Sunday Song Book #1312

2017年12月04日 | Sunday Song Book

2017年12月03日プレイリスト PART 1
「サンデー・ソングブック 25周年記念 トーク・ライブ」
1. DRIP DROP (LIVE) / 山下達郎
"17/11/28 東京FMホール"
2. CLOSE YOUR EYES (LIVE) / 山下達郎
"17/11/28 東京FMホール"
3. CHAPEL OF DREAMS (LIVE) / 山下達郎
"17/11/28 東京FMホール"
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■内容の一部を抜粋
・アコースティック・ライブ&トークショー
サンデー・ソングブック25周年の企画で、11月28日(火)に東京半蔵門のTOKYO FM ホールで一夜限りのアコースティック・ライブとトーク・ショーを行った。12月3日午後1時からトーク・ショーと何曲か演奏の部分をオンエア。12月3日は13時から豪華二本立て。

PART 1
進行はTOKYO FMの古賀涼子さん。

・25周年
これまでラジオ番組のレギュラーは3年続いたことがなく、番組をやってる間はアルバムが出ないというジンクスもあったので狐につままれたような感じだとか。しかもJFNという大きなネットで25年間続けられたのだから嘘みたいだと達郎さん。

・語り口
番組をはじめたのが39歳のとき。それまでの二十代や三十代のレギュラー番組の頃よりは安定した感じだが、若い頃の番組を今聴くと粋がってるような、世の中を恨んでるような感じで恥ずかしくて聞けないそうだ。自分で言うのも何だけどこの25年で少しは落ち着きが出てきたように思ってるという。

・棚つか
アナログのLPが2万枚、シングル盤が2万枚、CDは6万枚。その辺の放送局よりも持ってるそうだ。レコード棚は洋楽はA to Zに、邦楽はあいうえお順に並んでいて、ビーチボーイズのように枚数が多いものは別にカテゴライズしているとか。コンピレーションとかオムニバスはタイトルのA to Z順。しかも収録曲は何年もかけてA to Zに並べ、業者に頼んでエクセルのデータにしたという。選曲の基準は雰囲気で、レコードが「おれをかけてくれ」と呼んでるそうだ。新曲を選曲しようと思えば毎週チャートをチェックしなければならず、そうすると自分の仕事に支障が出てくるので、記憶の中でだけできるオールディーズに特化した番組にしたとか。だから「棚つか」の選曲は自分の記憶の中から引っ張り出してるのだという。

・中級のオールディーズ
番組がマニアックにならないように中級のオールディーズを選曲している。基本的にビートルズはかけない。誰でも知ってるから。洋楽のトップ40を聴いていて洋楽に慣れ親しんだリスナー、TOTOよりもマイケル・ジャクソンよりも奥に行ったもの、モータウンはミリオンセラーじゃないもの、TOP 10ヒットではなくて20位、30位、40位のナンバーを中級のオールディーズと呼んでるそうだ。誰も知らない曲はかけないし、音楽に詳しいリスナーが「まぁ、こんな程度のものだろうな」と思うような番組。あくまでも啓蒙主義的なもので5年、10年と聴いていると脈絡がわかってくる。「スタンド・バイ・ミー」のうしろにあるもの、ビートルズのうしろにあるもの、そういうものが見えてくると音楽の幅が広がるし、聴感を刺激する、自分が感応する音楽がだんだんわかってくる。そういうものの傾向で、この番組だけで全部わかるわけじゃないので、例えば伊藤政則さんの番組をずっと聴いてると、違うジャンルの感応があるので、そういうのがたくさんあると音楽の幅が広がる。

・最高の音質
「最高の選曲と最高の音質」というのはキャッチフレーズで見せ金のようなもの。番組をはじめた1992年頃、'50年代や'60年代のオールディーズは、当時のTMネットワークとかドリームズ・カム・トゥルーとか出てきた時代だったので、そういう時代にチャック・ベリーやバディ・ホリー、エディ・コクランの'50年代の音楽は音圧的にしょぼかった。録音のシステムがぜんぜん違うので、売ってるCDでかけてたら全く相手にならない。当時はキムタクの番組とドリカムの番組に挟まれ、オールディーズ番組だからアナログのリミッターとかを買い込んで、家でコンプかけてオンエアに見合う音圧に上げてた。それがそのうちにデジタル化して、いまプロツールスという便利なもので音質を補正している。「最高の音質」は専門家のいうところのではなく、ラジオで聴いたとき、電波に乗っける帯域が狭いので圧縮した音が、いまだったらスマホで聴いていい音楽だと思うようにしている。4000万のオーディオで聴く最高の音質ではない。むかしだったらトランジスタ・ラジオやヘッドフォン・ステレオで聴いてたときにいい音楽だと思ったのが、達郎さんにとってのいい音で、ロックンロールのガッツ、音の迫力というか、グッと来るものが最高の音質。

