ニューズウィークジャパン (2019年7月16日)
キム・カーダシアンの「キモノ」に怒った日本人よ、ジンギスカンの料理名を変えて
by 楊海英氏
https://www.newsweekjapan.jp/youkaiei/2019/07/post-43.php
<米タレントの矯正下着名を撤回させた日本人が、他民族の英雄を料理の名前に冠するのはダブルスタンダードではないか>
どんな体形にもフィットする矯正下着ブランドに「Kimono」というブランド名を付けて販売する予定だ──と、アメリカの有名タレント、キム・カーダシアンが6月25日に1億4000万人ものフォロワーを持つ自身のインスタグラムで表明すると、たちまち日本から「総攻撃」に遭った。
まず日本の伝統文化の拠点であり、着物産業を抱える京都市が門川大作市長名で「着物は日本の伝統的な民族衣装であり、暮らしの中で大切に受け継がれ、発展してきた文化だ」と再考を促した。
政治家も黙っていなかった。世耕弘成経済産業相が「しっかりと審査するよう米国特許商標庁に伝えている」と呼応。ネットでは商標登録申請に反対する署名の数がうなぎ上りに増えて13万人を超え、ついにカーダシアンは「慎重に考えた末、ブランドは別の新しい名前で申請する」と、ブランド名の撤回に追い込まれた。
私は今回の「キモノ騒動」で声を上げた日本の一般人と識者に対して、実に素晴らしい行動を取った、と最大の賛辞を送る。それと同時に、来年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、他者の文化に敬意を払う機運が高まってきている日本で、ぜひこれを機に見直してほしい食べ物の名称がある。日本にしかない名物料理「ジンギスカン」だ。
(続きはリンクからどうぞ。)
KIMONO騒動、どうなることかと思いましたが、キム・カーダシアンがブランド名で使うことを撤回してくれてよかったです。
この騒動では、「着物を愛する」という人達が声をあげ、Change orgで署名もしていましたが、逆に着物を冒涜しているようにしか思えない人達-着物のサブカルチャー化、着物のアレンジしすぎ派-がいたり、署名活動の内容をいつの間にか「着物を世界遺産登録」にかえようとする騒ぎがあったり。
#Kimono hashtag
https://twitter.com/hashtag/kimono
前者については、意見が分かれるところだとは思いますが、私は「日本の大切な伝統を下着のブランド名に使うな!」と言いながら、その伝統をぶち壊すようなアレンジの着物を自分の宣伝もかねて載せている感性がとても奇異に感じました。
(着物のアレンジ自体をすることは批判するつもりがありません。ただ、アレンジしすぎた着物はもう「着物」とは言えないと思う。「アレンジファッション」と「日本の伝統」は相反する気がします。)
さて、ニューズウィークに書いてある、「ジンギスカン」を羊肉料理に使う話、嘗て使われていた、
トルコ風呂(→ソープランド)
シナチク(→メンマ)
シナソバ(→ラーメン)
に比べれば個人的にはそんなに失礼とも思えなかったです。
人物の名称で思いつくのはナポレオンパイ。
これは、豪華版イチゴと使ったミルフィーユの名前で、最初に使ったのは記憶にある限りは銀座のマキシムドパリであったのではないか、と思います。
欧州内では、イチゴが乗っていないミルフィーユも「ナポレオン」と呼ぶこともあるようなですし(おナポレオンに否定的な人が多そうなスペインでは使わないかな?)、むしろこれはナポレオンに敬意をしめした人達がお菓子に命名し、それが他国に広まった、ということではなかった、かと。
(ウィキペディア
ミルフィーユ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%A6 )
これと同じと考えれば、羊肉料理にジンギスカンと命名したことに対して、その国の英雄やその国を侮辱していると考える人はモンゴル国内でもそう多くはない気がしないでもなかったのですが、改めて羊肉料理に「ジンギスカン」と呼ばれるようになった経緯を見て、
「やはりジンギスカンという名前をこの羊料理に使うのは改めた方がよいだろう」
と考えが変わりました。
ウィキペディア
ジンギスカン(料理)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%B3_(%E6%96%99%E7%90%86)
抜粋:
起源については、俗説で「かつてモンゴル帝国を率いたジンギスカン(チンギス・カン)が遠征の陣中で兵士のために作らせた」と説明される場合もあるが、実際にはモンゴルの料理とはかけ離れている。また羊肉を用いる中国料理としては清真料理の烤羊肉(カオヤンロウ、kǎoyángròu)という羊肉料理があるが、これも日本で食べられているジンギスカンとは程遠い[7]。ただしジンギスカン料理の起源自体は中国大陸にあると言われ、日本軍の旧満州(現中国東北部)への進出などを機に、前述の烤羊肉から着想を得たものが日本人向けにアレンジされ、現在のような形式となったものとみられる。
料理の命名には諸説あり、源義経が北海道を経由してモンゴルに渡ってジンギスカンとなったという伝説(義経=ジンギスカン説)から想起したものであるとも言われている。命名した人物として、東北帝国大学農科大学(北海道大学の前身)出身で、1932年の満州国建国に深くかかわった駒井徳三が、1912年(大正元年)から9年間の南満州鉄道社員時代に命名したものであるとする説がある。この説は全日本司厨士協会北海道本部相談役の日吉良一が北海道開拓経営課の塩谷正作の談話(冗談)を元に『L'art Culinaire Moderne』に1961年に投稿した「蝦夷便り 成吉斯汗料理の名付け親」や、駒井徳三の娘の満洲野(ますの)が1963年(昭和38年)に発表したエッセイ「父とジンギスカン鍋」が根拠となっているが、いずれも後の伝聞によっている。
① ジンギスカン料理はモンゴルではなくて中国料理起源
⓶ モンゴルの英雄ジンギスカンを勝手に日本人(源義経)に変えてしまっている
③ 満州国で命名
以上の①と⓶は「英雄の名前を料理名に使った」という以前に、モンゴルに対して無礼だと思います。
モンゴルの方から、「織田信長はモンゴル人。我が国の英雄が日本に渡って活躍した」なんて言われたうえ、中国料理に「おだのぶなが」なんて名前をつけられて喜ぶ日本人はごくわずかでしょう。(織田信長は嫌いな私でも、上記のようなことをされたら違和感を持ちます。)
オマケ:
1970年代終わりにこんなドイツのグループの歌が流行りましたが、このグループの名前自体が、ジンギスカン(ジンギス・カン)だったのですね。
Dschinghis Khan - Dschinghis Khan 1979
https://www.youtube.com/watch?v=rxx9tajxzBc
ウィキぺディア
ジンギスカン (グループ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%B3_(%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97)