Life in America ~JAPAN編

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Blues漬け ~part3 "Blues For Japan"

2011-06-21 11:41:38 | music/festival
炎天下で一日中ブルースに浸かっていた昨日の余韻で、頭にまだ音が鳴っている。
しかし、今日も行かねばならぬ。




そう、今日はシカゴのとあるブルースバーで「Blues For Japan」なるイベントがあるという。
先週、シカゴ・ブルースフェスでお会いしたAriyoこと有吉さん(ビリー・ブランチバンドのピアニスト)からこのイベントの案内をいただき、連荘だろうがなんだろうが行こうと心に決めていた。

このライブは、ブルース界で活動するシカゴ在留邦人の集合体である“Chicago Japanese Blues Community”が、シカゴ・ブルース界にチャリティ・イベントの開催を要請したところ、
地元のミュージシャンたちやシカゴの老舗ブルース・クラブのひとつである『Rosa’s Lounge』がこれに応じる形で実現したもの。
Ariyoさんがミュージシャンのとりまとめ役となり、地元のミュージシャンたちにも声をかけた夢のライブだ。


午後4時。
シカゴダウンタウンから少し北部にある老舗のブルース・バー「Rosa's Lounge」へと一路車を走らせる。
前から聞いたことはあったが、ここに実際足を踏み入れるのは今回が初めてだ。
エスニックの匂い漂う地域にひっそりとたたずむ小さなBar。
その横ではキューバレストランがガンガンにキューバンミュージックを鳴らし、お客が外でビールを飲んで大声でしゃべっている。

 

今日のライブは4時から10時までの6時間!
ライブというよりも、やってきたミュージシャンが次々と飛び入り参加していくというJam Sessionのような進行だ。


まずは日本人ミュージシャンたちがライブの火ぶたを切る。
シカゴで長く活躍しているブルースミュージシャンがこんなに多くいたことを、今夜改めて知らされた。

 テーブルに敷かれた大きな紙に被災地へのメッセージがぎっしりと貼りこまれていく。

時間がたつにつれ、次々とミュージシャンたちが店内に入ってきた。
どんなビッグネームでも、彼らは自ら車を運転し、ギターをしょってアンプをゴロゴロと引きずって普通のおっさんのようにやってくる。
いわゆる“芸能人面”する人なぞシカゴには存在しないのだ。


店の外ではビリー・ブランチが談笑中。


店の中は、日本人ミュージシャンの家族たちと思しき人たちでいっぱいに。
子どもたちがキャーキャーと駆け回り、ボンゴにいたずらしたりして大騒ぎだ。
こういう光景はまず普段は見られないので、お客も笑って黙認。

さて、ステージもすっかり温まったところで、ビリー・ブランチ登場だ。
この1週間で3回も彼を見て、まるで追っかけ状態の私・・。


どんなステージでも精いっぱいのパフォーマンスを聴かせてくれる、これぞプロ。
というより、この人たちは心底音楽が好きで楽しくてたまらないのだ。


かつてビリーのバンド(Sons of Blues)のメンバーでもあったMinoru Maruyama氏との気の合った競演。


店中にしゃがれた大声を響かせながら登場したLurrie Bell(右)


先週のBlues FestでLurrieを聴いてからすっかりファンになっていたのでここでの再会はマジうれしかった!
ステージ下の私と目が合うと、丁寧に日本人式のお辞儀を何度もしてくれるおちゃめな人。


Ariyoとビリー
Ariyoはこの日ほぼ出ずっぱりでピアノを弾く傍らで、ホストも務めていて大忙しの様子。

 調子に乗って私も1枚・・・えへへ


そしてこの御大、Jimmy Burns登場。
ここでふたりのコラボを聴けるとは。観光客は知る由もない・・・


ビリーと二人のRosa。右は奥様、
左はここのオーナー、Rosa。30年前にイタリアから息子と一緒に移民してきてこの店をオープン。
以来、数々のシカゴブルースメンたちを迎え入れ、彼らからママ・ローザとして親しまれている。

 




オオトリはこの人、大好きなGuy King。
Jazz、Bluesどちらのクラブからも引っ張りだこのシカゴで旬のアーティスト。
以前話をしたことがあるけれど、彼はイスラエル出身だそう。その後メンフィス~シカゴと渡った変わり種。


日本人のハーモニカ奏者総動員で締めくくる。
やっぱええわぁ~。


★ ★

実はこの日、私の横でずーっとライブ録音をしたり写真をとったりしているおっさんがいたので
「どこかの雑誌の方ですか?」と話しかけてみたら、彼はAmerican Live Blues Foundationの人で、
ライブがあると聞くとどこにでもこうやって自前の機材を抱えて駆け付ける、いわば「ブルース オタク」だった。
かれこれ20年以上もこういう生活を続けている筋金入りのオタク。

お互いひとりで退屈していたので、ステージの合間にはいろいろおしゃべりをして勉強させてもらった。
何よりこういうオタクと一緒だと、「あれ誰?」なんていう誰にも聞けない超恥ずかしい質問をすることができるので、本当に助かった。
今晩のライブ、この人をしてもまだ知らない人がたくさん出ていたそうだ。
本当にシカゴのブルースシーンは奥が深い。

別れ際にこの人、Davidから1969年録音のマディー・ウォーターズと“ママ”ビッグ・ソートンのCDコピーをいただいた。
昨日といい今日といい、やっぱり持つべきものはライブの連れだ。



最後にオーナーのトニーにお礼とご挨拶。
「この日を決めるのにミュージシャンたちの都合がつかなくて結構二転三転したんだ。今日は父の日だから、本当は(お客さんの入りを考えると)ベストじゃないんだけど仕方なかったのさ。」
本来ならば日曜は休業日。従業員もみな都合がつかなかったので急きょアルバイトを入れてこの日の夢のライブを実現してくれたトニー、本当にありがとう!