・ハガキ
スタッフがいないので、ディレクターとアシスタントと技術の3人が現場の人間。メールにするとハガキの10倍になるので、達郎さんのキャパシティがオーバーフローしてしまう。人数を増やすしかないが、そうすると中間にいる人の主観が入ってくるので、それが嫌なだけ。ハガキだけならば達郎さんのキャパシティで情報が処理できるので、そういうひじょうに消極的だけど積極的な選択。

・継続のコツ
義務だとものごと続かないから、好きなものと巡り合うのが大事。でも巡り合うための努力はまた違う問題で、友だちや先生や先達との出会いやネットワークを大事する。

・これから番組でやりたいこと
ソングライターの特集でも実際に音を使ってやりたいそうだ。

■生でそんなこと聞いてどうするコーナー
・サンソン25周年3大ニュース
3.11の直後(二日後)に番組がオンエアできなかったこと、今日のアコースティック・ライブ&トークショー、放送文化基金賞の受賞。

・番組をやめたいと思ったこと
ないそうだ。ミュージシャンをやめたいと思ったことはあるが、サンソンは息抜きで道楽だからやめたいと思ったことはないという。

・字
ハガキに「字の大きさはこれでよろしいでしょうか?」と書いてあるのを達郎さんが読んで「小せえ。もうちょっと大きく書いて下さい(笑)」。

・パンが出てくる歌
パン職人から「パンが出てくる歌はないですか?」という質問。
達郎さんはいわゆる街のパン屋、お菓子屋の息子なので、かりんとうは匂いを嗅ぐのも嫌だし、チョコレート、ガムは一切食べないのだとか。「最初の三月だけだったんです、パラダイスはね。でも、パンねぇ。そのうち作ってみましょうかね(笑)。近すぎるんですね、自分にね。ふふふ」と達郎さん。

・牛乳瓶の紙キャップ
牛乳瓶の紙キャップを作ってる会社で働いてるリスナーから「達郎さんは牛乳瓶の紙キャップに何か思い出はありますか?」という質問。
「そんなこと聞いてどうすんでしょうね(笑)」と達郎さん。爪切った朝に指で開けようとすると紙が泣き別れしてベロベロになってくる。それを見ると寂しくなるから無傷のまま取るのに小さな針を持ってくる。「がんばってくださいね」と達郎さん。

・裸眼かコンタクトか
老眼だけど裸眼なのだとか。自動車運転免許証は「眼鏡等」ではないそうだ。

・好きな四字熟語
ときどき変わるそうだが「恐惶謹言」とか「要求貫徹」。古賀涼子さんが「死屍累々とかいかがですか?」。「あなた意外とネガティブ・シンキングなんですね」と達郎さん。

■会場に来た人に一言
「いちばん遠くから来たのはどちらです?」と達郎さん。
赴任先の台湾から帰ってきた男性。福岡から来た女性。出張で行ってたミラノから戻ってきた人。

■アコースティック・ライヴの出演者、難波弘之さんと伊藤広規さんからのコメント
広規さんはたまにクルマに乗ってるとき聴いたりするそうだ。「あっ、聞いた声がするっていう(笑)」と広規さん。「でもあれおもしろかったですね、珍盤奇盤。大爆笑(笑)。はははは」と難波さん。広規さん「もう年も年ですし、できるだけ長くできるように体調だけは整えていてほしいと思います」、難波さん「そういうこと言うとオマエらもそうと言われますけどね」、広規さん「自分も含めて」。

・CLOSE YOUR EYES
アカペラの選曲も気分で選んだとか。今日は「CLOSE YOUR EYES」。TOKYO FMホールくらいのところだとラジカセ一台でマイク無しのパフォーマンスをするが、ラジオの収録でオンエアでそれを聴いてもおもしろくもなんともない。オフマイクでマイク一本立てて録音してるみたいな、ステージの盗み録りみたいにしか聞こえないので、今回は普通にP.A.を通してるそうだ。

