マガジンひとり

自分なりの記録

Virgil Finlay (ヴァージル・フィンレイ)

2012-05-04 22:51:21 | Bibliomania
The Diploids (Katherine MacLean) - Thrilling Wonder Stories, Apr. 1953




The Evening Star (David H. Keller) - Fantastic Story Quarterly, Winter 1952




We Shall Come Back (C.H. Liddell) - Science Fiction Quarterly, Nov. 1951




The Black Kiss (Henry Kuttner & Robert Bloch) - Weird Tales, Jun. 1937




The Shadowy Third (Ellen Glasgow) - Fantastic Novels, Jun. 1951




Black Butterflies (Elmer B. Mason) - Famous Fantastic Mysteries, Apr. 1949




Old Cornish Litany (Anonymous) - Weird Tales, Feb. 1938




The Man Who Mastered Time (Ray Cummings) - Fantastic Novels, Mar. 1950


ヴァージル・ウォードゥン・フィンレイ (Virgil Warden Finlay, 1914-71) は1914年7月23日、ニューヨーク州ロチェスターに生まれた。中学時代から運動選手として活躍する一方、独学で絵のさまざまな技法を研究し、高校では美術教師からスクラッチボードという点描の技法を習得する。卒業後もさまざまな実験を重ねた末、21歳の時に中学時代から愛読していた幻想・怪奇のパルプ・フィクション誌『ウイアード・テイルズ』に絵を送り、編集長に認められて挿絵画家として世に出る。
フィンレイの技法は、ボール紙に白色顔料と塗膜の重ねられたスクラッチボードに、290号という極めて細い石版用のペンで点を一つ一つ打っていくという、根気の要るものであった。しかし挿絵画家としての彼の作品は、ほとんどがパルプ雑誌の粗い紙面に印刷されたため、1枚の絵に数日を費やすという執念も、芸術家としての評価や経済的成功につながることはなかった。ただし晩年のラヴクラフトが若きフィンレイを絶賛し、励ましの手紙を送るなど、作家や編集者からは信頼を寄せられていたという。
やがて彼はウイアード・テイルズのカラー表紙や、同種の雑誌『アメリカン・ウイークリー』『フェイマス・ファンタスティック・ミステリーズ』でも執筆し、兵役に就いて沖縄戦などに従軍したのを挟み、精力的に作品を手がける。
1950年代前半に円熟の境地を迎えたフィンレイには、やや高い稿料も支払われるようになったものの、彼が報われた時期は短かった。朝鮮戦争後の経済状況の悪化のため、パルプ雑誌が廃刊したり経費を減らすようになって、時間を要する彼の仕事は減り、絵の修復やランプ傘のデザインまでこなして糊口をしのがざるをえないほどだった。
晩年には占星術の雑誌の仕事で成果を残すものの、1971年1月18日、初の本格的な画集の完成を目前にしてがんのため他界した。享年56歳。 ─(経歴と図版は大瀧啓裕著『Virgil Finlay幻想画集』青心社、より)




Self-portrait drawn in 1961

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