2023年07月16日プレイリスト「極私的・坂本龍一追悼特集 PART 1」
1. SYNC OF SUMMER / 山下達郎 7月26日発売ニュー・シングル
2. ドリーミング・デイ / 山下達郎 "ナイアガラ・トライアングル" '76
3. パレード / 山下達郎 "ナイアガラ・トライアングル" '76
4. SOLID SLIDER / 山下達郎 "スペイシー" '77 アナログ&カセット8月2日発売
5. 2000トンの雨 / 山下達郎 "ゴー・アヘッド" '78 アナログ&カセット7月5日発売
6. 潮騒 / 山下達郎 "ゴー・アヘッド" '78 アナログ&カセット7月5日発売
7. THIS COULD BE THE NIGHT / 山下達郎 "ゴー・アヘッド" '78 アナログ&カセット7月5日発売
8. SPACE CRUSH / 山下達郎 "イッツ・ア・ポッピン・タイム" '78 アナログ& カセット9月6日発売
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■内容の一部を抜粋
・近況
ツアーのため番組は相変わらず前倒しで収録。7月7日の島根県民会館、9日の周南市文化会館はどちらも雨でひやっとしたそうだ。山口は終演のときに雨は弱くなっていて助かったと達郎さん。昨日、一昨日の最初のフェスティバルホールはうまくいってるはずとのこと。今週は20日(木)が京都のロームシアター京都メインホール。ツアーは現時点で6本終わったことになる。
・山下達郎 PERFORMANCE 2023
今年の全国ホール・ツアー「山下達郎 PERFORMANCE 2023」は18都市39公演。6月30日から11月6日まで。
チケットの一般発売日などの詳細は山下達郎オフィシャル・サイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp/live/
・極私的・坂本龍一追悼特集 PART 1
ちょっと忙しいのでお便りが全て読みきれておらず、どうしょうかと思っていて、ティナ・ターナーの特集は作品が多すぎて聴ききれてない。だったら自分のできることをやることにして、坂本龍一さんの追悼をやりたかったのが、ずっとできなくて、今週、来週二週間使って、いつもの得意のパターンで「極私的・坂本龍一追悼特集」。今日はそのパート1。坂本龍一さんと一緒にやった仕事は70年代はとっても多いので、二週間でも足りないくらいの量がある。今週は達郎さんの作品の中から坂本龍一さんに手伝ってもらったものを中心に。来週は達郎さんが人に書いた曲で坂本龍一さんに手伝ってもらったもの、坂本龍一さんの作品から達郎さんが手伝ったものと、分けて特集する。
・SYNC OF SUMMER
7月26日に通算53枚目のシングル「SYNC OF SUMMER」が発売される。キリンの「午後の紅茶」のCMソング。
・ドリーミング・デイ
3月28日に亡くなられた坂本龍一さん。享年71歳。達郎さんが直接関わった仕事を中心にしたプログラムなので「極私的・坂本龍一追悼特集」。坂本龍一さんと最初に知り合ったのはシュガーベイブ時代の1975年。大滝詠一さんのライヴで坂本龍一さんがピアノを弾く中で、シュガーベイブの仕事をお願いしたりした。1976年の『NIAGARA TRIANGLE VOL.1』での達郎さんのパートは全て坂本龍一さんのキーボード。1曲目の「ドリーミング・デイ」はイントロのリフからずっと坂本龍一さんのピアノの音が聴ける。
・パレード
1976年の『NIAGARA TRIANGLE VOL.1』の2曲目「パレード」。シュガーベイブのレパートリーだったがシュガーベイブでは公式に発表することができなかった。アルバム・ヴァージョンはイントロに坂本龍一さんのピアノが入っている。
坂本龍一さんは東京藝術大学の作曲科を出たひじょうにアカデミックな方。当時の時代の空気としてポピュラー・ミュージックにも興味を持っていた。フランス近代の作曲を勉強されており、当時のクラシックを学んだ方とは違ったテイストを持っていて、達郎さん自身がフランス近代のクラシックがすごく好きだったので、坂本龍一さんからいろいろなことを教えてもらったという。「パレード」の間奏後の代理コードのあたりでも随分アイディアをもらったとか。76年から79年までの3年間くらいは本当に仲のいい友人だったが、イエロー・マジック・オーケストラを結成してテクノ・ミュージックに向かっていくと同時期に、達郎さん自身も「RIDE ON TIME」のブレイクがあって、そこから距離は遠くなったが、坂本龍一さんが達郎さんの友人だったことは終生変わらなかった。
・SOLID SLIDER
1976年に達郎さんはソロになり、ファースト・アルバム『CIRCUS TOWN』はニューヨーク、ロサンゼルスでのレコーディングだったが、1977年のアルバム『SPACY』でも坂本龍一さんには随分いろんなことをやってもらったそうだ。上原”ユカリ”裕さんのドラム、田中章弘さんのベース、坂本龍一さんのキーボード、達郎さんのサイド・ギター、もしくは松木恒秀さんのリード・ギター、もしくは大村憲司さんのリード・ギターの演奏。アルバム最後の曲の「SOLID SLIDER」。後半部分は坂本龍一さんのソロ。せっかくなので坂本龍一さんのソロをフィーチャーして「SOLID SLIDER」坂本龍一ソロ部分。
曲をかけ終えて。
