ここのところアメリカを騒がせている2大ニュースは、“黒人差別問題”と“ゲイ論争”だ。
こうまとめてしまうと、なんだかアメリカ社会は50年くらい同じところをいったりきたりしている感じだ。
まず、最初の黒人差別問題。
事の発端は男女間のくだらん痴話喧嘩だった。
アメリカプロバスケットボール協会(NBA)、ロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)のオーナーで不動産王のドナルド・スターリング(80歳)が、ヒスパニック系の若い恋人との電話で黒人差別発言をしていたのをリークされた。
彼女が、NBA往年のスター、マジック・ジョンソンと一緒に撮った写真を得意気にインターネットサイトにアップしたのに嫉妬した爺さん(ドナルド)が、腹立ちまぎれに言い放ったこの言葉が彼の人生を変えてしまうことになった。
「黒人と一緒の写真を公開するなんて、不愉快にもほどがある。そんな必要がどこにあるんだ?・・・黒人と寝るのも、彼らを連れ込むのも君の勝手だし、何でも好きにすればいい。だが私のささやかな頼みは、それを見せびらかしたり、私のチームの試合に連れてくるのはやめてほしいということだ」
この会話がばっちりと録音されていて、そのテープが大衆芸能サイト「TMZ」に売られたことから全米中に騒ぎが広まった。
L.A. Clippers Owner to GF:
Don't Bring Black People to My Games ...Including Magic Johnson
(4/25/2014 10:00 PM PDT BY TMZ STAFF)
http://www.tmz.com/2014/04/26/donald-sterling-clippers-owner-black-people-racist-audio-magic-johnson/
TMZがこのテープを流したその日は、私のフェースブックのニュースフィードははこのリンクだらけだった。
特に黒人の友人たちの反応はすさまじかった。
「こんなやつ、今すぐ辞めさせろ!」
「NBAはこんな差別主義者をオーナーにしておいていいのか」
・・・一日中糾弾の声が途切れることがなかった。
チームのほとんどが黒人というバスケットボールチームのオーナーが、口が滑っても言っちゃぁいけないことを言ってしまったな、本当にあほなやつだ、とくらいにしか思っていなかったのだが
黒人たちの怒りのコメントを読んでいるうちに、これはただじゃすまないぞ、という気持ちになってきた。
つくづくソーシャルネットワークの恐ろしさを思い知った一日だった。
この問題のさなか、くだんのクリッパーズはちょうど大事なプレーオフ中。
試合が行われた27日のコート上では、選手たちがユニフォームを裏返しに着てチーム名やスポンサー名が見えないようにするなど無言の抗議を示して戦った(が惨敗)。
オバマ大統領も「決して許されない発言だ」とコメントを発表するに至り、チームのスポンサーも次々と撤退するなど、彼に対する包囲網は固まっていくばかり。
そして問題勃発からわずか3日目に、彼に対する重い処分が下された。
NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏が、スターリング氏を永久追放処分とし、250万ドル(約2億5000万円)の罰金を科すと発表した。
永久追放処分に基づき、スターリング氏は試合や練習に立ち会ったり、クリッパーズの施設に出入りしたり、経営面や人事面の決定にかかわったり、NBAの理事会などに出席したりすることを禁じられる。
さらに、クリッパーズを売却させるための措置が、NBA理事会に提案されることになった。
さすが、である。
日本ならこういう処分はまず下らないだろう。下したところですぐに復活できるような生ぬるいものだ。
ナベツネ(元読売会長)などは、アメリカにいたらとっくの昔に永久追放になっているはずである。
それほど、“人種差別問題”というのはアメリカ社会では重いのだ。
たかが若い女に狂った老いぼれ爺さんの痴話げんか、嫉妬から出た嫌がらせの一言だっただからといって世の中は決して容赦しない。
この処分に関して、大衆は「さすが、NBA。よくやった」といわんばかりの喝采を浴びせている。
NBAも得意満面で、「一件落~着~」といった感じである。
しかし、なんだかこれも調べれば調べるほどおかしな話である。
「何をいまさら」・・・というのが私の率直な感想だ。
まず、このドナルド・スターリングという男、過去にも人種差別に関してはいろいろと問題を起こしていることがわかっている。
自分の所有する不動産に「ヒスパニックを入れるな、不動産の価値が下がる」と言って訴えられたこともある。
それなのに、今回の「黒人を連れてくるな」発言では即首が飛び、一瞬で全てを失ってしまった。
ヒスパニック差別は許せて、黒人は絶対にダメなのか?
私自身、アメリカで長い間マイノリティとして暮らしているけれど、「差別」が意味する対象は「黒人」であることが暗黙の了解だとひしひしと感じる。
だいたい、このテープはプライベートな会話である。
それをマスコミに売る奴の精神面にも問題があるのではないか?
