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てらまち・ねっと



 公文書の管理について、政府の有識者会議の中間報告が7月に出た。
 文書の作成から保存・廃棄まで、統一ルールをつくるよう提言している。

 新聞の社説は、
 「何より求められるのは、公務員が未来にも及ぶ国民への説明責任と真正面から向き合うことだ」
 「政策決定過程が分かる『生きた文書』が残せる基準を作ることが不可欠だ。さらに肝要なのは情報公開だ。」
 などとする(下記に紹介)。

 ところで、これらとも関連があるといえばある、無いといえばない、役所の公文書の定義。
 そのことについて訴訟で争っている福井県の審議会の音声記録。裁判所は、職員の備忘のメモ、だと訴えを棄却した。
 中身の無いヒドイ判決だった。

 今回のような基本的な定義を争う情報公開訴訟は、地裁で勝つに越したことはないげと、地裁、高裁では通じず、最高裁で初めてまともな議論になる、そんな可能性も少なくないと当初から思っていたが、こちらが上告してその最高裁に行くことになった。

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 昨日の名古屋高裁金沢支部の判決は、おおまかに言えば次のよう。

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(1)地裁認定のとおり音声記録は職員の備忘的メモなので県の管理している文書ではない。

(2)控訴人は、媒体を県費で購入、県庁内で保管、職務に関連して使用、組織共用性があると主張するが、前記認定のとおり・・備忘として所持していたに過ぎない。

(3) 控訴人の、未整理情報を公文書としないとの例外規定はなく、未整理状態を続けることで合法的に公開請求を拒否できることになってしまうと主張するが、前記(1)認定のとおり・・備忘として所持していたに過ぎない。

(4)控訴人は、審議会の議事録の要約が完成したことで対象外となることはなく、保管手続きの内部規定を設けるかどうかは公文書の範囲を左右しないと主張するが前記(1)認定のとおり・・備忘として所持していたから・・内部規定の有無は重要な判断要素である。

(5)控訴人は、法的に実施機関が保管していた、新たに追加した電磁記録について旧条例の管理概念で対象から除外するのは誤り、音声記録は職員の私物ではない、個人的メモと音声記録は本質的に異なる、・・など主張するが、前記(1)認定のとおり・・備忘として所持していたものである。

よって、本件控訴は理由がないから棄却する。
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(訴訟の経過) 福井県の男女共同参画&情報公開関係の訴訟。
 福井県の男女共同参画に関して、2006年春頃に県のある施設から特定図書を撤去した問題、その撤去本の図書リストを非公開とした。それらの出来事に対する苦情申し立てを審査した男女共同参画審議会の会議の音声記録がある。私たちの情報公開請求に対して、福井県は、「会議の音声記録は存在するけれど、『情報公開条例でいう公文書には該当しない』から『不存在』」という行政処分をした。

 取り消しを求めて2007年2月に「上野千鶴子・原告団長」として提訴した福井地裁の行政訴訟。
 今年2008年1月30日の判決は、県の言い分を採用し「棄却」。

 ともかく、負けるわけにはいかない意義のある訴訟なので慎重。
 東京の清水勉弁護士に代理人をお願いし、私以外の12人の原告が清水弁護士に委任し、私だけは、本人訴訟として継続。

 判決言い渡し 9月22日(月) 午後1時20分
名古屋高裁金沢支部第1部第1号法廷(2階)。
 

 福井地裁判決(2008年1月30日)関係のデータ 
     地裁判決全文 印刷用PDF 13ページ 142KB   同テキスト版 21KB

 このほか、いろんな関係データにリンクをつけてあるのは
  2008年5月14日 ブログ ⇒ ◆音声記録不開示訴訟/控訴理由書、福井地裁判決

●【社説】 公文書管理 霞が関改革の契機に  中日新聞 2008年7月18日
 公文書管理の抜本改革を求める中間報告が政府の有識者会議でまとまった。国民共有の「財産」が役人の世界でずさんに扱われていいはずはない。直ちに実行し「霞が関」を変える契機としたい。
 公文書とは、政府や地方自治体の公務員が職務遂行の過程で作成する記録などのこと。
 行政にかかわる情報をしっかりと保管し、国民が自由に接触、活用できることが民主社会の鉄則だ。政策決定の経緯を調べることができるし、後世の研究家にとっては歴史を検証する手掛かりになる。

 にもかかわらず、昨年来、私たちは役人のいいかげんな管理の実態を目の当たりにしてきた。年金記録不備、C型肝炎発症者の資料放置…。福田康夫首相は「言語道断」と切り捨て、公文書管理の強化策を求めていた。
 中間報告では、国立公文書館の機能・権限を強化する一方、文書の作成から保存・廃棄までの流れについて、政府内の統一ルールをつくるよう提言している。政府は来年の通常国会に関連法案を提出したい考えだ。

