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旧作探訪#105 『ヨコハマメリー』

2010-09-11 23:28:24 | 映画(レンタルその他)
@レンタルDVD、中村高寛監督(2005年・日本)
歌舞伎役者のように顔を白く塗り、白いドレスに身を包んだ老婆が、ひっそりと横浜の伊勢佐木町界隈に佇んでいた。
かつては占領軍の将校相手の美人娼婦だったというが、今は住む家もない。その風変わりな姿は、いつしか横浜の街の風景の一部となり、人びとは彼女を“ハマのメリーさん”と呼ぶようになった。1995年の冬以降メリーさんの姿は街から消えたが、メリーさんの思い出を語る馴染みの人びとも、彼女の消息を知らない。
これがデビュー作となる中村監督による、メリーさんとゆかりのあるさまざまな人びとへのインタビューと、かつてのメリーさんを捉えた数少ない写真から、一人の女の数奇な人生が浮かび上がる…。



きょう谷啓さんが亡くなったという。オラとしては、さまざまあれど、彼の仕事で最も印象深いものとして、米アニメの日本語吹き替えでチャーリー・ブラウンの声を担当したことを挙げたい。男の子の声を大人の男性が担当するのは、わりと珍しいことだと思うが、妙にはまっていて。
昭和40年前後に生まれた子どもとして、NHKで放映されたそのアニメを見ていた人になら共有していただける感覚だと思うのだが、人それぞれ、彼の姿をしのぶにあたって違う場面を思い出される方もいましょう。人それぞれといえば、先週に、突発的に弊ブログのカウンターが1000を超えたことがあって、増えた分の8割くらいが例によって岡崎聡子特需、2割くらいは初めての「山本志織特需」だった。ほら、7月終わりに山本さん出演のイベントのため水戸まで出かけたじゃんよ、それがどうしたわけか今になって。
どうやら2ちゃんねる的な掲示板で、「いい年して山本志織に明け暮れるなんてみっともない」的な例として取り上げられたらしい。別に、明け暮れてないんだけどさァ…今夏はなんにも予定がなかったもんで、意図的に盛り上げていこうと…。
ま、いっかァ…みっともない汚やじと思われることくらい、生きていれば、いろいろありましょう。おそらくお若い、といっても20代が山本志織に興味持たないと思うので、30代くらいかとも思うが、彼らにとってヨコハマ・メリーさんとかは、どのような感慨を起こさせるのだろうか。
いかなる経済状態だったのかホームレスで、↑画像のように雑居ビルの片隅でパイプ椅子を組み合わせた上に眠る。背中の曲がった、白塗りの、奇妙な老婆。米軍相手の“パンパン”だということは知れ渡っていたらしく、行きつけの美容室では、メリーさんが来るなら私は来ない、というような声にも押されて来店を断らざるをえなかったのだとか。95年、74歳のとき姿を消したのは、見かねた知人が話をして、郷里の老人ホームへ入ることになったらしい。
にしても、長いあいだ家もなく、彼女を横浜中心部の路上へ駆り立てたものがなんだったのか、みっともなくもごく一部の方のご愛顧を受けて続けております弊『マガジンひとり』と同様、生きたい!!わたしは生きている!!との心からの叫びだったのでわ。
年をとれば衰えるのは人間の宿命だが、高齢になればなるほど個人差もまた大きい。健康かどうか、気力・体力、お金、家族構成、人間関係、地域性─。ぼけ防止には、「段取りを組む」必要のある旅行や料理をするべきです─と曽野綾子が述べるのは、いかにもそれらに恵まれた保守派の見解として反発を感じるが、逆に、墨田区で生活保護を受ける老人が群馬県渋川市の無届け老人施設の火災で何人も亡くなったとか、さらには愛知や岐阜で広まる「寝たきりアパート」の件などを聞くに、個人の気力や自己責任を重視するべきだとする曽野綾子のような見解にも耳を傾けざるをえない。そして、いまや、そうした風潮は高齢者だけでなく、子ども・若者・中堅層をも覆い、ただ普通に生きることですら困難さを増しているようだ。
「暮らしていけない」─それでも生きなければならない。


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2 コメント

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こんにちは! (aquamulsa)
2010-09-12 14:08:25
冬のマーケットさん、ご無沙汰しておりました。

子供の頃によくメリーさんに遭遇してましたよ。
馬車道あたりで会うことが多かったですね。
本当に横浜の情景の一部となってました。
懐かしいです、メリーさん。
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ようこそです~! (冬のマーケット)
2010-09-12 16:27:40
お久しぶりです。お元気そうでなによりです。

aquaさんは生メリーさんと遭遇なさってたんですか!
私も小6まで六ッ川に住んでたんですが、市中心部へ行く機会が少なかったためか、残念ながら遭遇できませんでした。

今回映画を通してメリーさんの姿を見て、アントニー氏の前作のジャケを連想しました!
返信する

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