Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

東南アジアに武器を売り、日本人も派兵・・・と目論んでいる?

2012年11月27日 | 国際・政治

ブログを休むと言いましたが、気になるニュース記事を。

『軍事力増強』を売り(?)にしている党がありますが、これは、「日本を守るため」というよりも、米国の顔を立てるため、武器を売るため、そして東南アジア武力増強、協力(+人員)するためである気がします。

政権を取利戻せると強気になっている(いた?)自民党などは、実はもう米政府と密約でも結んでいたりして・・・。

New York Times (2012.11.26)

Japan Is Flexing Its Military Muscle to Counter a Rising China

http://www.nytimes.com/2012/11/27/world/asia/japan-expands-its-regional-military-role.html?pagewanted=1&_r=0&ref=asia

(抜粋)

Analysts and former officials say Japan’s military has so far been careful to offer assistance in noncombat-related areas like disaster relief, antipiracy and health care. But even these limited steps build ties between military forces. One plan now under negotiation is to train medical personnel from Vietnam’s navy next year to care for the crews on that nation’s newly purchased Russian-built submarines.

“Our strategy is to offer hardware and training to create mini-Japanese coast guards and mini-Japanese Self-Defense Forces around the South China Sea,” said Tetsuo Kotani, a researcher at the Japan Institute of International Affairs in Tokyo.

Under the decade-old civilian aid program to build up regional coast guards, Japanese officials say they are in the final stages of what would be their biggest security-related aid package yet ? to provide the Philippine Coast Guard with 10 cutters worth about $12 million each. Ministry officials say they may offer similar ships to Vietnam.

Japan’s Ministry of Defense said it planned to double its military aid program next year to help Indonesia and Vietnam. Vietnam could also be among the countries that Japan would allow to buy its submarines, according to a former defense minister, Toshimi Kitazawa, who named Australia and Malaysia as other possible buyers.

“Japan has been insensitive to the security needs of its regional neighbors,” Mr. Kitazawa said in a recent interview. “We can offer much to increase their peace of mind.”

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虚構の世界の政治家から選ぶより、むしろ福島からの首相を

2012年11月26日 | 国際・政治

テレビドラマに出てくる主人公達の家-まるでモデルルームのように生活感がなかったり、とてもじゃないけど普通のOLが住むには豪華すぎるマンションだったりします。

そして大抵出てくるのは美男美女。

「エンターテイメントとして楽しむのだったら、生活感あふれた現実的なものでなくて良い、どうせだったら、綺麗どころを見たい」ということで、これはこれで良しだと思います。

が、虚構も政治の世界となるとどうでしょうか。

1216日に向けて、いろいろな党が名乗りを上げていますが、彼らをみていると、まるでTVドラマを見ている感覚と似たものを感じます。(いや、本当をいえば、TVドラマでなく、学芸会か・・・)

原発存続、原発輸出を推進する党は、福島の原発事故処理が未だに解決されていないことや、使用済み核燃料の行方についてについては、言及しない-おしゃれでないものや、生活感あふれるものはすべて存在しないかのように扱うドラマの部屋と同じ。

「自衛隊を防衛軍にして増強強化。失業者救済」-これって、自衛隊を防衛軍にするシナリオを書き上げて、人を誘導する。

(しかし、本当は「仕事がない人は、軍隊に入れば良い」と言いたいのを、言葉を選んでごまかしているだけでは?)

流行りのライターが書いたドラマのシナリオ、面白くなくても流行ってしまいます。

また、ドラマに出ている芸能人達、実力がないほどに人気を気にして、目立つために奇を衒った発言や行動をしたり、一般受けしそうなツィートをしたりする人がいたりしますが、今の政治家にはそのレベルの人が多すぎます。

昨日の午後、たまたまTVをつけたら、福島の飯館村の若妻たちがドイツやスイスの研修旅行に行ったときの様子を映した映像を見ました。

これは、1990年のもので、飯館村ではこうした女性達を数回、欧州の酪農の農家にホームステイさせるプロジェクトに取り組んでいたようです。

このとき、ドイツやスイスの酪農家にホームステイをした若妻達は、仕事の工夫とともに、ドイツやスイスでの農家の人々が、「国の人たちに食料を与える仕事」として誇りを持っていることや、国民が自国を守るために、高くても自国でできた野菜を買って、農家を支えてることなどを、見聞きしてきます。

映像は、彼女達が欧州から飯館に戻ってきた場面も映し出します。しばらく過ごしたドイツやスイスの家々のようにおしゃれではないけれど、とても愛する家や家族に迎えられて、ほっとしている様子。

また、研修をしたからこそ、『今まで当たり前』だった仕事や土地、生活を大切にする心を新たにし、それを受け継いでいくことの大切さを改めて知ったことを語る人もいます。

このVTRが終わったあと、この研修旅行の出演した元若妻二人が酪農をやめ、家族とも離れて暮らしている様子も紹介されていました。村長や議員さんのインタビューも。

彼女たちはTVでは穏やかな顔で笑みを浮かべています-

館村の人たちが失ったものは物理的なものだけではなく、「生活、希望」。

しかし、希望は飯館の人たちは持ち続けています。自分だけでなく、村だけでなく、そして日本についての。泣いていたり怒ったりしているだけでは何も変わらないのを知った人たちだからこそ、失えない『希望』。

現在、政権をとろうと必至になっている政治家たちが「自分のこと(自分の派閥、党)」しか頭にないのと対照的です。言っていることも、受け狙いで、現実を見ていない。

いっそ、首相は、被災している福島の村長さんたちにやってもらうのが良いように思えます。

「国政、外交ともに素人がやったら、めちゃくちゃになるじゃないか!」という人がいるかもしれませんが、現在の政治家たちで、本当に政治家のプロと呼べる人っていますか?

