毎日、1000件以上のアクセス、4000件以上の閲覧がある情報発信ブログ。花や有機農業・野菜作り、市民運動、行政訴訟など
てらまち・ねっと



 厚生年金や国民年金の保険料の積立金を管理・運用する政府の機関として「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」がある。ここが資金の運用として株に投資していて、安倍政権で、昨年から投資率を大幅に上げた。狙いは「株の相場の活発化」とも。

 これが、損失を膨らませている。
 今年1月の報道(日刊ゲンダイ)は、★≪損失額は21兆円に倍増…年金資産の運用見直しは大失敗 年明けから低迷≫
 今月12月の状況(東京)は、★ ≪年金運用 赤字7兆8000億円 中国不況、株価下落影響≫

 年金としての掛け金を預かったお金でそんなことしていいの? 素朴な疑問。
 (日刊ゲンダイ)で、専門家の指摘★≪失う年金資産は20兆円や30兆円じゃ済まないだろう。年金資産の“ギャンブル運用”はホント、やめてほしい≫

 そんなことで、年金の政府による運用のこと、政府が税金集めで贈与税や相続税を重くしたことでの国民からの納付の状況など、ヤリクリをみた。

●年金積立金管理運用独立行政法人/平成27年度第2四半期運用状況

●損失額は21兆円に倍増…年金資産の運用見直しは大失敗 年明けから低迷/日刊ゲンダイ 2015年1月15日
●GPIFが予想超える日本株買い、「余力」大きく期待残る/ ロイター 2月 27日

●年金運用 赤字7兆8000億円 中国不況、株価下落影響/東京 12月1日
●旧AIJが破産開始決定 年金資産1千億円以上が返済不能/12月16日 共同

●相続税対象者、94年以降で最多 14年分国税庁まとめ/日経 2015/12/15
●14年相続税対象は4・4% 改正後は6%台見通し/中日 12月15日

●贈与税6割増、相続増税前に「駆け込み」か 14年統計/朝日 2015年5月30日
●贈与税、14年63%増 個人の確定申告 増税前駆け込み/日経 5/29
●近畿の申告所得3年ぶり減少/産経 5.29
 
●【特集1】2015年総括 今年変わった「税制」 相続税、出国税、贈与税……税制改正/ZUU online 2015/12/09
●相続税や消費税対策が将来の空き家問題を加速させる/ブロゴス 2015年11月30日

人気ブログランキング = 今、1位
人気ブログランキング参加中。気に入っていただけたら ↓1日1回クリックを↓
 ★携帯でも クリック可にしました →→ 携帯でまずここをクリックし、次に出てくる「リンク先に移動」をクリックして頂くだけで「10点」 ←←
 ★パソコンは こちらをクリックしてください →→←←このワン・クリックだけで10点

●管理・運用状況 | 年金積立金管理運用独立行政法人

      平成27年度第2四半期運用状況[PDF:717KB]

 当法人の運用状況、運用方針、運用委員会等に関する情報を掲載しています。

 年金,年金積立金,管理運用,運用委員会,分散投資効果,運用資産,パッシブ,アクティブ
 

●損失額は21兆円に倍増…年金資産の運用見直しは大失敗 年明けから低迷
       日刊ゲンダイ 2015年1月15日
年明けから低迷しっ放しの東京株式市場。巷に流れる「株価2万円台回復」どころか、14日の日経平均株価は前日比291安の1万6795円と、1万7000円を割り込んだ。こうなると、不安になるのが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用比率の見直しを決めた年金資産だ。

 約130兆円の年金資産を運用するGPIFは昨年10月、「国内株式」の投資比率を12%から25%に引き上げることを決めた。そこで民主党の長妻昭衆院議員が、運用見直しで想定される今後の損失額を質問主意書で問いただし、9日付で政府答弁書が閣議決定したのだが、その中身にビックリ仰天だ。経済「中位」のケースで、「確率95%で予想される最大損失額」は約21・5兆円となり、見直し前の損失額(約10・4兆円)と比べて2倍に膨らんだからだ。