テープの会話を聞くと明らかにふたりが深い関係にあるのがわかるが、この爺さんにはれっきとした妻がいる。
要するに若いオンナとの不倫関係にあったことに関しては、みんな驚くほどスルーなのだ。
クリントン大統領やNY市長の不倫騒ぎのときには、世の中はここぞと糾弾したくせに、今回は差別のほうが勝ってしまったのか。
いや、そんなことはみんなやっているから下手に騒いで自分の身に危険が及ぶのを恐れたのか(笑)
もともと、ヒスパニックや黒人に対する差別感情の強かったスターリング氏を、この“恋人”がうまく罠にはめ、
NBA側はそれをうまく利用して、前から気に食わなかったこの男を教会から抹殺し、ついでに「毅然とした態度で黒人プレーヤーを差別から守った」というアピールをしてのけた。
おおよそ、そういうことだろうと思う。

ご愁傷様。
こうまとめてしまうと、なんだかアメリカ社会は50年くらい同じところをいったりきたりしている感じだ。
まず、最初の黒人差別問題。
事の発端は男女間のくだらん痴話喧嘩だった。
アメリカプロバスケットボール協会(NBA)、ロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)のオーナーで不動産王のドナルド・スターリング(80歳)が、ヒスパニック系の若い恋人との電話で黒人差別発言をしていたのをリークされた。
彼女が、NBA往年のスター、マジック・ジョンソンと一緒に撮った写真を得意気にインターネットサイトにアップしたのに嫉妬した爺さん(ドナルド)が、腹立ちまぎれに言い放ったこの言葉が彼の人生を変えてしまうことになった。
「黒人と一緒の写真を公開するなんて、不愉快にもほどがある。そんな必要がどこにあるんだ?・・・黒人と寝るのも、彼らを連れ込むのも君の勝手だし、何でも好きにすればいい。だが私のささやかな頼みは、それを見せびらかしたり、私のチームの試合に連れてくるのはやめてほしいということだ」
この会話がばっちりと録音されていて、そのテープが大衆芸能サイト「TMZ」に売られたことから全米中に騒ぎが広まった。
L.A. Clippers Owner to GF:
Don't Bring Black People to My Games ...Including Magic Johnson
(4/25/2014 10:00 PM PDT BY TMZ STAFF)
http://www.tmz.com/2014/04/26/donald-sterling-clippers-owner-black-people-racist-audio-magic-johnson/
TMZがこのテープを流したその日は、私のフェースブックのニュースフィードははこのリンクだらけだった。
特に黒人の友人たちの反応はすさまじかった。
「こんなやつ、今すぐ辞めさせろ!」
「NBAはこんな差別主義者をオーナーにしておいていいのか」
・・・一日中糾弾の声が途切れることがなかった。
チームのほとんどが黒人というバスケットボールチームのオーナーが、口が滑っても言っちゃぁいけないことを言ってしまったな、本当にあほなやつだ、とくらいにしか思っていなかったのだが
黒人たちの怒りのコメントを読んでいるうちに、これはただじゃすまないぞ、という気持ちになってきた。
つくづくソーシャルネットワークの恐ろしさを思い知った一日だった。
この問題のさなか、くだんのクリッパーズはちょうど大事なプレーオフ中。
試合が行われた27日のコート上では、選手たちがユニフォームを裏返しに着てチーム名やスポンサー名が見えないようにするなど無言の抗議を示して戦った(が惨敗)。
オバマ大統領も「決して許されない発言だ」とコメントを発表するに至り、チームのスポンサーも次々と撤退するなど、彼に対する包囲網は固まっていくばかり。
そして問題勃発からわずか3日目に、彼に対する重い処分が下された。
NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏が、スターリング氏を永久追放処分とし、250万ドル(約2億5000万円)の罰金を科すと発表した。
永久追放処分に基づき、スターリング氏は試合や練習に立ち会ったり、クリッパーズの施設に出入りしたり、経営面や人事面の決定にかかわったり、NBAの理事会などに出席したりすることを禁じられる。
さらに、クリッパーズを売却させるための措置が、NBA理事会に提案されることになった。
さすが、である。
日本ならこういう処分はまず下らないだろう。下したところですぐに復活できるような生ぬるいものだ。
ナベツネ(元読売会長)などは、アメリカにいたらとっくの昔に永久追放になっているはずである。
それほど、“人種差別問題”というのはアメリカ社会では重いのだ。
たかが若い女に狂った老いぼれ爺さんの痴話げんか、嫉妬から出た嫌がらせの一言だっただからといって世の中は決して容赦しない。
この処分に関して、大衆は「さすが、NBA。よくやった」といわんばかりの喝采を浴びせている。
NBAも得意満面で、「一件落~着~」といった感じである。
しかし、なんだかこれも調べれば調べるほどおかしな話である。
「何をいまさら」・・・というのが私の率直な感想だ。
まず、このドナルド・スターリングという男、過去にも人種差別に関してはいろいろと問題を起こしていることがわかっている。
自分の所有する不動産に「ヒスパニックを入れるな、不動産の価値が下がる」と言って訴えられたこともある。
それなのに、今回の「黒人を連れてくるな」発言では即首が飛び、一瞬で全てを失ってしまった。
ヒスパニック差別は許せて、黒人は絶対にダメなのか?
私自身、アメリカで長い間マイノリティとして暮らしているけれど、「差別」が意味する対象は「黒人」であることが暗黙の了解だとひしひしと感じる。
だいたい、このテープはプライベートな会話である。
それをマスコミに売る奴の精神面にも問題があるのではないか?
テープの会話を聞くと明らかにふたりが深い関係にあるのがわかるが、この爺さんにはれっきとした妻がいる。
要するに若いオンナとの不倫関係にあったことに関しては、みんな驚くほどスルーなのだ。
クリントン大統領やNY市長の不倫騒ぎのときには、世の中はここぞと糾弾したくせに、今回は差別のほうが勝ってしまったのか。
いや、そんなことはみんなやっているから下手に騒いで自分の身に危険が及ぶのを恐れたのか(笑)
もともと、ヒスパニックや黒人に対する差別感情の強かったスターリング氏を、この“恋人”がうまく罠にはめ、
NBA側はそれをうまく利用して、前から気に食わなかったこの男を教会から抹殺し、ついでに「毅然とした態度で黒人プレーヤーを差別から守った」というアピールをしてのけた。
おおよそ、そういうことだろうと思う。

ご愁傷様。
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