3月27日(金) 曇り。
サンケイホールブリーゼで行われた坂本龍一の「Ryuichi Sakamoto Playing The Piano 2009」を聴きに行った。
坂本龍一のニュー・アルバム『out of noise』に伴うピアノ・ソロ・コンサート・ツアー。
今回の全国コンサート・ツアーでは全公演の会場で消費される電力をグリーン電力でまかない、
想定されるCO2の排出量をカーボンオフセットする試みが行われている。
チケット代金からも日本国民一人が一日に排出するCO2約6kgを
1kgカーボンオフセットする費用として一部活用されているらしい。
1kg分のCO2削減の証として入場時にはピンバッジが配布された。
・カーボンオフセット
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88
またiTunes Storeでは全公演のライヴ音源を公演終了後24時間以内に有料配信している。
・osaka032709
(↓クリックするとiTunes Storeにジャンプします)
さて、サンケイホールブリーゼ公演から1ヶ月以上経過したが、
有料配信された音源を聴きながらライヴレポートを書いてみよう。
開演時間が過ぎた頃、静かにホールの灯りが落とされた。
サンケイホールブリーゼはホール内が黒で統一されているのでステージは真っ暗闇となった。
その暗闇の中で僅かに音が聴こえる。
目がなれた頃、ステージに教授がいて、やがてぼんやりとステージは明るくなった。
教授はグランドピアノから身を乗り出して、鍵盤の弦を叩いたり、弾いたりしているのが見えた。
1曲目は「glacier」。「glacier」は「氷河」を意味する言葉だ。
昨年、教授が北極圏のグリーンランドを訪れた体験から生まれた曲で、
現地でフィールド・レコーディングした音源が使われている。
オープニングは幻想的な風景が広がる音楽だった。
2曲目は毎日、即興演奏をやっているという。
3曲目にコトリンゴの曲をカヴァーした「to stanford」。
ニュー・アルバム『out of noise』の中では輪郭のはっきりとした楽曲だ。
張りつめていた会場の空気がほどけてゆくような印象があった。
「hibari」はアルバムのリードトラックといってもいい曲。
決まったメロディを反復しながら、しかし少しずつずれてゆくミニマル・ミュージック。
聴くほうも演奏するほうも忍耐が求められると教授は話した。
教授がケータイのCMに出演していることから、
「composition 0919」のみカメラ付きケータイ、デジカメでの撮影が許可された。
この動画がそれ。
教授は上から下まで真っ黒の衣装。めがねをかけています。
ピアノは2台ありまして、もう1台はコンピューターで自動演奏。
何枚か写真も撮影したけれどほとんど失敗(苦笑)。
慌てて撮影するとうまく撮れない。公開できるのはいちばん上の画像1枚のみ。
2階席の8列目はこんな感じでした。
さて、以上5曲目まではどの会場も同じセットリストにしているそうだ。
iTunes Storeで全公演の音源を配信するので意識してセットリストを替えてるという。
大阪で初披露となったのはYMO時代の曲で「Behind the Mask」。
何の曲かわかったとき、僕は思わず「おおっ」と感嘆の声をあげた。
しばらく教授の音楽を日常的に聴いてなかったせいか、
この日のセットリストで曲名の判明しない曲が何曲かあった。
「chanson」はアルバム『BTTB』の曲らしい。
「mizu no naka no bagatelle」は昔サントリー・オールドのCM用に書いた曲だそうだ。
2曲とも記憶の淵からすっぽりと消えてしまっている。
「鉄道員(ぽっぽや)」はライヴではじめて聴いたと思う。
同名の映画のタイトル曲で作詞が奥田民生、歌は坂本美雨。
「映画はヒットしたんですが曲は話題にならなかった(笑)」と教授。
曲の途中で賛美歌のようになるところがあって、その部分がポケモンの音楽に似ていると
身内からクレームがあったそうだ。
「鉄道員(ぽっぽや)」と同じ日に作った曲があって、そっちのほうは何故か話題になったという。
そう言って弾いたのが「energy flow」だった。
出だしを弾いて、
「なんとなく似てない? イ短調、Aマイナーが同じですね」と教授。
本編のラストとなったのは「シェルタリング・スカイ」。
映画のサントラは何年も後になって中古盤で手に入れた。
しかしこの曲も僕はタイトルが思い出せず、演奏中に何の映画の曲だったか思い巡らしていた。
アンコールになって客席から「東風」をリクエストする声が飛んだ。
実は僕は「東風」のピアノ・ソロをずっと聴きたいと思っていた。
だからリクエストした彼が「お願いします」と勇気を出して言ったとき
大きな拍手をして彼を応援した。
彼のリクエストが叶い「東風」は演奏されたわけだが、
ハーモニーの美しさを際立たせるためにゆったりとしたヴァージョンで披露された。
そして教授は完奏せずに途中で止めてしまって、
YMOのディスコティック・ヴァージョンから抜けられなくて迷ってる段階だと話した。
矢野顕子ヴァージョンの「東風」をプロデュースしたのも教授自身だったが、
あのヴァージョンが最も完成したセルフ・カヴァーだということだった。
「1900」は好きな曲だ。曲を書いたのはエンニオ・モリコーネ。
「美貌の青空」はライヴの定番。毎回ライヴでは披露されている印象がある。
コンピューターを使っての自動演奏のタイミングが合わず出だしをやり直した。
筑紫哲也の「NEWS23」のテーマ曲「put your hands up」はひたすら美しかった。
昨年11月に亡くなった筑紫さんを追悼しているかのようだった。
ダブル・アンコールに応えて演奏されたのは「tibetan dance」。
途中で誰かが手拍子をはじめて、1階席で手拍子は広がったものの、僕は参加せず。
ノイズのひとつだと思って聴いていた。
■Ryuichi Sakamoto Playing The Piano 2009
2009年3月27日(金)サンケイホールブリーゼ
2階2H列9番
坂本龍一(Piano)
Setlist
01 glacier
02 Improvisation0327
03 to stanford
04 hibari
05 composition 0919
06 Behind the Mask
07 silk endroll
08 chanson
09 mizu no naka no bagatelle
10 tango
11 poppoya
12 energy flow
13 lonliness
14 the sheltering sky
Encore
15 (tong poo)
16 1900
17 bibo no aozora
18 happyend
19 put your hands up
20 aqua
21 tibetan dance
はい。僕も会場で購入しました。
実はまだきちんと聴いてなかったりしますが。。
とても魅力的なCDです。
コモンズで買えるようになったようですよ。
http://yaplog.jp/danke-moon-s0/archive/1897
僕もiTunesでアルバムを購入したのは久しぶりです。
ほかの公演ではどんなセットリストだったのか気になりますが、見たらクリックしてしまいそうなのでひかえております。
そして本文では書き忘れましたがツアー・ブックというのもあるんですよ。未発表音源が25曲というのが悩ましい。
・『ryuichi sakamoto playing the piano 2009_out of noise -tour book CD』
http://www.commmonsmart.com/detail/?Goods=221&Color=0&pcid=1
他のアーティストも、この企画をやってくれないかなあと思っています。