追記:

しばらく、ブログを休みます。

現在、トニー・ジャットの「失われた20世紀」を読んでいる途中です。

もし興味があれば、皆様も読んでみてください。

ITmedia から書評:

気鋭の歴史家に学ぶ――「失われた20世紀」

米国の論壇などで活躍した歴史家、トニー・ジャットが見た20世紀とは……http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1204/07/news004.html

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お薦め映画『見わたすかぎり人生』

2012年11月23日 | 芸術・本・映画・TV・音楽

私が欧州映画が好きな理由は、私が欧州旅行が好きで風景が好きとか、欧州の生活に興味がある、ということもありますが、日本と文化は違うのに、舞台を日本に置き換えてもしっくりしそうな映画が多いこと。

とくにこの映画は、高学歴ワーキングプアーの女性が主人公という意味ではそうです。

また、この主人公マルタのクールでありながら人間味あふれるところ-自分と世界の違う人たちに溶け込めないのを自覚しつつ彼らを(上から目線ではなく)理解し愛すること、(自分も含めた)人間や出来事をジャッジしないこと、器用そうで不器用、誠実-とても魅力的です。

この映画に出てくる欠点だらけと思える人たちも、悪いところだけを見るから「悪人」「下品」「嫌味」「無神経」になってしまうだけ。(この映画が悪者にしているのは、米国式経営くらいかな。それと、救おうとする側の独りよがりさへの批判もあり。)

彼らは脇役とみなされてしまいますが、実はこの映画、見方によっては誰もが「主人公」って言えるのかもしれません。

題名もですが、エンディングもそれをあらわしているのか・・・。

『見わたすかぎり人生』(イタリア映画)

Gyao で配信中です。無料、1221日まで

http://gyao.yahoo.co.jp/p/00990/v00008/

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石原氏ーout of order

2012年11月21日 | Nationalism

Japan Todayに、先のエントリーで紹介した石原の記事がありました。

Japan Today (201211.21)

Ishihara calls for nuclear-armed Japan

By Hiroshi Hiyama

http://www.japantoday.com/category/politics/view/ishihara-calls-for-nuclear-armed-japan

TOKYO ?

Firebrand former Tokyo Gov Shintaro Ishihara, a potential kingmaker in next month’s general election, said Tuesday Japan must acquire nuclear weapons if it wants to be taken seriously.

At very least, avowedly pacifist Japan should examine what it would need to do to join the club of declared nuclear powers, the 80-year-old arch conservative told foreign journalists in Tokyo.

“I think Japan should at least carry out an analysis on going nuclear,” Ishihara said. “The diplomatic voice of countries without nuclear weapons is overwhelmingly weak.” 

Ishihara has a long track record of saying controversial things and breaking cultural taboos. He has previously expressed the same thoughts on Japan?the only country on which a nuclear attack has ever taken place?getting atomic weapons.

But his comments Tuesday come just days after he was declared leader of a populist party forged ahead of the Dec 16 general election by Osaka Mayor Toru Hashimoto with the express aim of challenging the two major forces in Japanese politics.

Next month’s poll is expected to end without a clear result, with prime minister Yoshihiko Noda’s Democratic Party of Japan (DPJ) and the main opposition Liberal Democratic Party seen likely to fall short of a majority.

Commentators expect a period of horse trading as a coalition is forged, with Ishihara’s Japan Restoration Party (JRP) a leading contender for a post-election political marriage.

Ishihara said he was “too old” for a ministerial brief and stressed that his views were personal, rather than those of his party.

His comments are also at odds with public opinion, which overwhelmingly backs Japan’s pacifist constitution and, since the disaster at Fukushima, has developed a pervasive distrust of nuclear power.

However, they may strike a chord with a section of the public frustrated with what they see as Japan’s diplomatic missteps in the face of an assertive China, particularly on the issue of disputed islands in the East China Sea.

Ishihara, who decades ago served as an LDP lawmaker and minister, is widely known for often abrasive remarks he daubs on the otherwise gray world of Japanese politics.

Speaking to reporters at the Foreign Correspondents’ Club of Japan, the novelist-turned politician took aim at China, a favorite bogeyman of the right.

“In theory it would be good if Japan and China could foster friendship, but Chinese policy is that of a hegemony,” he said.

“The Tibetan situation invites tremendous sympathy. Japan must not become like Tibet, violated by China’s high-handed approach,” he said, adding Tokyo should look to form alliances with other countries in the region that have territorial disputes with China, such as the Philippines and Vietnam.

Ishihara is widely blamed for the recent flare-up with China over what Japan calls the Senkakus and Beijing claims as the Diaoyus, because it was his plan to buy them that provoked the spat.

The national government stepped in to outbid Ishihara, who said he wanted to built a lighthouse and a small harbor there, but not before he had amassed 1.4 billion yen in public donations towards the purchase.

Riots and product boycotts followed in China, which has repeatedly sent government ships to disputed waters to press its claim for ownership.

読者コメントが、現時点で83個ありますが、私が笑ってしまったものを一つ。

That old blinking crazy man is out of control.

