ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

邪宗門の徒

2013年03月10日 | 文学

 今日は昨日と打って変わって静かに家内にて過ごしました。
 今日も気温は高けれど、強風吹きすさび、明日からの仕事の明け暮れに暗い影を落とし、私の心は陰鬱に沈みました。

 陰鬱を晴らすのに、運動、酒、寝逃げなどさまざまな方法がありますが、最も即効性があり、しかしその場しのぎでしかない、かねて親しみ続ける詩歌へと逃避しました。

 我らは神秘を尊び、夢幻を歓び、そが腐爛したる頽唐の紅を慕う。
 哀れ、我ら近代邪宗門の徒が夢寝にも忘れがたきは青白き月光のもとにすすりなく大理石の嗟嘆也。

 明治末期、北原白秋が発表して当時の詩の愛好者を驚愕せしめた「邪宗門」の冒頭部分の一部です。

 邪宗門とはキリスト教のこと。
 当時、西欧の浪漫文学にかぶれた北原白秋が、キリスト教徒という意味ではなく、キリスト教をバックボーンに持つ西欧の文化に心酔する者というほどの意味で、我ら近代邪宗門の徒、と名乗ったと思われます。

 この詩集の冒頭部分にかくのごとき一文を高らかに示したことに、耽美主義を標榜する北原白秋の高揚が感じられ、熱にうかされたかのような後に続く詩の数々を予感させます。

 この自己陶酔にも似た詩編は、冷静な時であれば鼻につきもしましょうが、春の瘴気と日曜日夕刻の憂愁に沈む身であれば、いっそ麻薬にも似た作用で私の心を強引に持ち上げてみせます。

 異国への憧れが強く出て、それを強調するためにポルトガル語を多用したその詩群は、日露戦争後の自国への自信回復を持ってしても、当時の人々に強い衝撃を与え、近代日本人がはかなくも邪宗門の徒であるしかないことを、意識せしめたに違いありません。

 わが国は第二次大戦の敗北によって、再び自国への自信を喪い、邪宗門の徒になったでしょうか?

 私は反対の効果があったように思います。
 深い敗戦の悲しみは、耽美主義的傾向を持つ芸術家らを、むしろ伝統的な日本文化に回帰せしめました。
 その悲しみは、素朴に戦勝国の文化を憧憬するには、あまりに深すぎたのでしょう。

 その点明治期の邪宗門の徒は、むしろわが国の国威発揚と機を一にしていたような気がしてなりません。
 そういう明るさが、憂鬱な私を高揚せしめるのでしょう。

 少し脳内麻薬が出たところで、湯にでもつかりましょう。
 そしてわずかな酒でも飲むとしましょうか。

 これら異国情緒に憧れる詩群に接した後では、むしろ葡萄酒かウィスキーが相応しいかもしれませんが。

 先ほど蛸ぶつと本マグロの中トロを買ってきたので、このつまみには酒でしょうねぇ。

北原白秋詩集 (新潮文庫)
北原 白秋
新潮社

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お隣

2013年03月10日 | 社会・政治

 中国の楊外務省が記者会見で、相変わらず太平洋の覇権を目指す勇ましい発言を繰り返したそうです。

 お隣に中国のような100年遅れの帝国主義国家みたいなのがあると、わが国としてはたいへん迷惑です。

 わが国は戦後、敗戦国という負い目から、政治的にも外交的にもひたすら大人しくし、その代わり自由競争が建前の経済発展を目指すという国策を遂行してきましたから、世界最大にして最貧国といわれたかつての中国が、今のような形でわが国の脅威となることを想定していませんでした。

 先日、私の職場に三ヶ月滞在した中国人研究者を駅までお見送りした際、「今度北京にきてください」と言われました。
 冗談言っちゃいけません。
 あんな空気の汚い町に行けるはずがありません。

 私の職場には中国人や韓国人の研究者が頻繁に訪れますが、一人一人は極めて紳士的で、報道で目にする人々とは大分違います。

 また、韓国に5年間留学したという日本人研究者に聞いたところ、一般庶民は別に反日でもなんでもなく、日本人だからという理由で嫌な思いをしたことは一度も無い、と言っていました。
 騒いでいるのは一部活動家だけだとか。

 わが国でマイクを向けられたら誰でも戦争反対と言うごとく、かの国ではマイクを向けられたら反日と言わないとまずいということのようです。

 わが国のビジネスマンは、ソウルに転勤を命じられることを、ソウルの二度泣きと呼ぶんだそうですね。
 行けと言われて行きたくないと泣き、帰ってこいと言われて帰りたくないと言って泣くんだとか。
 さらには最近イタイイタイ病とも。
 ソウルに居たい、と駄々をこねる社員が続出しているんだそうです。

 韓国は一応自由主義国家で言論の自由があり、人情に厚く、文化的にもわが国と似ているためじゃないかと思われます。

 一方中国ではそうはいかないようです。
 言論の自由がないのが致命的なんでしょうねぇ。

 かつて巨大文明を築き上げ、世界帝国として君臨し、儒教や漢詩漢文、科挙などの行政制度を整備した進んだ国が、今はなんたるザマでしょうね。
 中華思想が強すぎて欧米主導の倫理規範には従えないとでも言うんでしょうか。
 あるいはまた、失われた100年とでも言うべき、わが国を含む帝国主義列強に食い物にされた歴史のトラウマでしょうか。
 それとも共産革命と文化大革命で過去の文化を否定したせい?

 理由はどうでも良いですから、とりあえず国際的なスタンダードにしたがってもらわないと、外交になりません。
 原理原則が異なる場合、話し合いはほとんど無駄ですから。

 今後何十年も中国がわが国の頭痛の種になるんでしょうね。

 偉大な中華思想を奉ずる漢民族の皆様におかれましては、世界はどうやって動いているのかを学びなおされてはいかがかと思います。

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