2019年02月24日プレイリスト
「ロイ・オービソン特集 Part 2」
1. SWEETEST MUSIC / 竹内まりや "ミス・M" リマスター盤 2月27日発売 '80
2. MEAN WOMAN BLUES / ROY ORBISON '63
3. BLUE BAYOU / ROY ORBISON '63
4. IT'S OVER / ROY ORBISON '64
5. OH, PRETTY WOMAN / ROY ORBISON '64
6. BORNE ON THE WIND / ROY ORBISON '64
7. SHE / ROY ORBISON '67
8. LANA / THE VELVETS '61
9. THAT LOVIN' YOU FEELIN' AGAIN / ROY ORBISON & EMMYLOU HARRIS '80
10. NOT ALONE ANY MORE / TRAVELING WILBURYS "TRAVELING WILBURYS" '88
11. YOU GOT IT / ROY ORBISON '89
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■内容の一部を抜粋
・近況
番組は前倒しで収録しているという。スタジオに入って仕事をしている感じだとか。
・ロイ・オービソン特集 Part 2
先週に引き続いて「ロイ・オービソン特集 Part 2」。達郎さんもこうしてまとめて聴くのは久しぶりなので懐かしい記憶が蘇ってくるとのこと。1963年以降のロイ・オービソンの活動と悲劇的な経験、ドラマチックな人生を織り交ぜて。
・SWEETEST MUSIC
まりやさんのRCAのカタログが昨年から毎月一枚というスケジュールでデジタル・リマスター盤が発売されている。今週2月27日は1980年のフォース・アルバム『MISS M』がリマスター、ボーナス・トラック付きで出る。アナログA面がL.A.録音で、当時のエアプレイ、デヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドン、デヴィッド・ハンゲイト、ジェフ・ポルカロのメンバーとレコーディングしている。洋楽のカヴァーではなくて書き下ろし、もしくは彼らが持っていたストックから提供してもらっている。「SWEETEST MUSIC」は作詞がデヴィッド・ラズリー、作曲がピーター・アレン(ピーター・アレンのストックから提供)。他にはジェイ・グレイドンとデヴィッド・フォスターの書き下ろしの「SECRET LOVE」やロジャー・ニコルスの作品などが入ってる。今日はアナログA面1曲めの「SWEETEST MUSIC」。
・MEAN WOMAN BLUES
エルヴィス・プレスリーのカヴァー。1963年の全米5位「MEAN WOMAN BLUES」。達郎さんはこの曲が大好きでライヴではもう30年以上この曲の一節を歌っている。「エルヴィスのヴァージョンではなくて、ロイ・オービソンのヴァージョンでやってるというのが、私の、ライヴの、特徴であります(笑)」と達郎さん。
・BLUE BAYOU
「MEAN WOMAN BLUES」は両面ヒットで、B面が全米29位の「BLUE BAYOU」。1977年にリンダ・ロンシュタットがカヴァーしてプラチナ・シングルになり、'70年代にロイ・オービソンがまた注目を浴びる一助になった。南部っぽいテックスメックスの匂いが満載の一曲。バイユーは南部の沼とか湿地帯のことで、そこに彼女を置いてきた、もう一度会いたいという歌。
・ IT'S OVER
「MEAN WOMAN BLUES」から年明けたこの曲もロイ・オービソンのファンには人気の高い曲。1964年、全米9位、全英1位の「 IT'S OVER」。先週かけた「CRYING」は24歳の時の歌で、「 IT'S OVER」は27歳のときの歌唱。素晴らしい声。シンガーのボビー・ゴールズボロがロイ・オービソンのコーラスをしていた時代の思い出として、「ロイ・オービソンは風邪を引いても声が変わらなかった」という逸話が残っている。
