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聞く前に出会っていたロック=『マカロニほうれん荘』

2013-06-30 21:15:36 | マンガ
私が子どもの頃、といっても小5~中1という子ども時代末期のことだが、マンガ雑誌のチャンピオンは少年チャンピオンだった。
『ドカベン』『ブラックジャック』『750ライダー』『花のよたろう』といった現在まで認知度の高い連載陣の中でも、瞬間的な変装やあけすけな下ネタ、「死刑!」などのギャグで1975年ころ社会現象にもなった『がきデカ』、さらに77年には『マカロニほうれん荘』が加わり、このギャグマンガ2本柱はチャンピオンのみならずマンガ界・男の子の世界全体を強力に牽引した。

当時、TVのお笑い番組より、この2本のマンガがはるかに尖端的な笑いを追求しており、後続世代に多大な影響をもたらしたし、とくに、やや泥臭い『がきデカ』に対し、最新のファッションやサブカルチャーを盛り込んで、お笑いながらも「カッコよさ・憧れ」を感じさせる『マカロニ~』は絶大な支持を集めたのである。




↑このあたり、5分くらい笑い転げた記憶が。
きんどーさんがトシちゃんに「急ぐのよっ」というわけは、主人公のそうじくんが彼に横恋慕する中嶋さんに拉致されエロエロ攻撃を受けているためで、押し掛け同居人のトシちゃん25歳・きんどーさん40歳がふざけたり、今でいうところのノリツッコミを繰り広げながら救出に向かう、当時の鉄板。

といったように、大人になった私はつまらない解説などしてしまうが、お笑いは理屈でない。
ギャグ・演出の猛烈なスピード感に加え、頂点を極めながら見る見るうちに面白くなくなり(コミックスでは6巻の途中に変調が表れ、7巻からガクンと低調に)、ついには絵柄も迷走して2年余で最終回を迎えてしまう、この全力疾走&完全燃焼ぶりこそ、『マカロニほうれん荘』を神・伝説の域に達させた。
まさにロックンロールそのものだった。




↑扉ページがまたエロくてカッコいい。おかずに使った記憶も。
これらが当時の映画や洋楽ジャケなどに影響されたものだろうことは今にして察するけれど、私にとってこちらが先だったのだ。
ほか、リーゼントの不良・暴力団や軍事ネタも随所に登場するが、不思議と嫌らしさやおたくっぽさがない。

作者の鴨川つばめさんが『消えたマンガ家』という雑誌企画で語ったところによれば、高校中退してバロン吉元氏の下でアシスタントを務めたが長く続かず、持ち込みが採用された少年ジャンプでも専属で縛られるのが嫌で、少年チャンピオンに移り、数本執筆の後、壁村というこれも伝説的な編集長の独断で『マカロニ~』連載が決まったとのこと。

「ヤクザの組長の方が似合う」とされた壁村氏、さらに鴨川さんの実父も乱暴者の土建屋だったそうで、これらの人物のあえてリスクを引き受ける姿勢、またマンガ家としては酒井七馬氏=大阪で手塚治虫と組んで『新宝島』をヒットさせるも後半は不遇で餓死同然の死に方だったとか=の反商業主義的な主張にも影響されたといい、マーケティングの権化のような少年マンガ雑誌ではパッと咲いて潔く散ることを運命づけられていたのだろうか。

反対意見を恐れず、本当に思ったことを世に問うてみるという、和を重んじる日本人には欠乏しがちな価値観を、『マカロニほうれん荘』が私のどこかに植え付けておいてくれたのかも–

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