(この年老いた噛み付きクレイジー男はコントロール不能)

out of control”ではなくて、“out of order”のほうがよいかもしれません。

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石原発言と『商社九条の会』の言葉

2012年11月21日 | Nationalism

石原慎太郎氏が、外国特派員協会で、こんな講演をしたといいます。

産経新聞(20121120日)

軍事的抑止力ない限り、外交発言力はない 石原氏講演

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121120/stt12112020160015-n1.htm

この中で、

「日本維新の会の石原慎太郎代表は20日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演し、外交政策について「軍事的な抑止力を強く持たない限り外交の発言力はない」と指摘した。その上で「核兵器に関するシミュレーションぐらいはやったらいい。防衛費は増やさないといけない。防衛産業は裾野が広いので、日本の産業も、中小企業も助かる」と述べた。

という部分がありますが、「石原が中国を煽る理由はここにあり」てっところですか・・。

石原慎太郎氏は、国外から日本を見たことってあるのでしょうか。

国外にいたからこそ見えるものもあると思いますが、『外から見てきた人の代表』として商社マンがいます。

商社はいろいろ悪者にされやすいですが、戦後、商社マンたちの働きが日本の発展に寄与し、人と人の結びつきをつくり、結果国家間の信頼を得てきたのも事実です。

(商社入社の動機に「国際間の架け橋をつくる」という志を持った人が、今も昔も多い気がします。その志を持ち続けられるかどうかは人によりますが。)

メンバーは少数ながら、彼ら(ほとんどOB)が作った『商社九条の会』が、2006年に発足されたときの言葉を貼り付けます。

https://sites.google.com/site/shosha9jho/trading

商社9条の会

「商社九条の会・東京」アピール

 商社で働く(働いてきた)私たちは、国際的な経済交流を通して社会に貢献したいと願ってきました。 それには何よりも平和が大切であると実感しています。

 先の大戦後、私たちが堂々と商社活動をすすめることができた背景には、アジアの人々に大きな犠牲を強い、みずからも広島・長崎・沖縄・東京そして各地で多大な被害をうけた日本が「平和の国」「戦争をしない国」として生まれ変わったことを示す日本国憲法の平和的条項(前文・九条等)の存在があります。

 しかしながら、この憲法に照らして疑義のあるイラク派兵を機に政財界は呼応する形で、次々と改憲をすすめる案と日程を発表し、手続きとしての国民投票法案も上程され継続審議になっています。

 平和を願う私たちは九条の意義、そして改憲によって日本はどうなるのかを真剣に考えるときだという思いから、昨年5月「商社九条の会・東京」を結成し、講演会や学習会、交流会などの活動を続けてきました。また、この二年間で日本各地の市町村や職場・職業グループなどで五千を超える「九条の会」が生まれています。

 中東では武力行使の連鎖で多くの人命が失われ、一方、北朝鮮のミサイル発射など一連の行為は近隣諸国を不安に陥れています。私たちは紛争を武力で解決しようとする考え方には大きな疑問を感じます。

 「商社九条の会・東京」は、世界と日本の平和を実現するために憲法九条を学び、理解を深めることを目指します。

 さまざまな意見、考えをお持ちの方々の会への参加を呼びかけます。

2006年7月27

ホームページから、活動記録(原発問題にも取り組んでいるようです)、コラムも覗いてみてください。ここにある『海運九条の会』『損保九条の会』のリンクもあわせてどうぞ。

ホーム:

https://sites.google.com/site/shosha9jho/home

石原氏がチッポケに思えます。

(彼は「日本の産業、中小企業が助かる」と、根拠があって言っているのでしょうか?日本が防衛費を増やしても儲かるのはほとんどが米国であり、仮に日本で作るようなことになっても儲かるのは大手だけでしょう。)

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本当の戦後処理

2012年11月18日 | 戦争・紛争

日本の戦争責任と反省について、欧米から「日本は中国やアジア諸国に対しての反省が足りない」と言われていることと、私自身がそう思っていることは何度か書きました。

そしてこの問題について、アメリカ人ペンフレンドのティムさんともメールの交換をしてきましたが、ふと意見を交わしながら、理不尽さを感じたりしています。

確かに、日本やドイツに罪はあるのは当然にしても、連合国の罪はどうなのでしょう。

日本に落とされた原爆(特に長崎)や市民を標的にした空爆はこれを私は戦争犯罪だと思っていますが、連合軍は何をしても許されてしまう。

(東京大空襲を指導したカーチス・ルメイに、戦後日本政府は勲章間で贈って(贈らされて?)います。)

『勝てば官軍 負ければ負ければ賊軍』ということわざがあります。

これは説明するまでもなく、「戦いに勝ったほうが正義になり 、負けたほうが不義となる」という意味で、第二次世界大戦において、ドイツと日本は賊軍となり、官軍に裁かれることになりました。

が、事実だけを見れば、勝とうが負けようが、戦争ではどちらも加害者-官軍とて不義は行っています。それはただ裁かれないだけの話です。

たとえば、現在西側諸国がこぞって悪者にしているイラン。

第二次世界大戦中は、イギリスやソ連に『正義』を名目として侵攻され、

「閣下が何度もおっしゃっていた、国際的な正義と自由に対する人々の権利を守る必要があると言うご意見に基づいて・・。私は、これらの攻撃的な行為を停止するための、有効で緊急の人道的処置を取っていただけるように閣下にお願いいたします。この事件は、平和を維持し、国内の改革を行なうこと以外にやることの無い、平和で穏やかな国に、戦いを引き起こしました。」

と米国にイラン皇帝は訴え、ルーズベルトは皇帝を安心させる声明を出しました。しかし、結果は3カ国ともがイランに戦闘行為を働いた上、進駐。

(参照:イラン進駐 (1941)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E9%80%B2%E9%A7%90_(1941%E5%B9%B4) )

