Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

増税は富裕層から先に

2011年08月30日 | 社会(歴史・都市計画含む)

野田佳彦氏が新首相に就任することになりました。

正直に言うと、この野田氏のことを私は余りよく知らないので、評価のしようもないのですが、少なくとも海江田氏が就任しないですんで胸をなでおろしています。

(それにしても、野田氏のお顔を見ていると、福助(陶器の貯金箱)が頭に浮かんできます。日本に『福』を運んでくれると良いですが・・・。)

さて、野田氏といえば、野田政権になったら、増税はもう避けられないでしょう。

といいながら、私は『増税』自体は必要であると思っていますので、それに異論はありません。

が、どこを増税するか、が問題。

そして、もちろん増税の前に、無駄を削ることも必要です。

左のブックマークにも載せている『イタリアに好奇心』さんが、先日イタリアの緊急財政策を紹介してくださっていました。

『緊急財政、可決』

http://senese.cocolog-nifty.com/koukishin/2011/08/post-1c35.html

全文:

財政を切り詰めるいくつかの柱は次の通り。

1.連帯税として、年収9万ユーロ以上の人は税率が5%(5ポイント)あがる。年収15万ユーロ以上の人は10%(10ポイント)あがる。

2.政治的コストのカット。30万人以下の県を廃止(イタリアには約100の県がある)。1000人以下のコムーネ(市町村)は統廃合する。議員歳費の削減。

3.公費の削減。省庁への歳費を60億ユーロ削減。また、州および地方公共団体への歳費を60億ユーロ削減。

4.年金および福祉予算。女性の年金支給開始年齢を段階的に65歳に上昇させるのを2016年へと前倒しする。

5.株式などの債券の利益に対する課税を12.5%から20%へと上げる。ただし国債は除く。銀行預金への課税は27%から20%へと下げる。

6.祭日の削減。4月25日、5月1日、6月2日といった宗教と関係のない祝日は、日曜日にあたらない場合でも日曜日に祝うことにして、平日の場合、休みにしない。

7.経費削減の目標に達しなかった公務員にはボーナス(13か月目の給料)を支給しない。

8.水道事業を例外として、地方の公共サービスを提供する事業者の私営化と自由化の推進。

前にイタリアの友人のルイジさんと“コロコロ変わる日本の首相”について話していたときに、彼から「でも、マフィアが絡んでいて、おまけにTV局や出版社と繋がりがあり、いつまでも居座るベルルスコーニがいるイタリアから見れば、日本の方がマシ」と慰められたことがありました。

しかし、上記の案を見ると、まだイタリアのポイントの方が高いような気がします。

(もちろん、8本の中には問題となるものもあります。)※9/1現在、伊政府、1と4を撤回

さて、上記のと関連しますが、先月は米国で大富豪ウォーレン・バフェットが、スーパー・リッチの税金を上げることを提言していました。

New York Times (2011.8.16)

Stop Coddling the Super-Rich

http://www.nytimes.com/2011/08/15/opinion/stop-coddling-the-super-rich.html

最近フランスでも、大手企業経営者からそういう声が出てきています。

ロイター

『「われわれ富裕層に増税を」、フランス富豪らが政府に嘆願』

http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-22841020110824

村野瀬玲奈の秘書課広報室

『自分たちへの増税を訴えるフランスの経営者・富豪たちのアピール』

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2781.html

以前に書いたブログ『『ロックフェラー回顧録』を読んで』のなかで、

「ビジネスの喜びの一部は、自分のやり遂げたいことをやり遂げ、重要な目的を達成し、無我夢中で永続的な価値のあるものを構築することにある。利益の追求とは個人の充足感に加えて、実業家は貸借対照表と損益計算書だけでなく、労働者や広くは地域社会のニーズをもとにして決定をすべきだ、というのが私の論だ」

というD.ロックフェラーの言葉を紹介しました。

市場経済資本主義のなかでは、富裕層の税率は抑えられる傾向があると思いますが、欧米の富裕層のなかには税金で払わなくとも、社会貢献にお金を出す人たちもいます。

上記の「富裕層にも増税を」を唱えている欧米の人たちの中には、「社会貢献的」な意味より「国民の批判を逸らすだけ」と思われる人もいますし、そもそもバフェットとフランス勢とは主旨が違うと思います。しかし、いずれにしても、日本はこういう大企業経営者がでてきません。

日本の所得税の最高税率は1974年は「8000万円以上の所得者は75%」、現在は「1800万円以上の所得者は一律40%

(ウィキペディアの所得税参照:

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%80%E5%BE%97%E7%A8%8E

「社会的貢献をしないまま、税金は低めにね」という富裕層が多い日本。

こうした所得税の税率の見直しをしてから、庶民の税負担を上げる・・・ということなら、増税も納得する庶民も増えることでしょう。

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介護する側の人権

2011年08月29日 | 福祉・医療

5月下旬から、脳梗塞、心不全他の病気で入院している義父ですが、高次脳機能障害を負い、①失語症、②コミュニケーションに不都合、③時々短い癇癪を起こす、という症状はありますが、食事は柔らかくしたものなら自分でも食べられ、立ち上がるのには少しよろめきますが、歩けるようになりました。(トイレも付き添えば、行ける状態。)

先週、主治医は義母に「一度転院し、1~3ヶ月たってから自宅で介護」を奨めたとのことですが、義母は自宅で介護をする自信がないと言っています。

入院してから毎日病院通いをして数時間を過ごしている義母ですが、彼女のなかには介護の不安と同時に、「自分の生活を義父の介護ですべてに捧げたくない」という気持ちがいくらか入っているのだと思います。

(後者は「義母が義父を疎んじる」ということではなく、これは、介護する人を抱えたときに、皆多かれ少なかれ持つ正直な気持ちでしょう。)

とはいえ、一度転院のあとに入所すべき施設に空きが出るまで順番待ちは長そうで、義母が希望したところで施設に入所できるかどうかはわかりません。

(この話をしているとき、ふと、「義父のようなケース-デイサービスを使ったとしても、毎日家で面倒を見るには家族の負担が大きい。、だけど、完全に施設を頼らなくてもやろうと思えばできる。」という場合に、「施設に1週間の34日を入所させてもらい、残りは自宅」というベッド・シェアリングのようなシステムというのはできないものか、と考えてしまいました。 

まあ、これは『ワークシェアリング』と同じで、希望者がいても事業者にはあまりメリットがないので、普及しないのでしょうが。)

さて、介護を抱える人の問題では、先週、自宅で痴呆症状が重い父親と病気で入退院を繰り返す母親の面倒をみているという40代の女性の話を読みました。

この40代の娘は介護で体も壊し、正社員を辞めて両親の世話をするのに付きっ切り。あるとき追いつめられて自殺しようとして家を飛び出したところ、母親から平仮名だけのメールが携帯に入り、そこには「かえってきて。ごめんなさい。」と書かれていて(母親は携帯のメールなど普段使い慣れていないのに、必死に打ったらしい)、我に返って自宅に戻った・・・というような内容であったと思います。

義母のように、「介護するといっても子どもや嫁や孫の手も頼りにすることができて、そして一応施設に入所させるだけの余裕もあり、しかも介護すべき人は一人」というケースでも「自分の人生を犠牲にする」という意識が沸くのに、この40代の女性のような「頼る人もなく、介護者も2人、そして施設に入れる余裕もない」という場合、選択肢もないままに、自分の人生を犠牲にせざるをえません。

(だいたい、高齢の両親が亡くなったら、親の年金も入らない、仕事もない、ということで、彼女は無収入になってしまいます。)

そしてまた、こうしたケースだけではなく、高齢となった夫や妻が、障害や病気を抱えた配偶者の面倒を一人で見ているケースもあります。

「介護ノイローゼ」「介護心中」のニュースを見るたびに、こうした介護犠牲者たちを救うシステムつくりを早急にして欲しいと切に願ってしまいます。

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原発事故-加害者意識のないエリートたち

2011年08月28日 | 原発・核・311

昨夜は、NHKスペシャル「日本新生」徹底討論、私たちのエネルギーをやっていました。

この討論会で、丹治さんという、福島市在住の38歳の男性が、「私たちは被害者であり、世界を放射能で汚染させてしまった加害者です」と述べられていました。

実はこの言葉を聞いて、(彼の心中を思いながら)不覚にも涙をこぼしてしまった私です。

この「被害者であり、加害者」という言葉は、福島の一市民が言うのではなく、交付金や雇用がほしくて、福島に原発を誘致した福島の代々の知事、市長や議員、地元有力者たち、そして、地域格差を野放しにしたまま、お金のない土地に札びらで顔を叩くような真似をして原発を引き受けさせた日本政府が言うべき言葉のはずです。

昨日は次期首相を狙う5人の記者会見もやっていましたが、彼らすべての発言のなかに「日本は加害者でもある」という言葉は当然なく、「いかに原発を維持していくこと」にしか興味がなさそう。

最近、「時代刺戟人」というジャーナリストの牧野義司さんのブログのなかに、

“現に、中国人の友人の話でも、中国の中央テレビはじめメディアがまるで中国国内で起きた原発事故かと思うほど、ほぼ24時間、連続的に放送し、否が応でも事故に巻き込まれた、と述べている。

 また、知り合いの早稲田大大学院元教授で、早大中国塾主宰の木下俊彦さんは今年329日、上海社会科学院から講演依頼があり、「東日本大震災(M9地震、大津波、福島原発事故)と中国への教訓」というテーマで講演された。大学教員の人たちの関心度は高く、突っ込んだ質疑があったが、大きな流れとしては、原発推進は必要であること、ただし安全性の確保を徹底することの2つだった。それでも福島原発事故が微妙にからんで自国の原発を不安視していることは間違いなかった、という。”

http://kenja.jp/stimulus/?tar=149より)

という話が書かれているのを読んで、大変違和感を覚えました。

それは、中国の人たちをこれほど不安にさせたのは日本なのに、それを反省することもなく、逆に「安全を確保して原発を推進を」と言える神経が私には理解できなかったからです。

