昨日のブログは、一般質問の通告の第一問目を載せた。
さっそく、市民の方からコメントがあった。
◆一般質問の通告文/「震災がれきの受けいれは困難ではないか」/答弁者・市長
昨日の常任委員会の管内視察の後、会議が閉じられた。
そのあとの議員控室で、他の議員から
「一般質問の通告って、簡略なのがいいのか、詳しいのがいいのかどっちやろ」
という意見があった。
私は、「今朝のブログに書いておいたけど、私は、『行政と、現状を変えることについての意思形成が目的』だから、こちらの考えが伝わるように詳しく通告する」、
という話をした。
さてさて、今日のブログは13日に通告した一般質問の2問目。
日頃、自治体合併して10年、旧態然としたことはやめようと話している。
ところで、地域ごとの「消防団」に関する寄付金が集められる例は少なくないらしい。
ここも同様。
消防本部に市内の地区の分団ごとの協力金関連のデータを整理してもらった。
合併前町村の傾向の違いが歴然、
他方で、いずれも「協力金」とはいえ実質的に「寄付金」であることも明瞭だった。
データを前提に、質問項目を作成し、消防長や担当職員3.4人と何度か話し合った。
関連する判例もあるので、通告文にも引用した。
この問題は、全国(すべてか、多くかは知らないけれど)に通ずることでもあるので、
今日のブログは、通告文と関連法令の一式、上記判決などを載せておく。
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2012年第2回定例会・6月議会(6月12日から6月28日まで)
★★一般質問 2012年6月13日通告の一般質問の2問目の通告全文を紹介します
一般質問6月26日(火) 午後 |
●消防団に対する寄付金の是非 答弁者 消防長
まず、事前に消防本部に調査していただいた関連データのエクセルの表を、
通告書に分かりやすい表として付けるべく、一部を加除、修正したもの ↓
以下に全文。
●消防団に対する寄付金の是非 印刷用 通告文 PDFファイル270KB
一般質問通告書
質問番号2番 答弁者 消防長
質問事項 消防団に対する寄付金の是非
《質問要旨》
消防団は、消防事務を処理するため設けられた機関(消防組織法(以下「法」)。第9条)であり、「消防団の設置、名称及び区域は、条例で定める」(法第18条)とされ、「消防団に要する費用は当該市町村が負担しなければならない」(法第8条)とされている。
非常勤の消防団員は特別職の公務員である(地方公務員法第3条第3項5号「非常勤の消防団員及び水防団員」)。
以上から、山県市は「山県市消防団の設置等に関する条例」を定めている。
「山県市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例」(平成15年4月1日条例第144号)において、報酬、費用弁償、公務災害補償、退職報償金等が整備されている。
以上で明らかな通り、消防団は名実ともに、山県市の行政組織の一部であり、行政機関としての規律に服する。
消防分団は、おおむね、自治会の連合のエリアで認識されるが、自治会から寄付金を得ている。
消防本部の調査では、H23年実績として、名称はいずれも「協力金」であり、市内の10分団のうち4分団(「部」単位もあり)が毎年の定額(団あたり約30万円から70万円)、6分団が一世帯当たり300円から1300円(団合計で約15万円から170万円)であり、ほとんどが単位自治会等から分団(一部は「部」)の口座に振り込まれ、その協力金の額は団員一人当たりにすると団によって約4000円から3万円である。
客観的にみれば、分団単位として一律に割り当てられているというしかない。
実際に、支払い拒否もくしは減額を求めたら、団からどうしてもこの額でと、強く求められ、継続して納付している事例もあったと聞く。
ところで、横浜地裁平成22年3月24日判決で、「(消防団員に報酬が支払われるようになった)平成20年の条例改正以降は,消防団が,本来業務のほか本来業務との関連が疑われる活動につき,市民等から慰労などの趣旨で直接寄附金を受領することは,違法となる余地がある」との司法判断を示した。歴史的な地域の慣習であるかどうかはともかく、この判示の主旨から、報酬が支払われる消防団は市の一機関であり、消防団員自体も特別職の地方公務員という身分だから、自治会からの直接の資金援助を受けることは出来ないと言われている。
1.割当的寄附金等の禁止に抵触する
(1)「消防協力金」は、結局、地方財政法第4条の5で規定される「割当的寄附金等の禁止」
つまり、「割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)してはならない」に抵触していると考えるが市は、法令上、どのように考えるか。
(2)市は、このような「寄付」が続いていることをについてどう考えるのか。
2.市の一機関なのに寄付金として歳入されていない
「消防団に要する費用は山県市が負担しなければならない」(法第8条)の反面として、消防団が受け取った寄付金は、山県市が受けた寄付金としての歳入金収納が行なわれなければ違法となるのは当然である。これに反することは、地方自治法第210条「一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない」とされている総計予算主義に違反する。また、地方自治法2条16項は「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。」としている。