 答弁書によると、仮に「リーマン・ショック」が起きた2008年度に当てはめた場合、損失(想定)額は約26・2兆円で、当時の損失額(約9・3兆円)の3倍近くになる。
 今の国内相場は日銀が上場投資信託(ETF)を通じて株式を買い支えている「官製相場」だ。日銀が金融緩和策のブレーキを少しでも踏めば、あっと言う間に下落する。原油安や米国、欧州景気の先行き懸念など海外の不安材料もワンサカだから、リーマン・ショック以上の衝撃が市場を襲っても不思議じゃない。

 株式評論家の杉村富生氏がこう言う。

「今の市場の大きな懸念材料は2つです。1つはギリシャのユーロ離脱。仮に離脱となれば、IMF(国際通貨基金)やEUなどの財政支援は打ち切られ、ギリシャは約40兆円の借金を抱えてデフォルト(債務不履行)になる。リーマン・ショックどころの騒ぎじゃ済みません。2つ目のリスクはロシアです。今の状況は、79年に旧ソ連がアフガニスタンに侵攻し、その後、原油安で旧ソ連が崩壊した当時の状況と似ています。つまり、昨年のクリミア侵攻が引き金となり、原油安が起きている。仮にプーチン政権が崩壊となれば、世界経済に与える影響は計り知れないでしょう」

 リーマン・ショックでもみられたが、日本市場は「海外発ショック」に脆弱だ。失う年金資産は20兆円や30兆円じゃ済まないだろう。年金資産の“ギャンブル運用”はホント、やめてほしい。

●GPIFが予想超える日本株買い、「余力」大きく期待残る
        ロイター 2015年 02月 27日
[東京 27日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株買いが、市場予想を上回るペースで進んでいる。それでも買い余力を残しているほか、3共済などが追随する見通しであり、さらなる買いが期待されている。ただ、同ペースで買い進めば年内にも目標中央値に達するため、警戒感も出ている。

「想定以上の買い入れ規模だ」──。大和証券・投資戦略部マーケットアナリストの熊澤伸悟氏は、GPIFによる10─12月の買い入れ額を試算して驚いた。

GPIFが27日公表した2014年12月末時点の国内株式の運用比率は19.80%と、9月末の17.79%から2ポイント上昇。運用資産額と収益額を用いて試算した買い入れ額は約1兆7000億円に上った。

3カ月で1兆7000億円の買い入れは、年間に換算すれば6.8兆円。日銀が実施しているETF(上場投資信託)の年間購入額3兆円の2倍超にのぼる。

2013年に海外投資家が買い越した15兆円には及ばないものの「GPIFの買いは、すぐには売り出さない玉。3カ月で1兆7000億円と大きな金額を実際に買っていたことに安心感を覚える」(いちよしアセットマネジメント・執行役員運用部長の秋野充成氏)との声が出ている。

買い余力も依然大きい。昨年12月末から2月末までTOPIXは8.2%上昇。同期間の保有資産の売買を考慮せずに大和証券・熊澤氏が試算したところによると、GPIFの国内株式の保有割合は、足元で21%程度という。ただ、それでも目標としている25%までの買い余力は5兆円を超える規模だ。

さらに共済年金による保有比率変更も後押しする。国家公務員共済年金(国共済年金=KKR)は25日、国内株式の資産配分を現行の8%からGPIFと同様の25%に引き上げた。地方公務員共済年金や私学共済年金なども同水準近辺に変更するとみられており、3共済が国内株式を25%に引き上げた場合の買い入れ額は、約3兆5000億円と試算されている。

みずほ証券・投資情報部長の倉持靖彦氏は「GPIFや3共済など公的年金による買いに加え、6月の株主総会にかけて企業の自社株買いの活発化などが追い風となる。国内景気や企業業績の回復モメンタムの加速、ROE(株主資本利益率)革命なども追い風となり、4─6月期にも日経平均2万円にタッチする」との見方を示す。

●年金運用 赤字7兆8000億円 中国不況、株価下落影響
          東京 2015年12月1日
 国民年金と厚生年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は三十日、七~九月期の運用結果が七兆八千八百九十九億円の赤字で、運用利回りも5・59%のマイナスだったと発表した。中国の景気減速への懸念で国内外の株価が下落した影響だ。四半期ごとの赤字額では、自主運用を始めた二〇〇一年以降で最大となった。 