そしてまた、それとは別に、中国という日本に近い場所に原発をたくさん作ることは、それだけ日本もリスクを負うことになる、と思うからでもあります。(ブログ記事でこの点の問題を挙げていますが、今まさに迷惑をかけている立場から書くにはあまりに傲慢な書き方。)

「日本人の美徳といわれる謙虚さ、誠実さ」-これはエリートの人たちからは、失われつつあるのでしょうか。

さて、先のNHKスペシャルについて、上小30山さんが説明してくださっているので、リンクを貼り付けます。

NHKスペ 日本新生 徹底討論 私たちのエネルギー を見た。』http://js30.at.webry.info/201108/article_27.html

また、交付金についても。

『昨日の臨時ニュース』

http://js30.at.webry.info/201108/article_23.html

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Tomoe's Japan Culture Presentation in Ann Arbor

2011年08月27日 | 友人・知人

友人のトモエさん(ブックマークのURARA’S PASSION DIARY参照)が、7月にアメリカのAnn Arborで、日本文化紹介イベントをしてきました。

彼女は、このイベントを実現するのに3月の地震のあとにアメリカに一人飛び立ち交渉、そして英会話学校の生徒さんたちと一緒になってそれを実現させてきました。

妻、母、英会話学校のオーナー、その他もろもろ異文化交流等のために毎日休むことなく活躍している彼女(秘訣は自らが楽しむこと、らしい)、実はこの間体調も悪かったりしたのに、そんなところも見せずに・・・彼女からは、私も力を貰っています。

彼女がこのイベントのスライド・ショーをYoutubeにアップしました。

写真と音楽を楽しんでください。

Japan Culture Presentation in Ann Arbor

http://www.youtube.com/watch?v=P_B9jCBGBF4

(アナーバー、ナイアガラ、プリンスエドワード島他の写真と音楽に乗せて-

内容は彼女のブログからどうぞ。

http://plaza.rakuten.co.jp/urara0115/

このYoutubeを、トモエさんとも友人になったアメリカ人の友人ティムさんにも送ったところ、彼は以下のコメントをくれました。

It is always interesting to see what someone else thinks of the US.  It looks like they all had a good time and met lots of interesting people.

I also enjoyed seeing people in the US who are larger than the Japanese in yukata which were a little too small.

-「自分の国に興味を持ったり、関心を寄せてくれている人」はもちろん、「彼ら自身の国の文化を紹介してくれる人」「交流を求める人」というものも何処の国の人であっても嬉しいもので、その繋がりはどんなに小さいものであっても、チリも積もれば大きな力になると、私達は信じています。

イベントを企画するまでいかなくても、まずは自分の国に誇りを持ち、そして他国に対しても興味を持つことだけでもOK!

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原発輸出とJBIC融資とODA(JICA)

2011年08月27日 | 国際協力・プロジェクト

久しぶりに、良いニュースがありました。

ヨルダンと日本の原子力協定の国会での承認が、4月に引き続き今月24日の国会でも見送られました。

これは、NPO法人「環境・持続社会」研究センターの田辺有輝さんの国会での発言が大きな歯止めの役割を果たした結果です。

以下、今月8月の初めの彼と福島瑞穂さんの対談のリンクと全文を貼り付けます(瑞穂さんのブログより)。

なお、途中瑞穂さんが途中「原発事故が起きたときのリスクを輸出側が負う」ことを心配されていますが、これは契約によるのではないかと思います。しかし、相手国が返済できない状態になったときは貿易保険が使われるので、間違いなく間接的に日本国民に負担がはねかえることになるでしょう。

http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/blog-entry-1895.html

福島

 どうも皆さんこんにちは。今日は「環境・持続社会」研究センターの田辺有輝さんに来ていただきました。原発の海外輸出の問題について、政府は原発の海外輸出をあきらめたとは言っていません。議論にはなっていますが、どういう問題があるのか、しっかり話をしてもらいたいと思っています。

 私も10年前、日本のプラント会社が台湾に原発を輸出するというので、当時、衆議院議員の山内恵子さん、北川れん子さんと一緒に3人で台湾の現場に出かけたことがあります。今、とりわけ原発輸出が言われているので、そのことの問題点を、今日は田辺さんにしっかり語っていただきます。よろしくお願いします。

 田辺さん、今、日本の原発輸出の計画はどういうものがあるか、話してください。

田辺

 福島事故の前までは、まず一番有力だったのはアメリカでした。ところがアメリカは福島の事故でこれは採算が合わないと現地の企業が言い出しまして、今それで中断しています。次に有力だったのがベトナムでした。ベトナムは引き続き、事故以降、特にやめるということは言っていません。

 今、経済産業省の予算を使って調査しているところなんですが、この後続けば実際に輸出ということになると思います。それから福島事故以降大きなテーマとして上がってきたのがリトワニアの原発で、日立が優先交渉権を獲得したんでこれから交渉してもし続けば、JBIC(国際協力銀行)の融資がつくかもしれないというところですね。 後はトルコで、トルコは福島の事故以前に交渉をしていたんですが、事故の後に日本が検討すると言ったので、だらだらしていると韓国とまた交渉しちゃうよということで脅しをかけてきているというような状況です。

福島

 7月にギリシャに行ったときに、トルコに占領されているキプロス、あるいはギリシャも、トルコは地震が大変多いですから、トルコが原発を建てるということに周辺の国やキプロスは大変危機感を持っていて、何とかやめてほしい、反対という声もものすごく聞きました。地中海全体がどうなるかという話ですね。

田辺

 ベトナムでも、タイの方々はベトナムに近い地域なので、ベトナムに建設するのは反対だということでデモや集会をやっているような状況です。

福島

 日本を脱原発にするということと、世界の中でも原発を減らしていく、なくしていくということがだいじだと思うんですが、一方で日本が原発を輸出するという問題があるわけですね。

原発を輸出する問題点について話してください。

田辺

 いろんな問題点があるんですが、まず大きいのは安全性だと思います。例えばベトナムは2007年にODAで日本が融資した橋が大崩落して死亡事故が起こった例もありますし、それから汚職の腐敗が非常に激しい国ですので手抜き工事などもあると言われています。技術・施工・運営がきちっとされないと原発はきちんと動かないものですから、その点で第一に、技術の裾野、安全性の裾野がしっかりしていない国に、輸出する、原発を持っていくというのは非常に大きな問題です。

 それから二つ目としては経済性の問題があげられると思います。例えばアメリカなどでは、すでに再生可能エネルギーの方がコスト的に優位で、そういうことがあってアメリカの事業者はやめているわけで、これを仮に新興国に持って行った場合にも同様なことが言えるんじゃないかと思っています。経済性の点では、通常のコストもそうですが、事故が起こった際に、日本でもこれだけ国家財政にのしかかってくるわけですから、途上国で10兆円とか20兆円という財政負担がかかるとすればものすごい負担になるだろうと思います。

福島

 日本の事故もチェルノブイリの事故もそうですが、国境を越えて放射性物質が流出するということもあるので、被害という面もありますし、全ての人の命がそれで危機に陥るわけですものね。それで、アメリカに輸出する際もアメリカのシティ銀行などは、あまりにもコストがかさむのでリスクが高いという判断をしたとも聞いているんですね。

 もう一つ、日本が原発を輸出するという時に、JBIC(国際協力銀行)がかんでいると。つまり、原発を輸出すると、日本が儲かると思うかもしれないけれど、どうってことない、日本の財政投融資などが債務保証、あるいは融資というかたちで使われる可能性があり、ベトナムの場合には実際そういわれていますので、結局日本の国民のお金が使われる、しかも工事が長期化して膨大になると輸出するプラント会社などは儲かるかもしれないけれど、国民にとってはどうなのか、JBICのことなどについて話していただけますか。

田辺

 例えばJBICが福島事故以前に検討していたアメリカの例で言うと、アメリカのテキサス原発では4千億円の融資がJBICから期待されていました。4千億円という数字は、JBICの資本金が1兆円ですのでその4割に当たると。これがもし焦げ付いたらまるまる国民の税金で負担しなくちゃいけないということで非常にリスクが高い案件だと思います。

 例えば、韓国がUAEに原発の輸出を決めましたけれど、あれも約1兆円を出すといわれています。ただ韓国は自分でお金を持っていませんので、国際市場から調達して、韓国とUAEの間ではUAEの方が格が上ですので、韓国が高く国際市場から借りてきて安くUAEに出すということで、韓国の例はまさに、失敗してもいないのに国民負担がのしかかっているという状況です。

福島

 JBICのお金の出し方、融資をするというときに、日本の国民の何が使われるんでしょうか。

田辺

 JBICの資本自体は主に一般会計から出されているんですけれど、財政投融資、今は財投債ですが、いわゆる国債が使われています。なので、国債でJBICだと10兆円くらいの規模で運営していますので、国債を買っているのは銀行とか郵便貯金、年金ですので、われわれのそういったお金がJBICの融資に当てられているということです。

福島

 国債を買っていらっしゃる国民のみなさんもいらっしゃるでしょうが、年金機構のお金は国債を買って運用したりもしていますし、そうすると大事に使ってもらわなければいけないお金で、運用することがどうかという議論も国内にはあるのですが、それが原発の輸出のために使われるとするとほんとにリスクが高いという、そんなことのために日本の国債、財政投融資を使うな、という面もすごくあると思うんですよね。

 だから、ある企業が勝手に海外に原発を輸出するという話ではないというところが、この原発輸出、国策として輸出するところのミソだと思うんですがいかがでしょうか。

田辺

 銀行、郵便貯金のお金が使われるということで、失敗したらそれをわれわれ国民がかぶるということですね。

福島

 しかもダムや道路の建設もそうですが、原発の建設もどんどん初期よりも膨れ上がるということがありますね。しかもベトナムも今原発はゼロなわけですから、これから立地を決め、法律を作り、体制を作りなので、ほんとにうまく行くかどうか、うまく稼働するかどうか、安全なのかどうか、期間に終わるかどうか、そして原子力賠償損害機構法案、今まさに参議院で議論中ですが、その問題も起きますものね。

