ルー・リードのアルバム『NEW YORK』(1989年リリース)には「二月にクリスマス」という曲が収録されています。最初は歌の内容を知らずに聴いていたんですが、この曲はヴェトナムの帰還兵が主人公の歌だったんですね。でも「二月にクリスマス」とはどういう意味なのかよくわからないんです。
友人(ルー・リードのファン)に聞いてみますと、「僕もよくわかりません」という答えでした。それでも推測で教えてくれたのは、
1.「2月のクリスマス=ありえないこと=不条理」ということ。
2.Februaryの原義は「浄罪(Februa)の月」なので、帰還兵の「浄罪」という意味。
アルバム発表当時のインタビューを掲載したロッキン・オン1989年6月号では、「Xmas In February」は「前線でのクリスマス」とし、「2月のクリスマスは誤訳」と書いてあったそうです。
また、ルー・リードの詩集の日本語訳版では「二月のクリスマス」となっていて、訳者のあとがきでは「ルー・リードから直接電話をもらい、わからないところを親切に教えてもらった」ということが書いてあるそうです。「Xmas In February」を質問したかは不明ですが。ただ、ルー・リードは「普遍性をもたせたいので、基本的にスラングを歌詞に使わない」ということを語っているとのこと。
日本語訳を読むと「二月にクリスマス」はなにかを象徴する言葉みたいです。「砂漠の嵐」みたいに作戦の名前なのかなと考えてみたりしました。でもそれも違うようです。ヴェトナム戦争のことを調べると何か出てきそうな感じがします。あるいは歌の主人公サムが帰還したのは2月だったのではないかなとも取れます。「クリスマス」=「家族の元に帰る」=「帰還」ではないかなと。「二月に帰還」したけれど...みたいな。でもサムの人生にとって二度とその帰還の日はやってこない。まぁ、どちらにしてもぞっとするような寒さが感じられる歌です。