 株式市場の活性化を図る安倍政権の意向を受け、GPIFは昨年十月、国内債券が六割を占めていた資産構成割合の目安を変更し、株式比率を国内外合わせて五割まで引き上げると決定した。不安定な株式市場の動向に年金運用が左右されるとの懸念が的中した形で、リスクの高い構造が浮き彫りとなった。

 一方で株価は今年十月以降、回復基調にある。GPIFの担当者は記者会見で、現時点での資産は三月末の水準に戻っているとの認識を示した上で「年金財政上必要な収益の確保を目指している。長期的な視点で判断してほしい」と強調した。

 市場運用分の利回りは、米中枢同時テロ後の〇一年九月末と、リーマン・ショックが起きた〇八年十二月末に次いで三番目に悪かった。
 年金の給付は保険料や国庫負担などで賄われ、政府は保険料収入の余剰分を積み立てている。GPIFが運用する九月末の積立金は約百三十五兆円に上り、今回の運用結果は年金の支給額に直接は影響しない。政府は約百年かけて積立金を計画的に取り崩し、年金給付の一部に充てる。

 七~九月期の資産別収益は、国内株式が四兆三千百五十四億円、外国株式が三兆六千五百五十二億円、外国債券が二千四百八億円の赤字。国内債券は三千二十二億円の黒字だった。
 九月末の積立金全体の資産構成割合は、国内債券38・95%、外国株式21・64%、国内株式21・35%、外国債券13・60%、短期資産4・46%。国内株式は七月末に23%を超えたが、株価下落により減少した。

 <GPIF> 正式名称は年金積立金管理運用独立行政法人。厚生労働省の所管で、厚生年金や国民年金の保険料収入の余剰分に当たる積立金を管理・運用する機関。2006年に設立され、前身は年金資金運用基金。金融や経済の専門家でつくる運用委員会で資産構成割合の目安や運用方針を審議し、理事長が決定。厚労相の認可を受けた上で民間の信託銀行や投資顧問会社に委託する。

●旧AIJが破産開始決定 年金資産1千億円以上が返済不能
        ライブドアニュース 2015年12月16日 共同通信
 年金資産の消失事件を起こした旧AIJ投資顧問(現MARU)は16日、東京地裁から破産開始決定を受けた。東京商工リサーチによると、負債総額は約1313億円で、今年の破綻企業として最大となった。中小企業が集まってつくる厚生年金基金などから運用を委託された年金資産1千億円超が返済不能になったという。

 旧AIJをめぐっては2012年2月、運用の失敗によって多額の年金資産を消失したことが発覚。多くの年金基金の財政を悪化させ、基金の加入企業が損失の穴埋めを迫られるケースも相次いだ。

 14年には財政難の基金に解散を促すよう制度が改正された。

●相続税対象者、94年以降で最多 14年分国税庁まとめ
           日経 2015/12/15
 2014年に亡くなった約127万3千人のうち、財産が相続税の課税対象となったのは4.4%(前年比0.1ポイント増)に当たる5万6239人(同3.3%増)で、非課税枠である基礎控除額が引き上げられた1994年以降で最も多かったことが15日、国税庁のまとめで分かった。

 課税対象の総額は約11兆4766億円(同1.3%減)で、申告税額は約1兆3908億円(同9.5%減)。相続財産の内訳は土地が41.5%、現金・預貯金が26.6%、有価証券が15.3%だった。

 相続税は15年1月の税制改正で最高税率が50%から55%に引き上げられたほか、基礎控除額が4割縮小しており、15年は課税対象者、税額ともに増える見通し。

●14年相続税対象は4・4% 改正後は6%台見通し
         中日 2015年12月15日  (共同)
 国税庁は15日、2014年に亡くなった約127万3千人のうち、財産が相続税の課税対象となったのは、4・4%(前年比0・1ポイント増)に当たる5万6239人(3・3%増)だったと発表した。申告税額は約1兆3908億円(9・5%減)。

 相続税の基礎控除額は「5千万円+1千万円×法定相続人の数」から15年1月に「3千万円+600万円×法定相続人の数」に引き下げられ、今回は引き下げ前の分の最後の発表。引き下げ後の課税対象者は6%台程度に膨らむ見通し。