 つまり、原子力発電所が事故を起こしたときに、それを誰が負担するのか。焦げ付いたり、パーになると回収できないということになると、国際をつぎ込んだら日本はそのまま負担をするんでしょうか。

田辺

 JBICは引当金というのを積んでいますけれど、仮に4千億が吹っ飛ぶとそれでは全然足りませんので、JBICの今の規模を維持しようとするとやはり一般会計から出さざるを得ないでしょうね。

福島

 原発はとてもリスクの高い電力だということが明らかになったわけで被害が起きたら大変ですものね。人命とお金と両方ぶっ殺してしまうという。

田辺

 日本では経済産業省の中で、原発を推進している部署とチェックしている部署が一緒だと、これはガバナンス上問題じゃないかと言われていますけれど、まさに輸出においても、輸出の許可を出すのは経済産業省なんですが、このままいくと、JBICが最終的にお金を出す前にチェックするんですが、現状のフレームワークで行くと、原発を推進している経済産業省が原発危機のチェックをする、安全性とか、核拡散のチェックをするという体制になっていますので、これはまさに原発輸出においてもガバナンスの欠如ということがあると思います。

福島

 たしかにそうですね。日本の中に原発を建てるんだったら、保安院の審査がある、それがでたらめだったというのは福島原発事故で明らかになったわけですが、それを輸出したさきのベトナムで安全審査基準がどうなるかはわからないですものね。

田辺

 今検討されているとは思うんですが、日本でも安全性は、技術的には後から考えれば、堤防を高くする、電源を確保するとか、別に技術的にそんなに大きなハードルがあったわけではないのですが、チェックしている体制というところでチェックしきれていなかったのが大きいと思いますので、まさにベトナムなどのようなガバナンスの国ですと、日本ももちろん問題ですが、日本以上に厳しいんじゃないかなと思います。

福島

 原発輸出の時に経済産業省がチェックをし、全部経済産業省がやるからチェックができないというのはおっしゃるとおりですね。それから今、お話を聞きながら思ったのですが、原発を建てるときに安全かどうかという議論をし、環境アセスメントをやり、それから立てましょうというのが筋ですが、でも、原発輸出って、まず原発輸出するぞというのが先にあって(田辺:そうですね)、それから現地の安全性というのがあるとすると、最近やらせと結託、政官業学癒着がありますが、むしろ日本政府とベトナム政府とJBICがきちっと合意して輸出すると決めたら、そこでの安全性というのはものすごく場合によっては甘くなっちゃうんじゃないですか。

 つまり、もういらない、建てないぞということがとても言えなくなってしまう。どうでしょうかね。

田辺

 面白いのは、ODAで再生可能エネルギーというのは今わずか6%なんですね。これを外務省にもっと引き上げてください、もっと再生可能エネルギーをODAでやって下さいと言うと、いやこれはその国の意思決定があるからなかなかうちが再生可能エネルギーを押し付けるわけに行かないんですと言うんですよ。だけど原発は全然逆で、原発をやろうと日本が決めて、ODAで直接原発はやりませんが、ODAで周辺インフラをやるというようなことで大方針を掲げていますから、原発と再生可能エネルギーの温度差はものすごいですよ。

福島

 そうすると、ODAで原発のまわりのインフラ整備をするんですか。パッケージインフラというのは、政府で20106月の新成長戦略でパッケージ型インフラ海外展開を提唱で、パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合で原子力発電重点分野と。このパッケージについてもう少し話していただけますか。

田辺

 原発輸出をするには単に原発の機器だけでなく、いろんな研修をしたりするのがまず最初に必要ですし、原発の立地調査のお金も必要です。それから実際にウラン燃料を運ぶには港が必要ですし、原発作って送電線につなげるために送電線が必要。原発そのものへのODAはいちおうOECDで禁止されていてそれはできないんですが、例えばウランを運ぶための港を作る、周辺の道路を作る、送電線を作るというのは周辺インフラなので、それはOKだというふうに言われているんです。産業界はそこをODAでやってくれとものすごく要請しています。

福島

 そうすると、日本の国内でいわゆる過疎地に対してやっていたことを、場所を変えて発展途上国に行くということですね。それが日本の中だと電源三法による交付金だったのが、ODAだったり、JBICが融資しますよ、負担かけませんと言いながら、でも危険を持っていくという形ですね。でも、日本国民にとっては、これは全然もうからない話ですよね。

田辺

 もうからないというか、非常に経済的にリスクが高いですね。

福島

 だから財政投融資を使うというところがやはり大きなことで、これが新成長戦略と言われているけれど、日本の成長や人々の幸せにはならないし、事故が起きればそこが問題だとなるわけですね。原発輸出はODAでは禁止されているのは、それは核不拡散の観点からですか(田辺:それは・・・)。

 日本では脱原発依存社会というのを総理も発言し、脱原発の動きはほんとに強まっています。ただ、原発輸出は止まっていない。ベトナムについてもリトアニアについても止まっていないわけで、その点では日本の原発輸出を止めさせるように、もっと言えば、他の国の輸出についても、わたしたちはおかしいぞということを国際社会の中でしっかり言っていきたいと思っています。原発輸出、日本の損になるよ、日本の国民の損になるし、地元に危害を与える可能性があると、これを是非止めるように一緒にがんばっていきたいと思っています。今日はどうもありがとうございました。

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ル・モンドのポンス記者と寺島実郎氏の意見、そして井戸謙一元裁判長の言葉

2011年08月26日 | 原発・核・311

おなじみフランスねこさん(ブックマーク参照)がブログで、ル・モンド紙日本特派員のフィリップ・ボンスの記事を紹介してくれていました。

『国は私達を守ってくれるのか?「広島から福島へ 原子力の悲劇は続く(その1)」ルモンド紙(86日)』

http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/86-5756.html

『国は私達を守ってくれるのか?「広島から福島へ 原子力の悲劇は続く(その2)」ルモンド紙(86日)』

http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/286-fb5d.html

この記事のなかでポンス記者は以下のように述べていますが、まさに、ずばり問題の本質を突いてくれています。

“福島原発の事業責任者である東京電力の腐敗や、原発に賛成か反対か、という問題以前により重要なのは、国民を守ることをしなかった国家の問題であり、国民を代表していながら国民を放射能から守るという当然の期待を裏切った国会議員における問題である。国家は国会議員同様、国民が危険を知らされる権利を無視し、無視したのでなければそうした権利を剥奪した。”

“国民は、政府が危険な道具を制御するための器具を持ち合わせていなかった事実を発見した。原子力産業の監視を行う最高機関が原子力の推進を受け持つ経済産業省の指示下に置かれている。そして経済産業省は各地域で電気会社が市場を独占し、自らの決まりを人々に強制するのを許してきた。1990年代の終わりに現状を変えようとした幾人かの経産省官僚たちは政治家たちに道を塞がれ、その試みは揉み消された。

加えて国家は、地方自治体に対し湯水のごとき補助金によって原子力発電所の建設を受け入れるよう説得した。全ての住民が賛成だった訳ではない。1973年以来、原発反対者達は電力会社に対し地震や津波の危険性を過小評価しているとして裁判を起こして来た。これらの原発反対者達は、常に裁判に負けた。そして、彼等の議論はメディアからも黙視された。近所の住民達から村八分にされ、仕事先から監視され、人々は頭を押さえつけられた。”

さて、そういえば、三井物産戦略研究所の寺島実郎氏が、研究所のホームページのなかで、以下のように意見を述べています。

“日本の立ち位置を熟慮して、原子力を一定の比重で維持するにせよ、現在の体制のままで進むことは問題である。原子力だけは極端なリスクを潜在させるエネルギー源であり、福島の教訓を整理して、より国家が責任をもって管理する体制に変えるべきであろう。具体的には、現在は九つの電力会社と日本原子力発電、Jパワー(電源開発)にいう一一の会社で原子力発電事業を推進する国策民営体制をとっているが、原子力だけは電力事業者から分離統合し、一つの国営企業によって管理運営する体制(国策統合会社)を志向すべきである。

主な理由は三点ある。一つは原子力技術者・専門家の分散という問題である。現在、原子力工学の卒業者が三・五万人、うち電力事業者に約九千人が働いているが、それらを統括管理できる体制にはなっていない。とくに福島のように「多重防御」が破綻した緊急事態に対応する専門家による戦略体制を個別電力事業者に期待することには限界がある。二つは個別の電力事業者では「自社内の効率性と経済性追求」という壁を乗り越えられないことである。たとえば、「廃炉」の判断にも安全投資にも経営とのバランスが優先されてしまう。三つは経営リスク限界を超えた賠償責任、福島の賠償スキーム議論を考えても、一〇兆円を超す無限賠償責任が数十年に亘って発生する可能性を抱えた事業を、公開上場企業で抱えることができない。

日本も原子力安全委員会と経産省管下の保安院とを統合し、米国のNRC(原子力規制委員会)のようなものを作って規制を強化し民間会社体制でやればいいと考える人も多いが、ペンタゴン(国防総省)が参画主導して、軍事と民生を一体化させた核管理を進める意思を内在させているNRCと日本の原子力規制の行政体制は本質的に違う。日本はむしろフランス型の「EDFAREVA体制」(国営による燃料確保・原子力発電・再処理などサイクル全般の統合管理)を目指すべきであろう。

平和利用に徹している国だからこそ、国が責任をもって管理する体制で原子力と向き合うべきなのだ。ただし、国策統合会社などを作れば非効率な「親方日の丸」の会社ができるだけとの批判には耳を傾ける必要がある。そこでIAEAとの信頼関係をベースに思い切り「開かれた原子力」という体制の確立を主張しておきたい。経営陣が日本人だけである必要はない。また平和利用に徹して原子力発電を求める新興国の出資を招いてもよい。アジア広域の核燃料サイクル(再処理)を共同で運営する体制を目指すことも検討されるべきだ。福島の苦渋の体験さえも的確に伝え共有する「開かれた原子力」を目指さなければ、「原子力発電のシステム輸出」など期待すべくもない。もし将来、日本国民の合意が熟慮の決断で「脱原発」に向かうにしても、国家管理を強める体制に移行しておくことは意味のある一歩であろう。 