ロイ・オービソンといえばサングラスがトレード・マークだが、これも有名な話があって、1963年にイギリス・ツアーを行ったが前座はなんとビートルズ。そのときに直前のアメリカ・ツアーでメガネを忘れてしまって、持っていたのがサングラスしかなく、目が悪く、メガネがないと見えないので、仕方なくサングラスをしたそうだ。それが気に入って、それからサングラスがトレードマークになった。
・OH, PRETTY WOMAN
この頃からイギリスで人気が出て、その後もイギリスで人気が衰えず、それが復活のきっかけにもなる。1964年に彼にとって最大のヒットが生まれる。全米NO.1のミリオン・セラー「OH, PRETTY WOMAN」。1990年に同名の映画の主題歌となり若い世代に知られるきっかけとなった。
達郎さんが中学に入る頃、ロイ・オービソンのレコードはすべて廃盤だった。達郎さんがロイ・オービソンの名前を知ったのはザ・ヴェンチャーズ。達郎さんが中学一年の1965年に発表されたヴェンチャーズのアルバム『KNOCK ME OUT!』に「OH, PRETTY WOMAN」が入っていて、そこに解説を書いていたのが亀渕昭信さん。亀渕昭信さんの解説にロイ・オービソンのヒット曲だと書かれていた。その当時はレコード屋に行けばレコードは何でも置いてあると思っていたが、東京の目白のレコード屋で「すいません、ロイ・オービソンのレコードをください」「全部廃盤です」と言われた。それから一年か二年して池袋のデパートの地下で、発売されていたシングル盤が返品になり、ジャケットに穴を開けて100円で販売する「100円シングル」(新品だけど返品のシングルなので)の中にロイ・オービソンがあった。生まれて初めて買ったロイ・オービソンのシングルは1964年にイギリスのみで発売された「BORNE ON THE WIND」。それが日本盤で発売された。達郎さんは聴いて「なんてこの人は歌がうまいんだろう」と驚いた記憶があるそうだ。
・BORNE ON THE WIND
1964年、全英15位の「BORNE ON THE WIND」。邦題は「つむじ風に乗って」。リリース時は「OH, PRETTY WOMAN」よりも前になるが同じ年のイギリスでのヒット曲。この頃本当にロイ・オービソンはイギリスで人気があった。
達郎さんはロイ・オービソンを聴くにはちょっと遅れてきた少年だった。3,4年遅れて入っていった。ロイ・オービソンをリアルタイムで聴いていたのは大瀧詠一さんの世代ということになるが、リアルタイムといっても洋楽にのめり込んでる人しかロイ・オービソンは聴いてなかった。達郎さんは運良く100円シングルで主要ヒット曲、「MEAN WOMAN BLUES」や「OH, PRETTY WOMAN」がどんどん手に入るようになり、夢中になってロイ・オービソンを聴くようになった。
1964年のミリオン・ヒットの頃から、それまでのパートナーのジョー・メルソンとだんだん距離を取るようになり、新しいコンビになる。ビル・ディーズと組んで実績が出たのが「OH, PRETTY WOMAN」。これから新たな平野が開けると思いきや、1966年に奥さんのクローデットがバイクで事故死。ロイ・オービソンは精神的なショックで曲が書けなくなり、それに重なってツアー中に3人いた子どもが火事で2人死亡する。それ以降、'60年代は全く曲が書けなくなり、そこからロイ・オービソンの低迷がはじまる。そんな時代にモニメント・レーベルから移籍するがヒット曲が出なくなる。それでも達郎さんは一所懸命シングルを買っていた。
・SHE
1967年のシングル「SHE」はキング・レコードで発売してくれて、ラジオでもかかっていた。亡くなった奥さんへの鎮魂歌といえるような一曲。ロイ・オービソンとビル・ディーズの共作。
・竹内まりや「ミラクル・ラブ」
2月18日から6週間に渡りAbemaTVで配信される橋本環奈さんの主演ドラマ『1ページの恋』の主題歌に竹内まりやさんの「ミラクル・ラブ」が起用される。もともとは1991年に牧瀬里穂さんに提供した曲のセルフカバー。
『1ページの恋』
