Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

心のこもった国際貢献2

2008年08月27日 | 国際協力・プロジェクト

住友化学のオリセットネットについてもう少し。

オリセットネットの製造技術の現地会社への指導は無償供与で行われ、そしてまた、このプロジェクトから得られた利益は学校建設などの形で、現地に還元されているということ。

これは、住友化学が、世界保健機構(WHO)などが進めるアフリカでのロール・バック・マラリア・キャンペーン(マラリア防圧作戦)に参加して行っていることのようです。

それにしてもキャンペーン参加だけでも偉いのに、それに加えて利益さえも地元に還元するということはなかなかできないことだと思います。

こういう一つ一つの積み重ねが、その会社だけでなく、日本のイメージアップにも繋がって行く-日本にとってもありがたいプロジェクトです。

実はこのプロジェクト、日本の政府系金融機関が融資した案件でもあります。たまたま知人がこれに携わっていたことからそれが分かったのですが、話の中で彼は、「こういう案件が続いてくれると良いのですが、まだまだアフリカは遠い大地のようです。」と言っていました。融資する側も、こういう“心のこもった国際貢献”のお役に立てたと実感できる時が一番うれしいのです。

社会に貢献して人を救えると同時に、長い目でみればそれが自分達(企業、国)の利益にも繋がる。後者の「情けは人のためならず」というようなことは、おまけのようなものですが、ただ大金をばら撒いたり、武力を傘に用心棒を気取ったりするよりも、こうした民間の積み重ねが良い外交関係を築くには、一番効果がありそうです。

ただ最後に、住友化学に対して失礼を承知で言えば、オリセットネットが天然素材を使ったものだったら本当は一番良いのに、とも少し思います。(そうしたら、化学繊維メーカーでもある住友化学のこのプロジェクトはなかったわけなので、暴論ですが・・)

マラリア蚊を寄せ付けない為に必要なオリセットネットには、ポリエチレン製糸や防虫剤などの化学製品、物質が使われています。

「アフリカは天然素材を使う昔ながらの生活を大切にして欲しい」というのはアフリカの人々にとっては押し付けがましいことでもあるし、そもそも蚊帳に関しては、現地の人の「マラリアで家族を失いたくない」という悲願の達成に協力することが最優先。

だから、こんなことを言うのはおかしいかもしれません。

しかし、相手のことを思ってしていることでも、どうしても負の部分が出てきてしまうということ、それも頭に入れておくことも必要だと思います。

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心のこもった国際貢献1

2008年08月26日 | 国際協力・プロジェクト

以前働いていた福祉関係団体のI氏のお姉さまは(おそらく60代)、パレスチナ難民の支援のため、ガザ地区にボランティアとして長いこと住んでいらっしゃいますが、当のI氏自身も仲間に呼びかけてパレスチナ難民のためにあるものを送ったと言います。

「あるもの」とは“団扇(うちわ)”。ガザ地域では停電もたびたび起こるので、電気を使わない団扇は現地で重宝がられ、しかも、宣伝用に作った団扇を提供してくれる企業もたくさんあるし、送料もそんなにかかりません。

こんな話をふと思い出したのは、アフリカで今日本の企業の蚊帳が話題になっているという記事を読んだからです。

その会社は住友化学。そして商品は「オリセットネット」といい、

“世界で毎年5億人がマラリアを発症し、100万人以上が命を落としているとされるが、その約9割はアフリカのサハラ砂漠以南の地域、サブサハラで発生している。

防虫剤のスローリリースができるオリセットネットは、洗濯しながら5年間の使用に耐えるとあって、マラリア対策向けに需要が一気に拡大。2004年には、米タイム誌の「世界で一番クールな技術」にも選ばれた。現地企業と合弁企業で進出しているタンザニアでの生産量は、年間1000万張りに達している。”

と説明される優れもの。(説明は『週間ダイアモンド』記事より抜粋)

この蚊帳のお陰で住民はマラリア蚊から身を守れます。そして、住友化学はこの蚊帳の生産工場を現地に作ったので、住民に働く場所も与えています。

団扇も蚊帳もそんなに大それたものではありません。それでも喜ばれるのは、それは現地のニーズにマッチしているから。そして、マッチさせられたのは、思いやりからくる想像力と知恵の結果です。

昔、トルコで大地震があったとき、日本政府は毛布などと一緒に乾パンを大量に現地に送ったそうです。

しかし、毛布は歓迎されたものの、乾燥した気候、そして水不足の地域、乾パンをありがたがる人がいなかったと、人づてに聞きました。

乾パンを送ったことも善意だから否定はしませんが、しかしそれに比べると、やっぱり“団扇”と“蚊帳”での貢献は一層優れたものに思えます。

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ノブレス・オブリージュ

2008年08月12日 | 友人・知人

“ノブレス・オブリージュ(Noblesse Oblige)”という言葉があります。

これはフランス語で“身分の高いもの義務”という意味ですが、平たくいえば、“特権、財力を持つ人間が、持たない人々
(弱い者)について対して責任を持った行動をする、思いやりを持って守る”というようなことです。これは、日本の武士道にも通ずるところがあります。