(『いま原子力をどう位置付けるのか?より国家が責任を持つ体制を求めて』

http://mgssi.com/terashima/nouriki1108.php

寺島氏は『安全原発擁護者』でありますが、彼の言い分には頷けるものもあります。しかし、上記については疑問。彼の提言は、まずポンス記者が指摘するような『基本的構造の問題』を解決することなしには意味をなさないと思います。

(ついでに言うと、IAEAさえ、原発ビジネスに利害関係があるので、当てにならない。)

さて、ポンス氏が記事中原発裁判について少し触れていました。

最後に、2006年の志賀原発訴訟で原発差し止め判決をした元裁判官の井戸謙一さんのインタビュー記事を紹介します。

阿修羅、gataroさんの投稿:

原発差し止め判決を下した元裁判官・井戸謙一さん(朝日新聞)

http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/263.html

井戸さんは、インタビューの終わりで、

“どこからも、何の圧力もなく、主張と立証だけをもとに裁判官3人だけで相談し、淡々と判決を言い渡す。自分がいずれ裁判長になったときは、そういうふうに仕事をしたいと思っていました。原発訴訟もそうですが、訴えをどこにも聞き届けてもらえず、司法に一縷(いちる)の望みをかける例が多い。それを正面から受け止めて、救済すべきものはきちんと救済する。そこに本来、裁判官のやりがいはあります。司法は、市民の最後の砦(とりで)であるべきです”

と仰っていますが、司法に限らず、体制を作る人たちが、こうした心意気を持つことなしには、何も変わらないのではないでしょうか。

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藤原節男氏の東京新聞の記事

2011年08月23日 | 原発・核・311

ブログを書いていて、コメントをくださる方(非表示もあり)と知り合えることが、醍醐味でもあります。

その一人がJNESの元検査員であり、内部告発者の藤原節男さん。

メールでお話を伺っているうちに、改めて「“内部告発者”を異端扱いしてしまっているのは、実は告発される相手ばかりでなく、社会全体ではないか」と思えてきました。

今回、私が「ジャーナリストの鑑」として尊敬する女性記者に連絡を取り、彼女が秦記者と藤原さんの取材を実現させてくれました。そして秦記者が素晴らしい記事を書き・・・。

そして今日、阿修羅で赤かぶさんという方が、この記事全文を紹介してくださっていたのに気が付きましたので、リンクと本文を貼り付けさせてもらいます。

(この記事は新聞からだけでなく、東京新聞のWeb版でも読めるのですが、Web版からだと会員にならないと触りしか読めません。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011082202000029.html

今日はもう昨日の新聞は入手できないこともあるので、東京新聞さんには目をつぶってもらって全文を。多くの人に氏って欲しいことなので。)

以下、阿修羅、赤かぶさん投稿記事より:

http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/755.html

泊原発3号機 09年は条件付き合格!?

(東京新聞「こちら特報部」8月22日付)

 東京電力福島第一原発の事故から五カ月以上が過ぎた。この間に政府や電力会社が進めた原子力施策のいいかげんさに気付いた人も多いはずだ。そんな折、そもそも原発事故を本気で防ぐ気があるのか疑いたくなる事態が判明した。独立行政法人「原子力安全基盤機構」(東京都港区)の元検査員が北海道電力泊原発3号機の検査で問題点を指摘したのに対し、上司が記録の改ざんを指示したというのだ。元検査員が実名で告発する。 (秦淳哉)

 「仕事に対するモラル違反はできないと思った。あえてドンキホーテになろうと決意した」

 原発検査の杜撰(ずさん)さを語る決意をした理由をこう語るのは、原子力安全基盤機構(JNES)の元検査員、藤原節男さん(62)。藤原さんは大阪大工学部原子力工学科を卒業後、三菱原子力工業(後に三菱重工と合併)に入社。その後は日本原子力研究所を経て、二〇〇五年に原子力安全基盤機構に入った。四十年以上も原発の安全検査にかかわったエキスパートだ。

 原子力安全基盤機構は、原発施設の検査と設計の安全性を解析・評価し、原子力の安全確保を目的に二〇〇三年に設立された独立行政法人。現在の曽我部捷洋(かつひろ)理事長以下六人の理事・監事のうち、旧通産省(現在の経済産業省)OBが三人を占める。実際には原子力安全・保安院の子会社のような存在で、全国にある原発検査の実行部隊といえる存在だ。

 藤原さんがどうしても納得できない出来事は二〇〇九年三月四日と五日、北海道電力が建設を進めていた泊原発3号機に対する使用前検査の実施中に起きた。
 減速材温度係数測定と呼ばれる検査だったが、正常だとマイナスとなるべき検査の係数が初日はプラスを示した。検査でマイナスにならないと、最悪の場合、原子炉が暴走する危険性がある。翌日は炉内に制御棒を挿入したこともありマイナスとなったが、藤原さんは二日間の検査結果から原子炉運転を条件付き合格として上司に報告した。

 ところが、上司の反応は意外なものだった。「これはまずい。初日のデータを削除するように」。これに藤原さんは抵抗する。「当たり前でしょう。安全性にかかわる重要な記録を削除するわけにはいかない。上司は合格にしなかった記録は不要だとの発想だった」と振り返る。

 記録改ざんを承諾しない藤原さんに対し上司は続けた。「出来の悪い検査記録の不備を指摘しているだけだ」。さらに「ボーナスをカットすることになる」「査定で評価を下げてやる」とまで言ってデータ削除を要求。藤原さんは「恫喝(どうかつ)ではないかと感じた」と話す。

 なぜ上司は記録改ざんに固執したのか。藤原さんは「親会社的な存在の原子力安全・保安院に報告するのに、一発合格でないと後で詳しく説明を求められる。安全基盤機構の評判が下がることにもつながる。欠点は出すなという気持ちが背景にあったのだろう」と指摘した。

 このままでは、らちが明かないと判断した藤原さんは三月二十三日、所属する部長に判断を仰ぐ。部長は問題を検討するタスクグループを発足させて調査に当たった結果、検査内容に手を加えず、そのまま提出すればいいとの結論になった。

 しかし、記録改ざんを指示した上司の問題は放置されたまま。藤原さんは改ざん問題の原因を明らかにするつもりで、検査結果の提出を拒否した。「これでは私が内部告発した事実だけが残る。記録改ざん命令があったことを不問にして、記録だけ出せと言うのはおかしい。上司に逆らった私の立場だけが悪くなってしまうと思った」と話す。

 結局、検査結果の提出期限とされた四月末から十一日遅れの五月十一日、藤原さんは部長命令に従って検査報告書を提出したが、その後は報復と思われる処遇を受ける。
 六月に配置転換を受けたほか、勤務評定は五段階の中で下から二番目に当たる「D」判定。七月支給のボーナスは8%減額された。理由は「部長の提出命令に従わなかったため」。藤原さんが「D」判定を受けたのは四年の勤務期間の中で初めてだった。半年後の勤務評定も「協調性がない」との理由から同じ「D」判定とされた。

 機構内の業務改善目安箱と呼ばれる制度を使ってD判定の問題性を訴えたが、結論を出すのも大幅に遅れた上、結局は藤原さんの主張を退けた。

 二〇一〇年三月、退職を迎えた藤原さんに対し、さらに追い打ちをかけるような仕打ちが待っていた。機構への再雇用を希望した中で、藤原さん一人だけが再雇用を認められなかった。「過去の勤務成績が悪く、D判定が二回続いた」ことが理由とされた。

 原子力安全基盤機構による検査の杜撰さは、藤原さんが告発した事例にとどまらない。二〇〇九年から一〇年にかけて関西電力大飯原発3号機に対し実施した定期検査でも、蒸気タービンの配管一本を検査してなかったことがつい最近発覚したばかり。

 藤原さんの主張に対し、原子力安全基盤機構の担当者は「裁判で係争中のことなので司法が最終的に判断することだが、検査の途中経過で藤原さんと上司の間で議論があったのは事実。しかし、記録の削除を命令したわけではない」と否定する。藤原さんの評価についても「業務の成果を適切に評価した結果だと思っている。再雇用するかどうかも総合的に判断した結果」と話す。

 藤原さんが検査に当たった泊原発3号機は、約五カ月にわたる異例の調整運転を経て、十七日に営業運転を再開した。福島原発の事故後、再開した原発は泊原発3号機が初めてだ。

 一連の機構の対応に対し、藤原さんは昨年八月、再雇用の地位確認と慰謝料など約二千八百万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。裁判では原発の安全性確保のため内部告発の重要性も訴えるつもりだ。

 「内部告発の無視は結局、告発者の摘発を許すことになる。これでは『どうせやっても無駄だ』と誰も内部告発する人がいなくなってしまう。告発をきちんと取り上げる制度になること。これが切なる願いですよ」

<デスクメモ> 原子力の「安全神話」は、もともとウソにウソを重ねた虚像。報告書の改ざんなど今さら驚きもしないぐらいだ。その安全神話を前提とせずに、許容できる原発などあるものだろうか。事故は起きるかもしれず、起きれば対処の手段すらない。すべてがわかった。この危険に見合う国益などあるのか。(充)

※藤原さんに対してのご意見があれば取次ぎますので、コメント欄に、“藤原さん宛”と先に書いて投稿してください。非表示にして、藤原さんにだけ転送します。

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ロナルド・ドーア氏のコラム、核アレルギーと脱原発派

2011年08月22日 | R.Dore

昨日の東京新聞のコラム『時代を読む』は、ロナルド・ドーア氏のものでした。

『時代を読む』

リスク回避のさまざま (東京新聞 2011821日)