「SOLID SLIDER」は全部で7分あるけれど、当時のアナログ・レコーダーのテープは15分入る。15分の前半は違う曲、「SOLID SLIDER」のテイク1で、テープの残りが7分あったので、サックス・ソロとキーボード・ソロに振り分けて、このキーボード・ソロはレコーディングしたときの一発録り。演奏したときに録って、サックス・ソロは後からダビング。サックスの3分弱を計って、坂本龍一さんに合図を出して、坂本龍一さんがソロを弾きはじめて、そのままテープが終わってしまうまで演奏を続けた。フェイドアウトが終わったところでテープも終わってる。そういうことを考えると素晴らしいソロ。坂本龍一さんはこの当時、こうしたロックンロール系に「あんまり満足しない」と言っていたが、素晴らしいタイム感。坂本龍一さんも佐藤博さんも難波弘之さんもみんなタイム感が抜群で、そんなもんだと思っていたら、他のセッションに行って「あれ?」と感じることがよくあったとか。
1977年のアルバム『SPACY』では「DANDER」の途中のアコースティック・ピアノは坂本龍一さんで、「アンブレラ」ではハモンド・オルガンのソロと細かい仕事をお願いしたそうだ。
・2000トンの雨
1978年に入ってシングルを作ることになり、レコーディングしたのが「PAPER DOLL」。「シングルとしてこんなもの売れない」と言われて、レコード会社からボツられたとか。この曲は先週オンエアしたので、今日はシングルのB面になるはずだった「2000トンの雨」。坂本龍一さんのいいアタックのピアノがこの曲を引き立ててくれている。
千葉県市川市のリスナーから「パレードのイントロのインパクトのあるピアノには達郎さんは龍一さんにどのような熱いリクエストをされたのでしょうか?」という質問。
カジュアルな感じで「なんかイントロ弾いてくんないかな?」
「どんなのがいいの?」
「 ファ〜〜ってやつ」
「じゃあカーメン・キャバレロで行ってみようか」
「そんなふうな感じですかね。それでカーメン・キャバレロ風に弾いている(笑)、そういうアレです」と達郎さん。
・納涼リクエスト大会
ツアーの合間にレコーディングをしていて忙しいので、今後予定している「リクエスト特集」のお便りとリクエストを募集とのこと。
・TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection
7月5日に『MOONGLOW』と『GO AHEAD!』のアナログ盤とカセットが発売された。オリコン・アルバム・週間ランキングの7月11日付けで『GO AHEAD!』が3位、『MOONGLOW』が4位。『GO AHEAD!』は45年目にして初のトップテン入り。『MOONGLOW』も44年目にして初のトップテン入り。「でも正直言って狐につままれた、そういう感じの続きであります」と達郎さん。
8月2日に『SPACY』と『CIRCUS TOWN』。
9月6日に『IT'S A POPPIN' TIME』と『GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA』。
詳しくは山下達郎RCA/AIRイヤーズ・ヴァイナル・コレクションの特設サイトにて。
https://www.tatsurorcaairyears.com
・山下達郎『CITY POP UP STORE FOR YOU @ UMEDA NU CHAYAMACHI』
タワーレコードNU茶屋町店 3階の特設会場で7月12日(水)から8月27日(日)まで『CITY POP UP STORE FOR YOU @ UMEDA NU CHAYAMACHI』が開催される。ここでは東京と同じ今回の TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection が試聴でき、オリジナル・グッズの販売、フォト・スポットなどが催される。詳しくは山下達郎オフィシャル・サイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp/news/
坂本龍一さんは東京藝術大学の作曲科の時代にシンセサイザーを勉強していて、それがずっと発展してYMOまで続いていく。シンセのノウハウを熟知していたので、達郎さんはたくさんいろんなことを教えてもらったという。1978年のアルバム『GO AHEAD!』あたりからシンセが多用されてきて、当時はKORG の PS3100 というシンセ使っていて「潮騒」のシンセもそれを使用している。
・潮騒
先週オンエアしたが「すいません。いいんです」と達郎さん。
・THIS COULD BE THE NIGHT
1978年のアルバム『GO AHEAD!』の「THIS COULD BE THE NIGHT」はハリー・ニルソンの曲で、モダン・フォーク・カルテットの出なかったシングル。この時代にフィル・スペクターの作品がアナログ化されて、その中に入っていた「THIS COULD BE THE NIGHT」がよかったので、それをカヴァーした。このレコーディングのときに坂本龍一さんが初めて持ってきたのがポリ・モーグというモーグの新製品。素晴らしい音がするシンセサイザー。1978年の坂本龍一さんのソロ・アルバム『千のナイフ』は松武秀樹さんがシンセサイザーとシーケンサーを一緒に作っていたもので、これがおもしろくて毎日レコーディングに通って見学していたという。そのおかげでアルバムのレコーディングでカスタネットを叩いたりしている。その時代においてシンセサイザーの音色は最先端のものだった。
・SPACE CRUSH
今日の最後はやはりシンセが縦横無尽に行くやつ。「SPACE CRUSH」もKORG の PS3100 が活躍している。1979年の達郎さんのライヴ・アルバム『IT'S A POPPIN' TIME』から。1曲目の「SPACE CRUSH」だけスタジオ・レコーディング。
■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2023年07月23日は、「極私的・坂本龍一追悼特集 PART 2」
http://www.tatsuro.co.jp