これに対して、戦後、イランはどの国に文句を言って、誰に謝られたのでしょうか。

「イランが声だかに賠償請求をしたら、それはドイツが払うべき」と思われていたのか・・・。

戦後、日本の戦争賠償を放棄、もしくはそれに言及した国々はいくつかあります。

インドやスリランカなどもそうですし、中国も。

中国の周恩来は、

「我が国は賠償を求めない。日本の人民も、我が人民と同じく、日本の軍国主義者の犠牲者である。賠償を請求すれば、同じ被害者である日本人民を苦しめることになる」

と言ってくれていました。

戦後賠償を放棄した国々の中ではこうした純粋な思いのほか、政治的なもの(経済的有効関係を結ぶことが目的とされていたり、「賠償が新たな戦争の火種となること」を案じるということもあったでしょう)も当然あったでしょう。

そしてもう一つ、この国の人たちのなかには、「戦争は負けたものだけに罪があるわけではない」という思いもあったのではないかと思います。

改めて言いますが、私は「連合国の罪が帳消しにされているから、それらの国が日本を非難するのはおかしい」とは思いません。

日本はきっちり反省すべき教育をして、日本にはナショナリストを出さない努力をすべきなのに、何故か石原、橋下他、極右政治家を支持する人が多くなりつつある今は特に。

ただ、敗戦国はもちろん、戦勝国もが自分のしたことと向き合うことなしには、本当の戦後処理は終わらないのではないかと思います。

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孫崎享氏『戦後史の正体』人気についての危惧

2012年11月17日 | 戦争・紛争

先日、

「日本の近現代史教育やマスメディアを批判している人たちに、孫崎氏の『戦後史の正体』を読んで、「孫崎氏の本で真実がわかった」と言い出だしている人が増えているようだけど、これでは、結局、歴史教科者や新聞やTVの情報だけを信じていた頃と何も変わらない。新歴史教科書が、孫崎氏の本に代わっただけ。」

と私は友人に言いました。

そしてここで孫崎氏の名前が出たので、

「そういえば不思議と、孫崎氏、天木氏、村田光平氏、(そしておそらくイラクで亡くなった奥氏、他)中東に関わった外交官は、反米ないし、中立の態度でいる人が多いような感じがする」

と続けたところ、友人は、

「孫崎氏は、ロシア(ソ連)にもいたね。それともイランに反米を吹き込まれたかな」

と(本人はあとで冗談だと弁解していましたが)言い、私を大いに呆れさせました。それで私は彼に冷たく言いました。

「欧州にも反米の人が多いけど、彼らが親ロシア、親中国、親イランだから米国を批判するわけではない。日本では人が米国批判をするとどうして、「吹き込まれた」「洗脳されている」という言葉が未だに出てくるの?いい加減に、偏見をなくしてものを見る癖をつけてほしいものだわ。」

と。

孫崎氏については、この本以前はリベラル派として私は好感を持っていましたが、実のところこの本がベストセラーになってからの彼については感心できません。(特に、批評を修正させたと知って。また、ポピュリストの道を歩みそうでもあり。)

友人が『冗談』と言ったようなことをいう政治家や官僚は今でも少なくないと思いますが、そうだからといって、そうではない反対派が言うことが、100パーセント正しいというわけでもありません。

特に(本もTVも新聞も)論説物は、書き手の主観が入るのですが、多くの人はそうしたことを頭で知ってはいても、ついつい自分の意見に近いものを見ると、それを自分の意見の裏づけとして妄信したり、時にそれに反対をする人を非難してしまうことも。

基本的には、私は米国政府や日本の米国追随外交に批判的な立場をとっているので、孫崎氏のような人たちの発言はwelcomeなのですが、彼が言うことの事実と主観は分ける必要があり、反対の意見も聞く必要があると思います。

まあいずれにしても、くれぐれも物事を単純化するのも避けて欲しいですし、『中国嫌いの右翼的ナショナリスト』だけでなく、『アメリカ嫌いの左翼的ナショナリスト』が出てこないことを願いたいです。

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米国で出版されている戦争被害者の本、先の戦争を反省できない理由

2012年11月15日 | 戦争・紛争

アメリカ人のティムさんから、米国で出版されている戦争被害者の本のリンクが送られてきたので、メールの抜粋(ほとんどリンクですが・・・)を参考までに貼り付けます。

In my last e-mail we discussed English biographies about U731 and Korean "comfort women".  Other popular biography in English would be the Nanking Massacre (also know in English as the "Rape of Nanking".)

So for Nanking I would suggest the following:

http://www.amazon.com/The-Nanjing-Massacre-Journalist-Confronts/dp/0765603357

(Also available in the Japanese original, but very controversial.)

http://www.amazon.com/My-Years-Nanking-Reminiscences-Inyeening/dp/1440122563

http://www.amazon.com/Good-German-Nanking-John-Rabe/dp/0349111413

http://www.amazon.com/The-Undaunted-Women-Nanking-Shui-fang/dp/0809329638

http://www.amazon.com/American-Goddess-Rape-Nanking-Courage/dp/0809323869

http://www.amazon.com/THE-GOOD-MAN-OF-NANKING/dp/0375701974

Another subject that is likely to have more in English would be the "Bataan Death March".  Since the directly involved the US and the Philippines there are lots of English language biographies:

http://www.amazon.com/Resolve-Jungles-Bataan-Soldier-Promise/dp/0425257738

http://www.amazon.com/SURVIVOR-American-soldiers-heartfelt-surrender/dp/0615192998

http://www.amazon.com/Baby-Bataan-Memoir-Soldier-World/dp/1590960025

http://www.amazon.com/Hells-Guest-Glenn-D-Frazier/dp/1878853872

http://www.amazon.com/Bataan-Death-March-Survivors-Account/dp/0803266332

http://www.amazon.com/Some-Survived-Eyewitness-Account-Through/dp/1565124340

Hope that helps. For our next set of e-mails we can talk about happier things, but if you have any questions I'm happy to answer them. 

