今年も、M氏から届いた『年の終わりに』を、個人的報告事項を省略して転載させてもらいます。
「2014年も残り少なくなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
(中略)
この1年間、日本経済は概ね順調な推移を見せました。日経平均株価は18000円に迫る水準まで戻し、大企業を中心にボーナスも増えているようです。一方で、全体の実質賃金は低下していて、また「円安」による原材料コスト増が国内志向産業や一般消費者に悪影響を与えているのも事実でしょう。
4-6月期の実質GDPが大きくマイナスとなることは、もともと予想されていましたが、それに続く7-9月期が予想に反して芳しくない結果。これを踏まえて安部政権は消費税の再増税延期を決断して総選挙に踏み切りました。結果はご存じのとおりの与党の圧勝(というより現状維持)で、今後しばらくは政権は安定するでしょう。
民主党の党勢は回復せず、「健全な対立軸を持つ2大政党による政権交代の可能な社会」といったものはますます遠のいているように思えます。米国の共和党と民主党は、ある程度の統治思想の違いを持っていて、州や国の議員選挙でも大統領選挙でも、常に僅差の結果となります。
日本の場合、自民党に対抗する勢力ができるためには、現在バラバラの野党が結集しなければなりませんが、その場合(1)自民党との対立軸(ひとつではなく、かなりの数の)をどう定めて、その旗の下に結集できるか(2)経緯があって出来たとは言え、小選挙区比例代表並立という今の中途半端な選挙制度をいかにドラスチックに改革できるか、が鍵となると思います。
自民党との対立軸を明確にするのは難しいですが、広く国民の関心の高い「経済政策」「社会保障」「外交・安全保障」「行政府・公務員改革」などで、民主党が中心となってあえて明確な軸を出して野党再編の中心となる必要があります。選挙制度については、米国の制度がすべて良いわけではないが、米国では上院・下院共に小選挙区一本(上院は州ごと、下院は人口比例の小選挙区で)となっています。
小選挙区で落ちても比例で復活できたり、国政を担うには程遠い得票率しか得られない政党が「比例区」で議席を得ることができるような、今の日本の仕組みを変えるべきだと思います。さらに言えば、衆議院との間に機能上大きな差のない参議院は、もはや不要ではないでしょうか。国会議員の定数削減や1票の格差是正も大事ですが、その先に根本的な改革が必要だと考えます。
「日本経済は概ね順調な推移を見せた」と申し上げました。確かにそうなのですが、昨年末に申し上げたとおり、本来今年4月の消費増税が間違いでした。4月の増税さえなかったら、大規模な金融緩和による円安・株価上昇が実態経済に効いてデフレが払しょくされ、名目GDPが大幅に上昇していたはずで、その軌道に完全に乗る前に増税したのは失敗だったと断じます。
この失敗を繰り返さないためにも次回の増税のタイミングは慎重に検討してほしいと思います。今回の再増税延期で、何が何でも2017年4月には再増税する、という方向になりそうですが、そうではなく、その時の状況によって柔軟に判断することが必要です。国家財政の多少の改善のために、国家経済が破壊されてはなりません。
景気は「気」から、と言います。大震災以降落ち込んでいた日本国民の気分もそれなりに持ち直してきましたが、まだまだ十分とは言えません。明るく前向きに、多少乱暴でも「根拠なき楽観主義」をもっていきましょう。
先々の不安を並べ立てれば数々あるのは事実ですが、それを心配して個々人が委縮したら日本経済・社会全体が委縮します。個人の防衛行動としては正しいことが全体の足を引っ張るという「合成の誤謬」が生じます。特に60歳以上の世代(特に人数の多い団塊およびそれに続く世代)に訴えます。自分自身痛感しておりますが、1年先に生きている、という保証はどこにもありません。
言えることは、「この1年元気に生きた。目先も当分は大丈夫だろう。」という程度でして、だとすれば、何の遠慮もせずに、今したいことを今しましょう。何でもよいのです。60歳以上の世代、大体女性陣はとても元気に動き回っていますが、男性陣の元気がありません。もはや怖いものは何もないはずですから、もっと元気をだしてガチャガチャと世間をひっかきまわしましょう。
若い世代にも、もっと元気になってほしいと思います。そのためにシニア世代に多少の負担増があっても、喜んで明るくそれを受け入れましょう。
未来は、若い世代と、さらに若いその子供たちのためにあるのですから。
(後略)」
M氏の見通し、見解すべてが私と同じというわけではありませんが、選挙制度改革の必要性についてのほとんどの意見(M氏の「参議院はもはや不要」という部分については、私は、(現在はそうでも、)長い目で見て不要とは思いません。)と、「未来は、若い世代と、さらに若いその子供たちのためにあるのですから。」いう結びの言葉は、本当にそうだと思います。
皆様、それでは良いお年をお迎えください。
参考:
『年の終わりに-2013』by M氏
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/65aba5eaefd03ef6ec1623e587e37da8
『年の終わりに-2012』by M氏
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/1f9928c8e65f999df7f784efbde2ee57