Motoharu Radio Show #143

2013年03月14日 | Motoharu Radio Show

2013/03/12 OnAir - 2nd. Week - 特集:『ZOOEY』 第二回
01.Yo La Tengo:I Saw the Light
02.Pretenders:Kid
03.Diana Ross & Marvin Gaye:I'm Falling In Love with You
04.Band of Horses:Feud
05.Band of Horses:Slow Cruel Hands of Time
06.佐野元春 & The Coyote Band:ビートニクス
07.佐野元春 & The Coyote Band:君と一緒でなけりゃ
08.佐野元春 & The Coyote Band:詩人の恋
09.佐野元春 & The Coyote Band:スーパー・ナチュラル・ウーマン
10.佐野元春 & The Coyote Band:食事とベッド
11.佐野元春 & The Coyote Band:Zooey
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■内容の一部を抜粋
・特集:『ZOOEY』 第二回
まもなく発表される佐野元春 and The Coyote Bandのアルバム『ZOOEY』の特集。

・I Saw the Light
米国のインディ・ロック・バンド、ヨ・ラ・テンゴがトッド・ラングレンの「I Saw the Light」をカヴァー。

・Kid
・I'm Falling In Love with You
プリテンダーズの「Kid」とダイアナ・ロス&マーヴィン・ゲイのデュエットで1973年の「I'm Falling In Love with You」を2曲続けて。

・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月3月の「3PICKS!」はロン・セクスミス『Forever Endeavour』、バンド・オブ・ホーセズ『Mirage Rock』、そして佐野元春 and The Coyote Band『ZOOEY(Deluxe Edition)』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週はバンド・オブ・ホーセズ『Mirage Rock』。

・バンド・オブ・ホーセズ
米国のインディ・ロック・バンドで結成は2004年。これまで3枚のスタジオ・アルバムを出している。デビュー当時から比較的玄人筋に受けているバンド。米国にはオルタナティヴな音楽を対象とした音楽アワードがある。ショート・リスト・ミュージック・プライズ。これまでTV オン・ザ・レディオ、スフィアン・スティーブンス、そしてキャット・パワーといったアーティストが賞を獲っている。バンド・オブ・ホーセズは2006年に最優秀作品としてノミネートされている。そして2010年に発表したアルバムがグラミー賞にノミネートされている。これによってバンド・オブ・ホーセズは世界的に注目されることになる。そのバンド・オブ・ホーセズが新しいアルバム『Mirage Rock』を出した。プロデュースはグリーン・ジョーンズが担当している。グリーン・ジョーンズといえばライアン・アダムスのプロデューサーとして知られている。彼のプロデュースはコンピューターを使わない、バンドのライヴなレコーディングが特徴。完璧な演奏よりも演奏のエネルギーを大事にしたレコーディングだと思われる。日本でもこれまで何度かコンサートを行っている。ライヴの評判がとてもいいバンドなのでまた来日したときはチェックしてみてくださいと元春。アルバム『Mirage Rock』から「Feud」と「Slow Cruel Hands of Time」の2曲。

・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境特集番組「エコチャンネル」。
http://www.nhk.or.jp/eco-channel/

今週はNPO法人「雪国住宅研究会」。雪国ならではの住まいを研究している団体。新潟県小千谷市で平成元年から活動している。

・佐野元春 and The Coyote Bandのアルバム『ZOOEY』の特集
佐野元春 : さて、Motoharu Radio Show、今月一ヶ月間はちょうど明日発表となる僕の新しいアルバムを特集しています。今夜はその第二回目。アルバム・タイトルは『ZOOEY』。ここのところ活動を共にしているコヨーテバンドとセッションしました。先週はアルバム前半に当たる6曲を聴いていただきました。今夜はアルバムの後半全6曲を紹介したいと思います。まず1曲目は「ビートニクス」。このところ、ライヴで弾いてるギター。これまではフェンダー・ストラトキャスターというギターが中心だったんですけれど、最近はグレッチ・デュオ・ジェットというギターをよく使ってます。今回のレコーディングでもほとんどこのグレッチ・ギターを使いました。そしてバンドの中でもうひとりのギタリスト、深沼元昭くん。彼はギブソン・レスポール・スタンダードを使っています。僕のグレッチと深沼くんのギブソン。このふたつの音の相性がとても気に入ってます。これから聴いていただきたい曲もそうですね。このセッション、とてもご機嫌でした。ほとんど即興でできたといっていいです。バンドのみんなでロックンロールを楽しんだという感じですね。ヴォーカルのハーモニー・パートを取ってくれてるのは深沼くんです。僕の歌い回しに絶妙に合わせてくる彼の歌の技術。素晴らしいと思います。では僕の新しいアルバム『ZOOEY』から「ビートニクス」。