●贈与税6割増、相続増税前に「駆け込み」か 14年統計
        朝日 2015年5月30日
 親や祖父母らから財産をもらった人が2014年に納めた贈与税は約2800億円に上り、前年より63・1%増えたことが29日、国税庁のまとめでわかった。今年1月の相続増税を前に贈与を選ぶ人が相次いだとみられ、納税額は数字を取り始めた01年以降で最高となった。

 国税庁によると、贈与税の申告をした人は約51万9千人で、前年より約2万8千人増えた。相続税法の改正で、今年1月から相続財産が非課税となる枠が4割縮小され、最高税率も50%から55%に引き上げられた。

 同庁は「生前に資産を移す動きが活発になり、最高税率がかかる高額な財産の贈与もあったと考えられる」としている。

 株の譲渡所得は約2兆2千億円だった。軽減税率の廃止前に売却が相次いだ前年の約4兆8千億円よりは減ったものの、リーマン・ショック前の07年の約2兆4千億円に迫る額となった。株高を反映したとみられるという。

●贈与税、14年63%増 個人の確定申告 増税前駆け込み
      日経 2015/5/29
国税庁は29日、2014年分の個人の確定申告状況を発表した。全国の申告所得額は37兆1054億円(前年比3.6%減)、所得税の申告納税額は2兆7087億円とほぼ横ばいだった。贈与税の申告納税額は2803億円(63.1%増)で、現行の基礎控除額となった01年以降で最高だった。

 国税庁は「相続税改正で15年1月から課税ベースが拡大し最高税率も上がったため、改正前に贈与する人が増えた」と分析している。

 14年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたことを受け、個人事業者の消費税の納税申告額は5218億円(41.6%増)で、過去最高だった。

 申告所得額をみると、株式などの譲渡所得が2兆1759億円(55.0%減)と大幅減。13年末に株譲渡益への軽減税率が廃止された影響で同年が過去最高となった反動が出た。14年の土地などの譲渡所得は3兆6171億円(5.8%増)だった。

 確定申告書を提出した人は2139万人(0.2%減)で6年連続で減った。このうち納税額がある人は612万人(1.6%減)だった。

 国税電子申告・納税システム(e―Tax)などを利用した確定申告書の提出割合は所得税56.5%、贈与税56.8%でいずれも増えた。

●近畿の申告所得3年ぶり減少
        産経 2015.5.29 
 大阪国税局が29日発表した近畿2府4県の平成26年の確定申告状況は、所得税(復興特別所得税含む)の申告総額が前年比3・1%減の5兆4814億円となり、3年ぶりに減少した。申告納税額も3962億円と同0・4%減った。

 このうち株式などの譲渡所得は、上場株売却益に対する軽減税率が廃止された25年に株式の処分が集中した反動で、3242億円と前年比56・7%減少した。

 また、地価が回復基調にあることから、土地の譲渡所得は前年比4・9%増の5055億円だった。

 贈与税は今年1月から最高税率が引き上げられた上、相続税の課税ベースが広がった影響もあり、26年の申告納税額は前年比7・8%増の368億円だった。

 一方、個人事業主が納める消費税は、申告件数は19万9千件(前年比1・0%減)にとどまったが、申告額は26年4月からの税率引

●【特集1】2015年総括 今年変わった「税制」 相続税、出国税、贈与税……税制改正
          ZUU online 2015/12/09> Written by 鈴木 まゆ子
 2015年を「税」の面から振り返ると、その影響は個人の所得に関するものが多かった。税金関連の雑誌や本、ウェブサイトをチェックする場面が多かったのではないだろうか。 国民の生活や関心に対して特に影響の大きかった税制改正についてピックアップしてみよう。

相続税改正——「基礎控除額の引き下げ」ほか
 もっとも世間の関心を引いたのは、今年から施行された改正相続税だろう。

 実際に、各金融機関での相続セミナーは盛況になり、「相続税増税」をうたった雑誌は飛ぶように売れたそうだ。それまで「金持ちの問題」として片づけていた相続税が、自分たちの生活を脅かすものとして一般人に意識されるようになりつつあるのかもしれない。
中でも注目が集まったのは「基礎控除額の引き下げ」だ。相続税の課税対象となるか否かの目安となる基礎控除額が従来「5000万円+(1000万円×法定相続人の数)」だったのが、2015年1月1日以降、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」という規定に改められた。

