早いものである。阿蘇山に旅行に行ってかれこれ50年になるのだ。
熊本県と大分県にまたがるその頃の阿蘇の大草原は、世界最大級のカルデラと、日本最大級の草原地帯を有していた。
牛馬が草を食み、人間が野焼きをし、受け継がれてきた夏の青々とした大草原に立ち、力強い火山と雄大な山々の大自然が融合する景色を背景に記念写真を撮った事を思い出した。
ところが今日阿蘇山の周辺景観の激変写真を見せられて唖然とした。
外輪山に広がる日本最大級の草原の山の上が太陽光パネルで真っ黒になり、阿蘇の大自然が所々異様な景色に変わっているのだ。
その光景は黒光りするタールがグロテスクに草原に垂れ込んでいるような印象を受ける異様な光景が広がっていた。
草原の草が根を張り、水土保全機能を発揮して斜面を土砂崩れから守ってきた草原地が破壊されることは大きな問題となる。
メガーソーラーによって太陽光の大半を奪われることになると、草は枯れ、土壌の生態系も大きく崩れることが予想される。
阿蘇地域は火山灰土壌であり、急傾斜地も多いことから、土砂崩れしやすい地域である。
草地は涵養効果もあり、熊本の豊富な地下水にも貢献している。
草をはむ牛の姿は失われ、阿蘇のイメージを損なっている。
九州は台風も多く、メガソーラーの設備が破損する可能性は十分にあり得る。
地元の心配の声も大きいようである。