Life in America ~JAPAN編

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ミュージカル“Memphis”

2011-11-28 12:37:59 | music/festival


世の中がまだThanksgivingの余韻にまったりと浸っている連休最後の日曜日。
急に思い立って、ミュージカル『Memphis(メンフィス)』を見に出かけた。
3日ほど前、「シカゴ・ブロードウェイ」から特別チケットセールのメールを受け取り即購入したチケットだった。
何しろこのミュージカル、絶対に見逃したくなかった。
この時期アメリカ人の家庭はおうちで家族団らん(またはクリスマスショッピング)というパターンが多いから、劇場のチケットも少々余り気味だったのだろう。そんな中、ヒマこいている私のところへ塩梅よく通常の半額の案内メールがきたもんだから思わず飛びついたというわけだ。
Thanksgiving Holiday万歳である。




シアターに隣接するイタリアンレストラン「Chicago312」で軽く夕食をとったあと、7時半開演のシアターの扉を開ける。
今日はちょっとカジュアルなスタイルなお客さん、それに黒人層が若干多い印象。
座席は1階オーケストラボックスの中央後方。なかなかいい席じゃないか!




舞台は1950年代のメンフィス。
黒人差別の厳しかった時代、ラジオから聞こえてくるのはペリー・コモといった白人向けの“ソフト・ミュージック”やカントリー、ミュージカルナンバーなどのゆるゆるした音楽ばかり。
かねてから黒人音楽に惹かれていた白人DJのヒューイは、あるラジオ局のDJブースを数分間だけ乗っ取って黒人音楽を流してしまう。
しかし、そのあと局に届いたのは「もっと流して」というリスナーたちからの鳴りやまぬリクエスト電話だった。
正式にDJとなったヒューイは、地元の黒人ライブハウスで出合った女性シンガー、フェリシアの歌声をスタジオから生で届けるなど、着々と“黒い”音楽を浸透させていく。
そして許されざる恋に落ちる二人・・。

ゴスペルやソウル、リズム&ブルースなどを次々と白人社会に紹介し、その後テレビ局でも売れっ子のプロデューサーになっていくヒューイ。
一方で、黒人差別から抜け出すことのできないメンフィスを離れて、NYへの進出を進められるフェリシア。
さて、二人の運命の行方は??





ラジオの周波数を示した効果的な背景デザインや、レコード盤を印象的に使ったアイデアあふれる舞台。
テンポよいステージ運びと、俳優陣の演技&ダンスのうまさ。
そしてなんといっても、有無を言わさぬ個々の圧倒的な歌唱力。
2010年のトミー賞ベストミュージカルに輝いただけのことはあり、隙のない素晴らしい出来上がりだ。

普段から「ミュージカルは退屈だ」と言って、誘ってもなかなか乗ってこないPちゃんですら
この日だけはまるで生まれて初めて生でディズニーパレードを見た子どものように(たとえが悪いか?)身を乗り出して拍手また拍手。
何度も何度も「なんてクールなんだ!」と感激の合図を私に送ってくるほどだ。

もちろん、クールだ。
それに何をとっても圧倒的に「上手い」。こんなステージは久しぶりで申し分ない。
ただ、ひとつだけ私を夢中にさせない何かがあった。
それが何だかわからずにいたのだが、一夜明けてみてなんとなくわかった。

1950年代。メンフィス。虐げられてきた黒人音楽が世にじわじわと出ていく、そんな時代背景で
私が期待していた音楽はもう少しどんより~とした、ソウルフルな黒人音楽だった。
しかし、このミュージカルは最近のミュージカルのような「明るさ」が全体に漂っている。
調べてみると、楽曲を担当しているのはBon Joviのキーボーディスト、デイヴィッド・ブライアン。
ははん、どうやらそのせいか。
映画、『The Color Purple』を見たときのあの衝撃を少しだけ期待していた(もちろん時代はもっと前だが)だけに
あまりのHappyな雰囲気にちょっとだけ戸惑ってしまった気がする。

それに、これはうまく説明できないのだけれど歌が“有無を言わさず上手すぎて”何度か引いてしまった。
特に黒人歌手、それも主役級の女性。声が出るのはわかるけれど、何かを伝えようというより歌を聴かせようとしている感じ。
歌詞の意味がエモーションとなって伝わってこなかったのがちょっと残念。
まぁ、同じことを毎日演っていたらたまにこういうこともあるのだろうか。特に今日は2回公演だったので、集中してなかったのかも。

とはいえ、それでもやはりゴスペル、ブルース、ロック、R&B・・といろんな音楽がたんと詰まった『Memphis』は素敵なミュージカルだった。




 

せっかくダウンタウンに出てきたので、巨大マリリン・モンロー像の前で記念撮影。
高層ビルを背景にいやぁ~んとそびえるマリリンは、やはり不気味だった。。。







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