Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

ブラジルに残る日本型経営

2009年02月02日 | 人物

NHKスペシャルで番組「ブラジル」を取り上げていていました。

このなかで印象に残ったのが、フェルナンドポリス市のファゼンデイロ・アルコール製造工場(Alcoeste)の経営者で、現在80歳になる日系2世ブラジル人、新垣宏助さん。

彼は大会社の社長でありながら、従業員と同じところで昼食をとりながら彼らと同じ目線で会話をし、そして「会社は皆のもの」と繰り返して言うなど、従業員たちの尊敬を集めているようでした。

「企業 経営・そして人生いかに生きるか」という泉智徳(いずみ とものり)氏の著書でも新垣氏が紹介されているようなので抜粋します。

“「私(新垣氏の運転手)は32歳の時車の運転手としてこの農場に来たが、もう20年になる。」車を走らせながら、新垣社長のことを語り始めた。

「従業員1200名が農場で働いている。
ハーベスター一台買うと80人の仕事がなくなるから、これ以上は購入しないと社長は言う。

昼食は農場のレストランで全従業員1レアル(約30円)で食べている食事は会社より補助があり、従業員の為に牧場では牛も飼っている。(乳牛、食肉用)」”

“全従業員の子供たちは、小学校から中学、高校、大学までの学費すべてを社長から出してもらっており、通学用バスもある。社長は家が貧しく自分は大学に行けなかったからと、市に43万坪を提供して大学を作らせた。周辺の市や町からも、その大学で学んでいる学生も多い。”

“フェルナンドポリスの農場主新垣宏助さんは、農場を始めた当初から45年間、現在もともに働く仲間たちを大切にしている。「其処には定年制なんてものはない。」

熟練技能者を大事にした日本の高度経済成長を支えてきた経営学が生きているのだ。仕事仲間との信頼関係で75歳の新垣さんは全従業員に支えられ、今も事業拡大に取り組んでいるのである。”

・・・このほかNHKスペシャルでは、他のブラジル人実業家や、ルーラ大統領のことも取り上げていましたが、見ているうちに、ブラジルが金融危機でも、そんなに打撃をうけなかった理由が分かる気がしました。

それは国土の広さとかの問題ではなくて、ブラジル政府が長期的視野を持ち(30年前から原油不足を見越してエタノール開発に取り組んできた)、流行りのマネーゲームで儲けようともせず、労働の場を与えることに力を注ぎ(オートメーション化できることも、あえてそれをしていないように感じられる)、国内消費を活性化する努力をしたこと、また外交面でも、アフリカなどにも「支援」という上から見下ろす援助ではなくて、「協力、共存」という形での対応など、単純ですが大切なことをしてきたことで、今があるのだと思います。

コメント (2)
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