<ひとり新シリーズ>
せっかっく素敵な人たちと交流があるんだから、彼らのことを書き記しておきましょう。
というわけで、第1回目はシカゴの“名物”ブルースマン、リンジー・アレキサンダー、70歳。
彼との出会いは2月19日。
シカゴで新総領事のお披露目Partyに出席した帰りにさくっと腹ごしらえをしようと立ち寄った”House Of Blues”。
(その時のメモより)
Linsey Alexanderのライブをみながら、ひとりでハンバーガーとビールというジャンクな夕食をすませ、さて帰るかなと思ったとき、Linseyが席にCDを売りにやってきた。
現金の持ち合わせがなかったのでごめんなさい、と断りつつよもやま話を始めたら、それがあんまり面白くてすっかり意気投合。彼は私のテーブルに居座って、2ndステージが始まっても帰ろうとしない。
ミシシッピ生まれのメンフィス育ち、シカゴで40年のreal deal。 結婚は過去に一度。
「Sexの回数まで管理される」カカァ殿下だったらしい。
その後結婚することもなく、4人の子供と4人の孫に恵まれる。まさにブルースマンを地でいくような人。
「ところで君はいつ別れるんだい?」
「君を今度ディナーに誘ってもいいかな、もちろん旦那は抜きでな。ガッハハハ」
「どうせ次会ったときは覚えてないでしょ、だって?オレはそんな男じゃあないぜ、baby」
ブルースマンはいつだってこんな調子。でも今のご時世、競争の厳しいこの世界で音楽だけで身を立てているとは本当に立派。酒もたばこも一切やらない。そこだけはブルースマンぽくないけど。 会話も楽しく頭の回転も早い。チャーミングな人だった。
短い間だったけど、ぼったくりのつまらないパーティーでくさっていた私の心を温かくしてくれた。 お土産にもらったCDを今日はヘビーローテーション。
★★
それからなんだか妙に仲良くなって、何度かシカゴに出かけるたびに彼のギグに立ち寄ったり、
彼がうちの近くの街に「出稼ぎ」にやってくるときは必ず見に行くようになった。
なんといってもこういう“ブルース第一世代”の人の話を聞けるのは楽しい。
それにリンジーは気も若く気さくで、なんでもも話して聞かせてくれるのでつい話に夢中になってしまうのだった。
そんなある日のこと。
今日は何するの?とメールがきたので「近所のJamに歌いに行くよ」と返事をしたら「今日オフだから行こうかな」と言ってきた。
こんな遠いところまで1時間もかけて来るはずないと思いつつ、冗談で「ギターもってきて歌ってくれるならいいよ」とお店の住所を知らせたら、なんと本当にやってきたではないか!
こんな郊外の、しかも白人しか住んでいないようなところでは誰も彼の存在を知るはずもない。
私がバンドのメンバーに彼のことを紹介し、名前を呼ばれたリンジーは最終セットでいきなりギターをギュワーーーーーンと爆音で鳴らして渋いブルースを弾き始めた。
店中が一気に何とも言えないグルーブと興奮に包まれたのは言うまでもなかった。
いつもは失礼だがシニアたちのこじゃれたお楽しみJazz Jamになっていたこの場が、たちまちシカゴサウスの黒人御用達ライブハウスへと一変してしまったのだ。
さすがだった。
友達でシンガー仲間の黒人のPJも、そのままリンジーにギターを弾いてもらってブルースを歌ってくれた。
「Shoko、今日はいい人を連れてきてくれたね、本当にありがとう!」
Jamが終わってからいろんな人に声をかけられ、私が感謝された。
リンジーも何枚かCDが売れて、それはそれで収穫はあったようだ。こう見えても彼はデルマーク専属アーティストなのだ。
やはり音楽ひとつで身を立てている人はこういう判断力が段違いだ。行動に迷いというものがない。
面倒臭い、だらだらしようかな、というたるんだ気持ちがない。
そしてなんといっても“まめ”である。女には特に(笑)
彼を見ていてつくづくこれを実感したのだった。
(おまけ)
現在ブラジルツアー中のリンジー。
「お土産に何か買ってきてあげるよ、何がいい?」と聞くので、冗談で「ビキニ」と答えておいた。
さて、本当に買ってくるでしょうか
3月28日に行われた、Magic Slim氏を偲ぶライブで
