ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

安楽死か殺害か

2010年10月04日 | 社会・政治
 先般、北朝鮮は偉大なる将軍様の三男を大将に据えて、世襲三代目を明確にしましたね。
 これはもはや金王朝というべきで、二十年前に滅んだ親分、ソ連でも、現在飛ぶ鳥落とす勢いの中国でもみられない、特異な権力構造です。

 歴史を見ると、自由がなくても民衆は我慢できますが、飢えには我慢できないものです。
 
 日本においても、飢餓が起きると米騒動、打ちこわし、逃散が行われ、義民、佐倉宗吾の将軍への直訴とそれによる処刑などは、歌舞伎でも演じられ、広く人気を集めています。

 ところが一部報道では、北朝鮮では1990年代から、飯が食えずに餓死する者が後を絶たないとか。
 なぜ民衆は蜂起しないのか、不思議です。
 飢えて死ぬくらいなら、蜂起して官憲に殺されてもいい、と思うのが人情ではないでしょうか。

 1989年12月、ゴルバチョフとパパ・ブッシュによって冷戦終結が宣言されてから、早いもので20年以上がたちます。
 東西ドイツは統一され、東欧諸国も次々に民主化していきました。
 その間、共産党の強権支配のもとで抑えつけられていた民族問題が再燃し、激しい戦争もおきました。
 急速な改革に民衆がついていけず、民族紛争という分かりやすいスローガンに飛びついたものと思われます。

 ゴルバチョフはここまで急進的な改革を目指していませんでしたね。
 ソヴィエト連邦や共産主義、という国体を護持したまま、緩やかな民主化を目論んでいたようです。
 いわば、コミュニズムの安楽死。

 しかしエリツィンの考えは違っていました。
 急速に民主化しようとし、ソヴィエト連邦の解体もやむなしという露骨な運動を繰り広げました。
 ソヴィエト共産主義に倦んでいた民衆は、熱狂的にエリツィンを支持しましたね。
 かつてのロシア革命を逆に回しただけの、いわばコミュニズムの殺害。
 ゴルバチョフがあの時殺されなかったのは奇跡とも言うべきで、ロシア人もロシア革命の時より大分分別がついたようです。

 ひるがえって、我が隣国、朝鮮民主主義人民共和国。
 赤い皇帝、金二世陛下は、安楽死も殺害も眼中にないようです。
 このままいけば、現体制を維持し続けて、いわば老衰に近い病死を待つより他はなさそうです。
 
 赤い皇太子、金三世殿下が北朝鮮人民の救い主となるか、あるいは断頭台の露と消えるか、隣国の運命を見守る他、私にはどうしようもできません。
冷戦終焉20年―何が、どのようにして終わったのか
塩川 伸明
勁草書房
 東大の政治学の先生が書いた本で、近い過去の出来事をエキサイティングに論述しています。


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核武装

2010年10月04日 | 社会・政治
 昨夜のNHKスペシャルで、佐藤栄作政権のとき、日本が核保有を目指して西ドイツと極秘協議を行っていたことが詳しく報じられていました。

 1964年の中国の核実験成功に危機感を抱き、日本が核保有する具体的なロードマップを作成したうえで、国際的非難をかわすためか、西ドイツに日本側から協議をもちかけたようです。
 核兵器、二国で持てば、怖くない、ということでしょうか。
 当時の外務省作成の報告書によれば、少数の小型原爆を開発することは容易である、とのことでした。

 そこで、私はある重大な疑念を抱きます。
 つまり、もう保有しているのではないか、ということです。
 あるいは完成直前で、ペンキを一はけ塗れば完成、という状態で、何十年もそのときを待っているのではないでしょうか。

  番組では元外交官が、外交には必ず裏があり、ダーティーな面に力を入れなければ、国家としてやっていけない、と話していました。

 佐藤栄作といえば、非核三原則を掲げ、ノーベル平和賞をもらった人物です。
 そのご当人が、日本は超大国を目指し、独自に核開発をすべきだと考えていた、と西ドイツの文書に記載されています。

 番組によると、その後日本はアメリカの核の傘に入ることを選択し、そのためアメリカが嫌がる核軍縮を求める国連決議にほとんど反対もしくは棄権したと言います。
 またアメリカは、中国の核武装を知ったとき何よりも日本の核武装を怖れ、核拡散防止条約を各国と結び、日本を牽制したそうです。

 日本に住んでいると、なぜ日本の軍事力増強がそんなに世界を恐れさせるのか不思議です。
 明治以降、有色人種として唯一、帝国主義の大国にのし上がり、挙句の果てには日本もろとも世界中を焼き尽くした行動が、恐怖を与えるのでしょう。

 日本の自衛隊は世界有数の強力な軍隊ではありますが、専守防衛という敗北主義的な国是を掲げているため、極めていびつなものです。
 日本領空に飛来した敵機は落とせるが、敵が自国に逃げ帰ったら黙って見逃すというのでは、体にたかった虱を一つづつ潰すだけで、消毒を禁じられているのと同じこと。あまりにも効率が悪いというものです。

 NHKスペシャルを見て、憲法がどうちゃら平和がかんちゃらと、魔術的な思考に陥らず、世界の標準(それが悪だとしても)にしたがって外交や国防を考えることが肝要だ、と痛感させられました。


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