Sunday Song Book #1311

2017年11月26日 | Sunday Song Book

2017年11月26日プレイリスト
「リクエスト 30th Anniversary Edition ミニ特集」
1. 恋の嵐 / 竹内まりや
2. OH NO,OH YES / 竹内まりや
3. けんかをやめて / 竹内まりや
4. 消息 / 竹内まりや
5. 元気を出して / 竹内まりや
6. 駅 / 竹内まりや
7. テコのテーマ / 竹内まりや
8. 色・ホワイトブレンド / 竹内まりや
9. 夢の続き / 竹内まりや
10. 時の旅人 / 竹内まりや "リクエスト 30th Anniversary Edition" 11月22日発売
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■内容の一部を抜粋
・近況
東京はだいぶ冷え込んできて温度差が激しいそうだ。どんと冷えてまた妙に温もるとか。達郎さんはようやく風邪が治ったものの気をつけなければならないと話す。

・『REQUEST 30th Anniversary Edition』
先週11月22日に竹内まりやさんの1987年のアルバム『REQUEST』が30周年なので30周年記念盤が発売された。『REQUEST』は1987年8月12日にリリースされて彼女にとってはじめてのミリオンセラーになった作品。『REQUEST 30th Anniversary Edition』は最新デジタル・リマスタリングによる再発盤となる。ボーナス・トラックとしてシングル・ヴァージョン、未発表曲、カラオケなど6曲。

『REQUEST』は1987年8月12日にリリース。前作『VARIETY』から3年ちょっとインターバルが空いている。ちょうど結婚・出産という時期で子育てに追われてなかなか作品が作られなかったという背景がある。それでもシングルは毎年コンスタントに出していた。

・恋の嵐
「恋の嵐」は1986年のシングル・カット。当時のTBS系ドラマ『となりの女』の主題歌として発売された。

『REQUEST』の一年前が達郎さんのアルバム『POCKET MUSIC』でコンピュータ・ミュージック、デジタル・レコーディングの最初。そこで七転八倒してアルバムの製作期間は十ヶ月だった。そのノウハウが生きて『REQUEST』はコンピュータ・プログラミングを全部ひとりきりでやったという。だから個性がよく出ているとか。「恋の嵐」はタイアップが決まってから締め切りまで実質四日間のレコーディング。達郎さんもまだ33歳、34歳で徹夜、徹夜で仕上げた思い出があるそうだ。S.E.が大好きなので雨の音を入れている。

この時代はまだまだ女性の社会進出がきつい時代。特に結婚して出産し、子育てしながら仕事をするというのは普通に生活している人でも非常に大変な時代だった。今は仕事と育児のバランスが昔よりも少しは取れているが、この頃はシンガー・ソングライターとして子育てしながら仕事をするのは困難な時代だった。なかなか作品が思うように作れない時代だった。シングル・カットだけではアルバムの頭数が足りなかったものの、当時はアイドル時代だったため、アイドルをはじめ他の人に曲をいろいろと書いていて、河合奈保子さんの「けんかをやめて」や中山美穂さんの「色・ホワイトブレンド」などヒット曲もあった。そんな人に書いた曲をセルフカバーで入れたらどうかということになった。今はセルフカバーが普通のことだが当時はユニークで、このアルバムの全10曲中5曲がオリジナルで、5曲がセルフカバー、こういう構成でアルバムを作ることは当時珍しいことだった。それが吉と出たということ。

・OH NO,OH YES
「OH NO,OH YES」は中森明菜さんに提供した曲のセルフカバー。典型的な'80年代ブラコンのアレンジメント。この曲は演奏も打ち込みも全部達郎さんひとりで行っている。当時一世を風靡していたリン・ドラムスというエレクトリック・ドラムの音がしている。「いちばん新しいリマスタリングでも歴史の試練に耐えている気がする」と達郎さん。

・けんかをやめて
河合奈保子さんのセルフカバー「けんかをやめて」はいわゆるハチロクもの。こういうのは達郎さんが自分でドラムを叩くというのが恒例になっている。服部克久さんのコニー・フランシス風の素晴らしいオーケストレーション、ストリングス・アレンジ。「もともと古い'60年代風のアレンジメントなので30年経っても時代の試練に耐えうる気がします(笑)」と達郎さん。当時、レコーディング・スタジオの隣がいつもTMネットワークだった。彼らのエレクトロ・ポップを聴いて「(けんかをやめて)大丈夫かなぁ」と思っていたとか。

・セルフカバーのアレンジ
リスナーから「セルフカバーのアレンジをするとき、オリジナルのアレンジを意識して、達郎さん流のアレンジを足すのでしょうか?」という質問。
当時、まりやさんが人に書いた曲のデモ・テープはすべて達郎さんが作っていたそうだ。だから達郎さんのアレンジが先で、セルフカバーを作るときもデモ・テープに準じてレコーディングしたとか。'90年代以降は他の人がアレンジした作品が出てくるので、その曲をセルフカバーするときは先のアレンジを絶対聴かないという。松たか子さんの「みんなひとり」はアレンジを聴くと影響されるのでラジオさえ付けないで仕事したそうだ。最近はまたデモ・テープを作っているので影響されずにできるとのこと。