年金積立基金の市場での運用リスクを企業や国家でなく、個人に転嫁する日本版401k(確定拠出年金)を導入したことは、「小泉・竹中時代」の功績のひとつだった。内閣府がまとめた2008年の「年次経済財政報告」(経済白書)も、その延長線で書かれているらしい。「延長線」と言えば、日本人は「貯蓄から投資へ」という金融リテラシー(金融に対する理解度や活用能力)が足りず、リスク回避を優先しすぎて駄目だといわれる。

間が悪いことに、経済白書が出て間もない時に米国の信用バブルが崩壊して、リーマン・ショックを引き起こした。個人の出来高によって決まる億単位のボーナスを目当てに、トレーダーたちが過度なハイリスクの取引をする。それが累積してシステム崩壊の大きな原因となった。最近の欧米の銀行は出来高払いから安定した固定給へと報酬体系を変え始めている。それなのに、破綻した米証券大手「リーマン・ブラザーズ」のアジア・太平洋部門を買った野村ホールディングスは、報酬体系をますますリーマンの行っていた出来高払いへと変えていくそうである。全く懲りていないようだ。

その一方で、最近の日本で懲りすぎているのは、原子力発電である。福島第一原発を造ったとき、設計者が平安時代に13メートルの津波があった史実を知っていたとしても、千年に1度の天災リスクと、10メートルの防壁を13メートルに高めるコストのつり合いを考えるのは官僚の義務だろう。「安全第一」は大賛成だが、「絶対安全」に固執すれば交通事故を恐れて道さえ歩けなくなり、人間らしい生活を営むことができなくなる。

ところが、ひところ温暖化防止対策の優等生だった日本なのに、「福島ショック」で新たな原子炉建設計画を反故にし、「脱原発」の世論が70%に達するなか、二酸化炭素(CO2)の排出量が増える火力発電の稼働率を高めている。菅直人首相もあやふやながら、「脱原発」の方針らしい。

「核アレルギー」という言葉は1970年代から、日本では全く、アメリカでも滅多に使われなくなったようだ。だが、アメリカの政治学者ジョン・ミューラー氏が一昨年出した「核の妄念」は面白く、読むに値する。原発の安全や放射性廃棄物の問題、核兵器および核拡散の問題がひとまとめに考えられがちで、その恐怖感が理性的な政策形成を不可能にしている例を細かく分析している。

ミューラー氏とは対照的に、カトリック信者で、平静かつ真面目に核兵器の問題を扱っているのは、マイケル・クィンラン氏の「核兵器を考える」である。クィンラン氏はイギリスの文部事務次官も務めたのだが、主として防衛庁で働き、防衛事務次官となって原発政策にも核兵器製作にも詳しい。イラク戦争反対派の闘志でもあった。

2人とも、日本も参加しているアメリカのミサイル防衛(MD)計画について、効果も公益もなく、害をなすだけだと指摘している。

いずれにしても、「脱原発」の方針は菅首相の退陣とともに終止符が打たれるとみられる。来年の春、福島第一原発の冷温停止が実現すると、「津波による死者、行方不明者が約2万人、原発の水素爆発による死者はゼロ」という事実を冷静に考えられるようになるだろう。

ドーア氏は私の尊敬すべき人なのですが、原子力発電に関しての「割り切り」が良すぎるところがあって、原発関係の話をするときは、私は彼の意見に同調できません。(彼は“原発推進派”というわけではありません。)

この「割りきりのよさ」、そして、やはり日本に住んでいらっしゃらないことがあって、今回のコラムは実情に即していないと思い、以下のようにメールをしました。

“ロナルド・ドーア様

今日のドーアさんのコラムを読みました。

おそらく、このコラムに抗議するメールがたくさん寄せられていると思いますので、私がそれを書く必要もないかと思いますが、一応私の意見を少し書きます。

今回、日本での脱原発者が増えているのは、「核アレルギー」のせいのものというより、「歴代政府を含む政府や官僚(+司法界までも)が原発推進のためについてきた嘘、誤魔化し、都合の悪いことを言う有識者等の封じ込め(ネット監視まで税金でしている)」に対しての怒りがあったからだと思います。

そのなかに、「潜在的核アレルギー」を持っている人間は私も含めて半数はいるでしょうが、それが「脱原発派」の原動力となったわけではないと思います。

それと、今回の原発の水素爆発で直接亡くなった人がいない(?)としても、今後の被ばくによる死者、関連した日本経済の打撃-これは津波による被害よりずっと大きな打撃を与え、そして環境的に与える打撃は地球規模だと思います。

今回のドーアさんのコラムを読みながら、ガーディアン紙の環境コラムニストのGeorge Monbiotを思い出してしまいました。

Why Fukushima made me stop worrying and love nuclear power (by George Monbiot)

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/mar/21/pro-nuclear-japan-fukushima

New report picks apart George Monbiot's support for nuclear power

(by Paul Mobbs )

http://www.energybulletin.net/stories/2011-03-31/new-report-picks-apart-george-monbiots-support-nuclear-power-and-finds-factual-an

もちろん、嘗て「反原発者」の意見が封じこめられていた反動で、「原発擁護者をただ叩く」という風潮が出来上がりつつあること-これでは建設的な結果は得られないままですね。

ついでですが、ニューズウィークの以下の記事も添付します。

『福島原発は廃炉にできない』

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/08/post-2228.php

ゆかり”

ドーア氏からの返事も今朝届いていましたが、彼はメールの終わりで、「原発事故と放射能騒ぎに『徐々に行われているアメリカ流経済の金融化』がまぎれてしまっていること」についての不安を語っていました。

ま、今回の書き方はちょっと誤解を招く書き方でしたが、彼は脱原発について、貶めようと思ったわけではなかったようです。

(ちなみに、彼の新書が10月に出版されるようです。)

それにつけても、「核アレルギー」=「脱原発派」とするドーア氏の取り方は、まさに、彼の思考が、「イタリア人が原発と核兵器を結びつけていた」のと同種であるように思えました。(ドーア氏は、イギリス人ですが、イタリア在住。)

(『「原発といえば核兵器」という発想があったイタリア人』

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20110717

参照)

ドーア氏はコラムに、

「「核アレルギー」という言葉は1970年代から、日本では全く、アメリカでも滅多に使われなくなったようだ。」

と書いていますが、彼は日本政府が国民から「核アレルギー」除去することに苦心していたことまでは、気が付かなかったようです。

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長周期地震動と原発

2011年08月21日 | 環境・エネルギー

311日の2日前の9日にも、東北に大きな地震がありました。

この後私は、私は都市開発関連の仕事をしている友人と長周期地震動の被害についてのメールを取り交わしていたのですが、最後の方で、

「そういえばスマート・シティこそ地震等の影響の研究は当然重ねているのですよね?

長周期地震動を考えていくと、原発も不安になってきます。(海底原発なんて、「海底だから安全」と言っているけど、何かあったらそれこそ世界中に放射能が分散されそう・・)」

と書き、

友人は、スマート・シティについて少し意見を述べた後に、

「原子力発電も、いまだに放射性廃棄物を地下深くに埋めている状況を考えると・・・。」

と、(長周期地震動云々の前の)不安を述べました。

(原発には触れていませんが、それ以前の意見交換を元に書いたのが

39日のブログ“『長周期地震動』の被害が増える可能性”

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20110309 )

さて、原発と地震について、マンションNPOさんの地震対策のレポートに以下の話が紹介されています。

http://www.mansion.mlcgi.com/Earthquake_EV5.htm

抜粋:

・・・・エレベーターの運行よりも、もっと重大な例を挙げます。

20058161146分宮城県沖で起きたM7.2の地震の際、東北電力女川(おながわ)原子力発電所の1号機、2号機、3号機の全ての発電機が「地震加速度大」のスクラム信号により自動停止しました。同発電所で記録された地震波(岩盤上での周期0.05秒の地震波)が888galに達し、「設計用限界地震」と呼ばれるほとんど起こりえない規模の地震を想定した基準の最大値673galを超えていた為、 経済産業省原子力安全・保安院は、想定より小規模な地震によって、想定外の揺れを記録したことを重視し、調査が終わるまで同原発の運転再開を認めない方針を出しました。

2) 東北電力は、1984年の営業運転開始から20年以上たっていることを踏まえ、設備の劣化の影響の有無を調査,20064月中に結果をまとめ、耐震安全性評価結果と併せて国に報告する予定

3) 原子力安全・保安院は2005年(平成17年)1222日報告書「東北電力株式会社女川原子力発電所において宮城県沖の地震時に取得されたデータの分析・評価及び同発電所の耐震安全性評価に関する検討結果について」PDFで、問題はなかったと発表。その後、同発電所は運転を再開した。

(中略)

国の原子力安全審査基準や耐震設計審査指針が加速度の値だけで決められているとは思いませんが、上に述べた二つの原発の例でも、基準そのものの妥当性が問題になっています。・・・

20064月中までかかる予定だった東北電力の調査を早めたのか、先に結果ありきだったのか、原子力安全・保安院の動きは怪しいと思います。

(なお、文中のPDF(平成171222日の報告書)は抹消されていて、読むことができません。)

そして話を福島原発に移しますが、「原子炉は津波が来る前に壊れていたのではないか」という話が(大手マスメディアは無視しますが)あります。

度重なる地震、そしてそもそもの老朽化・・・これは福島に限らず、日本各地の原子力発電所が抱える問題なので、原子力推進派は一番触れて欲しくない問題であると思います。

ちょうど、これについて書かれたインデペンデント氏のデイビッド・マクニール記者他1名の記事を、『マスコミに載らない海外記事』さんが翻訳してくださっているので、紹介します。

『福島メルトダウンの背後にある衝撃的事実』

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-27f6.html

本文途中まで:

それは日本で進行中の原発事故ミステリーの一つだ。津波が襲う前に、311日の地震は、福島第一原子力発電所に対して、一体どれだけの損傷を与えたのだろう?

