Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

K氏

2008年09月20日 | 友人・知人

突然決まったのですが、11月の初めにパリ2泊フィレンツェ3泊の57日で出かけることになりました。

これは、
4月の旅行のときに例の元同僚H(『16年ぶりの再会』『異端児の孤独』参照)と「もし可能だったら、フィレンツェ近郊在住の社会学者D氏(『D氏』参照)のところに一緒に行こう」と話していたものが具体化したものです。

とはいえ、Hの業務スケジュールが現段階では固まらない為、その時期に彼が出張になってしまう可能性もあります。そうすると旅行は全くの一人旅。

そこでボローニャ市(フィレンツェから特急で1時間)に住むペンフレンドのロビーさんとフィレンツェで会う約束を取り付けました。

また、先日メールで話をしていた元同僚で先輩のK氏にもこの旅行について誘ったところ、彼も都合がつけばjoinする、と言ってくれました。

さて、このK氏と私は同じ部に所属したこともあったので面識はありましたが、同じ課で働いたことはありません。しかし何時も笑みを浮かべて明るいK氏は後輩達にもなかなか人気のある人物で、私も彼には好感を持っていました。そうはいっても同じ課で働いたこともないK氏に、私が連絡することはなかろうと思っていたのです。

その彼と連絡を取るきっかけとなったのが『ロシア』。

実はK氏ももう何年も前に職場を離れ、今はロシアの専門家として活躍しています。

この8月にグルジア軍とロシア軍の衝突がありました。これは北京オリンピックの開会日と重なったことや、そもそもが遠く離れた国で起こっている紛争などに興味を持つ人が少ないということもあって、日本の一般人の間で関心を持つ人は少なくなかったと思います。

しかし欧米ではこの紛争は一大事。アメリカとEUは先に手をだしたグルジアよりロシアを一方的に非難し、ロシアの態度も硬直。

メディアは一斉に「新冷戦の始まりか?」などと書き立てました。これは第三者的にみれば情報操作というのが想像できるのですが、これらのせいで西側に不安が広まりました。実際、私のペンフレンド達のうちの
3人(マルタ、ドイツ、カナダ)も、ロシアに脅威を感じているとメールに書いてきました。

9月中旬になると株価に打撃を受けたロシアも態度を軟化。

海外のロシア専門家達と話し合い(ヴァルダイ会議)をした後、プーチン首相は「私達は新冷戦など望んでいないし、西側とうまくやって行きたいのだ。挑発しないで。」と表明。これをきっかけに、西側のメディアの中にも自分達の報道の仕方が偏っていたことに対して反省するコラムを載せたりするところもでてきました。

このヴァルダイ会議にK氏は出席していなかったとは思いますが、ただでさえ忙しいK氏、この時も日本とロシアの関係を憂いながら飛び回っていました。

こうした専門家達が、時として外交官以上に力を発することもあるのでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

田舎の商店主、ロシア

2008年09月08日 | 友人・知人

先週何往復か、ロシアのコミ共和国に住むロシア人大学生アレクセイ君とメールでお話しました。彼は1年間しか日本語を習っていないのに、彼の日本語は、メールのやり取りに大きな支障はないくらい上手で、漢字もしっかり使えます。

もっとも、読み書きはできるものの、日本人と話す機会がないので、会話についてはまるっきり自信がないということです。

(外国語において、読み書きはともかく会話が駄目という人は多いですね。)

そんな彼はとても素朴な人物のようです。ロシア人というと、どうしても西洋人にくらべて特別視してしまうところが私にはあったのですが、「12歳の頃まで、日本に人は住んでいないと思った」「兄弟姉妹がいたらきっと息子さんは、うんざりする」「日本のYuiや鬼束ちひろが好き」など書いてくる彼は、普通の青年と変わりありません。

それに加えて、「村上春樹はロシアで人気がある。でも僕はもっと日本語を勉強して、日本語版を読みたい。」「夕日が綺麗だったから写真を撮りました。僕のアパートは1階なので、あまり良く取れていないけど、喜んでくれるとうれしいな」なんて写真を添付してきたりして、今時こんな青年は日本にもなかなかいない、と私を感激させました。

さて、そんなロシアですが、8月のグルジア侵攻以来すっかり世界の悪者にされています。

私はけしてロシアのみを擁護するわけではありませんが、西側メディアの論調は、まるで「新冷戦の始まり」とでも言う論調。

そういう論調がおきる下地に、「ロシアは昔のソ連のような大国になって、力を持ちたがっている。それには武力を使うことも厭わない」というのがあると思います。

まあ、これを大きな声でいうアメリカの厚かましさは置いておいて、確かに一理あるでしょう。

しかし、最近ふと考えることがあります。将来はどうなるかは分からないけど、今のロシアにとって一番優先したいことは、ビジネス。自分のお店の運営をうまく軌道に乗せ、そしてその規模の全国的展開をめざす田舎の商店主(企業家)と同じようなものではないかと。

グルジアの件で、ロシアのビジネス・リーダー達は一番に「投資家が逃げる、株価が下がる」と心配したようですが、実はプーチンやメドベージェフにとってもそれが一番気になったのではないでしょうか。

グルジア云々の前に、ロシアのビジネス・リーダー達を悩ませた、ロシアと英国の合弁石油会社TNK-BPの揉め事がこの時期に解決(英国が折れた部分が大きいとはいえ、ロシア側の妥協もあったのでしょう。)されたりしたのも、いろいろ計算があったのだと思います。

さて、先ほど村上春樹の名前をあげましたが、メドベージェフ大統領は日本の洞爺湖サミットに来る前に、日本に親しむ為に毎日日本茶を飲み、村上春樹の本を読んでいた、という逸話があります。

また、プーチン首相に関しても、彼が黒帯の柔道家で、「柔道は哲学」と言い、来日の時に講道館から6段の段位を進呈されたとき「自分は柔道家なので6段の帯が持つ重みを知っています」と断わった話などを聞くと、実体は案外まっすぐな人なのではないか、とも思えてきます。

まだロシアは見えない部分が多すぎて判断はできませんが、ソ連時代と現在のものは違ってきているということを踏まえて考えることも、西側(そして私達個人個人にも)には必要なのかもしれません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする