモリアルな年だった

 それはフランス革命が起きた1789年から ちょうど100年の節目の年でもあった

 

 今年開催されるパリ五輪

 これも100年という数字に縁がある

 前回開催されたパリ五輪は 1924年

 今年がまさに 100年ぶりの開催となるわけだ

 

 パリという花の都で行われる スポーツの祭典で

 選ばれしアスリートたちは ほぼどの会場からでも目に出来る

 エッフェル塔に匹敵する 「高み」を目指して

 熱戦を 展開することだろう

 歴史に残る名場面の実現を期待して 開幕を心待ちにしている  

 

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