リスクは高い。もし、地震が、原発と、核燃料の安全性を、構造的に損ねたのであれば、日本中のすべての同様な原子炉を停止する必要があり得るのだ。54基のほぼ全ての原子炉は、休止中(35)か、あるいは、来年4月までに停止予定であり、原発再稼働に関するあらゆる論議に、構造的な安全性の問題がのしかかっている。

この議論において、原発の運営者である東京電力と、日本政府は、とうてい信頼に足る裁定者とは言えない。311日後の数日間、"メルトダウンはしていない"と、政府のスポークスマン、枝野官房長官は繰り返した。東京電力の当時の清水正孝社長は、周知の通り、容易には信じられない発言として、後刻、"想定外の事故だった" と語った。事故から五ヶ月たって、枝野官房長官が話していた時点に、メルトダウンが既に起きていたことを我々は知っている。想定外どころか、事故は業界の評論家達によって、繰り返し警告されていたのだ。

何ヶ月もの嘘と虚報の中、定着している話が一つある。地震こそが原発用の電力を損壊し、原子炉6基の冷却を止めた、というものだ。津波が、そこで40分後に、原発の予備発電機を押し流し、あらゆる冷却を停止させ、世界で初めての三重メルトダウンを生じさせた、一連の出来事を引き起こしたのだ。

津波が施設に到達する前に、もしも再循環水配管と冷却水配管が地震の後で破裂していたらどうだろう?電力が停止する前に?建設後40年の老朽第一号炉、日本で依然稼働しているお祖父さんの古炉形に詳しい人々で、これに驚く人はまれだ。

破損して、劣化しつつある、きちんと修理されていない配管と冷却装置の問題は、長年指摘されていた。20029月、東京電力は、極めて重要な循環水配管の亀裂に関するデータの隠蔽を認めた。この隠蔽を分析した、原子力資料情報室は、こう書いている。"隠蔽された記録は、再循環配管として知られている原子炉の部品の亀裂に関係している。これらの配管は、原子炉から熱を取り出すために取り付けられているものだ。もしこれらの配管が破裂すれば、冷却液が漏出する深刻な事故となる。"

32日、メルトダウンの9日前に、政府の監督機関、原子力安全・保安院は、再循環ポンプを含め、原発機器の極めて重要な部分の検査をしそこねていることに対し、東京電力に警告した。東京電力は、検査し、必要があれば修理をし、原子力安全・保安院に、62日に報告するよう命じられていた。現時点では、その報告書は提出されていないようだ。

インデペンデント紙は、原発で何人かの作業員と話したが、皆、同じような話をくり返した。津波が襲う前に、配管と、少なくとも原子炉の一基に、深刻な損傷が起きていた。今でも事故が起きた原発で働いていたり、関係したりしているため、全員が匿名にしてほしいと希望した。事故が起きた日に、福島原発にいた保守技術者の作業員Aは、シューと音をたてて、洩れる配管を思い出している。

"ばらばらになる配管をこの目で見ましたし、原発中では、もっと色々壊れているだろうと思います。地震が原発内部もかなり損傷させたことに疑問の余地はありません... 一号炉タービン建屋の壁の一部がはがれ落ちるのも見ました。あの亀裂は、原子炉に影響したかも知れません。"

原子炉壁は極めて脆弱だと、彼は言う。"炉壁が余りに堅牢だと、内部からのわずかな圧力で、ひびが入る可能性があるので、壊れやすく作られている必要があるのです。もし内部で圧力が維持されれば...内部の機器を損傷する可能性があるので、圧力が逃げられるようになっている必要があるのです。危険な時には、たわむように設計されているのです。そうでないと、もっとひどいことになり得ます。他の人々にとっては衝撃的かも知れませんが、我々にとっては常識です。" 30代後半の技術者で、やはり地震の際に現場にいた作業員Bはこう回想する。"地震は二度襲ったように感じられ、最初の衝撃は余りに強く、建屋が揺れ、配管が曲がるのが見えました。数分間のうちに、配管が破裂するのを見ました。壁からはがれ落ちるものもありました...

"誰かが、皆避難しなければだめだと叫びました。けれども、冷却水給水用配管だと思われるものを含め、何本かの配管がひび割れしているぞと言われ、私にも見えたので、私は避難しながら、大変に心配でした。それは、冷却液が原子炉炉心に到達できないことを意味しています。もし十分な冷却液を炉心に送り込めなければ、炉心はメルトダウンします。原子力学者でなくても、そんなことはわかります。" 車に向かって進む際に、第一原子炉の建屋の壁が崩壊し始めるのが見えた。"穴があいていました。最初の数分間、誰も津波のことは考えていませんでした。私たちは生き残ることを考えていました。"

地震が原子炉に大きな損傷を引き起こしたという疑念は、数分後に、原発から漏れた放射能についての報告によって強化される。ブルームバーグ通信社は、午後3.29、津波が襲う前、原発からおよそ1.6キロの所で、放射能警報が鳴ったと報道している。

地震が、原子炉に対して、直接的な構造上の損傷を引き起こしたことを、当局が認めたがらない理由は明白だ。「東京電力: 帝国の暗黒」の著者、恩田勝亘氏は、こう説明している。政府や業界がそれを認めれば、"彼らが運用しているすべての原子炉の安全性にまつわる疑念が生じます。彼等は、同じシステム上の問題、同じ配管損傷を抱えた、多数の古めかしい原子炉を運用しているのです" 地震は、もちろん日本では日常茶飯事だ。

(続きはオリジナルのリンクからどうぞ)

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子どもをロシアン・ルーレットの標的にできる人たち

2011年08月20日 | 原発・核・311

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版8月19日の記事(by Yuka Hayashi)です。

福島原発事故で周辺居住の45%の子供が内部被ばく

http://jp.wsj.com/Japan/node_291982

[東京] 日本政府は、大事故となった東京電力福島第1原発周辺の3市町村に住む子どもの半数近くが事故発生後間もなく低水準ながら放射線の内部被ばくを受けていたことを明らかにした。これにより周辺住民の放射線被ばくの長期的影響に対する不安が増大することは確実だ。

この調査は32430日に、福島第1原発から20キロメートル圏の政府が避難指示を出した地域の外にあるいわき市と川俣町、飯舘村の3市町村の1150人の子どもを対象に実施した。

 その時点で政府は全員が健康基準をクリアしたと発表していたが、その後、子どもの親や放射線専門家からより詳しい検査結果を公表するよう要求が寄せられていた。

 今週になって発表されたその詳細によると、1150人のうち低レベルながら45%の子どもが内部被ばくをしていた。26%の子どもは毎時0.01マイクロシーベルト、11%が0.02マイクロシーベルトだった。最高は0.1マイクロシーベルトだったが、政府が健康へのリスクの基準としている0.2マイクロシーベルトは大幅に下回っていた。 

 放射線を皮膚に浴びる外部被ばくと違い、放射性物質を呼吸や飲食によって体内に取り込む内部被ばくは、健康への影響がより重いとされている。

 ただ、広島大学原爆放射線医学研究所の細井義夫教授は今回の調査結果について、発表通りの数値なら被ばくした子どもが将来甲状腺ガンにかかる確率は極めて低いと思うと語った。

「発表通りの数値なら被ばくした子どもが将来甲状腺ガンにかかる確率は極めて低いと思う」と言う広島大学の細井教授に言いたいです-

「安全の基準は何ですか?避難する必要がないくらい安全なら、何故福島の人たちはモルモットのように検査されるのですか?」

「現在の数値が低いとしても、11日その数値は加算されていくのではないのでしょうか?」

「甲状腺ガンにかかる確率が低いといっても、それは被ばくにより、将来甲状腺ガンにかかる子どもが確実に出るということです。福島の子どもをロシアン・ルーレットの標的にする手助けはしないでください。」

と。

関連して、アルジャジーラの818日の記事も貼り付けます:

Fukushima radiation alarms doctors

http://english.aljazeera.net/indepth/features/2011/08/201181665921711896.html

抜粋:

・・・Doctors in Japan are already treating patients suffering health effects they attribute to radiation from the ongoing nuclear disaster.

"We have begun to see increased nosebleeds, stubborn cases of diarrhoea, and flu-like symptoms in children," Dr Yuko Yanagisawa, a physician at Funabashi Futawa Hospital in Chiba Prefecture, told Al Jazeera.

She attributes the symptoms to radiation exposure, and added: "We are encountering new situations we cannot explain with the body of knowledge we have relied upon up until now."

"The situation at the Daiichi Nuclear facility in Fukushima has not yet been fully stabilised, and we can't yet see an end in sight," Yanagisawa said. "Because the nuclear material has not yet been encapsulated, radiation continues to stream into the environment."

Health concerns

Al Jazeera's Aela Callan, reporting from Japan's Ibaraki prefecture, said of the recently detected high radiation readings: "It is now looking more likely that this area has been this radioactive since the earthquake and tsunami, but no one realised until now."

Workers at Fukushima are only allowed to be exposed to 250 mSv of ionising radiation per year.

Junichi Matsumoto, a TEPCO spokesman, said the high dose was discovered in an area that does not hamper recovery efforts at the stricken plant.

Yet radioactive cesium exceeding the government limit was detected in processed tea made in Tochigi City, about 160km from the troubled Fukushima Daiichi nuclear plant, according to the Tochigi Prefectural Government, who said radioactive cesium was detected in tea processed from leaves harvested in the city in early July.

The level is more than 3 times the provisional government limit.

Yanagisawa's hospital is located approximately 200km from Fukushima, so the health problems she is seeing that she attributes to radiation exposure causes her to be concerned by what she believes to be a grossly inadequate response from the government.

From her perspective, the only thing the government has done is to, on April 25, raise the acceptable radiation exposure limit for children from 1 mSv/year to 20 mSv/year.

"This has caused controversy, from the medical point of view," Yanagisawa told Al Jazeera. "This is certainly an issue that involves both personal internal exposures as well as low-dose exposures."

