「ドラえもんのアニメがアメリカに上陸したのも、これと関係しているのではないかな」って気さえしてしまいます。
ニューズウィーク(2014年8月29日)
軍事ロボットはキュートに
by シャノン・パラス(科学ジャーナリスト)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2014/08/post-3373.php
1年前、物理学者のダニエル・ゴールドマンからビデオが送られてきた。砂をかき分けて進む骨格だけの模型を撮影したもので、タイトルは「世界初のカメの赤ちゃんロボット」。
ゴールドマンは、ジョージア・ウミガメセンターの協力でこのロボットを製作。目的は、ウミガメが前足を使って進むメカニズムを調べるためだった。
もっともこの研究には別の目的がある。開発資金の一部を出したのは、米陸軍研究所のマイクロ自律システム・技術(MAST)連合。世界初のカメの赤ちゃんロボットの子孫は、米軍で活躍するかもしれない。
MASTは08年以降、生物の動きを模倣した小型ロボットの開発研究に年間約700万ドルを投じている。例えばカリフォルニア大学バークレー校のロバート・フィアリング教授はその資金で、多足型の超小型ロボットを研究。尾を利用して急旋回できるテイルローチや、回転する3本の足で動き回る1STARなどがあり、大きさはどれも小さなネズミほどだ。
ペンシルベニア大学のビジャイ・クマル教授は、動物の集団行動を軍事ロボットに応用するプロジェクトに取り組んでいる。
軍隊が、愛らしいロボットに求める役割は何なのか。MASTのブレット・ピエカースキ局長によると、兵士の「仲間」だ。いずれは重さ100㌘ほどの手乗りサイズで、作業パンツのポケットに入れて持ち運びできるようになるだろう。
(中略)
道具だけど「けなげでかわいい奴」。そんなロボットが今後、軍事システムに組み込まれていくのは間違いない。
私たちは、軍の資金に支えられた世界に生きている。インターネットの基礎となった通信ネットワークARPANETも、米国防総省の高等研究計画局(ARPA)の資金で生まれた。ARPAは防衛先端技術研究計画局(DARPA)に発展し、ロボット開発に力を入れている。
ただし私が最終的に気になったのは軍の関与よりも、自分自身の感覚だ。この記事を書くために私は1週間、MASTの資金で開発中の6足型ロボット「RHex」のビデオを見続けた。後方宙返りをし、ボールを追い掛け、雪の中を動き回る姿から目を離せず、いずれこれが兵器になるという事実は頭からすっかり消えていた。
そう、キュートな動画や小ネタが氾濫する世の中では、「軍隊の影」は簡単に忘れられてしまうのだ。
前に、『アトム、ウラン、コバルトという名のキャラクターが愛された時代』
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20110417
に、
この子供向ヒーロー達の名前は、核や放射能(原爆、原発)に関係する名前で、エネルギー源は核融合ですが、考えてみればすごい(恐ろしい)ことです。
当時拒否反応を示した人たちがいなかったのでしょうか、ね。いたとしてもこれをアニメで放映した1963年から1966年には、アトム人気のせいもあって、人々にとって原子力でイメージするものは「原爆」ではなく「夢の世界を実現するもの」に変わっていったことでしょう。
と書きましたが、(特に実体がない漫画やアニメ等の)キャラクター、ヒーローとならんで、「かわいらしさ」は、人を洗脳したり煙幕になったりもすると思います。