本件において、分団は、自治会の善意も含む協力金につき、全分団合計すると617万6200円を受領した(H23年度)にもかかわらず、その金銭を山県市の歳入金として収納することなく、各分団ごとに費消した。このことにより、山県市は寄付金としての歳入を受けるべき金額の損失を受けた(山県事務決裁規定によれば「寄付金の採納」に関する市長の権限は、10万円以上100万円未満は副市長、10万円未満は課長の専決とされている)。
団長は消防団の事務を統轄すべき任にあるが、このようなことが日常的に行われていることを承知していたから、分団長の金銭受領及び費消行為の管理を怠った責任がある。
山県市長は、協力金にかかる基本的事実関係や事案の構造を認識しており、任命権者として副市長、課長、団長に対する責任があり、承認権者として分団長らに対する責任がある。
結局、山県市は、市長、副市長、課長、団長及び分団長に対し不法行為による損害賠償請求権又は不当利得の返還請求権等を有するが、この権利の行使を怠っている。
このことは、市の審議会や委員会が住民からの寄付金を受けつつ同様の処理をしていたらどうなるかを考えたら明白である。
市は、「協力金」が市の会計に収入調停されていないことを、法令上どのように解釈し、説明するのか。
3.消防の必要経費は市が負担すべき
本件を具体的に点検すれば、山県市消防団分団会計事務マニュアル(H19.1.30 H21.4.20 改)には、前者「《分団会計で支出できる経費》」と後者「《分団で支出する必要がない経費》(市が対応するため、事務局へ連絡する。)」とに分けて明示されている。
しかし、その前者の中身はというと、市が公金で負担すべきものが多々あると見受ける。
例えば、平成22年度山県市消防団会計担当者会議資料(H22.4.24)には、「収入・・・ただし、慣例により部又は班単位で依頼を受けた事に対する報酬、手当は該当しない。」として、地域活動の手当等の対価は収入に計上しない旨だから、団員が行う防火水槽や消火栓の管理、ほか地域活動は広義の分団活動としてすら位置づけられていないのである。
(1)《私費か市費かの経費の分類基準》の見直しと関連のマニュアルの訂正が必要ではないか。
(2)(「消防団に要する費用は山県市が負担しなければならない」(法第8条)から、)今後は、団が必要とする経費は市がきちんと予算化して手当すべきではないのか。
4.条例改正すべき
消防団員は、公務員としての規律に服するわけだが、各自治体の「消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例」等をみると、「職務に関し、私に金品の寄贈若しくは酒食の接待を受け又はこれを請求しないこと」「消防団又は消防団員の名義をもって、みだりに寄付を募集・・しないこと」などの主旨を規定している。しかし、山県市の条例には、この種の明示はない。
(1)その理由は何か。
(2)盛り込むべく条例改正すべきではないか。
以上
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● 消防組織法
(市町村の消防に関する責任)
第6条 市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有する。
(市町村の消防の管理)
第7条 市町村の消防は、条例に従い、市町村長がこれを管理する。
(市町村の消防に要する費用)
第8条 市町村の消防に要する費用は、当該市町村がこれを負担しなければならない。
(消防機関)
第9条 市町村は、その消防事務を処理するため、次に掲げる機関の全部又は一部を設けなければならない。
1.消防本部
2.消防署
3.消防団
(消防団)
第18条 消防団の設置、名称及び区域は、条例で定める。
2 消防団の組織は、市町村の規則で定める。
3 消防本部を置く市町村においては、消防団は、消防長又は消防署長の所轄の下に行動するものとし、消防長又は消防署長の命令があるときは、その区域外においても行動することができる。
(消防団員)
第19条 消防団に消防団員を置く。
2 消防団員の定員は、条例で定める。
(消防団長)
第20条 消防団の長は、消防団長とする。
2 消防団長は、消防団の事務を統括し、所属の消防団員を指揮監督する。
(消防団員の職務)
第21条 消防団員は、上司の指揮監督を受け、消防事務に従事する。
(消防団員の任命)
第22条 消防団長は、消防団の推薦に基づき市町村長が任命し、消防団長以外の消防団員は、市町村長の承認を得て消防団長が任命する。
(消防団員の身分取扱い等)
第23条 消防団員に関する任用、給与、分限及び懲戒、服務その他身分取扱いに関しては、この法律に定めるものを除くほか、常勤の消防団員については地方公務員法の定めるところにより、非常勤の消防団員については条例で定める。 |
● ○山県市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例 平成15年4月1日 条例第144号
(報酬)
第12条 団員には、別表に定める額の報酬を支給する。
(費用弁償)
第13条 団員が警戒、防ぎょ、訓練等、その他の職務に従事する場合においては、出動区分1日又は1回につき2,000円を超えない範囲で市の規則で定めた額を支給する。
2 前項の場合を除き、団員が公務のため旅行した場合は、一般職給料表の職務の級のうち、団長、副団長及び分団長については6級相当職、副分団長、部長、班長及び団員については3級相当職とみなして、山県市職員等の旅費に関する条例(平成15年山県市条例第45号)の規定による旅費に相当する額を費用弁償として支給する。
3 報酬及び費用弁償の支給方法については、非常勤の特別職職員の例による。