これだけティムさんが調べてくれたとしても、これらの本に私は目を通していられないのですが、せっかくですから、“戦争の加害事実を「なかった、あった」「数字が多い、少ない」と争いたい人”は、こうした本でも読んでみてほしいと思います(日本でもアマゾンから購入可能)。

が、一方で、こうした本を読むと同時に、歴史を点だけ見るのではなく線を見、自分達の被害の面も知り、客観的に戦争を見つめることの必要性も感じます。(ベトナム以外で戦勝国となってきた米国も、客観的に戦争の加害者の部分を見つめるべき。)

一つ例をとれば、通州事件という、中国人による200名以上の日本人(含日本人にされていた朝鮮人)が惨殺された事件があり、これは現在は中国はもちろん、日本でも、アメリカでもあまり知られていません。

(通州事件 ウィキペディア

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%9A%E5%B7%9E%E4%BA%8B%E4%BB%B6 )

争いには、イスラエルとパレスチナのような『憎しみの連鎖』がつきものですが、それは通州事件と南京大虐殺の関係でもあったようです。

「自分がされたことは大きく、自分がしたことは小さく感じる」。

私は「先の戦争は日本のアジアに対する侵略戦争で、日本は反省が足りない」と思っていますが、ただ、「敗戦国が100パーセントの責任をかぶさられることでのゆがみ(=正当化や「自分も被害にあったんだから」という幼児的発想)』を正さないことには、本当の反省は生まれてこないし、それゆえいつまでも『子どもの喧嘩』のようなことも終わらないのではないかとも思えます。

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メーカーが製造物責任を取るのは当然、原発メーカーだけ違うというのは・・・

2012年11月14日 | 原発・核・311

インド政府の言っていること、当たり前だと思います。

米国が押し通してきた「原子炉メーカーは事故の責任をとらない」というのが(少しずつ変わってきてはいるものの)スタンダードとなっていること自体が、おかしいのではないでしょうか?

(「原子炉メーカーの製造物責任は問わず」というのが国際標準!?

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20110420

「原子炉メーカーの製造物責任は問わず」というのが国際標準!?-2

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20110420)

毎日新聞(20121114日)

<インドとロシア>原発計画巡り関係悪化 賠償責任で対立

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121114-00000028-mai-int

【ニューデリー杉尾直哉】ロシアがインド南部タミルナド州で建設を計画するクダンクラム原発3、4号機(各1170キロワット)を巡り、インドとロシアの関係が悪化している。インド政府が、原発事故が起きた場合、賠償責任を設置企業側に負わせる国内法の適用をロシアに求めたのに対し、ロシア側が「約束が違う」(ロゴージン露副首相)と猛反発しているためだ。

 原発建設は08年に両国政府が合意した。その2年後の10年にインドで成立した原発事故賠償責任に関する国内法について、インドのシン政権は今年になってロシア側に、事故の際には賠償責任の適用対象になるとした。昨年3月の福島第1原発事故以降、インドでも反原発感情が高まり、政権側も無視できないためだ。

 原発の建設費用は、ロシア側が8割を融資で肩代わりし、稼働開始後に融資返済が始まることになっていた。しかし、あるロシア外交筋は「インド側が妥協しないのなら、優遇した融資条件も変えざるを得ない」と強硬姿勢もちらつかせている。ロシアのプーチン大統領は12月にインドを公式訪問する予定だが、それまでの問題解決は難しい情勢だ。

 インドの国内法に関して、インドと原子力協定を結んでいる米国やフランスも反発しており、インドへの原発輸出の障害となっている。

 だが、ニューデリーのシンクタンク「TERI」のアトゥル・クマール研究員は「20年後に電力需要が現在の12倍となるインドは、世界の原発企業にとって最も有望な市場だ。企業存続を望むなら妥協するのは外国企業の側だ」と語り、強気なインド側の姿勢を説明した。日本もインドとの原子力協定を結ぼうとしているが、「核実験を再度行えば協定を無効とする」との条件付けにインド側が反発し、交渉は進んでいない。

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中国兵役事情

2012年11月13日 | 海外ニュース・できごと

興味深い記事を:

JBpress (20121113)

兵隊に行きたくない中国の一人っ子たち

簡単には兵力増強できない中国軍の実状 (by 姫田小夏氏)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36495

依法服兵役是公民的栄誉義務」(法に基づく服役は国民の栄誉ある義務)

 そんなスローガンが書かれた横断幕が、上海市内の大学構内にも掲げられた。

 中国人民解放軍(以下、人民解放軍)は毎年定期的に募集を行っている。今年はさらに“賢い知識青年”の比率を高めようと力を入れており、特に大学生の入隊に期待している模様だ。

 中国には兵役の義務がある。「中華人民共和国憲法」第55条は「祖国を防衛し、侵略に抵抗することは一人ひとりの国民的神聖な職務である」と謳っている(ただし実際には、個人の志願に委ねられており、韓国のような厳格な徴兵はない)。

 「中華人民共和国兵役法」(以下、兵役法)第12条によれば、満1822歳(高等教育機関での学習者は24歳まで延長)の者が徴兵される、とある。つまり現在は、19881994年生まれである「80后(80年代生まれ)の末期と90后(90年代生まれ)の前半」がその対象となる。

 人民解放軍は人員を派遣し、中国各地の大学を訪問し説明会を行うなどして、大学生をかき集める。だが、その歩留まりが思わしくない。中国のニュースサイト「人民網」によれば、2011年は歩留まりの低さが目立った年だったという。

 山東省と言えば、全国の10分の1に相当する新兵を創出する一大拠点。裏を返せば多くの貧農を抱えているというわけなのだが、ついに昨年は人員が計画の数に満たず、2度も募集キャンペーンを繰り返した。

 その理由はいくつかある。出生率の低下がその1つだ。90年代生まれは、中国の第3次ベビーブーム(19851990)を終えた後の世代で、その出生率低下は大学受験者数などにも影響が表れるほど。山東省でもまさしく新兵募集を巡って90年代の出生率低下に頭を悩ましている。

 また、かつての貧農は、国や地方政府から支給される手当を目当てに息子を兵役に送り込んだものだったが、今では就職先や学業の場に恵まれ、息子に軍隊生活の苦労をさせずとも、そこそこの生活ができるようになった。

その一方で、企業では猫の手も借りたいほどの人手不足。軍と企業が若者を引っ張り合う状況が生まれており、これが「新兵不足」につながっているとも言われている。

いまどきの一人っ子にはムリ?

