NBRフォーラムに載った意見から一つ:
http://nbrforums.nbr.org/foraui/message.aspx?LID=5&MID=41815
According to a study by Benjamin K. Sovacool, "The costs of failure: a preliminary assessment of major energy accidents, 1907-2007," Energy Policy, Volume 36, Issue 5, May 2008, pp. 1802-1820, the greatest number of energy-related fatalities on the planet is attributed to hydro-electric power. Sovacool's study stated that 171,216 people were killed worldwide in dam failures from 1907-2007. This is 42 times greater than the estimated death toll of 4,000 at Chernobyl. The greatest tragedy was the Shimantan hydroelectric facility in Henan Province, China, on 8 August 1975.
Another study I cited in my chapter "Hard Choices: Japan's Post-Fukushima Energy Policy in the 21st Century, in Jeff Kingston (ed.), Natural Disaster and Nuclear Crisis in Japan, Routledge 2012, pp. 140-155, was commissioned by the Swiss Federal Office of Energy. That study was either not aware of or failed to acknowledge the tragedy at Shimantan hydroelectric facility, but it still recorded 4,290 accidents/incidents worldwide between 1969 and 1996, and found coal (19,650 deaths) to be the most deadly power source on the planet during that period followed by hydro-electric power (12,638 deaths).
It is something of a puzzle that advocacy journalists and activists are not writing about the "hydro-electric village", are not talking about the alleged close ties between the hydro-electric power industry and government, and are not protesting the further construction of hydro-electric dams worldwide in the name of safety and health.
My only explanation is that the media image of nuclear power has become so negative over time that many people naturally assume that nuclear power is more dangerous than any other power source. Controlling and maintaining an "image" can be more powerful than a disinterested cost-benefit analysis.
要約すると、
「1907年から2007年までのダムの事故での死者171,216人は、チェルノブイリ事故の死者4,000人より42倍多い。
1969年から1996年までの間に事故は4290回発生して、水力発電では12,638人死亡、石炭火力発電では19,650人が死亡。
データ上は水力発電のほうがたくさん人が亡くなって、危険でもあるのに、反原発の活動家やジャーナリストは、“水力発電村”については触れない。原子力発電が危険だというイメージを人々に植え付け、維持するのは、大きな損失。」
とう意見のようです。
私は原発の危険さは、死者の多さ(しかも短楽的なデータ比較の場合は特に)で争うのはナンセンスだと思っていますし、そもそもこの数字の比較自体がアンフェアで、説得力に欠けると思います。
ただ、水力発電も、火力発電も自然破壊の産物であることは確かですし(ダムについては、水害を防いだり、浄水を地域に与えたりの役割もあると思います)、建設時、災害事故での死者もなくなることはないでしょう。
しかし、水力発電のダム事故と火力発電所の事故が起きたときはその被害地域が限定されるのに対し、原発事故の場合は、「その被害が地球上に広がる。放射能汚染も何百年単位で残る。そもそも原発事故に対処出来る人がいない。事故後もずっと爆弾のような存在であり続ける。」と、少しあげただけでも、単に死者数で論じられないのが分かります。
この投稿は、もともと、『福島原発事故の危険』の投稿から始まっているのですが、(参考:http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20120512
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20120512 )、
こうした投稿をする有識者の皆さんは、一度実際に福島原発に出かけられることをお勧めしたいと思います。
(脱原発派も、マスメディアの鵜呑みはしない、過激にならない、どこに何を訴える必要があるのかを考える・・・というようなことは必要だと思います。)
なお、今日のウォール・ストリート・ジャーナルに、小出助教授のインタビュー記事が載っていましたので、このリンクと抜粋も貼り付けます。
ウォール・ストリート・ジャーナル (2012.5.18)
[肥田美佐子のNYリポート]ニューヨーク講演後の小出裕章・京大助教に聞く「4号機の安定化には、未損傷の燃料棒取り出しが先決」
http://jp.wsj.com/Japan/node_444699?mod=Center_Column
抜粋:
――4月、ワイデン議員は、米政府への書簡で4号機の危険性を訴え、米国の支援を要請した。本紙などがそれを報じたが、その後、東電は、4月26日付で、「4号機原子炉建屋は傾いておらず、燃料プールを含め地震で倒れることはありません」という見解を発表している。本当に安全なのか。
小出助教 東電は、事故後すぐに、これは大変だと気づき、耐震補強工事を行った。燃料プールの底に鋼鉄製の柱を何本も入れて落ちないようにした。その後、その鋼鉄の柱の周りにコンクリートを流し込み、補強したから大丈夫、というのが東電の主張だ。
――耐震余裕度を20%以上向上させたというが、十分だと思うか。
小出助教 分からない。ものすごい被ばく環境なので、労働者がゆっくりと作業できない状況だ。コンクリートを打ったといっても、すのない、空気の泡が残っていない状態かどうかも分からない。わたしのところにも、工事に当たった作業員の声が届くが、震度5くらいの地震がきたらプールが壊れると言う人もいる。4号機にリスクがあるのはもちろんだが、どれだけのリスクがあるか分からない。
――米メディアなどからは、日本は米国からの支援に消極的、といった批判も聞かれる。
小出助教 実際の工事や作業で一番力を持っているのは、現場を知っている人たちだ。東電や(原子炉を)製造してきた日立や東芝である。米国の人たちが、そうした実際に働いている人たちが気づかないようなことに気づくとは、あまり思えない。
唯一期待できるのは、(第1原発を)設計した米ゼネラル・エレクトリック社(GE)だ。あの原子炉のどこに弱点があるのか、などの知識を持っていると思う。ただし、設計されたのは40年前であり、当時の人たちはもういない。おまけに、GEは、自社の生産ラインをすべて失うほど、原子力部門が衰退している。
――米国の支援をもってしても、行程表の迅速化は期待できないのか。
小出助教 壊れたプールからどうやって使用済み燃料を外に取り出すかなど、やらなければならないことは明白だ。プールの底に崩れ落ちたガレキを取り出し、(燃料棒を移すための)キャスクをプールに入れるには、まず巨大なクレーンを造らねばならない。燃料交換機を新たに設置する必要もある。
そうしたことを一つ一つやる必要があるのだが、被ばく環境がひどいため、なかなかできない。(東電が4号機の使用済み燃料プールの燃料棒を取り出す行程を)10年としているのは長すぎると思う。まだ壊れていない燃料を安全な場所に移すことに全力を尽くさねばならない。だが、なかなか進まないのが現実だ。
――世界の英知を集めても迅速化は無理なのか。
小出助教 知識はすでにある。問題は、実際の作業ができないことだ。もちろん、原発作業員を世界中から集めるといったことは、何がしかの力にはなると思うが。プールの底に沈んでいる使用済み燃料集合体は損傷している。たぶん普通の作業ではできないだろうから、専用のキャスクを造らねばならない。そうした作業をどこかの国が引き受けてくれるのであれば、迅速化は図れると思う。
(全文、リンクからどうぞ。)