Junichi Sato, Greenpeace Japan Executive Director, said: "It is utterly outrageous to raise the exposure levels for children to twenty times the maximum limit for adults."

"The Japanese government cannot simply increase safety limits for the sake of political convenience or to give the impression of normality."

Authoritative current estimates of the health effects of low-dose ionizing radiation are published in the Biological Effects of Ionising Radiation VII (BEIR VII) report from the US National Academy of Sciences.

The report reflects the substantial weight of scientific evidence proving there is no exposure to ionizing radiation that is risk-free.

The BEIR VII estimates that each 1 mSv of radiation is associated with an increased risk of all forms of cancer other than leukemia of about 1-in-10,000; an increased risk of leukemia of about 1-in-100,000; and a 1-in-17,500 increased risk of cancer death.

Dr Helen Caldicott, the founding president of Physicians for Social Responsibility, a group that was awarded the Nobel Peace Prize in 1985, is equally concerned about the health effects from Japan's nuclear disaster.

"Radioactive elements get into the testicles and ovaries, and these cause genetic disease like diabetes, cystic fibrosis, and mental retardation," she told Al Jazeera. "There are 2,600 of these diseases that get into our genes and are passed from generation to generation, forever."

So far, the only cases of acute radiation exposure have involved TEPCO workers at the stricken plant. Lower doses of radiation, particularly for children, are what many in the medical community are most concerned about, according to Dr Yanagisawa.

"Humans are not yet capable of accurately measuring the low dose exposure or internal exposure," she explained, "Arguing 'it is safe because it is not yet scientifically proven [to be unsafe]' would be wrong. That fact is that we are not yet collecting enough information to prove the situations scientifically. If that is the case, we can never say it is safe just by increasing the annual 1mSv level twenty fold."

Her concern is that the new exposure standards by the Japanese government do not take into account differences between adults and children, since children's sensitivity to radiation exposure is several times higher than that of adults.

Al Jazeera contacted Prime Minister Naoto Kan's office for comment on the situation.

Speaking on behalf of the Deputy Cabinet Secretary for Public Relations for the Prime Minister's office, Noriyuki Shikata said that the Japanese government "refers to the ICRP [International Commission on Radiological Protection] recommendation in 2007, which says the reference levels of radiological protection in emergency exposure situations is 20-100 mSv per year. The Government of Japan has set planned evacuation zones and specific spots recommended for evacuation where the radiation levels reach 20 mSv/year, in order to avoid excessive radiation exposure."・・・

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懲りない“原発ロビーたち”

2011年08月20日 | 原発・核・311

プレジデントロイター、20101129日号のレポートのリンクを以下貼り付けます。

影の総理と原子力ルネッサンス

170兆円市場「原発受注ウォーズ」最前線1

http://president.jp.reuters.com/article/2010/12/20/280AF4BC-0904-11E0-87FF-54F73E99CD51.php

仙谷、前原が参画するベトナムプロジェクト

170兆円市場「原発受注ウォーズ」最前線2

http://president.jp.reuters.com/article/2010/12/21/8A6F0B96-0906-11E0-A862-76D73E99CD51.php

海外進出に乗り出す東電社長の意気込み

170兆円市場「原発受注ウォーズ」最前線3

http://president.jp.reuters.com/article/2010/12/22/87275358-0906-11E0-8A0A-03F13E99CD51.php

これらは福島原発事故がおきなければ、それこそ『プロジェクトX』に取り上げられるような題材でした。

もちろん原発ビジネスに対して批判的で人間たちは、「あれよあれよ」と言う間もなく、国民の知らないところで勝手に政治家やエリート達が原発ビジネスを進めていくことに対して危機感を持っていました。しかし、それも「お国の発展のためなら」という言葉に封じ込められてきました。(なんだか戦争のプロバガンダみたいですね。)

また、「原発メーカーの東芝、日立、三菱重工。関連会社、商社、銀行・・・そこで働く人たちがいて、家族がいて、日本の未来があるとなれば、目をつぶるべきなのかもしれない-そして日本の原発や技術は誇れるものだから、○国や×国の原発を世界に作られるくらいなら、日本の原発を世界に。」と思う人も多かったでしょう。

そして福島原発事故で、自国の原発が完全ではないこと、自国が放射能まみれになりながら原発を世界に売ることに疑問を持ち、そして原発利権等々『負』の部分の大きさに気が付き、反対の声を上げだしました。

しかし-現在、原発ビジネスの旗振りとして前田匡史内閣官房参与(JBIC現職部長)が特に“有名”になっていますが、彼ほど“出たがり”でないせいもあって表に出ないものの、“原発ロビー”の面々はたくさんいます。

福島原発事故を受けて、宗旨替えをした人たちもいるかもしれませんが、残るほとんどは“仲間たちの利益”“ネットワーク”が一番大切な人々としか思えません。

(それにしても、レポートに出てきている仙谷氏、彼は何の権限があっていまだに仕切りたがり、他の議員もそれを許しているのでしょうか?

それこそ、親友と言われている前田氏に頼んで、米国高官の後ろ盾になってもらっているのではないか・・・と勘ぐりたくもなります。)

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原爆と原発事故-その後の共通点

2011年08月17日 | 原発・核・311

「ブログを休む」と言いながら、次から次へと気になる記事が出てくるので休めません。

今日も、一つ貼り付けます。

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 (2011816)

『曖昧な科学で遅れた放射線「ホットスポット」飯舘村の避難区域指定』

http://jp.wsj.com/Japan/node_290433

なお、この記事のなかに、

「しかし、こうした線量が避難の理由になるかどうかは別の問題であった。原爆など放射線量が非常に高い場合は、やけど、有毒物質の摂取などで死につながる恐れがある。しかし、それほど高くない場合、影響ははっきりわかっていない。理論的には、放射性物質にさらされると、特に子どもは、がんのリスクが高まる。ただ、米国立がん研究所によると、通常の環境でも約40%の人はいずれがんを患うことなどから、小幅な放射線量の上昇による影響は測定が難しい。

 人体が放射線から受ける影響はシーベルトという単位で測る。胸部のX線検査では約0.04ミリシーベルト、ニューヨークから東京へのフライトでは0.07ミリシーベルトの放射線を浴びる。米環境保護局(EPA)によると、平均的な米市民は自然放射線やこうした放射線を年間3ミリシーベルトほど浴びるという。

 多くの専門家が、被ばくの期間に関係なく、100ミリシーベルトを浴びるとがんのリスクが0.5%高まるとしている。国際放射線防護委員会(ICRP)は、このレベルを超えたら直ちに避難するよう勧告している。米原子力規制委員会(NCR)は、100ミリシーベルト未満の被ばくと健康被害を結びつける確かな証拠はないとしている。」

という箇所がありますが 、被ばくと健康被害についての“見解”を鵜呑みにする前に、以下のものも読んでみてください。

(ABCCについては、いずれブログで書きます。)

琉球大学理学部教授、矢ケ崎克馬氏の講演

http://www.geocities.jp/hokkaihankakuishi/yagasaki.html

抜粋:

5.内部被曝隠蔽の手段

 本日は、原爆被爆者の内部被曝がどんなふうに隠し続けられているかということを中心にお話しします。

 3つの要素からなると思っておりますが、1つは、アメリカの核戦略に位置づけられる占領政策によるものですが、広島・長崎の被爆データをいっさい秘匿してしまい報道も規制する秘密主義です。2番は、データ秘密管理の目標であったものですが、爆心地周辺の広大な地域に渡って放射線被曝により長期間癌等で人々を苦しめる「内部被曝」を、放射線判定基準から排除したこと。これはABCC中心の被爆障害調査により、被爆者の内部被曝を排除下データねつ造により国際放射線防護委員会(ICRP)の基準作成で実現させました。3番は、被曝線量評価体系のDS86により、公式に内部被曝のデータを被爆者自体から消し去ったことです。「内部被曝」のデータの隠匿により「内部被曝を見ることのできない」ICRP基準を作り上げ、それにより「内部被曝は事実上ゼロである」という虚構の世界を公式なものとして作り上げた。特に、日本の国の審査基準から排除されて、さらに科学的な基準自体から内部被曝も排除されるということで、被爆者は二重に内部被曝を否定された訳です。

 ICRP(国際放射線防護委員会)基準については、具体性を捨て去った単純化、平均化の手法により、内部被曝の局所性、集中性を評価対象から外し、極端に過小評価する体系であるわけですが、これはあとでご説明します。

6.ヒロシマナガサキにおけるデータの秘密管理と報道管制

 歴史について、原爆投下直後にどんなことが起こったかということをかいつまんでみておきます。

 1945年9月2日にミズーリ艦上で降伏文書に調印がなされました。そのすぐあと広島入りしたバーチェットがロンドンのデイリーエクスプレスに、「ケガを受けなかった人が30日後も不可解かつ悲惨に亡くなり続けている」という趣旨の報道をしております。同じく広島入りしたローレンスがニューヨークタイムズに「人々はいまも1日100人の割合で死んでいる」という報道をしました。

 これに対して原爆を作製したプロジェクトの「アメリカ軍マンハッタン管区」の情報管理をしていたファーレル准将が急遽東京入りして、「死ぬべき人が死んでしまい、9月上旬において原爆放射能で苦しんでいるものは皆無だ」という発言をしています。

 その後、占領軍が広島入りして一切の被爆の資料を管理して、プレスコードをおこなった。もちろんプレスコードだけではなくて、被爆に関する市民運動も、詩歌などの文芸作品も一切弾圧の対象としているわけです。こういうふうにして、一切のデータと市民の動きを占領軍が管理するわけです。ちなみに、世界に被爆のことが初めて伝えられたのが、1952年に平和条約が調印されましたが、その翌年、草野信男先生によって国際医師会議(ウィーン)において初めて被爆の現状が報告されました。

