Various Topics 2

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※旧Various Topics(OCN)

パリオリンピック女子ボクシング騒動と外交問題-イタリアはどうするか?

2024年08月08日 | 国際・政治

アルジェリアのイマネ・ケリフ選手の件は、国際政治の駆け引きに使われはしないか、思っていましたが、そうなりそうな気配。

安保理、ボクシング女子騒動で対立 ロシアにアルジェリア反発(ロイター) - Yahoo!ニュース

[国連 7日 ロイター] - 国連安全保障理事会が女性と平和、安保にテーマに開いた7日の会合で、ロシアがパリ五輪ボクシング女子の性別適格性騒動に言及し、渦中の選手の出身国アルジェリアが強く反論する場面があった。

ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連次席大使は、西側諸国が五輪運営を独占していると主張。LGBT(性的少数者)を巡る政治的意図をその他諸国に無理矢理押し付け、女性の権利と尊厳を損なっていると非難した。 その上で、パリ五輪のボクシング女子に出場するイマネ・ヘリフ選手(アルジェリア)と林郁婷選手(台湾)の性別適格性を巡る問題を議論に持ち出し、「国際ボクシング協会(IBA)のホルモン検査で失格した選手ら、つまりIBAと常識によると男性だが、その選手によって女子選手が公然と暴力を受けている。全く忌まわしいことだ」と述べた。

これに対しアルジェリア上級外交官のトゥフィク・クードリ氏は強く反論し、「ヘリフさんは勇敢なボクサーで、女性として生まれ、女性として過ごしてきた」と指摘。「漠然とした政治的意図を持つ人たちは別にして、その点に一片の疑問もない」と強調した。 ヘリフ選手と林選手は昨年の世界選手権で性別適格性検査をクリアせず、IBAの規定違反で失格となった。

ただ、IBAはガバナンス問題でボクシング統括団体としての地位を剥奪され、パリ五輪では国際オリンピック委員会(IOC)が競技を統括しているため、出場が認められていた。

 

先日書いた

イマネ・ケリフ女子ボクシング選手とスポーツのジェンダー・彼女のユニセフ国連大使就任時インタビュー - Various Topics 2 (goo.ne.jp)

-改めて考えると、今年1月にケリフ選手をわざわぜざ女性のユニセフ大使にしたことは、国際オリンピック協会への当てつけだったともとることができます。

「国際オリンピック協会」の大手スポンサーがロシアのがガスプロム。

国際ボクシング協会 - Wikipedia

 

アルジェリア政府が出てきたらややこしいのはイタリア。イタリアはアルジェリアの国営企業SONATRSCHとガス契約を結び、パイプラインでドイツに輸送するようにしました。

エンリコ・マッティとエウジェニオ・チェフィス-番外編(メローニのエンリオ・マッティ・プラン) - Various Topics 2 (goo.ne.jp)

で紹介した記事をもう一度-

ドイツが史上初めてアフリカ大陸と連結。ガスのパイプラインで。脱ロシア、イタリア復権とEU水素回廊(今井佐緒里) - エキスパート - Yahoo!ニュース

2月9日、ドイツのエネルギー大手企業子会社が、北アフリカのアルジェリアの国営企業から、ガスを購入する中期契約を結んだ。

液化天然ガスの海上輸送ではない。パイプラインで受け取るのだ。アフリカ大陸とドイツがパイプラインでつながるのは、歴史上初めてである。

戦争が始まる前、ドイツはガス輸入の55%をロシアに頼っていた。今、ロシアからのパイプライン輸入はすべて止まっている。代わりにアフリカに接続されたのだ。東から南への大転換だ。

エネルギー問題はただの経済事項ではないのは言うまでもない。

ドイツが第一次世界大戦で敗戦し、アフリカ大陸の植民地を失ってから1世紀強。地政学の大変化の第一歩だと言っても、過言ではないのではないか。

ガスの逆流

契約を結んだのは、ドイツの大手EnBWの天然ガス輸入販売子会社フェアブントネッツ・ガス(VNG)と、アルジェリアの国営石油・ガス会社ソナトラックである。

ガスはもう、アフリカからドイツへ流れている。

(中略)

イタリアがアルジェリアからガスを輸入するのは、戦争前からのことで、210億m3輸入していた。
ロシアの代替を探すのに、大変な親イタリア国であるアルジェリアは、フル稼働(300億m3)して輸送することを約束した。

アルジェリアは今後、さらにドイツからの分も請け負うことになる。
ただ、この輸送はまだ規模が大きくない。

今後は、アルジェリアからドイツまで、新しいパイプラインをつくるのだ。イタリアとオーストリア・ドイツの間には、アルプス山脈がそびえ立っている。歴史的に国境をつくってきた名高い山脈である。できるだけ迂回するものの、越えないわけにはいかない。巨大構想である。

(後略)

 

このプランはロシアにとってありがたくないもので、アルジェリアとイタリアの関係が崩れればロシアにとっては都合がよくはなるでしょう。

イタリアのメローニ首相はケリフ選手出場に対し批判コメントを出しましたが、イタリアはこれを撤回してアルジェリアのご機嫌を損ねないようにするのか。

8月2日の記事:

性別騒動の女子ボクサー、敗れたイタリア首相が声上げる事態に発展「男性の遺伝的特徴を持つ選手は参加すべきではない」(THE ANSWER) - Yahoo!ニュース

抜粋:

 ケリフは国際ボクシング協会(IBA)主催の昨年の世界選手権でDNA検査を実施した際、XY染色体を持っていることが証明されたとして、出場権を剥奪されている。同紙はIOCのスポークスマン、マーク・アダムズ氏が「これらのボクサーは完全に出場資格がある」と主張していることを伝えた。  同紙はイタリアのジョルジャ・メローニ首相のコメントも紹介。「極端にとらえると、いくつかの説は女性の権利に影響を与える危険性があることを、私は何年も前から説明しようとしてきました」「男性の遺伝的特徴を持つ選手は、女子競技に参加すべきではないと思います。誰かを差別したいからではなく、女性選手が平等に競技できる権利を守るためです」と語り、ケリフの出場に疑問の声を上げていた。

 

仮置き:

性別騒動のボクシング女子・林郁婷 頼総統「政府が後ろ盾に」 法的措置も/台湾(中央社フォーカス台湾) - Yahoo!ニュース

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