「説明が少し不足していたけど、僕は教養科目の履修がビジネスライフに役に立たないと言っているわけではないんだ。たとえば、歴史、国語、フランス語、ラテン語、哲学・・・間接的ではあるけど間違いなく役立っている。それに文系・教養的要素の高い学問を軽んじる気もない。
ただ、僕にはこの問題にフラストレーションを感じるんだ。大学の助成金や奨学金は税金で賄われている。だから納税者としては、(特にレベルがそんなに高くない大学の)学生は実用的な学問を学んで、将来社会的に役立てて返して欲しいという気持ちもあるからね。」
高等教育についてティムさんと話を続けているなかで、彼はこう付け加えます。
この意見のうち、後者を極端な言い方に変えるなら、「税金で教育の手助けをしているのだから、学生は職業と直結しないコースを選考してもらっては迷惑」ということになると思います。そう考えるのは普通でしょう。
ただ、助成金はともかくとして、奨学金-借金してまで高等教育機関で勉強をしようとする学生で「単に知的好奇心を満足させるため」という考えの人は、私には少なく思えます。
借金といえば、奨学金を借りたり、親に大学費用を卒業後に返す学生が、日本にはどのくらいいるのでしょうか。
日本では「大学費用を出すのも親の義務」という風潮があります。よって返済義務のないスカラシップの希望者は多くても、返済義務のある奨学金の希望する割合はあまり高くない、と聞きます。
それに対してアメリカのある統計では、一人あたりの大学費用50%弱は親が負担、30%強は本人負担、残りは助成金等、というデータがあるそうです(ティムさん情報)
学費はアメリカも安くないでしょうが、平均した個人負担額では、世界の中で日本は圧倒的に高いようです。私大の文系では4年間で400万円台、理系では600万円台。医学部となれば2000万円(6年分?)を超えるとか。
日本の場合、公立の大学の数が多くないこと、そして公立は(公立だからこそ)レベルが高いことで公立に入れる学生は一握り。それ故私大生が増えるわけですが、たとえ費用が高くても、親は大学費用を全額負担することが多いようです。そして子どもは当然の権利としてそれらを受けているので、彼らに“ある種のハングリー精神”が欠けてしまっているのも自然なのかもしれません。
(「子どもにしてあげられるのは、これくらいだから・・」と言いながら、ちゃっかり「塾にもお金をつぎ込んできた。これは自分達が将来面倒を見てもらうための投資」という気持ちが潜在的に親にあったりするので、どっちもどっちですが。)
さて、我が家の受験生に関してですが、もともと塾や習い事に大してお金をつぎ込んでいませんし、あまり良い投資先のも思えないので、「大学の費用は、将来半額返してもらうから、そのつもりでしっかりね。」と言い渡してあります。