大貫妙子 "Boucles d'oreilles" Tour 2007

2007年05月03日 | Live

4月27日(金)晴れのち曇り。なんばHatchで開催された「大貫妙子 "Boucles d'oreilles" Tour 2007」を聴きに行ってきました。ター坊のライヴは2000年の「Beautiful Songs」をきっかけにして、聴きに行くようになったが、これまで聴いた中ではベストと思えるような素晴らしいライヴでした。ほぼ日先行で獲ったチケットはC席。3列目だったので、ター坊の表情もよく見えました。今回は楽しそうでした。

ピュア・アコースティック・コンサートは最初、東京のクラシック専門のホールから、「歌と弦楽四重奏によるコンサートをやりませんか?」という依頼を受けて、はじまったのだという。その時にレコーディングされたのが『pure acoustic』というアルバム。それから20年が経ち、その続編となる『Boucles d'oreilles(ブックル・ドレイユ)』が今年リリースされた。

"Boucles d'oreilles"はフランス語でイアリングのこと。顔の横にある耳。イアリングは顔の近くでキラッと輝いたり、揺れたりする。そんなに多くのイアリングを持ってないとしても、毎朝どんなイアリングを選ぼうかと女性は悩む。毎日変わったり、揺れたりするイアリングは「女心」を象徴する装身具といってもいいのかもしれない。そういった意味合いでアルバムのタイトルとして付けられたという。

ピュア・アコースティック・コンサートはこれまで2回体験していて、今回が3回目だった。前の2回はクリスマスの時期に開催されて、「ピュア・アコースティック・クリスマス」という表題が付いていた。やわらかなアコースティックの音色と大貫妙子の声はベスト・マッチで、僕は音楽に陶酔した。そこには感動があった。ここ数年はうまく日程が合わず、ピュア・アコースティック・コンサートから遠ざかっていて、その陶酔感を忘れていた。

新作『Boucles d'oreilles』の発売に合わせて、新緑の季節に開催されたピュア・アコースティック・コンサートでは、ドラムに林立夫を迎え、これまでとはまた違った雰囲気のステージとなった。RCA時代のアルバムが最新デジタル・リマスタリングが施され、紙ジャケ仕様でリイシューされたことも関係あるのかもしれないが、前半は古い曲が多かった。

ドラムの林立夫が繰り出すビートに新鮮味があり、この起用は成功だと思った。フェビアン・レザ・パネのピアノと大貫妙子の声の相性もよく、「横顔」のイントロがはじまった時には楽しくて仕方がなかった。大貫妙子のライヴでこんな気持ちになったのははじめてだった。「夏に恋する女たち」をライヴで聴く日が来るなんて思いもしなかった。うれしい驚きだった。ピアノとウッド・ベースだけで演奏された「突然の贈りもの」では僕の隣から鼻を鳴らす音が聞こえた。涙の理由は何なのかわからないが、そういう心の琴線に触れる素晴らしい演奏だった。

僕の大好きな坂本龍一作曲の「TANGO」も演奏された。この曲もライヴではじめて聴いた。仕事で世界中を旅する大貫妙子。彼女の作る曲はそんな旅の影響を受けたものも多い。フェビアン・レザ・パネが金子飛鳥のアルバムで共演した「遥かなる旅路」。聴衆は音楽の旅を共にすることとなる。そこがひとつの転換点であったように、「遥かなる旅路」で一度袖に引っ込んだ大貫妙子は「Shall we dance?」で衣装を着替えて登場した。白から赤へと鮮やかな変換だった。

後半はいつものピュア・アコースティック・コンサートのスタイルで、ドラムなしのステージとなった。ハイライトは「Shenandoah」。この曲を聴きに来たのだった。

現在進行中の仕事の中から、秋公開の映画『めがね』のエンディング・テーマを担当することになったと大貫妙子は話した。映画が公開したら最後まで席を立たずに聴いてほしいと話した。映画『めがね』は『かもめ食堂』のスタッフが再び集結して撮った作品。出演は小林聡美ともたいまさこ。このスタッフはプロデューサー、監督をはじめ全員女性なのだという。

「Time To Go」で林立夫が戻ってきた。この曲は過去の恋愛をテーマにして作った曲。決して戻れない時間に思いを寄せている。大貫妙子はシンガー・ソングライターとしてラヴ・ソングを多く書いてきた。ほとんどがラヴ・ソングだといっていい。しかし歌の対象となる相手は男性に限られていず、身の回りの大事な人、あるいは動物である場合もあるという。最後の「美しい人よ」では旅に触れる発言があった。「旅の空で素敵な人との出会いがありますように。そんな気持ちを込めて」と。

■大貫妙子 "Boucles d'oreilles" Tour 2007
2007年4月27日(金) なんばHatch
1階C列27番

大貫妙子(vo)
フェビアン・レザ・パネ(pf)
吉野弘志(b)
林立夫(ds)
金子飛鳥カルテット(金子飛鳥Vn/相磯優子Vn/志賀恵子Va/木村隆哉Vc)

SetList
01.幻惑
02.Monochrome & Colours
03.le musique
04.横顔
05.夏に恋する女たち
06.黒のクレール
07.突然の贈りもの
08.Siena
09.TANGO
10.遥かなる旅路
11.Shall we dance?
12.Caveliere Servente
13.彼と彼女のソネット
14.風の道
15.Time To Go
16.Shenandoah
17.ベジタブル
Encore
18.メトロポリタン美術館
19.美しい人よ


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2 コメント

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あ、東京もおなじ! (day-day)
2007-05-06 09:40:33
はじめまして。

私はオペラシティーに伺いました。
セットリストも同じです。

旅の空で・・・のあたりのコメントはなくて、大船(大貫さんの家近くの駅)の高校生カップルをみて、『大変だな~~』と思ったコメントがありました。

哀しい事は、つくばのコンサートでは当日券が割引で売られていたことです。
今までなかったのに・・・と少し哀し気持ちでした(あ、つくばは遠いので行けませんでした)

でも、心にしみるいいコンサートでした。
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Re: あ、東京もおなじ! (どい)
2007-05-06 12:10:33
☆day-dayさん
ブログを拝見しました。あの衣装は僕も目を奪われました。
セットリストは終演後に貼り出されていましたが、下に全公演のスケジュールが載ってたので、同じものを使い回しているのかなと思いました。
大阪も2階席は空いてたみたいです。午後7時半開演でしたが、平日だと難しいのかもしれません。つくばも日程が悪かったんじゃないでしょうか。
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