https://abema.tv/video/title/90-1222
・竹内まりやRCA時代のリマスター盤
まりやさんのRCAのカタログが昨年から毎月一枚というスケジュールでデジタル・リマスター盤が発売されている。11月21日にデビュー・アルバム『BEGINNING』、12月26日にセカンド・アルバム『UNIVERSITY STREET』、1月23日はサード・アルバム『LOVE SONGS』が発売。今週2月27日はフォース・アルバム『MISS M』、3月27日はフィフス・アルバムの『PORTRAIT』と5ヶ月連続のリリース。ボーナス・トラック付き。詳しくは竹内まりや40周年特設サイトにて。詳しくは竹内まりや40周年特設サイトにて。
https://www.mariya40th.com
・LANA
1961年、ロイ・オービソンと同じモニメント・レーベルにいたヴェルヴェッツというドゥー・ワップのグループに「LAUGH」という曲を提供。日本ではA面とB面を入れ替えて、日本では「LANA」がヒットした。このシングルも亀渕昭信さんが推した。後にロイ・オービソンはセルフ・カヴァーする。
奥さんの突然の死とお子さんの突然の死で精神的にダメージを受け、1967年頃からヒット曲が激減する。アルバムは作り続け、ライヴも続けたのだが、時代の変遷というのもあるが、なによりも不運が重なったという感じ。でも他の誰とも違うスタイル、特にイギリスでの人気が高かったので、いわゆる業界シンパシーがずっと続いていく。1970年になり、もう半分忘れられた存在になりかけたとき、いろんな人のカヴァーが出てくるようになった。リンダ・ロンシュタットの「BLUE BAYOU」など。
・THAT LOVIN' YOU FEELIN' AGAIN
1980年に日本未公開の映画『ROADIE』で歌われたロイ・オービソンとエミリー・ハリスとのデュエット・ソング「THAT LOVIN' YOU FEELIN' AGAIN」が全米55位。ロイ・オービソンは作曲にも関わっている。この曲がカントリーの部門でグラミー賞を受賞した。このあたりからロイ・オービソンの再評価がじわじわと出てくるようになった。ロイ・オービソンを聴いた人たちがミュージシャンになって発言力を増してくるというような背景があった。
'80年代の後期にロイ・オービソンの再評価が高まってゆく中でロイ・オービソンを中心にしたライヴが開催されることになる。そこに関わったジェフ・リンが電話でロイ・オービソンのレコードを作る話をし、そのプロジェクトにジョージ・ハリスンが、さらにボブ・ディランとトム・ペティが加わって、ディランのスタジオでレコーディングを行いアルバムができた。
・NOT ALONE ANY MORE
レコード会社の契約の関係でそのプロジェクトは匿名でアルバムを出すことになった。それが『TRAVELING WILBURYS』で1988年に発売したら大ヒット。ロイ・オービソンが復活した。その中からロイ・オービソンのパート「NOT ALONE ANY MORE」。
・YOU GOT IT
『TRAVELING WILBURYS』のヒットでロイ・オービソンの新しい時代、新しい平野が開けると思いきや1988年の暮に心臓発作で休止してしまう。最後は死後に発表されたアルバム『MYSTERY GIRL』からシングル・カットされてベスト10ヒットになった「YOU GOT IT」。ジェフ・リン、ロイ・オービソン、トム・ペティの共作。プロデュースはジェフ・リン。
・番組の終わりに
日本未公開の映画『ROADIE』のDVDが出ていたことを知り、達郎さんはアマゾンで中古品を購入したという。
・今後の予定
来週はオンエア日が3月3日なので「ひなまつり」をやりたいが、ちょっとスタジオが立て込んできて締切が迫ってきたので、たぶんリクエスト特集になるかもしれないとのこと。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2019年03月03日は、「リクエスト特集(予定)」
http://www.tatsuro.co.jp