 「国防意識の低下」も大きく指摘される。個人の価値が多様化し、本人たちも「苦労はしたくない」という意識が強い。また各家庭の親も「大事な一人息子を太陽の下で働かせて汗をかかせるなどとんでもない」という思いを抱いている。

 こんなエピソードがある。

 2011年、北京大学では3500人の学生が参加して2週間の軍事訓練を行ったが、めまいで医務室に転がり込んだ学生の数は延べ6000人を超えたともいう。

中国では、大学や専門学校の新入生を対象に、12週間にわたって軍事訓練が行われる。訓練内容は様々で、中には「直立不動を一定時間続ける」というメニューもある。だが、残暑厳しい9月という天候も禍いし、バタバタと倒れる男子学生が続出するらしい。

 また、ある大学生が訓練5日目にして退学したことも話題になった。「毎日風呂に入れない、食堂の食事がまずい」というのがその理由だった。

 一方、20129月、河南省のある大学では軍事訓練が突然中止になった。指導にあたる人民解放軍の兵士が現場の配備に駆り出され、訓練に手が回らなくなったというのだ。中止の通知を受けた学生たちが手を叩いて喜んだことは想像に難くない。誰もがこの訓練にうんざりしているのだ。

進む兵役逃れ

 中国では大学生でも学業を中断して兵役に臨む。しかし、条件が厳しいため最終審査に残る人材は限られる。

 男性なら162センチ以上、女性であれば160センチ以上の背丈、また(身長-110)の標準体重が求められる。視力も裸眼で右目4.9(日本で言う0.8)、左目4.8(日本で言う0.6)以上が求められる。

(続きはリンクからどうぞ)

働き口がたくさんある(本当か?)というのを除いては、子どもが少ない日本も事情は同じ。仮に徴兵制度ができたとしても、似たようなものでしょうね。

それにしても本文を読むと(以下は貼り付けていません。リンクからどうぞ。)、

「兵役は義務とはいえ、ある程度の自由度があるため、そもそも兵役に服さない学生も存在する。応じなければ学費の補助などの優遇が受けられないほか、「人事档案」(職場や団体が保管する個人の身の上調書)にその行状記録が残ってしまう。

 それでも過酷な軍隊生活を嫌がる若者は少なくない。湖南省長沙市の出身のBさん(23歳)は「当時のクラスメイトで兵役に就いた者はほとんどいない」と話している。」

とあります。

現在の中国で(不利になるとはいえ)兵役を逃れる道が閉ざされていないことを知り、意外な気がしました。

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『素直さ』は美徳

2012年11月11日 | 友人・知人

時々、japan-guide.comのペンフレンド(友人)紹介サイト

http://www.japan-guide.com/local/index_j.html

をリサーチを兼ねて覗いていますが、先日、日本の10代の女性が載せていた募集広告を見て、心配になりました。

この女性の広告、英語はおそらく翻訳ソフトを手直ししたものであり、正直に言うと英語自体は滅茶苦茶だったのですが、彼女が本当に外国人の友人を作りたいという気持ちはわかりました。

「私は英語がぜんぜんできないけど、外国人の友達がほしいです。」や「英語を教えてもらいたいので、英語圏の人、友達になってください。」と日本語で募集を平気で載せている自己中心的な若い人の広告も少ない中、下手ながら英語を使おうとする彼女に好感を持ちました。

ただし、彼女の広告、最後に、「性別は問わない」というニュアンスの文があるものの、途中、“Mr. foreigner”“play with” という言葉が使われていたので、

「この女性は、play withを、日本人感覚で『遊ぼう=お茶を飲んだり、映画を見たり・・・』と無邪気な意味で使っているのだろう。これに返事をしてくる男性はおそらく(性的)遊び目的なのに、英語を良く理解していない若い彼女がそうした人と無邪気に会ってしまったら危険。」と危惧し、おせっかいかとは思いましたが彼女に連絡をいれました。

「おせっかいと知りながら、忠告させていただくと、

“Play with”というのは大変危ない言葉です(性的な意味)。

これにメッセージを送ってくる男性はマトモな人ではないはずです。

あなたがそれを目的としているのなら良いですが、単に「誠実な外国人の友人」がほしいのであれば、広告を出しなおした方がよいですよ。」

すると、この女性からすぐに自分が意味を知らずに載せていたということと、感謝の連絡が入りました。そしてそのあと、少し短いやり取りをしたところ、

「親切にしてもらい、ありがとうございました。

忘れません!!

おかげで早く、英語を上達したいと思う気持ちが強くなりました!