せっかっく素敵な人たちと交流があるんだから、彼らのことを書き記しておきましょう。
というわけで、第1回目はシカゴの“名物”ブルースマン、リンジー・アレキサンダー、70歳。
彼との出会いは2月19日。
シカゴで新総領事のお披露目Partyに出席した帰りにさくっと腹ごしらえをしようと立ち寄った”House Of Blues”。
(その時のメモより)
Linsey Alexanderのライブをみながら、ひとりでハンバーガーとビールというジャンクな夕食をすませ、さて帰るかなと思ったとき、Linseyが席にCDを売りにやってきた。
現金の持ち合わせがなかったのでごめんなさい、と断りつつよもやま話を始めたら、それがあんまり面白くてすっかり意気投合。彼は私のテーブルに居座って、2ndステージが始まっても帰ろうとしない。
ミシシッピ生まれのメンフィス育ち、シカゴで40年のreal deal。 結婚は過去に一度。
「Sexの回数まで管理される」カカァ殿下だったらしい。
その後結婚することもなく、4人の子供と4人の孫に恵まれる。まさにブルースマンを地でいくような人。
「ところで君はいつ別れるんだい?」
「君を今度ディナーに誘ってもいいかな、もちろん旦那は抜きでな。ガッハハハ」
「どうせ次会ったときは覚えてないでしょ、だって?オレはそんな男じゃあないぜ、baby」
ブルースマンはいつだってこんな調子。でも今のご時世、競争の厳しいこの世界で音楽だけで身を立てているとは本当に立派。酒もたばこも一切やらない。そこだけはブルースマンぽくないけど。 会話も楽しく頭の回転も早い。チャーミングな人だった。
短い間だったけど、ぼったくりのつまらないパーティーでくさっていた私の心を温かくしてくれた。 お土産にもらったCDを今日はヘビーローテーション。
★★
それからなんだか妙に仲良くなって、何度かシカゴに出かけるたびに彼のギグに立ち寄ったり、
彼がうちの近くの街に「出稼ぎ」にやってくるときは必ず見に行くようになった。
なんといってもこういう“ブルース第一世代”の人の話を聞けるのは楽しい。
それにリンジーは気も若く気さくで、なんでもも話して聞かせてくれるのでつい話に夢中になってしまうのだった。
そんなある日のこと。
今日は何するの?とメールがきたので「近所のJamに歌いに行くよ」と返事をしたら「今日オフだから行こうかな」と言ってきた。
こんな遠いところまで1時間もかけて来るはずないと思いつつ、冗談で「ギターもってきて歌ってくれるならいいよ」とお店の住所を知らせたら、なんと本当にやってきたではないか!
こんな郊外の、しかも白人しか住んでいないようなところでは誰も彼の存在を知るはずもない。
私がバンドのメンバーに彼のことを紹介し、名前を呼ばれたリンジーは最終セットでいきなりギターをギュワーーーーーンと爆音で鳴らして渋いブルースを弾き始めた。
店中が一気に何とも言えないグルーブと興奮に包まれたのは言うまでもなかった。
いつもは失礼だがシニアたちのこじゃれたお楽しみJazz Jamになっていたこの場が、たちまちシカゴサウスの黒人御用達ライブハウスへと一変してしまったのだ。
さすがだった。
友達でシンガー仲間の黒人のPJも、そのままリンジーにギターを弾いてもらってブルースを歌ってくれた。
「Shoko、今日はいい人を連れてきてくれたね、本当にありがとう!」
Jamが終わってからいろんな人に声をかけられ、私が感謝された。
リンジーも何枚かCDが売れて、それはそれで収穫はあったようだ。こう見えても彼はデルマーク専属アーティストなのだ。
やはり音楽ひとつで身を立てている人はこういう判断力が段違いだ。行動に迷いというものがない。
面倒臭い、だらだらしようかな、というたるんだ気持ちがない。
そしてなんといっても“まめ”である。女には特に(笑)
彼を見ていてつくづくこれを実感したのだった。
(おまけ)
現在ブラジルツアー中のリンジー。
「お土産に何か買ってきてあげるよ、何がいい?」と聞くので、冗談で「ビキニ」と答えておいた。
さて、本当に買ってくるでしょうか
3月28日に行われた、Magic Slim氏を偲ぶライブで