・CHAPEL OF DREAMS
『ON THE STREET CORNER』3枚の中でいちばん好きな曲だという。

■竹内まりやさんのコメント
音楽のよきリスナーである達郎さんの間口の広さを知る番組と同時に、達郎さんが音楽を続けられるエネルギー源として番組があると、まりやさんは思ってるそうだ。音楽の知識や正しい分析に基づいた音楽番組というのが今はないので、音楽リスナーの山下達郎を通して新たな音楽を知る番組でもあるので、そのおかげで若いリスナーに今、広がってるとまりやさんは思ってるという。番組のスタートから25年経って親子で聴いてるというリスナーもいるし、中学生から音楽についての質問も寄せられているので、音楽を啓蒙する番組としても山下達郎の音楽を紹介する番組としても末永く続いてほしいと思ってると、まりやさん。音楽に対する真摯な姿勢が感じられるのと、リスナーの生活から生まれる言葉をちゃんと紹介して達郎さんが答えてることが、25年続いた秘訣だと思ってるそうだ。まりやさんにとっては夏と暮の夫婦放談で自分の生の声を届ける場所としていちばん貴重な場所で、まりやさんの音楽生活を紹介するいちばん最初の場がこの番組だという。夫婦放談では自分の作品がどういうプロセスを経てできたのか、お互いが知り得ているので、自由にほとんど打ち合わせなしで話しているとか。「30周年になったら夫婦放談のトーク・ライブでもやりましょうかね(笑)。これからも頑張っていい番組にして下さい」とまりやさん。

2017年12月03日プレイリスト PART 2
「ドゥー・ワップ 特集」
1. クリスマス・イブ / 山下達郎
2. ADORABLE / THE COLTS '55
3. PLEASE BE MY LOVE TONIGHT / THE CHARADES '63
4. LET IT PLEASE BE YOU / THE DESIRES '59
5. TRUE TRUE LOVE / THE CORVAIRS '62
6. YOU KNOW / THE DEL-MARS '63
7. LITTLE ROSE / THE BLENDERS '58
8. MY ONLY DESIRE / THE FLYERS '57
9. I LOVE CANDY / THE ECHOES '65
10. ANGEL IN THE SKY / JOHN McKINNEY & THE PREMIERS '62
11. MR.CUPID / THE VESPERS '63
12. DO YOU REMEMBER / THE TOREADORS '66
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■内容の一部を抜粋
・近況
東京はここ数日、ずいぶん道が混んでいて、本格的な冬の到来を感じさせる冷えこみになってるという。

・アコースティック・ライブ&トークショー
今日は午後1時からトークショーをオンエア。本編のアコースティック・ライブは12月24日(日)の放送でオンエア予定。ミックスに時間を要するとのこと。一日で全部できなかったら、曲がこぼれたら年始にオンエアするそうだ。

・ドゥー・ワップ 特集
達郎さんのライヴの開演前の一時間はドゥー・ワップを流しているが、それがもう37,8年続いているという。最近はオリジナル・シングルから直接リマスタリングしてデジタル・プロセッシングしたソースを使っているとか。ヒット曲はなくカルトなドゥー・ワップのシングルをかけているそうだ。オーディエンスの中には早めに来てシャザムとかアプリで調べてる人もいるが、全曲がわかるような時代ではないという。今週は開演前のBGMから達郎さんの好きな曲を選んで「ドゥー・ワップ 特集」。

・クリスマス・イブ
今年も12月12日から25日までの期間限定商品として「クリスマス・イブ」(2017 クリスマス・スペシャル・パッケージ)を販売することになったそうだ。鈴木英人さんに新しくジャケットを書き下ろしてもらい三方背ボックスにした仕様。CDは30th Anniversary Edition仕様で、「クリスマス・イブ」、「ホワイト・クリスマス」、「クリスマス・イブ」のイングリッシュ・ヴァージョン、「クリスマス・イブ」のアコースティック・ライヴ・ヴァージョン、「クリスマス・イブ」のオリジナル・カラオケが収録されている。「贈り物などにお使いいただければ幸いでございます」と達郎さん。詳しくは山下達郎特設サイトにて。
https://wmg.jp/artist/tatsuro/news_79181.html

ドゥー・ワップは造語で'60年代に入ってできた言葉。もともとはR&Bのヴォーカル・グループが歌ったスタイル、ストリート・ミュージックからはじまった、リード・ヴォーカルにバックが「ドゥー・ワー」とやるのでドゥー・ワップという名前がついた。'50年代からはじまった形式。戦後のハーレムではじまった。その後、'60年代に入り、それを聴いた白人の子どもたちがマネをして、メキシカン・アメリカン系の歌唱が好きな白人の少年に伝搬して、'60年代の頭にホワイト・ドゥー・ワップのブームが起きた。達郎さんはドゥー・ワップが大好きで、17,8の頃からずっーと聴き続けてもう50年近く達郎さんの心の音楽になっているそうだ。今日はその中から選りすぐって。

