友人の長男は大学4年生。大学のレベルも高く、成績も優秀(TOEICも800点台)、しかも積極性のある青年です。
そんな彼は今就職活動中ですが苦戦を強いられています。見守ることしか出来ない友人は気が気ではありません。うちの息子はまだ高校2年生なので就職より前に大学進学が控えているのですが、いずれにしてもそのうち私も友人と同じ思いを味わうのかと思うと、ちょっと憂鬱になります。
さて、若者の就職難、失業率が高いというのは別に日本に限った話ではありません。また、(サラリーマンを目指す人であれば)どんな会社でも引っ張りだこの人、大企業に拘らなければいくらでも就職できる人、何処の会社でも採用したくない人がいるというのも、どの国でも同じでしょう。
ただ、就職に関して欧米の友人と話していて特に違いを感じるのは、「彼らはしたい仕事と条件の為ならば、外国や現在の土地を離れることをそんなに大袈裟に考えないのではないか」ということです。日本では、地方の人が就職の為に大都市にでてくることはあっても、その反対はあまりなく、ましてや国を飛び越えて就職をすると言う発想はあまりないでしょう。
欧米の友人達から聞いた話をいくつか上げましょう:
①フィンランド人のJのバンド仲間の若いカップルは、フィンランドからスイスに新しい職を見つけスイスへ、
②彼の知り合いのブルガリアの女性は旅行中のフィンランド人と恋におちブルガリアを出てからフィンランドで就職、
③マルタ人のEの弟はベルギーに就職、(仕事ではありませんが、彼の妹はイタリアに移住)、
④ドイツ人のHの両親は彼女が小さいころにドイツからスペインに仕事を見つけ移住(Hは本国に帰ってきていますが、両親や兄妹はそのままスペインに移住)、
⑤カナダ人のMは彼が16歳のころ両親がドイツでの仕事の為一家でドイツに移り、数年前彼と両親はまたカナダに戻ってきました。しかしMの妹はオランダで職を見つけ、弟はドイツで就職。実はMもドイツに残りたかったのですが、就職先がないことなどからカナダにUターンしました。しかし彼は「いずれまたドイツでリベンジ」と言っていました。
このことを話していたとき、フィンランド人のJが
「欧米人にとっては昔から、“音楽の勉強のためにウィーンへ”“絵の勉強の為にパリへ”と自由に行き来していたから、今でも国境を越えること自体に抵抗がないのかもしれない。ま、言葉の壁はあっても、文化は大差ないしね。」
と言っていましたが確かなのでしょう。
それに、もしかしたら「日本は農耕民族でその土地から基本的に離れたがらないが、西欧人は狩猟、放牧をして暮らしてきたので獲物や牧草を求めて移動してきたので、移ることに免疫ができている。」という面もあるのかもしれません。
いずれにしても、仕事、就職先の選択肢が多いことは当人にとっては良いことなのでしょう。(外国人が来て仕事をするために、その国の人がまた外国に・・・という問題もありますが。)