 これまで文書管理の運用は各府省任せ。最長三十年の保存期限が切れた文書を公文書館へ移管するか破棄するかなどは、役所の裁量に事実上委ねられてきた。国民の目に触れると都合の悪そうな資料は、次々と捨てられているのではないか。移管率が年間1%に満たない事実がそうした疑念を抱かせる。倉庫、ロッカーなどへの放置が多いことも看過できない。

 これでは公文書の名が泣こうというものだ。統一ルールをつくるのは当然だが、官僚主導で決めるようでは、情報の透明度が高まることは期待できそうにない。中間報告が指摘する通り、第三者機関の設置は不可欠だろう。

 公文書館強化では、現在独立行政法人である公文書館を国の組織に戻すなど改組し、職員も現在の定員四十二人から数百人規模に拡充させるという。職員数は米国二千五百人、英国五百八十人などと比べると、見劣りしている。スタッフの充実は検討に値する。国民の利便性を高めるため、電子化の促進や公開原則の徹底も大切だ。

 何より求められるのは、公務員が未来にも及ぶ国民への説明責任と真正面から向き合うことだ。官僚が陥りがちな閉鎖的体質を改善する。その自覚なくしては、いくら公文書管理の仕組みを変えても、画竜点睛を欠く。

●社説:公文書館強化 情報公開の徹底を忘れるな 毎日新聞 2008年7月02日
 国の「歴史」の散逸を防ぐため、やっと踏み出した一歩である。福田康夫首相の肝いりで公文書の管理体制の見直しを検討していた政府の有識者会議(座長・尾崎護元大蔵次官)が1日、中間報告をまとめた。国立公文書館の権限強化や、文書作成から保存までの基準を明確にし、統一的な管理を可能とするよう制度の改革を求めた。
 公文書を管理・保存する司令塔となる組織の整備や、政策の決定過程の文書化など改革の方向性は理解できる。その半面、文書の作成基準や、情報公開ルールの徹底に目配りを欠くと、制度いじりに堕すおそれもある。公務員制度改革の一環と明確に位置づけ、議論を深めるべきである。

 政府が作る公文書の管理行政は「不在」に等しい状況だった。各府省が作る文書の保存期間は情報公開法施行令が定める最低基準(最長30年)ぐらいしか統一的な指標がない。保存を終えた文書の公文書館への移管も各府省の同意が必要なため、進んでいない。書式や編集方法もまちまちで、誤廃棄などのずさんな管理が放置された。

 中間報告では、独立行政法人である国立公文書館を改組し、文書管理を担当する機関の職員を将来的に数百人規模に拡充するよう求めた。公文書館は国の機関に戻して内閣府に統合する構想と、立法、司法分野の文書も受け入れる「特別の法人」とする2案を示した。文書の作成、管理、保存の基準を明確にし、各省で保存期間を終えた文書は原則として公文書館に移すよう求めた。

 文書の電子化も進む中、こうした実務の統率には相当数の専門家が必要だ。国立公文書館の定員42人は米国の2500人、英国580人などと比べ突出して少ない。人材養成に向け、財政的な配慮が必要だろう。
 ただ、あくまで国民本位の制度設計が条件となる。文書の作成基準を官僚任せにすれば、資料的に意味の無い書式に骨抜きされよう。第三者機関を設け、政策決定過程が分かる「生きた文書」が残せる基準を作ることが不可欠だ。

 さらに肝要なのは情報公開だ。公文書館に移された文書を極力公開する原則を確立しなければ国民に「史実」を伝える役割は果たせまい。この部分で中間報告は踏み込み不足だ。外交史料館など他組織との連携の問題も残る。10月の最終報告で明確な方向性を示してほしい。

 首相がこの改革にかねて意欲的な原点にはかつて訪米した際、前橋市の資料が米国立公文書館できちんと整理されていた驚きがあるという。国政の歩みを記す資料の散逸は国益を損なう、との問題意識は賛成だ。だが、こうした実態の背景には行政の証拠を残したくない政治家や官僚の思惑がある。改革の成否を決するのは、ここでも「官の壁」の打破である。

●情報公開法と文書管理    平成20年7月1日 総務省行政管理局情報公開推進室
 (3)公文書管理の在り方等に関する有識者会議
3.検討の状況
第1回20年3月12日座長互選、現状説明、自由討議
第2回3月31日国立公文書館制度の拡充等について、自由討議
第3回4月9日ヒアリング、自由討議
第4回4月28日ヒアリング、論点討議
第5回5月15日現状調査及び視察報告、ヒアリング、論点討議
第6回5月28日ヒアリング、論点討議
第7回6月11日論点討議
第8回6月23日中間報告案審議

7月中間報告の公表(予定)
8月~10月最終報告に向けた各省ヒアリング等(予定)
最終報告のとりまとめ、公表(予定)
会議の開催状況、配布資料、議事録等


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