また連絡するかもしれません(>_<)

その時はよろしくお願いします。

(後略)」

という言葉。

こういう言葉をくれると、“おせっかいした小母さん”もうれしいですが、その前に、やはり人間は『素直さ』『謙虚さ』『柔軟性』があるかないかは、それが人生にとって(あまり好きな言葉ではないですが)損得の分かれ目だろう・・・と改めて思います。

素直さ、といえば、ある若者を思い出します。

彼は3人兄弟で、兄達は国立大学に行くほどだったのですが、末っ子である彼は高校で引きこもり生活。進学せずに、コンビニのアルバイトをしながら、ミュージシャンを目指していましたが、ある日、コンビニの店長に、

「ミュージシャンを目指すのはよいけど、ミュージシャンで食べていけなかったときのことを考えて、何か資格を取った方がよいよ」

というアドバイスを受けました。

普通だったらそこで聞き流してしまう人が多いだろうに、彼はその言葉どおり、資格を取ろうと簿記の資格をとり、その面白さに目覚めて25人の社員(パートも含む)がいる会計事務所に就職。

ここの会計事務所の所長は本当に彼を可愛がり、将来はこの会計事務所を継いでもらいたいと公言するくらい彼を買っています。

そして彼自身もこのコンビニの店長と会計事務所の所長に対する感謝の気持ちを失わず、仕事、そしてネパール関係のボランティア活動、そして日本の伝統のものを身に着けたいと、尺八も習いだし・・・。

妻夫木聡似で、いくらでももっと派手な生き方もできそうだったここの若者、一見地味に見えることでも誇りを持ち、そして本当に楽しそうに毎日を過ごしています。

これは、彼が真剣にアドバイスを与えてくれるコンビ二の店長や、自分を可愛がり育ててくれる会計事務所の所長に出会えた『縁』『運』とともに、『素直さ』を持っていたからこそ、今があるのではないかと思えます。

素直さは美徳、です。

(ま、信用できる人とできない人を見極める嗅覚なしでは、素直さが致命傷になることもありますが・・・。)

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ロナルド・ドーア氏と新著『日本の転機』

2012年11月09日 | R.Dore

ロナルド・ドーア氏の新著『日本の転機』(ちくま書房)が発売されました。

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20121013

彼がこの本の構想を立て始めたのは1年前で、それを彼から伺ったときは、正直に言うと、「内容が過激な上、日本の安全保障の提言(私は誰であれ、外国人が日本の安全保障に提言することを嫌っています)、一人よがり」という印象を受けました。

それは『原発や核兵器に対する彼の考えを除いて尊敬するドーア氏』に対して私に失望感を抱かせ、そのことを私は直接ドーア氏に直接言ったこともありました。

が、ドーア氏は、まったくそのこと(私以外にも批判的な人は少なくなかったはず)は構わぬような気配。

そんなところで、韓国、そして中国と日本の関係が悪化、ナショナリズムの高揚。

「これで本の行方はどうなるだろうか」と思いながら、「日本も核を持つべき」とも言っていたドーア氏に、「(ドーア氏が)軽蔑する石原氏と、結果的には同じ主張をすることになりそうですね」と嫌味まで書いてしまったりしていました。

そして、この本を目にするのを半ば恐れていた私でしたが、読んでみて、その内容が危惧するほど過激でもなく、そして、『日本の転機』という題名を『世界の転機』と変えてもよさそうなくらい、国際政治にかかわったり、関心がある人には楽しめるものであることに気が付きました。

これはおそらく領土問題勃発後、彼の構想を変えざるを得ないこともあったでしょうし、出版社、編集者のご尽力があってのことでしょう。

さて、しかしながら・・・この本の主のテーマは、副題「米中の狭間でどう生き残るか」にあるとおりなのですが、この本でドーア氏が言わんとしていることは、『序にかえて』で紹介している言葉、『克己(誰よりも客観的に自分を見る目を失わずに、身体を鍛え、知性を身につけ、自分の仕事を厳しく評価しながら常に進歩し続けること)』の大切さなのではないかと思います。

ドーア氏、あとがきで、

「世の中が変わりました。しかし一つ変わらないのは、友人の刺激、友人と議論して生まれたアイディア、友人の批判の大切さです。」

と述べられていますが、『克己』という言葉は、日本人に向けてだけでなく、ご自分も含んだ、世界の人々に向けての言葉であったのでしょう。

『克己』の「客観的に自分を見る」というのは、「客観的に自分の国を見る」ということであり、「知性を鍛え」というのは、「一つの意見、考えや一つの見方に固執しないで考える(自分の好きな意見だけ聞いて、反対意見をすべて切り捨てるのは、これは宗教みたいなもので、『知性』ではないと思います。)」、道は長いですが、修行しなければ・・・。

(本当は国の指導者達が率先してしなければならないのに、その必要性を感じることができる政治家が今いるのか疑問。)

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徴兵制度ができたら”ネット右翼”は喜ぶか

2012年11月08日 | Nationalism

前回のエントリーで、ジョン・ダワー氏の動画のリンクを紹介しましたが、この動画サイトのコメント欄に二つのコメント:

「アメリカの建国の理念に群がり自由競争とかいって金のために自分<wbr></wbr>?の国を捨てた人間たちが何を言うか!アメリカの1%の化け物を作<wbr></wbr>?ったのはアメリカ人自身だ。

それがグローバル、TPPとかいって世界や日本を蝕み続けてる。

アメリカを信じてる日本のトップもどうかしてるがとっとと軍事的<wbr></wbr>?にも経済的にも独立するほうに日本は切り替えたほうがいい?