●山県市消防団の設置等に関する条例平成15年4月1日 条例第143号
(総則)
第1条 消防組織法(昭和22年法律第226号。以下「法」という。)第18条第1項に規定する消防団の設置、名称及び区域については、この条例の定めるところによる。
(消防団の設置、名称及び区域)
第2条 法第9条第3号の規定に基づき、消防団を設置する。
2 前項の消防団の名称及び区域は、次の表のとおりとする。
名称 区域
山県市消防団 山県市の全域
●○山県市消防団規則 平成15年4月1日 規則第112号
(趣旨)
第1条 山県市消防団(以下「消防団」という。)の組織及び運営については、法令その他に特別の定めがあるもののほか、この規則の定めるところによる。
(組織)
第2条 消防団に本部、分団及びラッパ隊を置く。
2 分団に部及び班を置く。
3 本部及び分団の名称並びに区域は、別表第1のとおりとする。
4 団員の定員の配置は、別表第2のとおりとする。
(階級)
第3条 消防団員の階級は、団長、副団長、分団長、副分団長、部長、班長及び団員とする。
(職)
第4条 本部に団長及び副団長を置く。
2 分団に分団長、副分団長、部長、班長及び団員を置く。
3 ラッパ隊に隊長、副隊長及び団員を置く。
4 団長は、団務を掌理し、団員を指揮監督する。
5 副団長は、団長を補佐し、団長に事故があるとき、又は団長が欠けたときは、その職務を代理する。
6 分団長及び隊長(以下「分団長職」という。)は、団長の命を受け、その分担業務を掌理し、所属の団員を指揮監督する。
7 副分団長及び副隊長(以下「副分団長職」という。)は、分団長職を補佐し、分団長職に事故があるとき、又は分団長職が欠けたときは、その職務を代理する。
8 部長及び班長は、上司の命を受け、その分担業務を処理する。
●岐阜県消防団員確保対策等支援ガイド/資料編
山県市消防団分団運営マニュアル H19.1.30 H20.3 改
山県市消防団分団会計事務マニュアル H19.1.30 H21.4.20 改 |
●地方自治法
第二条 ○16 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。
○17 前項の規定に違反して行つた地方公共団体の行為は、これを無効とする。
(総計予算主義の原則)
第二百十条 一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。
●地方財政法
(予算の執行等)
第四条 地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。
2 地方公共団体の収入は、適実且つ厳正に、これを確保しなければならない。
(割当的寄附金等の禁止)
第四条の五 国(国の地方行政機関及び裁判所法 (昭和二十二年法律第五十九号)第二条 に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。 |
● 横浜地裁判決
平成22年3月24日判決言渡 同日原本交付万裁判所書記官 川内 裕之
平成19年(行ウ)第52号 消防団寄附金管理違法確認等請求事件
口頭弁論終結の日 平成22年2月10日
判決文13から14ページ
・・・これに対し,被告は,消防団には消防組織法に基づいた市町村の機関としでの側面のほか沿革的にいって,地域住民有志が自らの意思で参加することによって自主的に組織した団体としての側面も有しており,そのため,消防組織法1条にいう本来の消防業務以外に自治会)町内会等の地元コミュニティのための各種業務を行っているとし,仮に原告が指摘する寄附があったとしてもこのような団体に対して交付されたものであると反論する。
確かに,消防団の歴史は古く,江戸時代の町火消しにまで遡り、明治・大正時代の私設消防組,昭和時代(戦前)の警防団を経て,昭和22年4月30日の消防団令に基づいて消防団が組織され,今日の消防団に至っている(乙2)。このような沿革があったためけ横浜市においては,平成20年条例22号による改正前まで,横浜市消防団員の定員,任免,給与,服務等に関する条例1.6条で「消防団員に対しては給与は支給しない。」とされていたと考えられる(乙15,17)。
しかしながら,消防組織法上,消防団が横浜市の行政組織の一部に組み込みまれていることは,前述のとおりである。そうすると,消防団が,現在においても,法令で定める消防業務以外に,自治会・町内会等の地元コミュニティのための各種業務を担う権利能力なき社団としての性質を併有しているとして,消防団の構成員である消防団員の慰労のために,市民等から寄附金等を受け取ることは,公務員が本来の職務やそれに関連する業務につき金員を受領しているとも受け取られる可能性があるから(被告は消防団が行う自治会・町内会等の地元コミュニティのための各種業務につき,消防団の本来の職務と全く関連するものではないとの前提に立つようであるが,行政組織である消防団の名称で行う活動が,防火・防災等の啓発活動とも無関係と言い切れるのかどうかについては再考の余地があろう。),決して好ましいものではない。
この点は,平成20年に条例が改正されて,消防団員に報酬が支払われるようになり,消防団がより明確に行政組織の一部として捉えられるようになったことからすると,なおさらである。
(3)以上によれば,平成20年の条例改正以降は,消防団が,本来業務のほか本来業務との関連が疑われる活動につき,市民等から慰労などの趣旨で直接寄附金を受領することは,違法となる余地がある。
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