・消息
まりやさんによれば当時一世を風靡していたフリートウッド・マックの感じだったそうだが、達郎さんはそれを知らずカーリー・サイモンの感じで作ったという「消息」。

・元気を出して
アナログ盤ではA面最後の曲「元気を出して」。もともとは1984年に薬師丸ひろ子さんのアルバム『古今集』のために書き下ろした作品。達郎さんがこのアルバムの中でいちばん演奏が気に入ってる曲なのだとか。リズム隊は4人。達郎さんのアコースティック・ギター、佐藤博さんのアコースティック・ピアノ、青山純さんのドラム、伊藤広規さんのベース。それに浜口茂外也さんのパーカッションと達郎さんのハモンド・オルガンをかぶせただけのシンプルな作り。レコーディングの本番で佐藤博さんは歌い出しから4小節弾かず"涙など見せない 強気なあなたを"の後からはじめたが、その瞬間を達郎さんはいまだに覚えているそうだ。もともと薬師丸ひろ子さんに提供した曲なのでコーダの部分はまりやさんと達郎さんと薬師丸さんの3人でハモっている。

・アコースティック・ライブ&トークショー
サンデー・ソングブック25周年の企画で、11月28日(火)に東京半蔵門のTOKYO FM ホールで一夜限りのアコースティック・ライブとトーク・ショーを行う。この模様は12月3日午後1時からトーク・ショーの部分をオンエア。12月3日は13時から豪華二本立て。

・クリスマス・イブ(2017 クリスマス・スペシャル・パッケージ)
今年も12月11日に期間限定商品として「クリスマス・イブ」(2017 クリスマス・スペシャル・パッケージ)を販売することになった。鈴木英人さんに新しくジャケットを書き下ろしてもらい三方背ボックスにした仕様。「プレゼント等などにご活用下さればうれしいです」と達郎さん。クリスマスまでの限定商品なのでお早めにとのこと。詳しくは山下達郎特設サイトにて。
https://wmg.jp/artist/tatsuro/news_79181.html

・駅
中森明菜さんに提供した曲のセルフカバーで「駅」。デモ・テープのアレンジを制作した達郎さんのお気に入りで、まりやさんに「自分でやってみたらどうだ」と持ちかけたところ、「歌謡曲的なアプローチなので」と難色を示したとか。それを歌謡曲臭をなくし、カンツォーネ風なオケと、R&Bのグルーヴをリズム隊にオファーし作り直したという。服部克久さんと初コラボし、服部さんは素晴らしいストリングスのアレンジを展開してくれたそうだ。有線チャートで「駅」がNO.1になり、そのおかげで『REQUEST』がロング・チャートになった。オリコンで178週チャートインしてミリオンセラーになった。

・テコのテーマ
「テコのテーマ」は1986年に公開された眉村卓さん原作のアニメ映画『時空の旅人』の挿入歌。シングルのB面に収録されたヴァージョンに手を加えてサックス・ソロとコーラスを変えてリミックス。達郎さんはアルバム・ヴァージョンのほうが好きなので今日もアルバム・ヴァージョン。ギターは指弾きで自分でも気に入ってるとか。

・色・ホワイトブレンド
1986年、中山美穂さんに提供した資生堂春のキャンペーン・ソングの「色・ホワイトブレンド」のセルフカバー。デジタル・レコーディングの取っ掛かりのときで音の塊が作りにくい時代だったとか。いわゆるフィル・スペクター・クローンの音の壁を作るのに大変な時代だったという。昨今のリマスタリングで昔よりは再現できるようになったそうだ。インディーな感じで作ったと達郎さん。

・夢の続き
1987年のアルバム『REQUEST』リリースのときのシングル・カット「夢の続き」は映画『ハワイアン・ドリーム』の主題歌。アルバム最後のレコーディングで締め切りがタイトだったためミックスに時間が余り取れなかったという。後に1989年にCDシングルとして発売するときにミックスをやり直したそうだ。1992年に一度『REQUEST』をリマスタリングしたときはそのシングル・ヴァージョンではなく、新しくリミックスしたヴァージョンをアルバムに収録。今回のボーナス・トラックにはCDシングル・ヴァージョンも収録。今日はもともとアルバムに入ってたシングル・ヴァージョン。現代の技術では違いがわからないくらいリマスタリングは進化しているという。「こういうやつのほうが時代性を反映しているので弱冠の古さは否めません」と達郎さん。

1987年のアルバム『REQUEST』から30年経ったが、一人の人間の作るアルバムではないくらい多岐に渡っている。作家的なアプローチが濃く出ている。

・時の旅人
1986年に公開された眉村卓さん原作のアニメ映画『時空の旅人』の主題歌「時空の旅人」。ギター・ソロはフェンス・オブ・ディフェンスの北島健二さん。

・今後の予定
達郎さんのライヴの開演前のB.G.Mはドゥー・ワップを流しているが、ツアーを再開してから割りとレアなドゥー・ワップを選曲しているので、来週はその中から選んで「ドゥー・ワップ 特集」。その後は「年忘れリクエスト大会」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2017年12月03日は「ドゥー・ワップ 特集」
http://www.tatsuro.co.jp
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