7.米核戦略と内部被曝隠蔽作戦 原子力委員会、ICRPABCC

 一方アメリカの国内においてどんな体制がすすんでいったかといいますと、まず米本国にCABC(原爆傷害委員会)がつくられて、同時に、日本にABCCがつくられました。これが原爆傷害調査委員会です。1975年には放射線影響研究所(放影研=RERF)に転身しています。しかし放射線影響研究所というのはABCCの管轄が日本政府に移ったというだけで、いまなおアメリカのエネルギー省の役人が実質的管理を行っている組織です。放射線科学自体が政治的対米追従とまったく同じように、アメリカ及びそれに協力した日本の戦略的な立場に従ってきたという歴史をもっているのは誠に残念です。

 一方、放射線管理基準をつくったICRPなんですが、原爆が投下された後、アメリカでは原子力委員会がすぐつくられております。同時に合衆国の放射線防護委員会(NCR)というのがつくられました。この機関にはいくつか委員会がおかれましたけれども、第一委員会は外部放射線被曝限度で、第二委員会は内部放射線被曝リスクに関する調査研究を開始しました。特筆すべきことは、1950年に、このNCRがほぼ委員メンバーも同じままICRPに流れ、ICRPが設立されていきます。ところがICRPを設立した直後、ICRP第二委員会の「内部被曝」の審議打ち切りを断行してしまいまして、1953年まで発表されなかったというような歴史的事件が起きています。それ以後、一切「内部被曝を研究してICRP基準に反映させる」という科学に則った基準作りは放棄され、外部被曝だけに視野を限定する操作が行われます。

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前田匡史氏のインタビュー記事を読んで

2011年08月16日 | 国際・政治

本日の朝刊に、前田匡史内閣官房参与、JBIC国際経営企画部長のインタビュー記事がありましたので、途中から転載します。

東京新聞 2011818日朝刊

3.11からエネルギー考-原発撤退は無責任』

(前略)

-国内で原発を減らし、海外に輸出するのは矛盾すると思います。

「今、内外ともに撤退すれば技術のレベルが下がり、古い原子力だけ残り一層危険になる。むしろ日本の技術力や安全運転を高める必要がある」

-しかし、自然エネルギーを育成する必要はあるのでは。

「太陽光は夜間は発電できず効率が低い。太陽光パネルは20年たつと全部廃棄物になる。風力を供給しようとすると、圧倒的に中国の企業がもうかる。再生可能エネルギーを大規模に導入するには蓄電や分散型配電網の整備が必要になる。それらを考えずに自然エネルギーが原子力に代替できるというのは間違っている」

-再生エネルギー特別措置法案が成立しても脱原発依存は進まないのですか。

「再生エネルギーが爆発的に広がることにはならないでしょう。民間の資金が入り、もうかるようにしないと誰も投資しない。法案を作った段階では原子力をしのぐ存在に再生エネルギーを育て用という発想ではなかったのでは」

-東京電力の国有化も選択肢にすべきだと訴えていますね。

「原発は国策でやっていた。それを上場企業にやらせるのに無理があった。賠償責任を負い、廃炉もやることを考えると国が買い取るのも考えるべきだ」

-ただ、買い取れば、負担は国民に跳ね返ります。

「もちろん国有化は最後の手段です。マーケットで回るものは回したほうが効率的だ」

-菅政権のエネルギー政策は思いつきのように思える。

「原発依存を低める方向は間違っていない。そして、これほど根本的な問題を政争の材料にしてはいけない。郵政民営化問題とはレベルが違う。法治国家なのだから今の制度を変えるなら法律を変えるという熟議を真剣かつ慎重に行ってほしい」

-どこに留意してエネルギーを考えるべきだと思いますか。

「化石燃料で中東依存を下げるという安定供給、地球温暖化問題、そして安全。その3つをベストミックスで考えることが大切でしょう」

JBIC、特にこの前田氏は原発業界の頼みの綱ですが、彼自身は『原発信者』ではないでしょう。(『原発ロビー』ではあります。)

彼は『JBICマン』としての日本の発展を願い、『個人』として米国や中東で作り上げたネットワーク(?)を武器に政治家さえも操ることに魅せられているというだけなのだと私は思います。(実は政界入り、大臣クラスも念頭においているのかもしれませんが。)

また、時々「この人は国益よりも、米国の利益を重視か?」と思えることさえありますが、大変頭が良い。

今回のインタビューの返答もそつがなく、そして、今までの彼のインタビュー記事と違って、「どうせ誤魔化しても読み手は気がつかないだろう」という部分も少ないように思えます。

ただやはり、太陽エネルギー等の欠点について述べておきながら、原発の使用済み燃料や廃炉ででる放射性廃棄物処理問題が未解決であることに触れないのはアンフェア。

その現状があるのにもかかわらず、ベトナムに「使用済み燃料を日本で引き取るから日本の原発を買って」という商売を進行させていること-これを彼はどう考えているのでしょうか。

また、化石燃料については故意にロシアを外そうとしていることはどうなのか。

(JBICはロシアの天然ガスより、カナダからのシェールガス輸入に力をいれているようです。シェールガスは問題大有りですし、このプロジェクトはコスト的にもどうなのでしょうね。)

上記二つなどは、「質問されなかったから答える必要はなかった」と彼から反論されそうですが、是非ともインタビュアーには突っ込んでほしかったな、と思います。

コメント (4)
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記事配信2(沖縄に埋められた枯葉剤と福島放射能汚染土の仮埋立て)

2011年08月14日 | 原発・核・311

今年の521日に書いたブログ記事『加害者になってまでの経済成長は必要か』

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20110521

の中で、韓国に埋められた枯葉剤の記事を紹介しましたが、琉球新聞に以下の記事がありましたのでご紹介します。

琉球新聞 (20118141010分配信)

『「枯れ葉剤 北谷に埋めた」 元米軍人証言』

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110814-00000005-ryu-oki

全文:

【中部】米国在住の元在沖米軍人男性(61)が、1969年に55ガロン(約208リットル)容量のドラム缶数十本に入った猛毒ダイオキシンを含む枯れ葉剤を米軍が北谷町海沿いの返還地に埋めたと証言していることが、13日分かった。在沖米軍基地の枯れ葉剤をめぐっては、60~70年代に県内の広範囲にわたる施設で散布、貯蔵、運搬された影響で健康被害を受けたとして、100人以上の元軍人らが退役軍人省に因果関係の認定を求める申請をしていることが明らかになっているが、埋却に関する証言は初めて。

 英字紙ジャパンタイムズが同日、68~70年に米陸軍補給部隊で物資の運搬に携わった元軍人が、枯れ葉剤が北谷町内に埋められたと証言したと報じた。

 70年に泡瀬通信施設で勤務した際に枯れ葉剤との接触で健康被害を受けたと訴え、沖縄の枯れ葉剤に関する情報を集めている元米空軍所属のジョー・シパラ氏(61)=米ノースカロライナ州=は13日、琉球新報の取材に、今回証言した元米軍人と今年7月に面会し「枯れ葉剤が埋められた場所はハンビー地域」だと地図を描いて説明されたと話した。

 シパラ氏が得た証言によると元米軍人は69年、枯れ葉剤を含む物資を運ぶ米軍の貨物船が座礁した際に、船上から積み荷を降ろす作業に従事した。その際、枯れ葉剤が入ったオレンジのしま模様があるドラム缶も取り扱い、その割れ目から漏れた枯れ葉剤を浴びたという。その後、米軍が枯れ葉剤入りのドラム缶数十本を北谷町内に掘った全長46メートルほどの大きな穴にクレーンを使って埋め、土をかぶせたのを目撃したと話している。

 北谷町幹部は81年のハンビー地域返還後に土地を再開発した時点では、地中からドラム缶は発見されなかったとしている。2002年には付近にある同町美浜の米軍返還地で油状の物質が入った大量のドラム缶が地中から発見されている。

追記: 埋めるといえば、福島市で、放射能汚染土、汚泥を、「一時的」と言って、山中に埋めているようですね。

EX-SKF-JPさんのブログ記事参照

http://ex-skf-jp.blogspot.com/2011/08/blog-post_07.html

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記事配信1(※ブログ休み中、気になるニュースだけ配信)

2011年08月11日 | 環境・エネルギー

ブログをお休みすると言ったばかりですが、気になる記事のリンクだけ、時々紹介します。

WSJ日本版

米国の核廃棄物処分問題-財源のめど立たず

http://jp.wsj.com/US/Politics/node_287466

米国で数十の核施設に保管されている使用済み核燃料は65000トンに上る。フットボール場1面分の土地に積み上げると20フィート(約6メートル)の高さになると言えばどれくらいの量なのか想像がつくだろう。

日本の原発事故が示すとおり、高レベル放射性廃棄物は国民の健康に被害をもたらす可能性があるだけでなく、既に悪化している米国政府の財政に大きな負担を強いるものだ。

 連邦政府は何十年も前に高レベル放射性核廃棄物の処分を約束しているが、財源問題がいまだに解決されていない。公共料金を通じて集められた250億ドルの資金は法改正の影響で利用できない状態にある。また、廃棄物の保管費用を求めて訴訟を起こしている電力会社への賠償は推計で少なくとも160億ドルに上る。ネバダ州ユッカ・マウンテンに処分場を建設する計画が撤回された後、代替案は検討されておらず、最終処分計画の費用が増大するのは確実だ。

 大統領の諮問機関、ブルーリボン委員会は先月29日に公表した中間報告の中で、核廃棄物処分計画の資金繰りについて(毎年の予算策定に左右されない)独立採算制の確立を求めた。しかし、この提案は短期的には財政赤字の増大につながるもので、現在の財政状況ではうまくいきそうにない。政府高官によると、オバマ政権は2012会計年度で核廃棄物処分計画向けの予算を要求していない。

 核廃棄物を担当していた複数の元政府高官は、廃棄物処分の資金計画に長期的な財源が確保されていないことは重大な欠陥だと指摘した。また、ユッカ・マウンテンの処分場計画はこれまで何年にもわたって、政治による干渉や予算削減の的となっており、その結果、遅延が生じて撤回されるに至った。

(後略)

全文は上記リンクからどうぞ。

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