・ADORABLE
ザ・コルツはカリフォルニア、ベーカーズ・フィールドの黒人ヴォーカル・グループ。今日かかる曲で唯一チャートに入った曲で1955年、R&Bチャート15位。「ADORABLE」は同じ年にドリフターズが取り上げて全米R&Bチャートの1位になった。オリジナルはコルツのヴァージョン。'70年代の終りにニューヨークへ行って、ドゥー・ワップのシングルを並べてる屋台の親父さんがいて、達郎さんはそこではじめてコルツを発見したという。

・PLEASE BE MY LOVE TONIGHT
カリフォルニアのトゥリアで結成されたメキシカン・アメリカンのチカーノ系のザ・シャレーズ。1963年の「PLEASE BE MY LOVE TONIGHT」。アバというインディ・レーベルから出ているが、アバはフレッド・アステアが所有しているそうだ。プロデュースはトニー・フィルダー。サーフィン・ホットロッドに貢献した人だがドゥー・ワップにも長けている。

・LET IT PLEASE BE YOU
ニューヨークの黒人5人組のザ・ディザイアーズ。彼らの1959年の「LET IT PLEASE BE YOU」はグループのオリジナル作品。

・TRUE TRUE LOVE
バージニアの黒人5人組のヴォーカル・グループ、コルベアーズのアップテンポの名曲。1962年の「TRUE TRUE LOVE」。

・YOU KNOW
L.A.のデルマーズは最初はセイバーズと名乗っていたが、シャベルズ、ジェンツ、アンタッチャブルズ、ハッピーホンズ、エレクトラス、フリーダムス、リンガリングス、アリー・キャッツと古今亭志ん生みたいな人たち。1963年にデルマーズとして出たのが泣き節の「YOU KNOW」。

・LITTLE ROSE
1958年の作品「LITTLE ROSE」。歌っているのはザ・ブレンダーズ。バイオのよくわからないグループで、たぶん黒人と達郎さん。

・MY ONLY DESIRE
ボルティモアのヴォーカル・グループ、ザ・フライヤーズ。たぶん黒人グループだと思います、と達郎さん。1957年の「MY ONLY DESIRE」。
曲をかけおえて。「この歌、上手いなぁと思ってずっと聴いてたんですけど、今資料をあたったら(笑)、上手いはずですね。アトコ・レーベルなんですけれどドリフターズのメンバーが入ってますね。ボビー・ヘンドリックスとビル・ピンクニー。ビル・ピンクニーは先程のコルツのADORABLEのドリフターズのカヴァーのほうを歌ってる人ですけれども。ビル・ピンクニーかな? これ歌ってるの。上手いわけだよ、これは。アトコですからトム・ダウドですし音もいいです」と達郎さん。

・I LOVE CANDY
いわゆるドゥー・ワップERAでヒットを出したブルックリン出身の白人三人組のジ・エコーズ。1961年に「BABY BLUE」というヒットを出した。1965年のシングル「I LOVE CANDY」は「BABY BLUE」の焼き直し。「二番煎じですけれどいいんですよ、これが」と達郎さん。この時代はドゥー・ワップがブリティッシュ・インベージョンに押されて影も形もなくなる寸前。

・ANGEL IN THE SKY
シカゴのグループ、ジョン・マッキンネー&ザ・プレミアーズ。1962年の「ANGEL IN THE SKY」。実体のわからないグループで、リビング・ルームでレコーディングされたという超インディな音。「僕こういう音質大好きなんです。こういうのだとすぐ手を出してしまう、いけない身体でございます」と達郎さん。

・MR.CUPID
ジェリー・ロスの追悼特集でかけられなかったジェリー・ロスが関わった作品。ザ・ヴェスパーズはホワイト・ドゥー・ワップ。作曲とプロデュースにジェリー・ロスが関わってる「MR.CUPID」。

・DO YOU REMEMBER
ブルックリンのグループの曲。1966年だからドゥー・ワップのムーブメントが終わっていて、いわゆるトリヴュート・ソング。ドゥー・ワップの名曲を語り継いでいくザ・トレアローズの「DO YOU REMEMBER」。

・番組の終わりに
「いよいよ師走突入でございます。お仕事忙しくなってこられる方もたくさんいらっしゃると思います。温度差が激しい今日このごろでございます。グッと冷えますのでですね、風邪くれぐれも、なんかインフルエンザ・ワクチンが足りないとかいろんなところで騒いでおります。お身体くれぐれもお大事に」と達郎さん。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2017年12月10日は「年忘れリクエスト特集」
2017年12月17日は「年忘れ夫婦放談(ゲスト:竹内まりや)」
http://www.tatsuro.co.jp
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