今年日本から二人もノーベル賞受賞者が出たことは、誠に喜ばしいことですね。
件の二人は、日本社会に理系重視を、日本の若い研究者に海外で武者修行することを、求めていました。
我が意を得たり。
まったく同感です。
日本の学術研究予算は、平成16年度の国立大学等の法人化以来、目先の利益を追うような研究に多くの資金を投入してきました。
これでは日本沈没です。
一方中国は欧米先進国に多くの留学生を送り、急速に科学技術の力をつけてきているやに聞きます。
日本もかつて、明治初期、多くの有為の若者が、国の期待を背負って欧米各国に留学しました。
またかつての清国は、多くの留学生を日本に送り、彼らは革命思想にかぶれて帰ってくるばかりか、ついには清国を倒してしまう、という本末転倒のような結果になりました。
しかしそれでも、周恩来が日本留学を望んだり(入試で失敗して帰国)、汪兆銘や魯迅など、後にそれぞれの立場で活躍する人材を輩出したり、それなりの成果はあったようです。
むしろ8年前に中国人留学生ばかり受け入れて、それがほとんど東京で就労していたことがばれてつぶれてしまった酒田短期大学の例のように、現代の中国人留学生には問題がありそうです。
昔はエリートしか留学できなかったのでしょうから、現在のように、就労目的の者はごくわずかだったのでしょうね。
私が大学に入る頃、成績の悪い学生の間で、「飛ぶか?」という言葉が流行りました。
日本の大学には難しくて入れないので、アメリカあたりの田舎の大学を目指そうか、というほどの意です。
そんな不埒な動機で留学するのはよくありませんが、向学心に燃えて海外に出るのは立派なことです。
私は関東の荒れ地で静かに糊口をしのぐばかりですが、未来に希望をもって、老いも若きも、海外に出て行ったらよろしい。
清国人日本留学生の言語文化接触―相互誤解の日中教育文化交流 | |
酒井 順一郎 | |
ひつじ書房 |