2006年のF1グランプリが開幕した時、とにかく驚いたのがマクラーレンのボディーカラーでした。
周囲の風景まで映り込む、鏡面のようなクローム塗装…これは模型に塗るのは無理だわ…と心配してしまった記憶があります。
(幸い、この年のマクラーレンは不振で、作りたいと思うようなレースがありませんでしたが。)
しかしキットは発売されて、果敢に挑戦して模型を完成させてるかたもネットでちらほら見かけ、あー私には真似できんわ、と思って見てました。
キットで指定されているアルクラッドや、スパッツスティックスなど海外製品でメッキ表現が可能な塗料があって、そうゆうのを使いこなすのが難しそうなんですよね。
私も昔、「メッキみたいスプレー」(潔いネーミングだw)という製品を買って部分的に使用していましたが、デリケートな塗料ですので本格的に使うのは躊躇していました。
そんなこともあって、わざわざ新しい塗料を買って使ってみることにも消極的だったんですが、最近テレビや「F1モデリング」の写真などを見ていて、マクラーレンの塗装って最初思ったほどメッキみたいな表面ではないんじゃないか…という気がしてきました。
メッキだったら周囲がクッキリと映るはずですが、画像でみるとどれもぼやけて映り込んでるんですよね。色も鈍くなっているし。
テレビだと動いているので、周囲の風景も流れて見えるのでキレイに反射してると思い込んでしまったのかも知れません。
また、昨年、今年と同じようなクローム塗装でありながら一昨年に比べて映り込みが鈍くなってきてるような気もします。
で、それだったら手持ちの塗料で表現できるんじゃないかと、試験的に色々試していたんです。
(あくまでダメ元ですから)
それで、自分の中で出てきた塗料がコレ。
クレオス、まだグンゼ時代の製品ですが、Mr.メタルカラーの「クロームシルバー」
ずいぶん昔に買いましたがあまり使う機会がなく忘れていたモノです。
(ちょっと前に、ブログのコメント欄でこの塗料のことが話題になって思い出しましたw)
基本的な使い方としては、シルバー塗装に上塗りして乾いたら布などで磨き出すと、金属的な輝きが得られる、というものです。
ただし、シルバー(クレオスの8番など)は、つや消しに近いサーフェスになりますから、平滑度が低くメッキ感はあまりありません…
美しいメッキ面を出すには下地の平滑度が重要らしいので、グロスブラックの上にクロームシルバーを吹いて磨いてみると、なるほど輝きが違います。
ところが、このクロームシルバー自体には樹脂成分が少ないようで、平滑な面には食いつきが全然悪くて、ちょっと磨き過ぎただけで剥げ落ちてしまいます。
そこで、ない知恵を絞って考えた。
塗料の接着力が弱いなら、塗装面に接着力を持たせれば…?
ということで、グロスブラックを吹き付け後、これが乾く前にすぐクロームシルバーを吹き付け。
乾燥後、磨いてみるとかなり磨き込んでも黒の下地が出ません。メッキ感もかなりあります。
このやり方で、やってみた。
まず、最初はメタルをコンパウンドで磨き込んだだけの状態。
この輝きでもじゅうぶんなのですが、ボディーは修正だらけなので、メタル磨き出し仕上げっていう訳にも行かないので、色を塗りますよ…
プライマー→黒→クロームシルバー と塗ったところ。
このままだと磨いてないメタルの鋳肌みたいな銀色。
綿棒で磨き込んだ状態。
メタル地肌を磨いた状態よりは鈍い輝きだけど、自分としてはこのへんがいいんじゃないかな…とも思う。
クリアー塗装したところ。
あえて、と言うかそれしかないので、ラッカークリアーです。
やはり少し粒子が浮いてきて反射が鈍くなってますが、ギリギリOKかな…
ってところですかね。
クリアー塗装は絶対必要。
メタルカラーを磨いただけでは、表面が弱く触っただけでも指に付くし、輝きも鈍ります。
また、デカールを貼るにもデカールフィットやマークソフターでも表面が溶け出します。
しかし普通にクリアーを塗ると銀粒子が溶け出して銀色どころかねずみ色になっちゃうので、表面が溶けないように、クリアーの霧を遠くから乗せるような感じで、乾かしながら10回ぐらいに分けて吹いています。
最初はつや消しになってしまうけど、7,8回吹くとようやくツヤが出てきますから、そこから少し多めに吹いてクリアー層を作ります。
大体こんな感じで行けるのかな…と思ってますが、どうでしょうね。
自分が思っているマクラーレンのシルバーに近い気がするんですが…
折りしも、いつもコメント下さっている
Yoshitakaさんが、ご自身のブログで東京で捕獲されたMP4/22の画像を紹介してくれています。
レポートによれば、決してメッキ状態ではなく、明らかに「シルバー」であるとの事。
ところが、画像ではメッキと言えばそうなのかな…と思えてしまう、微妙な塗装。
金属感と言うのは粒子の細かさと関係しますから、離れて見ればメッキのような輝きに見えるのかも知れませんが、模型、特に43はかなり近づいて見ることになりますから、そのへんも考慮しないといけないんですね…難しいです。
さて、テスト塗りしてみたフロント・ウイングですが、下地の処理が不十分でサフも吹いていないためやや表面が荒れていて、それがすごく目立つので、いったん下地から塗り直してます…
ボディーのほうも、修正跡のスリキズが消し切れないので、何度も磨き直してます…
クローム塗装は何より下地作りが大事みたいです。というか、普通の色でも基本は同じことなんですけどね。
(写真:タメオ1/43 マクラーレンMP4/22 イタリアGP07)