最近世界では、自分のことにしか興味がなく、弱い者を踏みつけにしても良心がとがめない輩(彼らは無慈悲というより、弱い者が見えないのでしょう。)が多いです。しかもそれがどこかの会社の社長だけならまだ良いのですが、主要国のお偉方にもそういう人がチラホラ。かくして世界は住みづらくなっていっているのではないかと思います。

そのなような不祥事が多くていらいらしながら新聞を開くと、ある英国人青年実業家の記事(200887日東京新聞朝刊)が目に留まりました。その記事に書かれていたのはケンブリッジで紅茶専門店を開く25歳の男性ウイリアムさん。

記事によると、現在英国では紅茶を飲む習慣は残っていても、茶葉を使うよりテーバッグを使う人が圧倒的に多くなってしまっているといいます。そのことを残念に思うウイリアムさんは世界各地の茶葉を買い付け、茶葉で楽しむ紅茶(および中国茶や日本茶等)のよさを広めようとお店を開きました。

大切な英国文化が変わっていくことに対する危惧、そして自らのお茶の愛情が彼をそうさせたのでしょう。そして実は、彼が偉いのはそれだけではありません。

“・・・・そう言いながらいれてくれた紅茶は、インド北東部産の有機栽培茶。香料は使っていないのに、魅惑的なチョコレートの香りがする。「貧しい地域で地元の人が農業振興のために作り始めたお茶だ。買い付けに行ったとき、偶然見つけた。この茶の売り上げの1割を現地に還元し、橋などの社会基盤整備のために使ってもらう契約を結んでいる」英国の紅茶の歴史は、荒々しい植民地支配の歴史でもある。FCT (注:First Class Teas)はお茶と英国人のつながり方を変えようという、ベンチャー企業なのだ。・・・”※記事抜粋

このように彼は、自国のことだけでなく、インドの貧しい地域の人々になることも同時に考えてしまったのです。

実はこのウイリアムさんに興味を持った私は、彼に記事を読んだ感想を送ってしまいました。もちろん返事など期待もしませんでしたが、なんとメールを送ってすぐ、ウイリアムさん本人から丁寧な返信メールが届いたのです。

彼は言います。

「・・・(インドのお茶の生産地に)売り上げの10パーセントを渡すことによって、彼らはもっと良いお茶を作ろうとするし、自分達の村の為にもなる。これは本当に小さなことなんだけど、このプロジェクトが彼らの助けになれば、と願っているんです。」

「ありがたいことにお茶文化は自分達のところのような小さな会社の努力で少しずつ元に戻っているんです。・・・ゆっくり再教育していきます。」

彼のメールは本当に生き生きとし、希望と愛情に満ち溢れていました。

と、これがなぜ“ノブレス・オブリージュ”と結びつくのか-。

実は彼のフルネームを見てピンときて調べてみたところ、彼は貴族階級の出ということがわかりました。

今回“ノブレス・オブリージュ”というものをとてもまざまざと実感し、「自己中心的で偽善的なお偉方達に、彼の爪の垢を煎じて飲ませたい」と思った次第です。

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燃えているお母さん!?

2008年08月04日 | 教育

この酷暑の夏休み、息子の学校は授業があります。その上宿題もたくさん出ているので、息子はぼやきっぱなし。が、英語の宿題の提出期限が迫っている為いつまでもウダウダしていられず、ついに私に教えを請いに来ました。(息子の宿題を見るのももう数年ぶりです。)

「どれ、見せて」

もったいぶって彼の宿題のプリントを受けとり、プリントに目を通していたった私は、ある問題の解答を見て堪えられずに笑ってしまいました。

その笑いを提供してくれたのは、“何か燃えている匂いがするよ、お母さん”の英単語並び替えの問題の息子の解答。

単語は、burning / I / Mother / something / smell / , 。

この問題に息子はなんと、“I smell mother burning something.”と書いていたのです。

「実は意味を知っていてそう書いたんじゃないの?」

息子の書いた英文だと、“お母さんが燃えている匂いがする”という意味になってしまいます。(正解は“I smell something burning, Mother.”)

息子は自分の珍回答の意味を知って爆笑。まあ、脳天気なのか、笑っている場合じゃないんですけどね、本当は。

それにしても、今時の問題はシビアな文章が多いようです。プリントの問題は私立大学の入試の過去問題もいくつか含まれていますが、その中にこんな感じの文章が使われています。

英単語の並び替え(日→英)

“ビルが彼女と結婚するにはもう3年かかるでしょう”

“私はその人が轢かれて、運転手が走り去るのを目撃した”

“彼女は30歳だと言っているが、本当は何歳かしら”

“彼の叔父さんは、彼が新しい仕事を見つけるのを助けようとしたが、すべて無駄だった”

英単語の並び替え(英→英)

As he failed completely in business, his family ruined.” (彼が事業に失敗したので、家族は崩壊(没落)した)

他に、英文和訳の問題で、“I make it a rule to lay aside a little money each month for her son.”というのもありました。これは、“私は毎月彼女の息子の為にお金を少し取っておく(蓄える)”という意味ですが、この“私”と“彼女”ってどんな関係か・・。息子は訳しながらも、その二人の関係を想像して楽しんでいました。

(この問題はおそらく出題者が“my son”を“her son”と書き間違えたのでしょう。)

しかし、間際になってもこの調子の息子。テレビゲームには向けられる集中力の半分でいいから、宿題に向けてほしいものです。

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