住友化学のオリセットネットについてもう少し。
オリセットネットの製造技術の現地会社への指導は無償供与で行われ、そしてまた、このプロジェクトから得られた利益は学校建設などの形で、現地に還元されているということ。
これは、住友化学が、世界保健機構(WHO)などが進めるアフリカでのロール・バック・マラリア・キャンペーン(マラリア防圧作戦)に参加して行っていることのようです。
それにしてもキャンペーン参加だけでも偉いのに、それに加えて利益さえも地元に還元するということはなかなかできないことだと思います。
こういう一つ一つの積み重ねが、その会社だけでなく、日本のイメージアップにも繋がって行く-日本にとってもありがたいプロジェクトです。
実はこのプロジェクト、日本の政府系金融機関が融資した案件でもあります。たまたま知人がこれに携わっていたことからそれが分かったのですが、話の中で彼は、「こういう案件が続いてくれると良いのですが、まだまだアフリカは遠い大地のようです。」と言っていました。融資する側も、こういう“心のこもった国際貢献”のお役に立てたと実感できる時が一番うれしいのです。
社会に貢献して人を救えると同時に、長い目でみればそれが自分達(企業、国)の利益にも繋がる。後者の「情けは人のためならず」というようなことは、おまけのようなものですが、ただ大金をばら撒いたり、武力を傘に用心棒を気取ったりするよりも、こうした民間の積み重ねが良い外交関係を築くには、一番効果がありそうです。
ただ最後に、住友化学に対して失礼を承知で言えば、オリセットネットが天然素材を使ったものだったら本当は一番良いのに、とも少し思います。(そうしたら、化学繊維メーカーでもある住友化学のこのプロジェクトはなかったわけなので、暴論ですが・・)
マラリア蚊を寄せ付けない為に必要なオリセットネットには、ポリエチレン製糸や防虫剤などの化学製品、物質が使われています。
「アフリカは天然素材を使う昔ながらの生活を大切にして欲しい」というのはアフリカの人々にとっては押し付けがましいことでもあるし、そもそも蚊帳に関しては、現地の人の「マラリアで家族を失いたくない」という悲願の達成に協力することが最優先。
だから、こんなことを言うのはおかしいかもしれません。
しかし、相手のことを思ってしていることでも、どうしても負の部分が出てきてしまうということ、それも頭に入れておくことも必要だと思います。