「日本人もひどいことをしたとかいってるけど、具体的に言って欲し<wbr></wbr>?いなあ。

アメリカ人ほど酷いことは殆どやってないと思うぞ。

強いて言えば、特攻隊や玉砕など自国の民の命を余りに軽く見て簡<wbr></wbr>?単に死に追いやったことぐらいだ。

それだって一人の人間の死に様、それは生き方に通ずるとしては、決して唾棄すべき醜い価値をを持つ物ではないと思う。

真に唾棄すべき醜い価値に彩られたものは、それこそ実はアメリカ<wbr></wbr>?からくる物質本位そして自分本位の物の見方、考え方、価値観に他<wbr></wbr>?ならないのではないか。」

こういう乱暴な思考回路の人のコメントには(他人の動画サイト上といえ)ため息がでます。

前者は『お門違い』なだけですが、後者を書き込んだ人は無知なのか自己本位すぎるのか。

最近、日本の政治家のなかで日本でも軍事行動ができるようにと声高に叫ぶのが流行っている気がしますが、仮に今後徴兵制度ができた場合、こうした自国のことしか見えない“愛国者”だけを「徴兵してあげればよい」と思います。

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ジョン・ダワー氏の『戦争の文化』

2012年11月06日 | 戦争・紛争

ジョン・ダワー氏のことを前回のエントリーの最後に書きましたが、ついでに彼の動画のリンク(by touhokushienさん)を貼り付けます。

戦争の文化 / ジョン・ダワー John W. Dower / Cultures of War

http://www.youtube.com/watch?v=NvcAgUOL3w4

題名は『戦争の文化』となっていますが、戦争だけでなく、民主主義という名の下に非民主主義が横行してきている話もしています。

はっとさせられる言葉もいくつか。よかったらご覧ください。

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消された『大東亜戦争』という名称、本当の教育とは

2012年11月06日 | 教育

『楽しい』の反対語は『苦しい』と学校では教えていると知りました。(私も昔教わったはずですが、すっかり忘れている)

テストでこの答えを書かなければ間違いとされ、たとえば「つまらない」と書けばバッテンとなってしまうらしい。

こうした単純化した教育は、国語の場合はその理不尽さには気が付きやすいですが、歴史の教育については気が付かない人が多いと思います。

最近、アメリカ人のティムさんや、ドイツ人のトーマスさんが尖閣諸島問題もからんで、戦争、政治について書いてくることが多いのですが、その都度ドイツと日本の教育のギャップを感じます。

一方、日米では大差なく感じ、特に「教育は自国に都合の悪いことはあまり教えていない」という点も同じ。

アメリカ人のティムさんは、日本のパールハーバー襲撃を米政府がキャッチしていたことも知っているし、教科書で「原爆投下は正しい」と教えていても、鵜呑みにしていません。また、従軍慰安婦が韓国人だけではなく、中国人やフィリピン人、それからオランダ人などがいたことまで知っているくらい、太平洋戦争について調べたりしているようです。

とはいえやはり彼は戦争の加害者、被害者を単純化する傾向があり、戦争においての『米国の正義』は揺らぎません。

そして、日本が中国や韓国に対してしたことの反省ができないでいることと、日本の大企業が不祥事を起こしたとき(最近では東電)の反省のなさの共通点だけを問題にします。

日本がアジアにしてきたことの反省が足りないことや、日本の大企業の責任の取り方の問題については、私も彼と同意見ですが、『米国の正義』という点には私は首をかしげることも多いです。

そんな彼に先日、

「米国が、戦後、『大東亜戦争』という言葉を使うことを禁じて、『太平洋戦争』と呼ばせることにしたのを知っていますか?

この名前によって、日本人はこの戦争の相手が『米国(連合国)』であるだけのような錯覚をおこし、米国はこれを利用。日本も、こうした教育をほどこされてきたことで、米国に従いはするけど、アジアに対しての反省心は希薄、ということもあるのではないか、とも思ったりします」

と書きました。

ティムさんは、これは全く知らなかったようですが、あまり重要とも思えていないようでした。

大東亜戦争について米国がこれを変えさせた表向きの理由は、「日本が、『あの戦争をアジアを西欧の植民地化から守るための戦争』というつもりで名づけていた」ということだったと思いますが、だからといって、(戦争の期間限定の)『太平洋戦争』という名称だけを使わせるようにしたこと、これは特に中国や韓国、北朝鮮、台湾への謝罪までも、米国に向けさせることになっていったのではないか、と私は思います。

大東亜戦争といえば、以前、私より5歳ほど年齢が上の女性に、

「“大東亜戦争”って、一般的に何年からを指していると思います?(大東亜戦争を1941年からの太平洋戦争と同義とする説ほか、1931年の満州事変以降、1937年盧溝橋事件以降説があり)」と聞いたときがありますが、そのとき彼女は、

「ダイトウア戦争って、どこの国の戦争でしたっけ?」と照れながら質問し返してきたことがありました。

この女性は資格を持って働くキャリアウーマンであり、休日にボランティア活動をするような人だったので、私はこの回答に驚きました。しかし、まあ良く考えてみれば、『大東亜共栄圏』という言葉こそ教科書に載っていたかもしれませんが、『大東亜戦争』という言葉は載っていなかった(載っていても注意書き程度)でしょうから、この彼女の返答があってもおかしくなかったのかもしれません。

ともかくも、昔教育を受けた小父さん、小母さんはもう手遅れの人がほとんどでしょうが、これからの子ども達には、暗記させるだけだったり、単純化ではなく、『考える、いろいろな見方、事実があることを教える教育』を受けさせるようにしていってほしいと思います。

なお、教育というと教育現場だけの責任にされてしまいますが、たとえば、偏った教科書を反対するのなら、親達が「こういう見方もある」「こういう事実もある」と子どもに教えてあげたらよいのでは、と思います。(「テストで子どもが混乱する」と心配する親は無理かな・・・)

蛇足ですが、戦争、戦後史に関して、ジョン・ダワー氏の本など、読んでみるのもよいかもしれません。

ウィキペディア ジョン・ダワー

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AF%E3%83%BC

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