Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

Cさんのワークシェアリング

2009年04月27日 | 友人・知人

先日、職場(シルバー人材センター)で75歳位の会員Cさんと話をしていました。

彼のその日の仕事は広場にある蒸気機関車の掃除。

お話好きの彼と私は良く喋ることがあるのですが、戦争の時の蒸気機関車の想い出話を一通りした彼は最後に、「こうしたお仕事の時に声をかけてもらえるので、とても皆さん(センター職員)に感謝しています。」と笑顔で言いました。

私は彼の担当ではありませんが、彼に行く仕事が、こうした比較的楽しめる仕事だけでないことを知っているので、「でも、Cさんは養豚場の掃除など、あまり人がやりたがらない仕事まで進んでやってくださっているので、こちらこそ感謝しています。」と労ったところ、彼は続けます。

「私は昔ある人に、『歳をとったら、人が嫌がる仕事を進んでやりなさい。』と言われて、それってとても大事なことだなと思ってそうしようと決めているんですよ。こういう仕事を引き受けて、人様のために役立っていると思うし、それに若い人達がこういう仕事をしないで、他の仕事ができるからね。ワークシェアリングですよ(このワークシェアリングという言い方はちょっと違う気がしますが・・・)。」
と彼は使い慣れない言葉を使ったのが恥かしかったのもあってか、ちょっと照れて笑いました。

シルバー人材センターには、良い仕事(例えば技術系、事務系)の場合、若者の仕事を奪ってしまうという側面があります。そして、あまり人がやりたがらない仕事(掃除、雑務等)の場合は、普通の仕事をしたくても見つからない高齢者に嫌な仕事を押し付ける、という側面があります。

後者の仕事の中でも、ほとんどの会員さんが嫌がる仕事を引き受け、その仕事のことも楽しそうに語るCさん。(「養豚場の仕事を始めた時、最初は3Kどころの話ではない、と思ったけど、養豚場をきれいにすると豚ちゃんが喜んでくれるのがわかる。コブタは可愛いよ。」とこの仕事にうれしそうに語るのは彼だけ。)

あとで、23歳の男性職員D君にこの話をしたところ、私同様、彼も大変感激していました。

D君といえば、この職場において、孫のような存在の好青年(センターには会員以外にも職場にも高齢者がいる)。

「この職場にきて、60代の人達が若く感じてしまう・・。」同世代と年齢の感覚がずれてきていることをチラッとぼやいたこともありますし、悩まされることもあるようですが、こうしたCさんのような人達がいるせいでしょうか、いつも楽しそうに仕事をしています。

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日本独自の『生きがい』

2009年04月18日 | 異文化

昨年の4月と11月に一緒に旅行した“異端児H”もいよいよ7月初旬には帰国が決まったとのこと。フランクフルトのTも昨年夏に帰国していますが、国内組にしろ、海外組にしろ、私と同世代の仲間達が、現場を離れていくことに少し寂しさを感じています。

まだ彼らは現場を離れるといっても、現役なので良いですが、現役を仲間が引退するようになって来る日もそう遠い話ではない・・・時が経つのは早いものです。

さて、引退といえば、実は私の現在の職場は市のシルバー人材センターです。シルバー人材センターとは、「生きがいのために、高齢者(定年退職者)に仕事をしてもらおうとする団体」で、これは1970年代から全国に広がり、名称は違えど、多くの市町村にあります。

「生きがいのため・・」と言っても、実情はセンターが高齢者のハローワークと化している部分も大きいのですが(年金だけでは食べていけない人も少なくない)、それでもやはり「働いて、自分で稼げるし、そして社会のお荷物にはならないでいられる。」というのが日本の大半のお年寄りにとっての生きがいにもなり、尊厳を持たせるものであることは変わりません。

-前に、フランス人ペンフレンド、アリーネさん(市長秘書)と“(年金や資産で食べていける場合であっても)何かしらの仕事をもっていたい日本の高齢者”の話をしたとき、彼女は「フランスでは大抵の人が退職後まで働こうとは思わない。ほとんどのフランス人は退職後は旅行、趣味、家族と一緒に過ごす時間を大切にしたいと思うだろうから、退職後に仕事をしたがる人の気持ちが理解できないでしょう。」と言っていました。

そこで、このシルバー人材センターの話とともに、アリーネさんの話を紹介してイタリアのペンフレンド、ロビーさん(主婦)と、マルタのペンフレンド、エマンウェルさん(教師)に意見をもとめたところ、

「イタリアでも、アリーネさんと同じような意見を持つ人が大半だと思うわ。ただし、退職後、旅行や趣味に時間を費やされる人ばかりではないから、朝から晩までバールにたむろする高齢者や、孫の面倒を見るくらいしかすることがないような人たちを見てると、複雑だけど・・。」

とロビーさん。

「働くことは金銭だけの為だけでなく、人に尊厳を与えることであるから、高齢者でも仕事をしたがる気持ちも理解し、そういう斡旋機関があることは良いことだと思う。でも、ま、年金受給者が若い人の働く場を奪ってしまう部分もあるから、そこは考え物だけど。」

とエマンウェルさん。

こんな話からも『シルバー人材センター』という発想、これは日本独自のもので、他国ではまず有り得ない、日本はやはり異質(良い悪いではない)な国であるなと実感します。

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Moments-ボルヘスの詩

2009年04月11日 | 芸術・本・映画・TV・音楽

ドイツの友人トーマスさんは、詩が好きです。

最近彼が読んだ本のなかに引用されていた、アルゼンチンの詩人ホルヘ・ルイス・ボルヘスJorge Luis Borges)の詩を送ってきてくれました。

ちょっと切なくて、でも心にとどめておきたいこの詩を、是非読んでみてください。

Moments

If I could live again my life,
In the next - I
ll try,
- to make more mistakes,
I won
t try to be so perfect,
I
ll be more relaxed,
I
ll be more full - than I am now,
In fact, I
ll take fewer things seriously,
I
ll be less hygienic,
I
ll take more risks,
I
ll take more trips,
I
ll watch more sunsets,
I
ll climb more mountains,
I
ll swim more rivers,
I
ll go to more places - Ive never been,
I
ll eat more ice creams and less (lime) beans,
I
ll have more real problems - and less imaginary ones,
I was one of those people who live
prudent and prolific lives -
each minute of his life,
Of course that I had moments of joy - but,
if I could go back I
ll try to have only good moments,

If you dont know thats what life is made of,
Don
t lose the now!

I was one of those who never goes anywhere
without a thermometer,
without a hot-water bottle,
and without an umbrella and without a parachute,

If I could live again - I will travel light,
If I could live again - I
ll try to work bare feet
at the beginning of spring till the end of autumn,
I
ll ride more carts,
I
ll watch more sunrises and play with more children,
If I have the life to live - but now I am 85,
- and I know that I am dying

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