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旧作探訪 #128 - 戦場にかける橋

2014-03-30 21:33:11 | 映画(レンタルその他)
The Bridge On the River Kwai/監督:デビッド・リーン、1957年・イギリス・アメリカ
大戦中、マレーシアで日本軍の捕虜収容所に入れられた体験を持つフランス人作家ピエール・ブールの小説を映画化。アカデミー賞を作品賞など7部門で受け、現在までオールタイムの映画30選・50選などで常連になっている不朽の名作。音楽の「クワイ河マーチ」も有名。
タイとビルマの国境近くにある日本軍の捕虜収容所では、連合軍捕虜を使って、国境に流れるクワイ河に泰麺鉄道のための橋を架ける準備が進められていた。だが、後から収容されることになった英軍部隊のニコルソン大佐(アレック・ギネス)は、将校の労役はジュネーヴ協定に反するとして、所長の斉藤大佐(早川雪洲)と対立。いっぽう、米軍捕虜のシアーズ(ウィリアム・ホールデン)は、ジャングルに囲まれているため不可能とされた収容所からの脱走を仲間と試み、奇跡的に一人だけ成功していた。
ニコルソンを酷暑の重営倉に監禁するなどして、英軍を協力させようと試みる斉藤であったが、ニコルソンは決して折れず、英兵士のサボタージュも続き、期限までに橋を完成させることが難しいと考えた斉藤も遂に譲歩し、ニコルソンに恩赦を与えて再度協力を要請。捕虜たちに生きがいを与えて士気を維持しようと考えていたニコルソンはこれを承諾し、英軍主導により建設工事が再開された。しかし同時に、生き延びたシアーズが英軍の特命を受け、架橋爆破作戦のため現地に潜入しようとしていた–




しばらく前、アメトークが終わってから、やや後の時間に『闇金ウシジマくん』の深夜ドラマがあるので、テレ朝からTBSに替えてTVを付けたままにしておいたところ、ウシジマくんの直前にやっていた番組が最悪であった。
SMAP稲垣と小島慶子がホスト役のトーク番組らしいのだが、ゲストがあの、映画『永遠の0』の原作小説やNHK経営委員就任後の数々のタカ派発言でも知られる、百田尚樹だったのだ。

その言動は知っていても、映像で見たことはなかったので、ナンボのもんなのかと、しばらくTVを消さないでおいたわけですよ。
すると、その口ぶりや論法が、ハシモト市長と酷似していることに気付いて。
とにかく、自分を守りたい人。臆面なくどこまでも自己正当化する。ことに「同業者が選ぶ直木賞なんか要らない。書店員が選ぶ本屋大賞が欲しかったんだ」という屁理屈とポピュリズムの組み合わせが、ひどく橋下と近しい。

彼の応援を受けた田母神候補や、お友だちとして彼をNHKに送り込んだ安倍首相の本心や歴史認識も、推して知るべし–




プライドの、というよりメンツの化けもの=橋下徹。彼のメンツのためだけに、無駄な選挙が行われ、頼みとする民意も離れがち。
映画の前半は一種の心理ドラマというか、原理原則に基づくニコルソンのプライドと、立場上どうあっても工期を守らねばならない斉藤のメンツがぶつかり、どちらも引くに引けない。
ジュネーブ条約=敗者の掟など知らん、イギリス人は負けたのに恥を知らない、とののしる斉藤なのだが、むしろ負けた場合に名誉を失わないことが大切であり、そうすれば敗北を糧にして勝利に変えることもできるだろうと考え、懲罰に耐え抜くニコルソンに対し結局は譲歩を余儀なくされる。

極限状況で、異なる価値観が衝突し、やがてニコルソンと斉藤の間には友情めいたものも芽ばえる。このあたり、戦前から日米英仏の映画界を股にかけて活躍した早川雪洲の存在が光る。




映画は後半、橋の建設と爆破作戦が同時に進みサスペンス要素を強める。
最後のシーンは圧巻と言うしかなく、あらためて傑作と思ったのだが、私としては冒頭、ニコルソンの部隊の到着前、過酷な労役で死んだ捕虜仲間を埋葬して十字架を立てるシーンが印象的だった。
日本軍が命じた泰麺鉄道の建設は、飢餓や伝染病により、連合軍捕虜15000人、現地労働者30000人の犠牲を生んだとされる。さらに、その後のインパール作戦では、食料や弾薬の補給がされず死屍累々、日本軍将兵30万人中18万人が犠牲となり「白骨街道」と呼ばれた。

この映画は現実の戦争の悲惨さを一部しか描いてはいないが、埋葬のシーンをはじめ、きちんとした記録を残そうとの執念というか、ジャーナリズムの厚みを感じる。
戦争責任を水に流し、無謀な作戦を命じたA級戦犯と、餓死・病死して今もジャングルに骨が残る兵士とが同じ靖国神社に祀られるわが国とは、文明や価値観が違うのは仕方がないとしても、どちらが時の重みに耐えるかは明白ではないだろうか–

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