 これは相続財産が5000万円の住宅しかなく、妻と子ども2人が相続人候補なら、以前はまったく関係のなかった相続税が、2015年以後には課税される可能性が生じたということだ。5000万円くらいで住宅を購入しているサラリーマンなら人は少なくないだろう。彼らにとってこの改正は他人事ではない。

 同時に相続税の税率もその取得する財産の価額に応じてより細分化され、最高税率が50%から55%に引き上げられた。「富める者はより多く納税せよ」ということだ。

 ただ「増税」ばかりが強調される今回の改正、実はマイナスの側面だけではない。次のようなプラスの側面もある。

 相続人が未成年者や障害者である場合の控除額が引き上げられたこと、小規模宅地等の特例(住居を相続する場合に適用する特例)における限度面積が拡大され、適用要件が緩和されたこと。

 また相続時精算課税については適用要件が緩和され、贈与者要件については「65歳以上」から「60歳以上」へ、受贈者については「推定相続人(大体において「子」が対象)」だけでなく、「孫」も含めてOKとなっている。

 このほか、暦年課税の贈与税の税率構造が細分化され、300万円超から4500万円以下の贈与については、税率が緩和された。特に、両親や祖父母など直系尊属からの贈与については節税効果が高くなっている。

 今回の相続税改正に関しては、正負両方の側面を概観すると「高齢世代の生前中に、その保有資産を現役世代に移転させることで景気を促そうとしている」政府の意図が浮かび上がってくる構造となっている。今後も、この流れはますます加速するだろう。
 ・・・・・・・・・・・(略)・・・

贈与税の非課税枠拡大
 結婚・出産・育児などの場面で、祖父母や両親が子や孫に対して一時的に多額の資金を贈与した場合には、2015年4月から一人当たり1000万円までの贈与については贈与税が非課税となった。

 この他、住宅取得資金の非課税贈与は、消費税率引き上げ時期の延長に伴い、適用期間を3年延長、同時に、2015年4月からは非課税枠1000万円を1500万円に拡充した。

 また教育資金贈与の非課税措置(非課税枠1500万円)についても、本来2015年末で終わる予定だったが、その期限を2019年3月末に延長している。この教育資金贈与の存在が国民に知られるようになったこと、金融機関が高齢世代の顧客にアピールするようになったことにより、本制度の活用人口が年々増加している現状を受けたものと思われる。

 先述の暦年課税の贈与税の税率構造の緩和とあわせて考えると、政府の「高齢世代の保有資産を若年層に移転することを通じて、景気を刺激し、経済の流れを潤滑にしよう」との意図が透けて見える。

 これらの変化から、国が「高齢者が保有している金融資産を現役世代へ」と考えていることも分かる。

 実際、2014年10-12月期の総務省『家計調査』によれば、2人以上の世帯が保有する金融資産の約70%の年齢層は60歳以上だ。負債を差し引いたうえでの金融資産に焦点を絞れば、約90%が60歳以上の世代に保有されていることがわかる。つまり、日本の金融資産は、高齢世代に偏在しているのだ。

 ただこれが現役世代に移るとしても、国外に流出してしまっては意味がない。実際に、富裕層ほど資産を海外に移転することを検討する。これについても今年の税制で国は「待った」をかける姿勢を見せた。

  「経済を担う現役世代が資産を持てるようにしたい。けれど課税回避は許さない」。来年以降の税制でも、この流れは続く模様だ。

●相続税や消費税対策が将来の空き家問題を加速させる
          ブロゴス シェアーズカフェ・オンライン 2015年11月30日 - 浅野千晴 税理士
 少子高齢化による人口減少、空き家問題・・賃貸アパートの空き室率は、全国賃貸住宅経営協会が公表する平成26年度の民間賃貸住宅の空き室率によると、全国平均で22.7%、特に山梨県では34.2%で、3室に1室が空き室という状況です。