ビートニクス

佐野元春 : さて、続いてのこの曲は実はかなり昔に書いた曲です。'90年代前半でしたね。バンドはまだザ・ハートランドの頃でした。一度録音はしたんですが、歌詞がちょっと重すぎるんじゃないかと思ってアウトテイクにした記憶があります。今回、若干歌詞と編曲に手を加えてコヨーテバンドでレコーディングしてみました。これが素晴らしかったですね。アルバムの中では最もR&B、ジャズ傾向の強い曲です。コヨーテバンドというともちろんロックンロールは得意ですけれども、こうした抑制の聴いたソウル・ミュージックもいけるぞという感じですね。そして歌詞。リリックということでいうと、エルヴィスの時代から現代までロックンロールの歌詞はだんだん暗くてシリアスになってきているということ。どっかの記事で読んだことがあります。でも考えてみればそれは当然ですね。ロックンロール音楽も人と同じように成長しているんだと思います。ではここでアルバムからの曲を聴いてください。新しいアルバム『ZOOEY』から「君と一緒でなけりゃ」。

君と一緒でなけりゃ

佐野元春 : さて、この新作アルバムのレコーディングはちょうど全国ツアーと平行して行っていました。特に沖縄でのライヴが心に残ってますね。バンドも聴衆も素晴らしかったです。コンサート・ツアーというと、行く先々で多くの人たちと会います。そのときどきに物語が生まれるんですね。僕らのこの些細な日常というのは、よく眺めてみると、劇的な変革の連続ではないか、僕はそんなふうに思います。次に聴いていただきたいこの曲。「詩人の恋」。僕の何気ないギターのストロークからはじまります。バンドも抑制されたいい演奏をしてくれました。彼らが集中して演奏しているのがよくわかります。特に最後のほうで渡辺シュンスケくんがとても美しいピアノを弾いています。是非聴いてみてください。この曲のセッションを終えて、僕は何かから解放されたような、そんな自由な気持ちになったのを覚えています。新しいアルバム『ZOOEY』から曲は「詩人の恋」。

詩人の恋

佐野元春 : さて、世間には魅惑的で力強いワクワクするようなパワー・ポップ・バンドが星の数ほどいます。ラズベリーズ、バッド・フィンガー、チープ・トリック、ジェリー・フィッシュ、ファンテンズ・オブ・ウェイン。共通しているのはビートルズへのリスペクトだろうと思います。パワー・ポップ、僕も好きですね。ちょっと情けない詩にセンチメンタルなメロディ。それを照れ隠しするかのようにハードなギターでごまかす。これが僕が思うところのパワー・ポップですね。だとしたら次に聴いていただきたいこの曲は、正に僕流のパワー・ポップということになります。コヨーテバンドもみんな演奏を楽しんでくれました。この曲は僕にとって最高の女性讃歌ですね。やけくそになって愛情たっぷりに歌います。聴いてください。僕の新しいアルバム『ZOOEY』から「スーパー・ナチュラル・ウーマン」。

スーパー・ナチュラル・ウーマン

佐野元春 : さて、レコーディングのおもしろさということでいうと、バンドでセッションしていると、思わぬ方向に転んでいくのが楽しいですね。あまり決め事を多くしないでバンドが鳴る方向へ素直に向かっていく。そして散らかる寸前にサッと纏めあげる。何か料理のコツのようです。バンドのキーボードリスト、渡辺シュンスケくん。彼はこう言ってました。「音楽は理屈ではあるけれど説明のつかない不思議もある」正にそのとおりですね。一生のうちに僕らは何回レコーディングできるかわかりません。スタジオではとにかくそこで起こる全ての偶然に敬意を払って思いっきり楽しもう。そんな感じです。僕は思うんですけれども、歌や演奏というのはきっと何かに導かれて成されるものですね。そのことを知ってるのと知らないのとでは、行き着く先が違うんじゃないかと、僕は思います。では新しいアルバム『ZOOEY』からこの曲を聴いてください。「食事とベッド」。

食事とベッド

佐野元春 : さて、このアルバム・タイトル「ZOOEY」。どういう意味ですか? 多くの方から訊かれます。この「ZOOEY(ゾーイ)」というのは昔の友人のニックネームですね。とても僕のことをよく慕ってくれた若くて才能にあふれたアーティストでした。僕の曲をカヴァーしたいということで一度手紙をもらったことがあります。そのうち彼とは仕事をすると思ってましたが、残念なことに若くして亡くなりました。この「ZOOEY(ゾーイ)」というのはギリシャ語の「ZOE(ゾーエー)=いのち」という言葉を語源としています。生物学的な命ではなく、命が終わっても、決して消え去ることなく輝き続ける、そんな命のことですね。「ZOOEY(ゾーイ)」。僕の友人のニックネームもおそらくここに由来してるんじゃないかと思っています。では今夜の特集、最後の曲聴いてください。僕の新しいアルバム『ZOOEY』からアルバム・タイトル曲「Zooey」。

Zooey

・次回放送
来週も引き続いてアルバム『ZOOEY』の特集。スタジオにコヨーテバンドのメンバーを迎えて。
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