ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

比率

2010年10月06日 | 文学

  村上春樹の鼠三部作で、鼠は趣味で小説を書いています。
 小説の流儀は、人が死なないことと、セックス描写がないこと。
 それに比べて私は、文学作品はともかく、映像作品については、むやみに人が死んだりセックスしたりする映画やVシネマを好んで観ています。
 なぜでしょうね。
 家ではゴキブリが出ても殺害できず、逃げ回っているというのに。

 そこで、殺人の話。

 殺人事件について研究しているある学者が、精神病の専門雑誌に面白いことを書いていました。
 どの国、どの文化にも共通しているのは、20歳代前半の男性が男性を殺害するケースが極端に多く、女性が女性を殺害する事件は極めて少ないそうです。
 ところが、ここ20年ばかり、わが国においては20歳代前半の殺人犯が明らかに減ってきており、これは他の先進国にも、また発展途上国にも見られない現象だそうです。
 
 20歳代前半の男といえば、動物でいうと巣立ちしてメスを求める頃合いでしょうか。
 血気盛んで喧嘩っ早い世代だということは容易に想像できます。
 洋の東西を問わず、この世代は暴力的になりやすいのですね。
 テロの実行犯なんかもこの世代が多いようです。

 不思議なのは、日本でだけ、殺人事件に占める割合がこの世代で低くなってきたことです。
 日本は1950年代以降、殺人事件が減り続けているという世界でも稀な、平和を好む人々からなる国です。
 こんな国は他にないそうです。
 殺人事件の件数が増えても減っても、年代別、性別の比率がほとんど変わらないのが諸外国の実態ですが、わが国においては、20歳代前半の比率が減った分、30代の比率が上がったそうです。
 ただし全体の殺人件数が激減しているので、30代の殺人犯が増えたということではありません。
 
 つまり若いやつがカッーとなって人を殺すことが減ったということでしょうか。
 一つには高学歴化によって、若者が損得勘定に聡くなったのでしょうね。人を殺して一番損するのは犯人自身ですから。
 原因はともかく、殺人が減ったことは良いことでしょうね。
 例え日本の若者がユニセックス化しているとしても。


鼠三部作+続編の「ダンス・ダンス・ダンス」です。「ダンス・ダンス・ダンス」には鼠は登場しません。
ノーベル文学賞候補とも言われる村上春樹の最初期の名作群です。 

風の歌を聴け (講談社文庫)
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1973年のピンボール (講談社文庫)
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羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)
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コントロール

2010年10月06日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜、「コントロール」を観ました。
 
 凶悪な死刑囚を、死刑執行を免除するかわりに、人間の凶暴性を抑えて良心を目覚めさせる新薬の被験者にさせるところから物語は始まります。
 ウィリアム・デフォー演じる薬理学者と、レイ・リオッタ演じる死刑囚との心理サスペンスです。
 映画はこの二人の役者によって風格を与えられ、チープな内容ですが、どこかA級の雰囲気が漂います。
 テンポもよく、客を飽きさせない作品に仕上がっています。
 最初はサイコ・サスペンスかと思ったのですが、途中から心理サスペンスっぽくなり、最後は泣かせます。
 
 ウィリアム・デフォーといえばベトナム戦争を描いた名作「プラトーン」での、麻薬に溺れる、しかし有能な兵士の役があまりに強烈ですね。
 「コントロール」ではマッド・サイエンティストなのかな、と思わせておきながら、結構いい奴でした。
 
 レイ・リオッタはチンピラや犯罪者の役をやらせたら右に出る者がいない怪優で、実在のマフィアを描いた「グッドフェローズ」での主演が印象に残ります。バーのボーイを些細な理由で撃ち殺し、マフィア仲間と愚痴をこぼしながら大雨のなか死体を埋めに行くシーンは強烈でした。
 「コントロール」では最初は狂犬のような凶暴性を発揮しますが、だんだんいい奴になっていきます。

 ラストは意外というほどではありませんが、そういうオチがあったか、と感心させられました。
 あまり期待しないで観たのですが、他にあまり無いタイプの映画で、楽しめました。

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