■なぜか増える賃貸住宅の新築物件
賃貸アパートの入居者も減少し、今や借り手が優位に立っていますが、なぜかこのところ、賃貸アパートを新たに建てる不動産オーナーが増えています。

国土交通省の公表するデータ「新設住宅着工戸数」によると、賃貸住宅の新築着工数は、2006年にピークなった後、減少しましたが、このところ回復してきています。賃貸住宅は2012年から徐々に増え始め、昨年度も362,191件と前年比1.7%上回っています。

人口減少しているから建設しても入居者がいない、だから新築物件は減少、であれば誰でも理解できますが、実際には、新築物件は増えているのです。これは税金対策としてアパートを建てる人がたくさんいることが理由です。

■アパートを建てれば相続対策になる?
今年27年から相続税法が改正され、税金のかからない基礎控除の部分が大幅に縮小されました。この増税をきっかけに相続の時に払う税金が安くならないかと対策を考える人が増加しています。

アパートを建てるメリットはズバリ相続税の評価をグンと減らせることです。アパートの価格は、市町村で決定する固定資産税評価額から借家権割合(一部の地域を除いて30%)を減額した金額になります。例えば、評価額が3000万円のアパートでしたら2100万円の価値ということになるので、不動産価値を900万円減らすことができます。また、アパートを建てる資金を金融機関から借り入れると、相続の時に借金も引き継ぐことができます。

「アパートを建設すれば相続税対策ができる」と建設を勧める業者が増え、アパートを建築するといった人が増加していったのです。

■消費税8パーセントの駆け込み需要がアパート建築のきっかけに
昨年4月から消費税の税率が8%に上がりました。通常、平成26年4月1日以後に引き渡しを行った物件については消費税が8%かかってきますが、消費税率が上がる前段階の一時的な対策としてその前の年(平成25年)の9月30日までに請負契約を書面でかわしていれば、4月を過ぎて完成したとしても「消費税は5%の支払いでよい」ということになっていました。

相続税対策も税金が上がるからいずれは考えなくてはいけない状況下で、消費税が上がると建築費用が高くなってしまう。アパートを建てるなら今がチャンスと、9月30日までに駆け込みで建築会社と契約を交わした方が多かった時期です。

仮にアパートの建築費が5000万円とした場合、消費税が5%だと、250万円、8%で400万円です。確かに150万円の出費の差は大きいため、アパート建築を急いで決断するきっかけになりえる金額です。
 
■アパート建築がさらなる空き家問題を増加させる
しかし、空き室が多いのにアパートを次々と建築すれば、更に空き室は増えます。

このような供給過剰のアンバランスは、結局は空き室がいくら増えようとおかまいなしという相続税の税金対策や消費税の駆け込み需要を狙った政府の優遇税制が原因なのです。

本来、空き家が問題になっているなら、取り壊しの問題とともに将来近いうちに空き家になるアパートの増築をできるだけ減少させるべきです。消費税増税前の特別な措置は、建築業界の景気の冷え込みを考慮しての政策なのかもしれませんが、建設業界は潤うのは一時的な話で、長い目で見ると、将来空き家がさらに増え、問題化するという要因を抱え込んでいます。

景気云々という話以前にもう賃貸住宅は過剰で作り過ぎなのです。空き家問題を加速させているのは政府の歪んだ税制の結果であって、空き家問題を解決しようとする一方で自ら空き家問題を生み出している状況なのです。

もちろん納税者側からも、税金対策のためといって借金というリスクを負い、税金対策どころか、土地建物を手放さなければならなくなる最悪のケースもあります。「家賃をすべて保障」や、建設業者がシュミレーションしたような都合のいい収入の状況を鵜呑みにしてはいけません。

■空き家が増えないように税制も変わるべき
平成29年4月には消費税が10%になることが決定しています。その半年前には8%の増税時と同じく特別な措置が講じられて、消費税の駆け込み需要を加速させるような状況が作られています。景気を良くすることも確かに必要ですが、近い将来廃墟と化したアパートが増加するだけです。

空き家問題を解消するのであれば、新築アパートも将来の空き家問題の一部になることを考慮に入れなければなりません。政府もこのような政策を方向転換しなければならない時期に十分来ているのではないでしょうか。

コメント ( 2 ) | Trackback ( )