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巻き添え食ってたまるかよ

昭和博覧会⑥ 慰安婦と女子アナ

2023-07-24 17:22:41 | Bibliomania
鹿内 私が招集になりましたのは、まだみんな現役の兵隊だけでいろんなことをやっていた時代に、戦況がだんだん怪しくなってきて、予備役の兵隊も現役と一緒にとるということになりまして、それでとられたのが昭和13年でした。行きましたら、現役と予備役が一緒なわけです。

みんな新兵さんですが、そこから幹部候補生をとるという、当時の風潮からいうと予備役から来たのを将校にとるなんていうことは、兵隊の常識からいえば大変な恩恵を与えることになるわけです。

櫻田 そりゃそうだ。

鹿内 そこで、いまでもほんとうにどういうわけかわからないんだけれども、何百人かのなかから、とにかく一回の幹部候補生の試験をやりまして、そのなかから歩兵の〝進め進め〟のほうの幹部候補生を決めるわけです。ぼくは北海道の七師団で、札幌の二十五連隊に入ったんですが、そこで幹部候補生の試験に通った。あのときは二十五、二十六、二十七連隊から、歩兵とか輜重(しちょう)兵とかが400人ぐらい集まって、そのなかからお医者さんになる将校が3人でしたかな。

それから経理関係の将校になるのが18人ぐらい選ばれた。これも何が基準で選んだのかわからない。そして、これもどういうわけか経理将校候補18人のなかから7人だけ将校になって、あとの残ったのが下士官になるわけです。そういうことで、ぼくは予備役から将校をこしらえるという制度の第一回生なんです。それで、東京・若松町の経理学校へ来た。

(中略)

鹿内 ところが、教育を受けたといっても半年ぐらいですからね。ソロバン持ってやるわけじゃないし、いまのように電算機があるわけじゃないでしょう。まあ皮肉な話なんですけれども、経理部将校というのは会計監督官をやるときは、まだいいんですよ。だけど野戦の経理将校は、櫻田さんは戦争をやっているからご存じだろうけれども、ある意味ではいちばんみじめな立場なんですね。要するに、部隊のお母さん役ですから、戦争になればいちばん先に下士官を5、6人連れて敵地へ乗り込んで行って…。

櫻田 そうそう。いろいろ調達しなければならないからね。

鹿内 物資を全部調達する。それから兵隊の寝る施設を徴発する。それに対して軍票を配る。あと現地の農民からどういうふうにものを買い上げるとか、そういうことを……。それで、大陸なんかでは、先に敵地に乗り込んで虫殺しみたいな〝なぶり殺し〟になったわれわれの仲間がうんといます。

櫻田 そうでしょう。

(中略)

鹿内 すっかり風紀が乱れちゃってね。しかも、面会者が多くて勉強にもならない。そこで、とうとう面会禁止になりましてね。それから、これなんかも軍隊でなけりゃありえないことだろうけど、戦地へ行きますとピー屋が……。

櫻田 そう、慰安所の開設。

鹿内 そうなんです。そのときに調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか、それからムシロをくぐってから出て来るまでの、〝持ち時間〟が、将校は何分、下士官は何分、兵は何分……といったことまで決めなければならない(笑)。料金にも等級をつける。こんなことを規定しているのが「ピー屋設置要綱」というんで、これも経理学校で教わった。 ─(櫻田武×鹿内信隆/いま明かす戦後秘史/サンケイ出版1983)


ウィキペディア:頼近美津子

カクシャクの筈、未亡人として美津子が相続した持ち株を買い戻し、再び議長に就任するも1990年死去。この三者のウィキペディア、読みものとして面白いかもしれないが、徹頭徹尾現実主義で胸糞悪い。信隆や対談相手の櫻田という人物、慰安所のくだりからもうかがえるように日本軍の経理・労務屋として人・物・金を御する立場を利用し、敗戦後は財界の重鎮に。敗戦が功を奏したという以外にも、ワンマン経営と男尊女卑であったり、女癖の悪さから反発した春雄が父と対照的な制作重視・軽薄路線をとったこと、春雄の母・英子が祈祷師に心酔していたため春雄早世の遠因になったとみられることなど、現今の物価高と少子化にもかかわらず大阪維新や統一教会やジャニーズ事務所、潰すどころか焼け太りしてしまうような歴史の構造的な一端がここにもあったかと。

実務に疎い武士階級は、農漁民を懐柔しつつ徴税してくれる代官なり庄屋なり中抜きエージェントを立てる必要がある。そうした色と金、接待の価値観に基づく〝世間〟という人間マーケットが成立していたから日本は欧米帝国主義にキャッチアップできたのであり、敗戦という事態にあってもその支配がゆらがなかったのは、一般国民から鹿内父子やその類似がいくらでも輩出されて男尊女卑の軍国主義を助けるから。慰安婦は心ならずも協力させられるが、女子アナや女優は自ら進んで男尊女卑に協力し、軍功のあった男に嫁ぐようプールされているのである。

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