今日はかなり重たい人間ドラマを観ました。
「21グラム」です。
交通事故で夫と幼い二人の娘を喪った妻、キリスト教を堅く信じ、過去の悪行を恥じて更生中だったのに交通事故を起こしてしまった不良中年の犯人、夫の心臓を移植されたおかげで死の床からよみがえった大学教授。
犯人、被害者でありドナー、その妻、ドナーから心臓をもらう病人が、時の必然とも言うべき不思議な縁でつながっていきます。
この三人それぞれの視点で時系列を狂わせて短いシーンをつなぎ、三人それぞれの思いや苦しみを描き出して観る者を圧倒する巨編です。
21グラムというのは、人間が亡くなると体重がそれだけ軽くなるといわれているそうで、いわば魂の重さ。
ストーリーの要所要所で、「それでも人生は続く」というセリフに出くわします。
夫と娘を喪った妻を慰める老いた父親だったり、キリスト教によって救われたと信じていたのに交通事故を起こしてしまった犯人が神を呪う言葉を吐いたときに言い聞かせる牧師だったり。
死なないかぎりどんなひどい目にあっても人生は続くのだからやきりれません。
時系列が混乱しているため、最初のうちストーリーが追えないという難点はありますが、逆にストーリーの無理をごまかすという役割を果たしているようです。
難をいえば大上段にふりかぶった直球という感じで、観ていて疲れるのと、洗練された感じが全然ないこと。
観る価値のある映画ではあると思いますが、お勧めはできません。
精神的に悪影響を及ぼす怖れがあるからです。
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21グラム [DVD] |
ギジェルモ・アリアガ・ホルダン | |
東北新社 |